や、やっと終わった・・・・・・
俺は、目の前のバーテックスを見て、不敵に笑って見せた。
別に、この絶望的な状況に頭が可笑しくなった訳ではない。
ただ、負ける気がしなかっただけだ。
「行くぞ、真央。幾つボコボコにしたか勝負だぜ?」
「望むところ・・・・・・!!」
俺達は、バーテックスに向かっていった。
*
彼女達は一度戦った相手。
俺も、須美といっぺんに相手したから攻撃パターンは解る。
雷速で動ける真央にとっては、最早ただの的だろう。
五人で樹海の中を駆け回り、確実に一匹ずつぶっ飛ばした。
俺達は兄弟のコンビネーションでぶっ飛ばし、勇者三人娘もアップデートで格段にパワーアップしている為に、バーテックスを余裕でボコボコにしていた。
須美が撃ったライフルの弾が、乃木の槍が、三ノ輪の巨大斧が、俺達の鋼と雷と共に宙を駆ける。
だから、俺を大怪我させた弓兵野郎とその弓兵野郎を守るようにして前にいる盾みたいな奴を残し、他の十二体のバーテックスをぶちのめすのに、そこまで時間は必要なかった。
「あいつら・・・・・・終始動かなかったな・・・・・・」
「余裕の表れでしょうか・・・・・・」
「兄ちゃん、ああいうのって絶対に強キャラだよね」
俺、須美、真央の順で、遥か上空に浮かぶ弓兵野郎と盾野郎を見ながら言う。
真央は何時も通りのゲーム脳やめい。
「気味悪い・・・・・・サッサと潰すか」
三ノ輪がそう言い、斧に炎を纏わせて空にジャンプして突撃する。
「あ!ま、待って!!」
真央がそう言って追いかける。
すると、漸く弓兵野郎が反応を示した。
何やら光る弓を出現させ、真っ白い矢を引き絞り・・・・・・!
「『キングシールド』!!!!」
俺は三ノ輪と真央の正面と、俺と須美と乃木を守るようにして二つの『キングシールド』を大きく展開する。
それと同時に、雨のような光り輝く矢の雨が降り注いだ。
「オイオイ・・・・・・前に相手した時より強くなってねぇか・・・・・・!?」
的確に俺達がいるところだけを狙い撃ちしてくる為、冷や汗が背中にダラダラ垂れる。
威力がハンパなく、こっちが盾ごと吹っ飛ばされそうだ。
「須美ぃ!そのライフル銃で狙えるか!?」
「ダメです!射程外です!」
どんだけ高いところで高みの見物をやってるんだよあの弓兵野郎・・・・・・!
と、俺が空を睨みながら苦虫をかみつぶしたような顔をしていると、弓兵野郎の少し手前側の方で、眩しい光が発生した。
そして、それから数拍置いて、耳を引き裂くような鋭い雷鳴が辺り一帯に鳴り響いた。
「うっ!?耳がやられた。チックショー真央の奴・・・・・・帰ったら説教だなこの俺の耳を潰しおってからに」
真央がこの世界に来た時に使った時程の衝撃を感じなかった為、Z技じゃあないみたいだ。
だが、かなりの衝撃を感じた。
通常ならば、倒せている。
だが。
「ま、だろうな」
バーテックスは弓兵野郎も、その前面にいた盾野郎も健在だった。ピンピンしていた。
予想は付いた事だが。
何せ、あの盾野郎からは絶対的な・・・・・・俺の『キングシールド』と同じような『絶対防御』的なものを感じる。
隣に真央が来て、露骨に面倒臭そうな顔をした。
「兄ちゃん、あのバーテックスマジで硬すぎる。『らいげき』撃って全然ダメージが入ってない」
「ああ、真央。アレなんか『まもる』とかそういう感じのモンだわ。だから多分ーーー」
「ーーーZ技じゃないと抜けない、か」
俺が言おうとした言葉を、真央が引き継ぐ。
『まもる』なんかの技回避系の技は、確かに脅威だ。
だけど、Z技を使えば威力は軽減されるものの、かなり通る。
・・・・・・まあ、それで絶対に倒せるかどうかわかんないケド。
勇者三人娘が、必殺技の満開を使おうとしたけれど止めた。
確かにそれでダメージを与えられるかもしれないが、それでもその満開とやらがZ技クラスの攻撃力を持っているのかどうかわからない。
故に、ここでジョーカー(もしくは危険碑)を切るのはいただけない。
「もうちょい待て。その満開ゲージとやらは、バーテックス倒したりしないと溜まらないんだろ?じゃあ、もう少し待てや」
「何か策でもあるんですか?」
「まーな・・・・・・オイ真央。『エレキフィールド』使っとけ」
「わかった。兄ちゃん、ちゃんとあの弓兵野郎倒してよ?」
「俺を誰だと思ってる」
俺はニヤリと笑って見せると、真央はやれやれといったような顔をし、『エレキフィールド』を使った。
その技は、電気タイプの技の威力をあげる技だ。
それで真央の破壊力を上げて、
「じゃ、行くよ」
真央は、電気タイプのZ技、『スパーキングギガボルト』を発動した。
辺りに先程とは比べものにならない程の雷鳴が響き渡り、真央が殴るようにしてぶっ飛ばした雷の矢が盾野郎に向かってすっ飛んでいく。
そして。
ゴガァアアアアアアアアアアアアアアン!!
大地が揺れる程の衝撃波と、耳がおかしくなりそうなくらいの激音を響かせて雷の矢は盾野郎に命中。
盾野郎は、塵芥と化した。
*
僕がZ技を使い、ゼンリョクを使いきってぶっ倒れたところを、すかさず銀ちゃんが受け止めてくれる。
ありがとうと言ってから、僕は兄ちゃんのいる方に目を向ける。
そこには、Z技を発動させた兄ちゃんがいて、僕のZ技の衝撃波で地面に向かって急降下している弓兵バーテックスに向かって駆けている。
弓兵バーテックスは、姿勢を制御しようと空中でワタワタやっていたが、兄ちゃんの鋼タイプのZ技が突き刺さり、ぶっ飛んで、灰になった。
これで終わり。
これで、この壮絶を極めた戦いが終わったんだと思ったら、動かせない身体から力が抜けて、眠くなる。
兄ちゃんは、どうにかこうにかZ技の影響でゼンリョクを使い果たした後も気力で立って、勝利のスタンディングをかましていた。
全く、兄ちゃんは派手で意味のないことが好きだなぁ。
・・・・・・こうして、気を抜いていたからだろうか。
気付けなかった。
宇宙から雨のように降って来る、青いビームのような攻撃と、青い弓のような形をしたバーテックスの大群に。
*
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!
俺達は、急に上から来た攻撃にぶっ飛ばされた。
「まだいやがったのか!」
上空には、黄銅十二宮を模した感じの奴らはおらず、雑魚ばかりだったが、それでも数が多い。
思わず、呆然としてしまう。
「兄貴さん」
そこに、俺の知覚にいた須美が声をかけてきた。
「切り札、使わせてもらいます」
その言葉と同時に、朝顔が俺の目の前で咲いた。
そのほかにも、真央の隣では牡丹が。
少し離れた場所では、蓮の花が満開といった具合に咲いていた。
「・・・・・・俺も、見てるだけじゃダメだよな・・・・・・」
真央をちらりと見てみるが、あの青いビームの雨にやられたのか気絶しているようだった。
切り傷裂傷その他モロモロ。
真央は素早さ特化のステータスの弱点である防御の低さがアダとなったらしい。
何時もなら、雨も避けられる真央の素早さも、ゼンリョクを使い果たした後じゃあ鈍ったようだ。
俺?防御のみで堪えた。
俺は真央を安全な場所にまで運ぶと、未だに少女達が戦う宇宙を睨む。
「・・・・・・さて、やるか」
ゼンリョクは使い果たした。
今にも倒れそうだ。
だが、気力はある。根性も申し分ないくらい。
俺の男気魂ナメんなよ。
*
[三人称]
「あ、解っちゃった。満開の後遺症」
数分後。
辺りは地獄絵と言っても過言ではない程の状態。
そんな中、一人の少女・・・・・・乃木園子は、『脈を打ってない心臓』の位置に手を当てて、不意にそんな事を言った。
そして、それに反応した人間が一人。
「よお、やっぱりあったか後遺症」
「兄貴さん・・・・・・」
ボロボロの状態で、園子の隣へと歩みを進めてきた武田兄貴は、親指を遥か後方に向けて言った。
「向こうに三人は寝かせてきた。あいつらはもう、戦える状態じゃない」
「そっか・・・・・・じゃあ二人っきりの強行軍かな~」
「やめてくれ。思わず勘違いしそうになる」
軽口をたたき合う彼らの目の前、そこには先程倒した筈の、黄銅十二宮をモチーフとしたバーテックスが双子のものを合わせて十三体。
太陽のような形のバーテックス・・・・・・レオ・バーテックスから、炎の弾が向かって来るのを見ながら。
「こりゃぁ、全力で叩き潰しに来てるな」
「だねぇ」
呑気な感想を零しながら、園子は、動かない心臓と、見えない片目、そして動かない右足を引きずりながら、槍を構える。
武田兄貴も同じく、気力と根性、男気魂のみで戦場に臨む。
「死ぬんじゃねぇぞ」
「お互いにね」
蓮の花が咲くと同時に、最終ラウンドの火蓋が切って落とされた。
*
「いくつ潰した・・・・・・いくつ失った・・・・・・?」
「・・・・・・わかんないや~・・・・・・もう、左手と片目、片耳と口以外動かないし~」
「はぁ・・・・・・まあ、アレでラスト。もう少し、頑張るかね。少し休んでろ」
少年が向かう先には、紅く光り輝く太陽を模したバーテックス。
「『メタルバースト』・・・・・・!」
鋼の衝撃が、バーテックスに向かっていく。
・・・・・・が、威力が足りなかったのか、バーテックスの一部のパーツが残り、樹海の外へと逃げていく。
「・・・・・・!待っ・・・・・・」
武田兄貴はそれを追いかける。園子もそれに続いていく。
すると、一瞬何かの抵抗感があったかと思えば、次の瞬間。
・・・・・・そこには、樹海ではなく炎の世界が広がっていた。
遥か水平線の彼方の、遠くには神々しい光が見えるが、それ以外は炎で染まり、雑魚バーテックスがうようよと。
「なんだよこりゃぁ・・・・・・」
「これがこの世界の真実、なのかもね~」
思わず呆然と立ち尽くす。
所々で、バーテックスが集まっている場所があった。
「なんだよアレは・・・・・・!?」
武田兄貴は思わず絶句する。
複数の小さなバーテックスがより集まり、一つの巨大バーテックスと化していた。
そしてそれらは、武田兄貴と園子の二人を目敏く見付けると、二人目掛けて雑魚バーテックスと共に襲い掛かってくる。
「っ!?『キングシールド』!」
咄嗟に武田兄貴が防御を展開し、突進してきたバーテックスから自身と園子の身を守る。
「乃木!サッサと逃げろ!時間は俺が稼ぐ!」
「っ、でも「でもも何でもかんでも言わずに言った通りにしろ!!」
自己犠牲のそれとしか思えない発言に園子は食いかかろうとするが、武田兄貴にそれを阻まれる。
「いいか、今ここで俺達二人が背を向ければ、あっという間にオダブツだ。片やほぼ全身障害者、片や体力残ってない人間だからな。
だから、片方がこうして食い止めて、そのすきにもう片方が樹海に逃げる。
これが最善ルートよ」
武田兄貴はワイルドに、ニィッと笑うと、
「行け。俺も後で結界に入る!現実でまた会おうぜ!」
そう言って、『キングシールド』を維持した状態で、力を振り絞り、園子を神樹の結界の中に投げ入れた。
「だめっ・・・・・・兄貴さん・・・・・・!」
投げられた園子が伸ばしたその手はーーー
ーーー武田兄貴には、届かなかった。
*
[大橋決戦/報告]
戦いに参加した
ええと、ちょっと原作との相違おば。
→遥か水平線の彼方の、遠くには神々しい光が見える
過去にポケモン能力者達がなんやかんやした結果、諏訪とかが残ってるだけです。
尚、他は原作と殆ど変わらない模様。
*バーテックスについて
弓兵野郎(弓兵バーテックス)(オリジナルバーテックス)
古事記読んでたらなんか神様の逸話の中に矢に関するもんが以外とあって、それで作ったオリジナルバーテックス。
盾野郎(盾バーテックス)
ゆゆゆいに出てくる盾みたいな形のバーテックスに『まもる』なんかの効果を追加して超巨大化したもんだと思ってくれれば。
青いビーム放つ弓バーテックス
ゆゆゆいに出てくる青い弓みたいな形のバーテックスと同じ奴。
デザインかっこよくて作者は好きなバーテックス。
その他雑魚
星屑アタッカその他。
安芸せんせー出せなかった・・・・・・。
一つ間話挟んでゆゆゆに入ります。
遂に、超*番外編に登場したノーマルなあの人が出ます。
もう一人、防人とかのコミュに誰か突っ込もうかと思ってますが、まだ考え中です。
・・・・・・くめゆキャラの性格ムズ過ぎて困る・・・・・・もしかしたら出さないかも、です。
・・・・・・終わらせ方忘れたんで西暦の方は思い出すまで待って下さい。