バーテックスの攻撃を、弾き、受けて、時々まともに食らって吹き飛ばされる。
が、直ぐに立ち上がって鷲尾の前に立つ。
「兄貴さん、大丈夫ですか!?」
「問題ねぇ!鷲尾は攻撃に集中しろ!次ぃ来るぞ!」
目の前の太陽のような見た目のバーテックスから飛んで来る炎の塊を見やる。
受けたら死にそうになるぞ、と、本能が訴える。
「『キングシールド』!!」
灰色の障壁が目の前に現れ、炎の塊を全て受ける。
「数が・・・・・・減らない・・・・・・!」
「頑張れ!攻撃の要はお前だ!折れるなよ!」
絶望の淵に立っているような顔をしている鷲尾を励ましつつ、敵の攻撃を捌き続ける。
・・・・・・内臓が幾つかやられたか。血を吐いた。
鷲尾に見られてなかったのが良かった。こんな可愛い娘さんに見苦しい姿は見られたくない。
「・・・・・・ゴホッゴホッ、おい鷲尾!お前ちょっと下がれ!少し技使う!」
このままじゃらちがあかない。飛んで来る攻撃も多くなってきた。
というわけで、ちょっとした反撃だ。
俺が今まで『わざと』受けてきた攻撃を返してやるよ。
「『メタルバースト』!」
白銀の衝撃波が、俺と鷲尾を中心に広がっていく。
いくつもの小さな爆発を起こしながら広がるその衝撃波は、バーテックスをぶっ飛ばし、粉々にしていった。
「っしゃぁあ!見たか見た目が無機物な化け物野郎共!」
「やりましたね」
吹き飛び、バラバラになって虹色の光のようなものと共に砂となって消えていくバーテックスを見ながら、俺はゲラゲラ笑いながらこう言ってやった。
いやぁ、こう、逆転的な勝ち方をするとテンションが上がるね。爽快感もパナい。
終わった・・・・・・けれど、樹海が解けないのはどういう事か。
普通、バーテックスが倒された直後十秒程経って直ぐに樹海が解けると鷲尾から聞いたが、十秒以上経ってもなかなか解けない。
「なんか、変じゃないか?」
「もしかしたら、また敵が来るのかも知れません。注意しておいて下さい、兄貴さん」
俺と鷲尾が気を引き締める。
そして、周囲を注意深く見回し始めた。
ーーー何か、視界の端でキラリと光った!
背筋に何かゾッと来るものがあって・・・・・・気がつけば、俺は鷲尾を守るようにして前に出ていた。
俺と鷲尾に向かって飛んできた『光るナニカ』は、俺の体に突き刺さって、止まった。
反応が遅れ、防御系の技は間に合いそうにないと思い、咄嗟に生身で防御したけれど・・・・・・
かくして、俺達の方に飛んできたのは、煌々と太陽のように光り輝く矢だった。
それが、俺の右腕、左の太股、そして右胸に深々と突き刺さっている。正直叫びたいくらい痛い。
「あ、兄貴さん!?」
「うろたえんな!!射手の居場所をサッサと見つけやがれ!」
鷲尾が悲鳴のような声を上げる。
俺は叫び声を上げた鷲尾に活を入れ、俺自身もこの光る矢の射手を見つけだそうと辺りを見回す。
・・・・・・が、射手は見つからず、それどころか俺達の方に向かって更に光る矢が、空を埋め尽くす程大量に降り注いだ。
駄目だ。これは避けられない。
俺は全力で『キングシールド』を使い、俺と鷲尾の身を守る。
結構素早く『キングシールド』を展開したつもりだが、間に合わなかったのか、矢が二、三本俺に更に突き刺さっていく。
「ッガァ・・・・・・オイオイ、本当に何処にいやがるんだこの矢の射手は!マジで見当たらねーぞ!」
ジュゥゥウウウウウ、という音と共に、体の肉が焼ける臭いがする。
チッ、クソッタレ。炎タイプでも持ってるのかこの矢は。チクショーこのままだと鷲尾と世界と心中だぜオイ。
流石に、二回目の人生を一日足らずで終わらせるのも嫌だ。
それに、今側で俺の事を呼びながらボロボロ泣いている鷲尾を、ここで死なせるわけにはいかない。
彼女には『守り抜いてやる』と言ってしまっている。言ったことくらいは通しておきたい。
「鷲尾!お前にゃ怪我ねぇか!」
「ありません!ありませんが、兄貴さんが「うるせぇ!!」!?」
「良いか、俺は、お前を守ると言ったからには、
俺はそう言い放ってから、辺りを見回す。
鷲尾も、俺の言葉に、もう何も返さず、ただ涙を堪えて矢の飛んで来る遥か上空を睨み続けていた。
絶対に、この見える範囲にいるはずだ。
飛んできたのは空の上。となれば、上に敵はいる!
「見つけました!」
「さすが射手!目が良い!そしてよくやった鷲尾!」
ふと見れば、上空には確かにヒトガタの、弓のようなものを持ったナニカがいた。
また矢を飛ばそうと、煌々と輝く弓を引き絞っている。
弓には、極大の光の矢がセットされていた。
「やらせるかよ!」
先ほど倒したバーテックスと同じ倒しかたで、上空のアイツも倒す!
『メタルバースト』を発動させる。
それは、先ほどとは違い、威力も射程もケタ違い。
なぜなら、受けたダメージが違う。
明らかに、今まで相手したバーテックスより、上空の弓兵紛いの化け物の攻撃の方が痛かった。
「くらえやぁああああああああああああ!」
俺が『メタルバースト』をぶっ放すのと、弓兵紛いが光る矢を放つのはほぼ同時で。
「兄貴さんっ・・・・・・!」
そして、弓兵紛いに俺の技が突き刺さり、爆発四散するのと、俺の左胸に光る矢が深々とぶっ刺さるのはほぼ同時だった。
「あーあ、これで生きてたら格好もつかねぇや」
女の子を守るために命を散らすってのはなかなかカッコイイだろう。俺のような性格破綻者の死に様がこれとはなかなかイカしている・・・・・・ったく、畜生。
・・・・・・はぁ・・・・・・鷲尾の事を守るって言ったのに、これだよ。この様だよ。
弟、後は頼んだ・・・・・・。
次回、兄貴、死す(別の意味で)。