彼等は総じて化け物(モンスター)である   作:千点数

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 メブー達はおりません。キャラが掴めておりません故。
 ・・・・・・申し訳ありません。

 あ、あと、これは遅いバレンタインデーのお話です。はい。


超ッ、番外編ッッ!:気苦労は、絶えない

 「「つーわけでリア充殲滅しようぜ♪」」

 「いやどういう訳だ!?」

 

 兄貴二人に対して突っ込む番長。いやはや、この世界に来てから何気にツッコミがどこぞの部長殿よりも上がっていたりする。素で常識人が少ないこの世界のメンツにとって、番長のような人材は素晴らしい存在だと言えるだろう。

 

 「いやぁ、だってバレンタインデーだろう?」

 「リア充殲滅するだろう?」

 「「なー♪」」

 

 「お、おうそうか、わっしー!

 

 手に負えない。

 番長は、対兄貴専用特攻兵器を召喚した。

 

*1

 

 とは言え、バレンタインデー。

 全国の健全な日本男子諸君が最もソワソワする悪魔の日である。

 実際は、好きな女の子に男の子が真心込めたチョコレートを渡すのがバレンタインデーなのだが・・・・・・女の子から男の子へ、は日本だけなのである。

 

 さて。

 このバレンタインデー。当然、滅びかかったこの神世紀三○○年代でも残っており。

 

 今でも、チョコレートを女の子が男の子に渡すイベントとして、全思春期少年少女の心を大いに狂わせるものであった。

 

 「ァは、これで、真央の心はアタシだけのーーーー」

 「わっしー! 捕獲!」

 「そのっち有り難う。ぎーんー? 怪しいピンク色の液体を贈り物に混ぜるのは流石に無視出来ないわ。せめて、チョコレート製の手錠にしなさい」

 「お、おおう・・・・・・リトルわっしーも過激なんよ~・・・・・・

 ・・・・・・    (メモメモ)

 

 「ちっさいアタシ、あんなんだったのか・・・・・・」

 「そう? 変わらないと思うけれど。はい、その怪しい液体没収ね? 変わりにこれにしなさい?」

 「・・・・・・須美助も大概だと思うけどな・・・・・・無味無臭のマムシとか何処で手に入れたんだ・・・・・・?」

 

 「頑張って落とそうね!」

 「そうだね! 今回は赤嶺ちゃんもいるし!」

 「男の子を落とす為の協力は惜しまないよ。今回は敵味方関係無し、って事で」

 「私も・・・・・・いるよ? 頑張る。ペロペロ」

 「忘れてないよ。弥勒ちゃん。そして、つまみ食いは止めようね~?」

 

 「例えどんな手を使っても鬼十郎君を・・・・・・!」

 「夏凜、風、手を貸してくれ・・・・・・! 雪花が荒ぶった!」

 「うぎぎ・・・・・・二人掛かりで取り押さえてこれって、どんだけ執念深いのよ!?」

 「ちょ、ちょーっと樹! これ混ぜてて!

 良い!? 混ぜるだけだからね!? 私ちょっとあの危険人物を止めてくる!」

 「お、おねぇちゃんいきなりヘラ渡されても・・・・・・ええと、混ぜるだけ、だよね。ええい!」

 ボン♪

 

 「以外だわ。貴方もチョコレートを作るなんて。正直こんなイベントには興味が無いと思ってた」

 「それは私もだ、千景。・・・・・・ああ、そこ焦げてるぞ」

 「お菓子作りも得意だということが一番以外だったけれど」

 「私が修業を付けましたから♪」E.カメラ

 

 「抹茶を栽培した甲斐があったわ」

 「喜んでくれると良いね、うたのん」

 「ええ、そして、チョコレートを食べた後に・・・・・・」

 「私達も・・・・・・!!」

 ぽわぽわ

 

 「たまっち先輩、何作ってるんですか・・・・・・?」

 「人肌に当てても溶けないチョコレートだぞ? これで、アイツに・・・・・・」

 「(ちょっと過激な恋愛小説を貸したことを後悔している図)」

 

 「おねーちゃんたちがチョコだから、わたしたちは、クッキー!」

 「・・・・・・喜ぶ、かな」

 「おいしそう・・・・・・」

 

 ・・・・・・少々、おかしいメンバーもいるが。健全なチョコレート作りの風景である。

 例え、貰った男の子がどうなろうと、健全、なのである。

 

*2

 

 た、助けてくれぇ!

 そう声が響いてきた、何時もの空き教室。

 

 この世界に来て随分立つ男の子達にとっては何時もの叫び声だが、今日・・・・・・バレンタインデーでは、少々、いや、かなり特殊であった。

 

 どたどたどた、ばたんッ!

 「た、助けてくれッ!」

 「「リア充発見、殲滅開始ィ!」」

 「やめんか気狂い共が」

 

 たま~に、ほんっとうにたま~にしか来ないレアキャラ、幽君が駆け込んで来たのである。

 番長が両腕で兄貴二人をむんずと引っつかみ、窓の空いている部室の方へと放り投げると、幽を暖かく出迎え、扉を閉め、窓を閉め、鍵をかけた。

 無論、盗聴盗撮その他諸々確認済み。我等が番長はぬかり無いのである。

 

 「で、何があった幽。少なくとも尋常じゃない事が起こったように見受けるが」

 「匿ってくれ何処でも良い。僕が喰われる。物理的に!」

 「・・・・・・一応解った」

 

 幽の首根っこを掴み、ロッカーへと突っ込んで鍵を閉めた番長。

 そして、それと同時に。

 

 ドバァンッ!

 「幽君いるー?」

 「・・・・・・幽、いる?」

 

 鍵をかけていたドアが文字通り消し飛んだ(・・・・・)

 犯人は、赤嶺と弥勒。

 二人とも、青筋を浮かべてそれぞれの武具を持ち出している。

 

 「おう、お二人さん。そんなにお冠でどうした?」

 「いや、ね。幽君がね?」

 「チョコ、受け取ってくれないから・・・・・・」

 

 いや、そりゃあそーだ、と思う番長。

 全身にチョコ塗りたくったエセ全身タイツの少女に迫られたら逃げるだろ、と。

 

 「わりぃ、ほか当たってくれ。少なくとも俺は知らん」

 「本当? 嘘じゃないよね?」

 「見つけたら首根っこ捕まえてお前らの前に投げてやるよ」

 「・・・・・・あり、がと。じゃあね?」

 

 どうにか、あしらう番長。

 流石、ヤンデレ被害者その一は伊達じゃあ無い。

 

 「有り難う。番長君」

 「良い。俺が勝手にやっただけだ」

 「じゃあ、僕は移動するよ。何時までもここにいればいずれ見つかってしまうからね」

 「おう、頑張れよ」

 

 窓から飛び出る幽を見送り、番長はほう、と一息つく。

 番長は、ここでは比較的常識人だ。

 だからこそ、心の苦労が多い。

 

 「お疲れ様、鬼十郎君」

 「おお」

 「はいこれ、チョコレートとココア」

 「有り難う雪花・・・・・・・・・!?」

 

 「何時からそこに!?」

 「何時も、きみの後ろにいるよ?」

 

 気苦労は、絶えないのだ。




 開幕怪文書。

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