[諏訪/一月下旬/昼]
「ああもうなんでこうも多いんだ!」
幾つかの通信で、
しかも今日に限って数がいつもの二倍以上ときた!
「ヘルプ! 囲まれた!」
「ワリィこっちも! ちょっと頑張ってぇええええええええ!」
四方八方から飛んで来るバーテックスを『クロスチョップ』で叩き落とし、『ドラゴンテール』でぶっ飛ばし、『りゅうのいぶき』で一定範囲のバーテックスを消滅させる。
威力の低い技、若しくは物理技のみで、バーテックスを倒していくが、きついな。
威力強い技使ったら少々大変な事(前例アリ。前の方の話参照)になる為、多様したくなかったけど・・・・・・使うしかねぇか、こんな数多かったら、使い惜しみしてると負ける。死んでしまう。
歌野は・・・・・・うん、技の範囲外。多分、いや絶対余波くらうだろうけど、装束着てる今なら余波くらったところで平気だろう。毎日畑を耕す事で鍛えている農業王は伊達じゃない。
畑も、今は育てていない範囲の、少々雑草が生えた場所・・・・・・後で草抜きするか。
ともかく、作物を巻き込む心配無し、だな。
という訳で。
「『りゅうのはどう』!」
俺が放った咆哮と共に、巨大な蒼い東洋の龍を象ったエネルギーの波動が上空に昇っていき、口を開け、そのまま自由落下の要領で全てのバーテックスを飲み込んでいった。
飲み込まれなかったバーテックスも、雑魚は『りゅうのはどう』の余波で消し飛び、進化系っぽい奴らも体を崩壊させながら吹き飛んでいく。
・・・・・・水都曰く、俺この地域の神に力半分近く吸い取られてるのに、こんな威力出んの?伝説の専用技使ったらどんな事になるか・・・・・・
残った木っ端バーテックスを全て『ドラゴンクロー』で吹き飛ばし、『りゅうのいかり』で爆撃して一息つく。
何時もの二倍疲れた。使い慣れない技使ったからかなぁ。
・・・・・・せめて練習さえ出来れば。でも出来ないんだよなぁ。空間切り裂く技とか時間ぶっ飛ばしたりとか隕石降らせたりとか・・・・・・その他国どころか大陸滅ぼせそうな技のオンパレードなのがドラゴンタイプの特徴。
『コアパニッシャー』とかした日には間違いなく日本地図を書き換えないといけない事態に陥るな。うん。よって、練習は出来ない。
「せめて物理技の練習と『りゅうのまい』を高速で積む練習するか・・・・・・」
その前に草抜きやっとこう。
*
[諏訪/同日/昼]
諏訪に着いたかと思えば、諏訪の畑と思わしい場所にバーテックスが群がっていた。
援護しようと思い、俺は『グロウパンチ』を発動して突撃した。
で、接敵三秒前。
「何あの龍」
敵の中央付近から青白いオーラを放つ東洋風の龍が飛翔した。
で、口を開けて落ちていった。
「あ、何かやbーーーー」
次の瞬間。
ドバンッーーーーと。
そんな鼓膜が破れそうな程の音と共に。
恐らく、
・・・・・・しょうがねぇだろ俺攻撃以外の能力全部が紙以下なんだから。という訳で
俺の意識が戻るまでの一日分、到着が遅れたのは言うまでもない。
*
[翌日]
「ええと、どうも諏訪の皆様コンニチワ。四国から使者としてやって来た釘宮天地です。到着が一日遅れてしまって申し訳ありません」
「いえいえ、どうぞごゆるりと寛いで下さい。・・・・・・つかぬ事をお聞きしますが、どうしてそんなにボロボロなのでしょうか・・・・・・?」
「なんか衝撃波にぶっ飛ばされまして」
「そ、そうなんですか。・・・・・・ヤベー」
そう言って目を逸らすショタっ子・・・・・・もとい、この諏訪の近くに転移してきた俺と同じポケモンの力を持ったドラゴンタイプの転移者、草薙竜介。写真で見たことがあるけど、生で見るとやっぱりショタだ。
・・・・・・ほら、オイ、こっちを見ろよ。別に怒ってないから。ね?(がちぎれ)
「まあ、かたっくるしいのはここまでにして。で、だ。ポケモンやってたならわかるだろオイ、目ぇ逸らすなこっち見ろ。な?目と目合わせてポケモンバトルしようぜ?ほら、『ビルドアップ』積みまくった『ばくれつパンチ』を味合わせてあげるから、な?」
「睨まないで下さい美人な顔だから睨まれるとこわ・・・・・・ひぃっ!?」
あん?誰が男の娘だって?
その後。
草薙竜介は歌野と水都に泣きついてた。
・・・・・・なんか二人別方向に恍惚とした感じの顔をしていたのは、見て見ぬ振りをしようと思う。
ポケモンバトルは次回。
うたのん及びみーちゃん、新しい扉を開く。