彼等は総じて化け物(モンスター)である   作:千点数

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幕間:真央君の生活

 昨日、目覚めたという兄ちゃんのお見舞いに行くと鷲尾須美ちゃんに全部お世話されて苦笑いしている大怪我をした兄ちゃんがいた。

 それで僕は兄ちゃんと鷲尾ちゃん(銀ちゃんに自分以外の女を名前で呼ぶな、と言われた)の間に何があったのかを察して、とりあえず「ドンマイ。自由は消えた。そして人生の墓場にゴールインおめー」とだけ言っておいた。

 

 まあ、兄ちゃんは体がボロボロになってしまったが、兄ちゃんは大丈夫だろう。

 鷲尾ちゃん家に行くらしいし。鷲尾ちゃんがお世話するらしいし。

 

 そして何より、僕の兄ちゃんがこの程度で弱るほど軟弱じゃないって知ってるし。

 

 *

 

 さて、ある日。

 

 「・・・・・・ーい、起き・・・・・・央。起き・・・・・・と・・・・・・」

 「ん、んみゅ・・・・・・」

 

 誰だ僕の惰眠を邪魔するのは。今すぐに名乗り上げやがれ。

 良いか僕は例え平日で学校に遅刻しそうになっても七時五十分までは惰眠を貪るとそう決めて・・・・・・

 

 「起きないと喰うぞ・・・・・・♪」

 「目が覚めました!」

 

 目の前には、舌なめずりをして、僕の事をギラギラした目でネットリと見ている銀ちゃんがいた。

 ガッチリと頬を押さえられ、目が離せなくなってしまう。

 現在時刻は午前七時ジャスト。この強烈な目覚ましによって、僕の生活は規則正しいものになっている。

 

 「おはよ。目が覚めたか?」

 「あ、はは。う、うん。覚めた。覚めたからちょっと僕の上から退けろ下さいじゃないと起きれない」

 

 銀ちゃんは、僕の腰の上に跨がっているため、どいてくれないと僕は起きれないのだ。

 

 「朝メシはもう出来てる。だからサッサと顔洗ってこい」

 「うん、わかった」

 

 (良く見れば銀ちゃんはエプロン姿だ。うーん、様になっていて似合ってるなぁ。まるで新妻さんみたいだ」

 

 「にゃっ!?」

 

 ぼふん!と、銀ちゃんが急に顔を真っ赤にしてしおらしくなった。なんだろう?

 

 「い、今なんて言った?」

 「え?なんにも言ってないよ?言ってたとしても恐らく漏れ出た独り言」

 「そ、そうなのか?」

 「え、うん」

 

 変な銀ちゃんだなぁ。

 

 朝ご飯を食べ終わるまで、銀ちゃんはブツブツ何かを呟いては顔を赤く染めていた。何なんだろう?

 

 「ねーちゃん顔真っかっかだ!」

 「おい!言うな弟!自覚して恥ずかしくなる!」

 

 *

 

 今日は休み。

 学校は何もない。完全なる休みの日だ。

 

 だから、家の縁側でゴロゴロしている。

 季節的には涼しい頃だ。風が気持ちいい。

 

 「あ、猫」

 

 にゃぁ、と鳴き声を上げて僕に擦り寄って来る三毛猫。

 この猫は、気がつけば僕に懐いていて、僕が休日に縁側でゴロゴロしていたら決まって僕のお腹の上に乗っかってそのまま丸まって寝るのである。

 

 ・・・・・・そして、決まってこういう事も起こる。

 

 「真央、気持ちいいか?」

 「最高」

 

 銀ちゃんに今、膝枕をされている。

 こうして、僕を骨抜きにするんだとか・・・・・・胃をギュッと捕まれてるし、風呂に一緒に入った(突撃された)し、一緒に抱き合って寝たし、膝枕が良い具合の柔らかさで最高だし、もう一緒に居ることが当たり前みたいになっているし・・・・・・あ、もうこれダメだ。

 僕もう骨抜きにされかかってる。陥落まであと五秒前だ。

 ・・・・・・き、危険だ。このままだと銀ちゃんのヒモになりかねない。

 兄ちゃんから、ヒモにだけは絶対になるなと言われている。

 

 「このまま寝ちまって良いぞ。夕飯の時間になったら起こすから」

 

 そう言って僕の頭を優しく撫でて来る銀ちゃん。

 

 あ、なんか銀ちゃんのヒモだったらいい気がしてきた・・・・・・。

 

 *

 

 「そのままダメになってもアタシが死ぬまで首輪付けて飼って面倒見てやるからな・・・・・・」

 

 やっぱりだめだ。僕が人間として終わってしまう!!




 次は何を書こうかなぁ・・・・・・

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