彼等は総じて化け物(モンスター)である   作:千点数

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 鬼十郎「いきなりの北海道回だァ! ぶちかますぜッ!」




 タイトル通りです。

 少年、ショタっ子達を、絶望が襲います。


22:北海道はもう、ダメかもしれない

 [服部(はっとり)鬼十郎(きじゅうろう)視点]

 

 北海道はもう、ダメかもしれねぇ。

 ・・・・・・あ?もう俺と、雪花と、ガキ六人しかいない時点でほぼほぼ終わってねぇかって?

 

 ああいや。そういう感じの方向に『終わってる』んじゃねぇ。

 正解は、だな。

 

 「ちょっと、りんか? 俺の事抱きしめ過ぎ・・・・・・。ちょっと苦しいよ」

 「ダァーメ。ひびきくんは、もっと私と一緒にいないと、めっ・・・・・・ってしちゃうぞ!」

 

 「ねー、おねぇちゃん何で僕の首をぺろぺろしてるのー?」

 「ちゅるっ・・・・・・はーっ、はーっ・・・・・・」

 

 「暑いよー。腕からちょっと離れてー。恥ずかしいよー」

 「やだ絶対に離れないよ私あなたの事が好きだもんなのにねぇなんで離れてなんて言うの私の事嫌いなのでもそれおかしいよねだって私があなたのこと好きなのに[以下削除済み]」

 

 「オイ雪花」

 「んー? 私はなーんにも知らないよ? それよりも、さぁ。昨日、私から黙って七十三分四十二秒も離れてたよね。何してたの?」

 

 女の子達の愛情で、俺達男の身体と心と精神力と貞操がヤバい。

 誰か、助けられるなら誰でも良いから助けてくれ。

 

 *

 

 事の始まりは、確か。

 

 「第一回! ドキッ、男子だけの愚痴パーティー! ポロリはないよ!」

 「あたりめーだろ!? 男のポロリなんて何処にも需要ねぇよ!?」

 「ばんちょーのツッコミがさくれつ! こうかはばつぐんだ!」

 「ひびきにーちゃんは倒れた!」

 

 こんなぐだぐだな感じで始まった、俺達男だけの昼間の集まりだった。

 女の子達が寝てる間に、バーテックスの見張りもかねて、男だけでしか言えないような事を言い合う・・・・・・そんな名目だったっけか。

 

 頭数は四。

 

 俺と、服部餓鬼隊なんて名乗ってる六人のガキんちょの内の三人。

 それぞれ、一人称が『俺』の、少々おふざけが好きで、カッコイイものも好きな多田(ひびき)。六歳。

 男の中で最年少の五歳で、かつ一番純粋無垢な金沢勇人。

 響と同い年の、俺を含めた男の中で一番のムッツリである久我(くが)楓人(ふうと)

 

 この四人で、あーだこーだと語り合った。

 

 やれ「最近雪花が誘ってるようで困る」だの、やれ「りんかがとにかくヤバい」だの、「女の子達が最近距離が近い」だの・・・・・・

 

 そんな語り合いで、結論として「女の子から距離を意図的に置く」というものが出た。

 まあ、こんな非常時だ。依存するのも解るが、自立してほしい。と、いう意図もあり、俺達はそれを完璧に実践してみせた訳だが・・・・・・

 

 

 

 結果は冒頭を見て解るように、もう凄い事になってしまった。

 まるで蛇のようにネットリと絡み付いて離れない、依存度及び束縛率が限界突破の女の子達が一丁出来上がりってかふざけるな。

 

 ・・・・・・ちょっと待て。

 確か、俺達はそういうのを和らげる為に、先の事を実行したんだよな。

 

 

 

 逆に依存度とか束縛とか上げてどうするんだよ畜生がぁああああああ!?

 

 *

 

 [多田響視点]

 

 番長が頭を抱えている。まあ、狙いが外れてしまったんだから当然か。

 

 「ばんちょー、おなかいたいの?」

 「いや、大丈夫だ。俺自信の狙いが外れて落ち込んでるだけだから気にしなくて良いぞ勇人」

 「女の子の身体、柔らかくて、暖かかったなぁ」

 「楓人は夢のトリップからちょっと戻ってこーい!?」

 

 あー。もう散々だ。

 救いは、唯一ここ北海道唯一の・・・・・・ええと、せいりょうざい、だっけか。そんな称号を番長から与えられてた、勇人がマトモな心を保っている、という事。

 あんなに怖い体験は初めてだっただろうに、持ち前の・・・・・・ええと、じゅんしんさ、か。それでなんとか『とらうま』?は、回避したらしい。

 

 まあ、更なる女の子の恐さを知って、かつ、マトモな人間が一人いる事が救いなんて、俺ら北海道男子は相当終わってるな。なんて思ったり。

 

 ・・・・・・最近、俺の精神力が上がってきた気がするのは気のせいかなぁ。

 主にりんかとか雪花ねーちゃんとかのアレのお陰で。

 

 *

 

 [少し前/女の子(こいするおとめ)サイド]

 

 ピー・・・・・・ザザーーーー

 

  『つーわけで、少し距離を置く作戦をーーーー』

 

    ガ、ガガピー・・・・・・

 

 「へー。へーッ。鬼十郎君こんな事考えてたんだぁ。コレちょっとお仕置きが必要かな」

 「ねぇねぇ、雪花おねぇちゃん、何してるのッ」

 「・・・・・・盗聴・・・・・・?」

 「んー? まあ、ね。ちょーっと気になる事があったから」

 「聞かせて」

 

 [十分後]

 

 「ひびきくん、あとでいたいいたい(・・・・・・)のあとにぎゅーってしないと」

 「・・・・・・コレ、つまり・・・・・・」

 「私達から、ええと・・・・・・わざと男の子達が離れようとしてるってこと」

 「嫌われたの? 私達」

 「んー・・・・・・多分違うと思うけど・・・・・・例えば、りんかちゃん、響君と離れ離れh」

 「ぜったいいや」

 「・・・・・・君達は?」

 「・・・・・・嫌、いやぁ・・・・・・」

 「どうしたらいいの?」

 

 「ふふ、私が教えてあげる。男の子が私達女の子から離れ離れにならなくなる方法を、ね♪」

 

 うん。良い具合になってきた。

 良い目してるねー。真っ暗で、ドロッとしててーーーー

 

 *

 

 この後、俺達の身に何が起こったのかは冒頭を確認してくれ。

 

 あん?この続きだァ?

 

 んー、あー・・・・・・[削除済み]に関しちゃ少々、特に俺とか響はトラウマなもんでな。

 これ以上は勘弁してくれ。

 

 最後に一つ。

 北海道は、もうダメかもしれない。

 

 あらゆる意味で。




 北海道男子紹介

 服部鬼十郎(14)
 言わずもがなな鬼番長。
 コワモテだが、仲間には優しい。
 北海道ヤンデレ被害者その一。


 響くん(6)
 北海道ヤンデレ被害者その二。
 最近、いろいろとありすぎて精神力が鍛えられている人。
 精神年齢プラス6ぐらいされてるハズ。


 勇人くん(5)
 北海道ヤンデレ被害者その三(無自覚)。
 天使。ただ純粋。めっちゃピュア。北海道唯一の癒し枠。


 楓人(ふうと)くん(6)
 北海道ヤンデレ被害者その四。
 ムッツリ。助平。
 ヤンデレ?むしろご褒美です(ヤバい)

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