彼等は総じて化け物(モンスター)である   作:千点数

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15:古波蔵棗の暴走

 [沖縄/十一月中旬/朝]

 

 涼しい。

 ・・・・・・南はこうも、冬になりはじめても寒くないものかと驚く。

 肌寒くなってきたな~とは感じるが、それでもそこまで寒いって感じじゃない。

 

 だが、その涼しさも、俺の彼女となった古波蔵棗が飛びつき、引っ付いてきた瞬間、とても暖かく感じる。

 

 ぎゅー。むぎゅう。

 

 「・・・・・・何?」

 「構って」

 

 という事らしい為、可愛い彼女が拗ねる前に構う事にする。

 

 「・・・・・・どうすれば良い」

 「後ろから・・・・・・こう、抱きしめてくれ」

 

 言われた通りに、俺があぐらをかいた上に棗を座らせて、後ろから抱きしめる。うん、イロイロ柔らかい。

 最近は、ほぼ毎晩俺が襲われて、お返しにイロイロ揉んでるからかイロイロ成長して大きくなっている為、その柔らかさに拍車がかかっている。

 うーん、武術をしているからか、めっちゃスタイルが良いのにプラスして更に破壊力がヤバい事になってるな。知ってるか?この娘、まだ成長期だぜ?

 

 「・・・・・・んっ・・・・・・」

 

 すりすり。

 

 気持ち良さそうに身体を擦り寄せてくる棗。大型犬みたいだとは思ったことがあったが、コイツ大型猫でも行けそう。

 

 取り合えず、頭が近くにあるので撫でてみる。なでなで。

 

 「・・・・・・♪」

 

 どうやらお気に召したらしい。

 めっちゃニコニコ顔になって更に身体を擦り寄せてくる。

 

 今度はもっと近くに抱き寄せて、わしゃわしゃと撫でてみる。

 

 「・・・・・・」

 

 なんか、ぶわぁ、とピンク色のオーラが棗から溢れ出たかと思えば、棗はいつの間にか身体を百八十度回転させて、俺と対面になるようにして座り直すと、俺の首に腕をまわし、俺の腰に足をまわしてコアラ状態になった。

 当然、柔らかいものがむにゅむにゅと押し付けられる。

 ・・・・・・ん?なんか棗の息が荒いような・・・・・・と、思えば、なんか棗が自分の身体を密着させて擦りつけてはぁはぁ言っていた。

 なんか目がギラギラしている。

 ・・・・・・え?マジで。こんな朝っぱらからやるの?なんて思っていたら、いきなり警報音が鳴り出した。

 バーテックスがお出ましか。

 

 「・・・・・・棗、行くぞ・・・・・・棗?」

 

 心なしか負のオーラが棗からぶわぁ、と出ている。

 ・・・・・・ちょちょちょ、なんか怖いよ棗さん?

 

 「裕也との日常を邪魔するバーテックスは潰す消す殺す・・・・・・・・・」

 

 なんか言ってると耳を澄ましてみれば、恐ろしい事をブツブツつぶやいている。心なしか目からハイライトが消し飛んでいるように思える。

 ・・・・・・うーん、これはヤバいな。棗が暴走して怪我したとかなったら嫌だし。

 

 「棗」

 「何だ裕也」

 「冷静になれ。最高速でバーテックス(あいつら)を倒したら、後で何でもしてやる」

 「今すぐに倒しに行こう」

 

 うん、元の棗に戻って良かった。

 

 ・・・・・・なんか何時も通りに見えるのに、妙にハッスルして別の意味で暴走しているように見えるのは俺だけか?

 

 *

 

 「・・・・・・今日も多いな。ゴキブリかあいつら」

 「・・・・・・どれだけ数が多くても、倒すだけだ・・・・・・!」

 

 おお、何か決め台詞っぽくて何かカッコイイですよ棗さん。

 

 海の向こうから、青いバーテックスが大量にうじゃうじゃと。バーテックスのバーゲンセールってかオイ。

 まあ、まず棗が海へドボン。そしてそのままバーテックスの方へと凄い勢いで泳いでいき、海から上がったと思えばその水面に着地、バーテックスをぶっ飛ばし始めた。

 

 俺?俺は棗が相手しきれないバーテックスをこう・・・・・・

 

 「・・・・・・『かえんほうしゃ』!」

 

 焼き払うお仕事ですよ。

 炎タイプだからか、別に泳げないという訳でもないが、海の中入ったら技の威力が減る上にステータスが少し下がる。だから俺は海の方に行けない為、こうして地上で、棗が取りこぼしたバーテックスを撃退している。

 棗曰く、『後ろに戦える誰かがいるだけでだいぶ戦いが楽になった』との事。

 

 近くにまで寄ってきたバーテックスは、『ブレイズキック』や『ほのおのパンチ』等の物理技で消し炭にしながらぶっ飛ばす。

 オラオラなめんじゃねーぞこちとら毎日毎日、鬼師匠棗に技やら何やら鍛えられてんだよ!近接格闘もお手の物じゃい!

 

 正面から向かってくるバーテックスを拳でぶっ飛ばし、後ろから来る奴は後ろまわし蹴りで撃滅し、バーテックスの数をどんどん減らしていく。

 向こうの方では凄い勢いでバーテックスが減っていた。随分ハッスルしてるなー。

 

 かなり数を減らしたところ、残った奴らが高速で合体し、巨大化してボスっぽい奴になった。

 魚っぽい感じの形で、なんか触手のようなものがウネウネしている。

 

 ・・・・・・巨大化って負けフラグなんだよなぁ・・・・・・。

 

 そう思っていると、案の定棗の必殺技のようなものが発動し、バーテックスは一瞬にしてバラバラになった。

 バラバラになって巨大化が解けた雑魚共を蹴散らし、何とも呆気なくカタがついた。

 

 「さあ、裕也。早く帰ろう」

 「・・・・・・うん」

 

 帰ったら目茶苦茶甘えられた。

 なでなでしたり抱きしめたり深い方のキスを三十分くらい休み無しでやられたり・・・・・・。うん、まあ、イロイロされた。

 「・・・・・・何でもやると、裕也は言っただろう?」と言われて逆らえずにそのままパクリと(意味深)いかれたのは余談だろう。




 ほぼ毎日パクリといかれる裕也さん。
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