え、とですね、某そのっちさんみたいにインスピレーション湧いた!って感じになってしまいましてですね・・・・・・はい。書いてしまいました。
1:雷の一撃、鋼の王盾
ヒーローなんていない。
悪い人達が撃った鉄砲の弾が、僕を助けようとしていた兄ちゃんのお腹と頭を貫通する。
誘拐犯に、僕、武田真央と兄ちゃんが捕まって、そして、僕たちの親が警察を呼んだという理由で僕たちは今心臓と頭を鉄砲で撃ち抜かれた。
・・・・・・ああ、そうだ。
僕も、撃たれたんだった。
助けてくれるヒーローなんていなかった。
現実なんて、やっぱり糞ゲーだ。
*
[樹海]
「ねぇ、兄ちゃん。今僕の目がおかしくないんだったらさ、僕たちがいるのって木の根っこしか無いような場所になるよね」
「ああ、カラフルな木の根っこがそこかしこに生えてるよな、我が弟真央よ。
で、だ。一つもの申したい事があるんだが言っても良いと思うか?」
「うん、良いと思う。僕も一言言いたいし」
「「ここどこぉ!?」」
ーーーーーー俺達兄弟がいるのは、木の根っこばかりの場所だった。
・・・・・・いやマジで何なんだよ。何処だよここ。俺達を転生させたカミサマの言ってる事が正しかったとすれば、そして俺達兄弟の聞き間違いでもないとするなら、日本の何処かに転生させられた、筈だ。
だが、弟、真央と転生した先は何処か知らない木の根っこばかりの場所。カラフルな木の根っこの内の一つの上に立って、この木の根っこ以外何も無いような空間を真央と二人で俯瞰している。
・・・・・・いや、マジでここ何処だよ。
「お空真っ暗で真夜中みたいだ。なのになんでこんなに明るいんだろう」
「だなぁ。マジでそれ摩訶不思議だよなぁ」
二人で現実逃避しながら、死んだ目で虚空を見る。
フッ、流石は俺の弟。
アニメを散々見せてオタクにしたかいがあったぜ(意味不明)。まだ純粋だが、確実に染まっているな。
・・・・・・あ、ヤバい。自分でも何言ってんのかよくわかんなくなってくるぐらい脳死し始めた。あーもう俺ボケ始めたか?
「ねぇ兄ちゃん」
俺が実数の世界から逃避して虚数の間に逝きかけた(誤字にあらず)時。
真央が、真剣な様子である方向を指差しながら言った。
「あそこに化け物がいるんだけどさ・・・・・・その近くにいるの、僕と同じくらいの女の子じゃない?」
「ハァ!?マジで!?」
見ると・・・・・・うん、『普通の人間』じゃあ見えないところに、確かに化け物が三匹と、女の子が一人。
「・・・・・・ねぇ、兄ちゃん」
「ああ、助けてこい。お前の素早さならあそこまで秒で着くだろ。俺も後ろから追いかける」
流石に、目の前で女の子が死んだなんて事が起こったら目覚めが悪い。
雷速で駆ける弟の後ろを、俺は追いかけるのだった。
*
まあ、何とも不幸な事に、僕と、兄ちゃんは長生き出来なかった。
僕は十歳で、兄ちゃんは十四歳で死んでしまったのだ。
それで、気がついたら、神様に僕と兄ちゃんは生きている時に一緒にプレーしていたゲームのポケットモンスターの力を貰って、生まれ変わりをさせて貰った。
平和な世界ではないらしい。化け物達が人間を襲って、食べるんだそうだ。
そんな世界の、君のように長生き出来ない子をそれで救ってくれ、そう言われた。
・・・・・・兄ちゃんはなんか胡散臭げに神様を見てたけど。
僕は、ポケモンの電気タイプの体と、電気タイプの全ての技、あと、僕が一番好きなポケモンのぜクロムの特性の、“テラボルテージ“を神様から貰った。
そして今、全力疾走をしている。
僕と、そして、兄ちゃんが体験した状況と同じような状況の、化け物に囲まれている女の子を助けるために。
恐怖?まあ、それはある。なにせ今から、化け物に立ち向かうんだから。だけど、悪い大人に囲まれて、鉄砲で撃たれる寸前の、あの恐怖に比べれば・・・・・・!
僕と兄ちゃんが悪い大人に囲まれた時は、ヒーローなんて来なかった。
まあ、当たり前だ。そんなものに期待する方が間違っていると兄ちゃんなら言うだろう。
都合の良いヒーローなんてこの世にはいない。
というか、誰もなれないだろう。
強大な力を持った僕でも、ましてや今の兄ちゃんでも無理だ。
でも、都合の良いヒーローにはなれなくても、一人の女の子を助けるくらいはできるだろう。
多分、あの女の子は、僕が転生したこの“平和じゃない世界“で、化け物から人間を守る勇者なんだろう。ボロボロになりながらも、砕けてもう半分も残っていない斧で化け物と戦っているのがその証拠だ。
だけど、勇者だからと言っても、僕と同じくらいの女の子が、目の前で死ぬのは、我慢出来なくて。生きていて欲しくて。だから。
「『クロスサンダー』!」
女の子に襲い掛かっていた三匹の内、蟹みたいなのと蠍みたいなのをぶっ飛ばし、飛んで来る刺のようなものを『でんげきは』で粉々にする。
「大丈夫?」
ヒーローとまではいかなくても、この女の子を助ける助っ人くらいにはなろうと、そう思った。
*
さて、やっと追いついた。
真央は真央で頑張ってるし、俺は俺でこっちで見つけた女の子達をどうにかしますかね。
俺の目の前には、二人の傷だらけの女の子が二人、丁寧に寝かされていた。
「あっちは多分真央だけで十分だろ。色で見たところ水と毒と炎っぽいし。さて、俺はどうしようか」
取り合えず、戦闘の余波からこの二人を守るくらいはしようかな。
・・・・・・多分、俺の攻撃力だとあの化け物の防御抜けねぇし。
俺が生き返り&転移する時に神様(笑)から貰った力は、鋼タイプの体と技全て、特性『メタルプロテクト』と、PP無限の能力、そして耐久性能特化のステータス。
・・・・・・つまり、攻撃とくこう素早さ全然ありまっしぇん。どうもありがとうございます。
俺があの化け物を倒すには、『てっぺき』なんかで耐久性能上げて敵の技堪えてからの『メタルバースト』でワンチャンいくかどうかだろう。
・・・・・・あとは『きんぞくおん』とかの妨害技で敵をお邪魔するくらい?うわぁ使えねぇ。
でもまあ、上手く使えば盾にでもなるには十分過ぎるだろう。
攻撃の真央、防御の兄貴。あれ、なんかカッコイイ。
下らない事を考えていたら、急に俺の眼前の空が淡く光る刺で埋め尽くされた。
・・・・・・なんかあれ、俺と女の子のいるここに飛んできてませんかね?
「バレパンで落とすのも面倒だ・・・・・・んじゃ、『キングシールド』!」
俺と、側にいる女の子の眼前に灰色の大防壁が展開される。
その防壁は、刺を全て、貫通させることなく受け止めた。
「流石。王の盾とか言うくらいはある」
俺が刺を防御しきった時、化け物がいた向こうの方で雷鳴が鳴り響き、一瞬ものすごい光に包まれたかと思えば、次の瞬間、化け物全部が灰になって崩れ落ちていた。
「うわぁ、真央何やったんだ。えっぐいなぁ」
弟に対してそんなコメントをしていると、女の子二人のうちの一人が身じろぎして目を覚ました。
黒い髪の可愛い、めっちゃ可愛い女の子だ。
「よお、おはよう」
「・・・・・・!貴方は?」
「さあ?不審者?」
「何故疑問系なんですか・・・・・・・・・・・・!それよりも、銀が!」
何か急に声を荒げたかと思えば、女の子はさっきまで化け物がいたところを睨むようにして見た。
「大丈夫だろ、あの一人で化け物三匹相手に大立回りしてた女の子なら多分俺の弟が助けてる。ああ、あと化け物はさっき弟が灰に帰した。
心配なら見にいくか?今の俺なら女の子二人を担ぐくらい訳ねぇが」
「私は歩けます。ですが・・・・・・」
「ああ、んじゃ、まだ寝てるそっちの黄色い髪の女の子なら俺が」
よっこいせ。うわ、軽。
で、俺は黒髪美少女と共に黄色い髪の、これまた美少女を担いで真央が大乱闘していた場所まで行く。
そして、その場所に辿り着いたら、黒髪美少女が真央に支えられている灰色の髪の毛の女の子と抱き合っていた。
で、いつの間に起きていたのか、俺に担がれていた女の子もスルリと俺の腕から抜け出すと、灰色の女の子に向かっていった。
それを尻目に見つつ、俺はこの空間が花びらと共に変わっていくのを感じていた。
・・・・・・なるほど、この木の根っこまみれの場所は結界的なサムシングだった訳ね(完全に察した)。
弟:武田真央、十歳。電気タイプ
兄:武田ーーーーーー(何時も名乗らない)十四歳。鋼タイプ