それは、白い空間にあった。
光り輝く、一つの影。
それは、少年のようで、少女のようで。
あるいは、大人のような雰囲気を纏っていた。
白い空間には、それしか、存在していなかった。
しかし。
「来たか」
「おう来たぜクソッタレ」
そこに、一つ。
影が増えた。
それは、女性だった。
紅葉色の、豪奢な金の刺繍が施された衣を纏った、赤毛の少女。髪色にしては、顔立ちは東洋系に見える。
その少女は、どこか人間離れしていた。
例えば、体つき。
衣の上からでも解る、全ての男を虜にするだろう魅惑的な、凹凸はっきりとした肉体。
天下に二つと無いだろうその身体は、なるほど極上のものと言っても差し支えは無い。
例えば、雰囲気。
光り輝く存在もそうだが、この少女も、異様だ。
人なのに、生物ではない。
形あるものなのに、そこに、存在していない。
そんな、あやふやで矛盾した雰囲気。
そんな彼女は、まるで問い詰めるかのように、光り輝く存在に問いを投げる。
「今回の事。「バンチョー」から聞いたぜ。オマエ、何のつもりだ」
「聞いた通りだよ? 僕は何時だって暇だから、ね」
少女は、返答を聞いて。
ニヤリ、と。まるで、そう帰ってくるのがわかっていたかのように笑うと、
「
そう言い切った。
「おいおい、僕の性格は知っているだろうに。何で嘘だって?」
「
そして、少女は、光り輝く存在の返答に被せるように。
あるいは、まくし立てるように言う。
「へぇ? 言うようになったねオリジナル」
「友奈と呼べ友奈、と。で、だ。オマエ、俺の時ですら「未来で神共がツマラン理由で最強生物けしかけるから、それの前準備」とか言って当時遊女だった俺に力押し付けやがった野郎だぞ?
そのほかにも、ろくでも無い事とは言え、今までのオマエの行動には、遊びでもなんでもなく、
なのに今回は暇潰しの遊びで人類救うだぁ? 嘘をつくにも程があるぜカミサマよぉ?」
そこまで言い切って、友奈と自称した少女は一息つく。
カミサマ、そう呼称された存在は、少しフフ、と笑うと、あーあ、と残念無念そうに言葉を発した。
「ばれちゃった、かー。出来れば、君にもばれたくなかったんだけど」
「全知全能じゃなくなってからボケ始めたか? ツメがあめぇよバーカ」
クックック、と笑う友奈。笑うと同時に揺れる牡丹餅。
「ま、ばれちゃったのは仕方ない、かぁ」
「おう、諦めろ。で? 今回は何をたくらんでやがる」
「勿論、理由の大元は「ガチ」で世界を救うため、さ」
あとは、個人的に、とカミサマは付け足すと。
「僕の箱庭に手ぇ出しやがったクソッタレを少しでも長くあそこに留めて、正体をあぶり出す為かな」
そう、烈火の如き怒りをあらわにして言った。
「・・・・・・は?」
友奈は、意味がわからなかった。
カミサマの箱庭とは勿論、地球の事。
それに手を出した、干渉したものがいて、それと同時に達成できることが天の神からの世界の救済?
ほんの一瞬、彼女は意味がわからなくなっていた。
「どういう事だ。一から十までキッチリ話せ」
「おいおい、今の文面から察せないのかよ。んなもんじゃぁちょっと僕の力を直接分け与えたものとしちゃ頼りねぇにも程があるぜ」
一転。おどけるように言って見せるカミサマ。
「まぁ、これについて語るには本当に一から語らないと意味不明だからね。丁寧に語ってやるよ」
ところで、ちょっとお話の大前提として質問だ、とカミサマは笑って言う。
「何故、あの
「あん? そりゃぁ・・・・・・神に近づき過ぎたとか言う人間を抹殺するとかそんなアホみたいな理由だったと・・・・・・」
「その
イレギュラーが起きるのは何時だって、神々なんかのイレギュラーが力添えしたとき以外絶対に有り得ないんだよ」
友奈は、愕然とした。
それならば何故、神々は地上にバーテックスを送り付けた?
もしや勘違いか?
「勘違いじゃねぇからな」
「人の心読むなアホ」
「バレバレなんだよ。友奈ちゃん。言っとくがマジで勘違いじゃない。
神に近づく事が人間には許されない事だなんて決まりはそもそも無いし、人間どもはそんなこと、さっきも言ったけれど絶対に出来やしない。
下っ端神格ならまだしも二級神格以上の神々がその程度で先兵けしかけるなんてそれこそ勘違いでも、絶対無い」
では、あの惨状は何なのだというのだろう。
あれは、何故起こった?
「君はまだ察しないのかい。もう、二級神格どもが地上になんかけしかける理由なんて一つしか無いんだぜ」
「・・・・・・そりゃ一体なんだ」
「この戦い、
友奈は、今度こそ絶句した。
言葉が、まるで出てこない。
「あと、調べてみたが・・・・・・こりゃー、どっちもだったんだよな」
友奈は、一瞬の間に持ち直すと、カミサマに問う。
「どっちも、ってのは?」
「どっちもってのはどっちもだよ。
*
さて、
まぁ、これを見てもらってから察したと思うし、そもそもこの物語の主人公が誰なのかを思い返して貰えると助かるが、これは決して、勇者の、勇気の物語等では無い。
人形劇と化してしまった世界にほうり込まれたバケモノ達の、史上最悪の駄作にして喜劇。
要するにこれは、
さぁ、人形劇を破綻させに行こう。
ミュージアムの使用許可も取ってない愚か者を蹴り飛ばそう。
世界を、救うぞ。