彼等は総じて化け物(モンスター)である   作:千点数

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 今回のお話、メタ発言注意ですよ。


18:とある大社所属の巫女さんのメインパート

 [四国/香川/十二月上旬/大社の経営する施設]

 

 どうも。大社に所属する巫女の一人です。以後、お見知りおきを。

 

 さて、今回は私のようなただの巫女がメインを張らせていただくという訳で、最近の近況について愚t・・・・・・ごほん、つらつらと述べようかと思います。

 

 *

 

 さて、今回述べるのは最近の近況という事で、今年の十月、四国に腹を空かせて死に体でやってきた、見た目少女にしか見えない不思議な力を持つ少年、釘宮天地様について先ずは一つ、述べようかと思います。

 

 ああ、釘宮様と言えば、この間天の神である武甕槌様と殴り合いの喧嘩をされたとか・・・・・・。よく、五体満足で帰ってこれたものだと、称賛を通り越して最早呆れてしまいました。

 そして、一体どうして男というのはこう、殴り合いをすると突然仲良くなるのでしょうか。時々何故か武甕槌様と思わしい人間が突然前触れもなく表れ、釘宮様と楽しそうにしながら一緒にいるのを見た、という大社の職員からの目撃情報が絶えないと、情報課の人から聞きます。

 

 ・・・・・・その度に精神を擦り減らすのは私達巫女です。

 

 巫女は、神々の神格を感じる事ができます。

 故に、武甕槌様が現れれば私達巫女にすぐわかります。だから実はもう、情報課の人から聞く前からわかっていたんです武甕槌様が来ているのは。

 

 何時もビクビクしているんです(泣)。どうして地上に天の神様が普通に来るんですか(泣)。

 

 ・・・・・・こほん。少し取り乱してしまいました。

 まあ、それはもう置いておきましょう。

 どうしようもない事ですので(泣)。

 

 釘宮様は、ここ最近、勇者様方の中でも高嶋友奈様、郡千景様、伊予島杏様と特に仲が良いようで、よくこの三名の内の誰かと行動を共にしています。

 

 ほら、あそこの大社の裏庭でも今、伊予島様が釘宮様と共に読書をしていますよ。・・・・・・ああ、でも覗くならチラッとの方が良いです。若しくは覗かない方が良いです。

 伊予島様は釘宮様との読書が大切な時間らしいので、邪魔されると真っ黒い瞳で睨み付けられますよ。

 

 ああ、それで先ほどの話の続きですが、実は先ほどの三名は、釘宮様の事を悪く思ってはいないようです。

 ・・・・・・特に、伊予島様や郡様はもうあからさまに解るぐらいの好意を示しているのですが・・・・・・釘宮様は気がついているような素振りはありません。何処の鈍感系ラノベ主人公ですか。

 大社の中でも、何時もヤキモキしながら釘宮様を見ております。

 早く誰かとくっつけよ、なんて声も上がっているくらいです。

 どうせなら三人全員貰っちまえなんて声も出てます。

 

 ・・・・・・まあ、あの娘達には幸せになってもらえればそれで良いんです。

 私達よりも若いのに、護国の責務を負わせてしまっている、年頃の娘にちゃんとした恋愛をして、好きな人と添い遂げてもらいたいので・・・・・・釘宮様にはとりあえず『逃げ場は無い』とだけ言っておきましょうか。

 まあ、鈍感なので彼女達の好意に報いるのはまだ先な気がしますが。若しくはじれったくなった彼女達が押しかけてそのままパクリと行くかもしれないですね。

 

 *

 

 さて、次は、どんな話をしましょうか。

 そうですね・・・・・・話そうと思うとどうにも出てこないものですね。

 

 ああ、そういえば、釘宮様と高嶋様がちょうどお出かけに行った時の話がありました。

 では、それを話して今日は終わりにしましょうか。

 

 *

 

#超短編[たかしー×天地くん]

 

 [四国/香川/十二月上旬/昼]

 

 白い息を吐きながら走る。

 確か、大通りのあの場所まではもう少しだった筈だ・・・・・・!

 

 さて、今俺は全力疾走をしていた。

 理由は、ある人との待ち合わせに遅れそうだからである。

 

 大通りを抜けて、ちょっと広い広場のような場所に出る。

 そこには、沢山の人がいたが、その中に、俺を見つけて手を振る少女がいた。

 

 「おーい!天地くーん!こっちこっち!」

 

 何を隠そう、四国の勇者の一人、たかしー・・・・・・高嶋友奈その人である。

 

 「悪い。遅れた」

 「ううん、間に合ってるよ。今十三時五十九分!ギリギリ滑り込みセーフだね」

 「お、おう。そう言ってくれるとありがたい」

 

 さて、どうしてこんな場所でわざわざ待ち合わせまでしてたかしーと一緒にいるか。

 デートである。

 なんか知らないがデートである(俺とたかしーは別に付き合っているわけではない)。

 

 まあ、傍から見れば俺の容姿が完全に活発な女の子のそれなので、女の子同士がいちゃついてるようにしか見えないだろうが。

 

 「さあ、行こう!何する?」

 「適当に話しつつ気になる何かがあればそこに寄るって感じで良いだろ。あ、あとゲーセン寄ろうぜ。たかしーにこの前格ゲーで負けたリベンジマッチを申し込みたい」

 「良いよー。今回も負けないぞ!」

 「はっ、言ってろ。今回の俺は一味どころか三味くらい違うぜ?」

 

 俺はニヤリと笑って見せる。が、

 

 「うーん・・・・・・天地くんが悪者っぽく笑ってみせても可愛く感じてしまうのはなぜなんだろう・・・・・・」

 「とうとう女の子にまで男扱いされなくなってきているな・・・・・・」

 「わわわっ!?ご、ごめん天地くん。お、男の子に可愛いは良くないよね。え、ええと・・・・・・キュート?」

 「英語になっただけで変わってないよぉ・・・・・・」

 「ごめんなさい謝るから泣かないでぇ!」

 

 二十分後・・・・・・。

 

 「ねえねえ、次はこれ着てみてよ!」

 「なんで俺着せ替え人形になってるの!?あとそれ女物だよな!?良いか、俺は男!オーケイ?俺には似合わないだろ?」

 「えー、女物でも天地くんなら似合うってー」

 「いいや絶対似合わない・・・・・・って店員さん!?何故凄く良い笑顔で女物の服を俺に進めて来るの?ちょ、もー、わーったよ着るよもう!

 ・・・・・・なぁなぁたかしー、この服どう着るの?」

 「着せてあげるよ!ちょっと失礼しまーす」

 「わ、おい、別に外から指令言ってくれるだけで良いから!試着室に入ってくるなぁ!?」

 

 そのあと、俺が試着した服の中で何着かをたかしーがセレクトして買って俺にプレゼントしてくれた。

 たかしー曰く、「スッゴく似合ってた!だから、今度一緒にデートするときに来てきて!」らしい。

 ・・・・・・なんかもうデートって言われて同じない上にもうこれが普通なんて思い始めた自分がいる。女装にも今回の一件で慣れてきたよ。

 

 ーーー[注意:この二人は付き合っておりません]ーーー

 

 *

 

 この光景を見て、もうくっついてしまえ二人共、と思ったのは私だけでしょうか・・・・・・?

 

 *

 

 なお、今度諏訪に一人で天地さんが赴くという話で友奈さんと杏さんが行きたいと駄々をこねたのは、また、別の機会に。


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