彼等は総じて化け物(モンスター)である   作:千点数

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 番外編3話ちょいと手直ししました。

 内容は変わってません。ただただ赤奈がなんか本来の性格が友奈族なんじゃ、って感じのアレな妄想で出来てるだけです。はい。


番外編3:ボクはケダモノじゃないッ!?

 「それにしても洗脳、か」

 「どうしたの? 幽くん」

 

 赤嶺友奈と出会ってから、翌日。

 ボクはある事を考えていた。

 

 「いや、ね。天の神が洗脳をしているなら、どうやってやるか、想像していたのさ」

 「え? どうやってって・・・・・・天から世界中に『ぶわぁー』って感じじゃないの?」

 

 赤嶺は擬音とモーションを用いてボクに言う。

 ・・・・・・確かに、そんな感じで出来たら多分天の神もいっぺんに方がつくし、人類も成す術が無い。けれど。

 

 「いや、それは多分しない」

 「・・・・・・?」

 「いや、ね。ボクは実は海外のモノは触りぐらいしか知らないけれど、こと日本の神話に関しては少々自信があってね・・・・・・」

 

 そう言って、説明を始める。

 

 「日本の天の神が、高の原から地上に重要な『何か』をする場合、必ず『何か』、若しくは『誰か』を送り込むのさ・・・・・・モノ、ヒト、神問わずね」

 「国譲りの武甕槌や・・・・・・今回のバーテックスみたいに?」

 「そう」

 

 成層圏の更に上、天からの砲撃であれば人間は太刀打ち出来なかった。だけど、天の神は『何か』を必ず地上に送り込み、そして『何か』を成す。天孫降臨なんかもいい例だろう。

 

 だから。

 

 「恐らく今回も、『何か』が地上の何処かにある、若しくは居るだろうね。それが神なのか、バーテックスなのか、それともモノなのかはわからないが・・・・・・」

 「なるほど? じゃあそれを『どかーん』ってやっちゃえば・・・・・・」

 「このクソッタレな現状も、回復するだろうさ」

 

 あとは、それが有る、又は在る場所だが・・・・・・まあ、大体予想はつくけれどね。

 

 「ねぇ赤嶺。諏訪、そして四国・・・・・・ヒトが居る場所、他に解るかい?」

 「・・・・・・無いけど。でも、それがどうかしたの?」

 「『何か』、の場所。洗脳するなら、ヒトが居る場所でやらないと。多分、ヒトが住んでいる場所、その重要な場所に『何か』が()るんだろうさ。まあ、全部希望的観測に過ぎないけどね」

 「・・・・・・なるほど?」

 

 あ、この顔絶対に解ってない。

 情報量が追いついてない顔だ。

 

 「で、だ。ここからが重要。四国と諏訪、ここからだと何処が近い?」

 「諏訪、かなぁ」

 「じゃあ、先ずはそこに行こう」

 

 ボクがそう言った瞬間、彼女の顔が悲痛に歪む。

 ・・・・・・ああ、そういえば、彼女は一度諏訪に行って、酷い目に遭ったんだったか。

 

 「済まない。だが、必要な事なんだ」

 

 ボクは、多分彼女に苦痛を強いている。もう一度、酷い目に遭ってしまった場所に行けと、そう言っている。

 だから、このくらいはしよう。

 

 「ボクがキミを酷い目には遭わせない。ボクが、生きている限り」

 

 彼女の手をとり、言う。

 

 ああ、もう。良いコトバがまったく浮かばない。

 だけど、きちんと意味だけは伝わったみたいで、赤嶺は困ったように返す。

 

 「何それ・・・・・・うん、わかった。行こっか」

 

 それじゃあ、方向性も決まった訳で、と諏訪の方角がどっちか聞こうとした瞬間。

 

 「そういえば、さっきのプロポーズみたいだったね?」

 

 ・・・・・・シリアスな雰囲気がぶち壊しだ。全く。

 

 *

 

 「ねぇねぇ、幽くん?」

 「何だい?」

 

 急に、赤嶺が足を止めてボクの方を向いてきた。

 

 「そーいえば、さ。幽くんは男、私は女、でしょ?」

 「まあ、そうだね・・・・・・」

 

 何を言っているのだろうか。

 そんなの、当たり前だろうと思っていると、

 

 「夜中眠ってる時さ、ムラムラしちゃわないの?」

 「ブフゥ!?」

 

 不意打ちのように、とんでもない台詞を吐かれて思わず噴き出してしまった。

 

 「いきなり何を言うんだい!? まあ、するけど」

 「正直に言っちゃうんだ・・・・・・ムラムラしちゃうなら、おさわりくらいならしてあげるよ~?おねーさんから、正直に言ったご褒美だー」

 「・・・・・・ボクはケダモノじゃないぞ」

 

 胸を強調するようにしてポーズを取る友奈を白い目で見つつ、俺はボソリと返す。

 はぁ、全く。ボクがそんな誘いに乗ると思ったら大間違いだ。

 

 「これでもスタイルには自信があるからねー。君を悩殺しちゃおうかなぁー?そうだ。今日、一緒にくっついて寝ようか」

 「本音は?」

 「人肌が恋しい独りが辛い・・・・・・はっ」

 

 さーて、今更気がついたところでもう遅い。

 赤嶺は顔を耳まで真っ赤にして俯き、プルプルと震え出した。

 

 「にゃぁあああああああああ!何言ってるの私!い、今の無し!無しだよ!?」

 「ボクは何時でもバッチコイだが?」

 「!?」

 「なあ、赤嶺・・・・・・キミは、どうしたい?」

 

 顔を近づけ、赤嶺の顎をクイと持ち上げて目を合わせてそう言ってやると、顔真っ赤のお目目グルグル状態でキャラ崩壊し出した。

 ・・・・・・正直、ここまでになるとは思わなかった。まさか、ついこの間、まだ普通に学校に通っていた頃に教わったネタが通じる人間がいたとは思いもしなかった。

 そして、どう見ても女の子にしか見えないボクの親友から教わった『顎クイ』とやらがここまで破壊力があったとは・・・・・・。

 

 『なー、女子ん間でこんなの流行ってるらしいぜ?』

 『意味が解らない。何故こんなものでキュンと来るのか意味不明過ぎるな。というか何故キミが知っているんだ』

 『・・・・・・俺、男なのにガールズトークに無理矢理・・・・・・』

 『・・・・・・悪い事を聞いたね』

 

 ああ、今解ったよ親友。コレが顎クイの破壊力か。というかボクは一体何をしているんだッ!?

 ああもう、何時もは飄々としている赤嶺が、今や茹蛸のように顔を真っ赤に染め、目が潤んで口をプルプル奮わせているじゃあないか。

 ・・・・・・何だかとても嗜虐的な心が表出しそうになったが、抑える。ボクは断じて変態ではないからね。

 

 「そ、その・・・・・・優しく、お願いします・・・・・・」

 

 キミはキミでナニを言っているんだ。

 思わず真顔になってしまったのは、悪くない。

 

 「な、何もしないからな!? ボクは何もしないぞッ!?」

 「幽くんの、ケダモノ・・・・・・でも、幽くんなら・・・・・・」

 「戻ってこい赤嶺!? そしてボクはケダモノじゃないッ」

 

 ポンコツになった人間を戻すのは、相当の苦労が必要だと解ったよ。

 全く解りたくなかったが。




 活動報告の方に西暦編ポケの人達の性格やら何やらの決定版貼付けてるんで是非見てください。

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