彼等は総じて化け物(モンスター)である   作:千点数

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 遅くなりました。
 というわけで、沖縄のお話。どうぞ。


38:その()は日よりも熱く

 時は少々遡り、四国において『武甕槌』が倒された頃。

 

 ある野原、そこから大地を見下ろす女は、まるで信じられないといった様子であった。

 その御名は『天照』。言わずと知れた日ノ本の主神であり、今回の騒動における首謀者。

 

 「ヒトが神に近づき過ぎた」事を理由に、地上を淘汰しもう一度いちから親の行った「天地開闢」を行おうとしているのだ。そのための『鉾』も、持ってきている。

 そして当初は、先兵に自らの分霊を入れ、それを地上にけしかけて一度世界を滅ぼそうと考えていた。

 

 だが、どうした。

 自らより先に生まれた神であり、雷霆神、剣神、武神と複数の神格を持つ天の神最強のバトルジャンキーを殺す者が現れた。

 

 実際には止めを指したのは『初代友奈』を名乗る者だが、それを彼女は知らない。

 ただ、その神殺しが数百年ぶりに現れた事に、驚きと戸惑いを隠せないでいた。

 そして、その神殺しが起きた際、何時もその神殺し側に荷担していたある存在の事を思いだし、彼女はある事を思案する。

 

 そして、早々に決断した。

 自分自らが出向き、直接『鉾』をその神殺しが存在する地に撃ち込む、と。

 星を創る魔鉾、それを攻撃手段として用いた場合、その威力は計り知れない。

 それは、天の神自らが下す絶対的なる審判。

 ・・・・・・だが、その絶対も覆る事となる。二つの要因によって。

 

 一つは、四国における一撃。

 そして、もう一つは・・・・・・

 

 *

 

 一人、格好付けて残ってしまったがどうしたものだろうか。

 

 どうやら、赤い雲は自らの炎は余り効かないようだ。

 見れば、太陽のような紋様がある。

 

 ・・・・・・なるほど? そりゃ効かんわ。と、心の中で弱音を言う。こりゃ死んだか?

 

 (アホウ。我が力を貸してやっているのを忘れたか。海がある限り、我々の勝利は揺るがん)

 

 そんな俺の弱音に返してきたのは、棗の身体から抜き取ったあんちくちょう。

 沖縄の海の底にあるという理想郷の主。

 確かに、今の俺ならば海の加護によって幾らかパワーは上がっている。

 だが、それでも雀の涙。

 

 あの真っ赤な雲には全くダメージは入らない。

 どうしたものか、と考える。

 

 燃える体、その胸に手を当てて考える。

 真っ赤な空は、此処にはどうやら用は無いらしい。

 さっきから俺が攻撃しても、無視しているのか無反応。

 ずっと、北へと進んでいる。

 

 「シカトとは酷いな、もう」

 (痒いだけの存在をどうにかする労力を消費したくないだけだろう。どうやら天の神とやらは、北の方角に存在する何処かの理想郷を潰すつもりらしいな・・・・・・全力を持って)

 「あー、ヤバい? つかなんで解る」

 (裕也よ。我を誰だと心得るか。そのくらい勘で解る。

 それにしても・・・・・・日輪の閃熱を用いた極光の一撃を高々寄せ集めの神木如きが受けきれるとは思えんな。

 あの引きこもり、一体何をそうまでして恐れている・・・・・・?)

 

 なるほど。

 つまり、あの真っ赤な雲? 空? を、北の方角・・・・・・あんちくしょうが言うには神木が守る理想郷に着いた瞬間、一撃で終了。ラグナロク決定らしい。

 

 その余波は、日本全体を覆い尽くし、日本にもう一つある理想郷、湖に住まう武神が守る場所を吹き消す程の威力を持つとか。

 

 「あー、つまり、此処で幾らか削るか倒すかしないと?」

 (もし出来なければこの世は滅却されるだろうな)

 

 なるほど。

 ・・・・・・なるほど。

 

 なら、ちょっと無理な方法で強制的にどうにかしよう。

 多少の無茶苦茶は無視しようか。

 

 棗がいるこの世界を終わらせる訳にはいかない。

 

 「おい、曲がりなりにも神ってんなら力貸せ。あの真っ赤な雲、いや。

 太陽を堕とす(・・・・・・)ぞ」

 (海を護れるならば)

 

 さぁ、決戦と行こうか。

 

 何、簡単な事だ。

 太陽より熱い熱でアレを熔かし落とせば良い。

 太陽の熱は一番高い場所で一五○○万度。

 ならば、それより高い温度になるには・・・・・・ああ、こうするしか無いだろう!!

 

 この自分にある力が神々のそれである、というならば。

 その力、全て灼焔に置き換えてしまおう。

 

 炎タイプなんだ。熱を際限無く上げる位造作も無いだろう!!

 

 燃やせ。

 身体は不要。()べろ。命も、骨も、力も!

 

 (貴様、ただで死んだら許さんぞ!?)

 「ああ! 例え死んでも首根っこ引っ張って黄泉に太陽を連れていくさ!!」

 (そういう事では無い!!)

 

 魂も燃やせ。燃料として焼べろ!

 一塊の炎となって、穿つ事が出来ればそれで良い。

 魂を燃やして、太陽を熔かし落とす。

 

 「行くぞ、太陽ォ・・・・・・」

 

 そして、肉体も、骨も残らず灰になり、命、魂までも残り僅か、となったとき。

 

 一条の光となった。

 

 *

 

 それは、奇しくも諏訪の龍が放つ、流星がまるで天に上っていくようであった。

 億を超える熱を放つその光は、輝きは、まるで尊い何かを焼べたかのように煌めいていた。

 

 その光は、赤い雲に突入した瞬間・・・・・・まるで、弾けるようにその内包した熱を放出し、雲に風穴を空けた。

 

 そして、その攻撃のタイミングは奇遇にも、天から振り落とされた鉄槌と同じだった。

 

 *

 

 天からの大胆な一撃、大地から登り龍が如く登り、花火のように弾けた一撃。

 

 太陽は不死の象徴。

 それを殺しきる事は敵わないものの、痛手を負わせる事が出来たのは、彼等を呼び出した神の力故か、彼等の力か。

 

 だが、少なくとも・・・・・・敵の頭に痛手を負わせたという事実は、この世の大多数の人類にとって、希望となった事に変わりは無いだろう。

 

 ・・・・・・安否は、ともかく。




 次回。
 エピローグ、四話続けて。

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 ええと、多分これで『西暦編においては』シリアスは終わりだと思われます。
 この書き慣れて無い感満載なシリアス読んでくれて有り難うございます。
 エピローグに関してはシリアスなんてぶっ飛ばそうと思っております。
 今後とも拙作をよろしくお願いいたします。
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