深夜テンションと悪魔が文字通り悪魔合体した結果の産物を素面に戻った時に仕上げたもの。実際動かしてみたかったんだ。仕方ないね。
「さて、もうすぐ指定されたポイントか……」
「ボス、ほんとに行くんですかい?」
「やっこさん、最近噂のマスダイバー狩りですぜ?」
「馬鹿野郎! 喧嘩を売られてすごすご引き下がれるか!! それに、それなりのランカーで一匹狼のフォースなんだろ? 俺らに箔がついて一石二鳥じゃねぇか」
荒野の上を3機のザクが飛行していた。
そのうちの1機は
「まあ、それもそうっすけどねー」
「そういう異名があるってことは、それだけ俺らの御同輩を狩ってるって訳ですぜ?」
「おいおい、怖気づいたのか? そもそも相手は1機で、こっちは3機だ。戦いは数だぞお前ら?」
「隊長それフラグ」
「一分足らずで殲滅されそう」
「……踏み台なんかにされやしねぇよ」
指定されたポイントを彼らのカメラが捉えられる距離になり、夕暮れを背にした黒い影がモニターに出力される。
「あいつか」
「そういえば、異名ばかり目立っててどういう機体だったかって話を聞きませんなー」
「……思い出したくないとかならともかく、記録ぐらいは残っててもよかろうに」
「……今更ここまで来て退くのか? 別に俺ァ一人でもいいんだが」
「いやいや、ボス一人を行かせる訳にはいかんでしょ」
「ただ、妙な手を使ってくるだろうから警戒しようぜって話ですぜ」
「妙な手……ねぇ?」
先客から少し距離を置いて着地する3機。
カメラアイが、影を鮮明に写し取る。
「なんだありゃ」
「厨二病って奴か?」
「最近のガキンチョの考えることは分からんですぜ……」
黒を基調としたカラーリング。
背には悪魔を思わせる翼。
手には刺々しい巨大な剣。
そして、足の間から尻尾のようなパーツがついているのが見える。
「……そもそも何のガンプラだ?」
「ガンダム……にしては妙な顔をさせてるっすね」
「悪人面……」
内輪で話し合っている彼らにメールの着信音が響く。
内容は当然、眼前のガンダムもどきからのデュエル申請。
「――よし、準備はいいか?」
「まあ、行けますね」
「行けるぜ」
「よし」
リーダーの男が表示された受託ボタンを押す。
――押した。
「――は?」
その瞬間黒い影が走った。
影は隊長機の腕を引きちぎり、その勢いでザクを倒しながら彼らの背後に抜けていく。
カメラに映る敵は得物を持っておらず、それの意味するところとは――
「アイツ武器を投げ捨てやがった!」
「馬鹿だぜ! 色んな意味で馬鹿げてるぜ!!」
見るからに切れ味よりも重さで斬る事を重視してる外見の剣を投げるに留まらず、正確に相手に当てるという精度とパワーを両立した初撃。
部下の二人は隊長機の損傷に知らず知らずのうちに浮足立つ。
「おい、お前ら前だ、前ッ!!」
「速い!?」
一拍の間。
赤い粒子を背中から爆発するかのような勢いでまき散らしながら、ガンダムが迫る。
「散開ッ!」
リーダーの怒号が響くと同時に、ガンダムは飛び上がり――その背に取り付けられた
それはちょうど某携帯獣が翼で風の弾丸を撃ち出すかの様に。後ろに引き絞られた翼が勢いよく前に押し出される。
「なッ!?」
叩きつけられる真紅の粒子。視覚的にも、聴覚的にも砂嵐に包まれ狼狽する3機。
「奴はどこ――」
当然止まった隙は見逃される事なく、背後から振るわれた拳がザクの頭部を損壊させる。
「クソッ! やられたま――」
攻撃されたことで、接近に気づき向きなおろうとするも――既に遅い。
ガンダムの爪先から伸びる真紅の光に貫かれ、消滅する。
「――ッ! よくもー!!」
黒紫色のオーラを纏った万全のザクが背後から斬りかかる。
振るわれる白熱した斧。だが、背中に目でもついているかのような挙動で躱される。
地面に突き刺さる斧、同時に開いた距離。仕切り直しだ――そう思ったダイバーは唐突な衝撃に襲われる。
モニターに映るガンダムはこちらに向けて腕を突き出しており――それを引く動作をすると同時に強引に引き寄せられる浮遊感に襲われる。
「な、な、な!?」
突き出される拳との正面衝突。モノアイは砕け散り、謎の引力の正体であったアンカーが口元のパイプを傷つける。
追い討ちの蹴りと連動して繰り出されるビームサーベルが、死に体となってくずおれるザクの胴を切断し、二つ目の花が咲く。
「ば、馬鹿な……30秒足らずで」
転倒したままのザクの中でリーダーが呆然と呟く。
出し抜けに響く硬質な音。視線を向けるとモニターにうっすらと剣を握るガンダムの姿が映る。
赤い視界の中で、一際輝くカメラアイ。
「やっ、やらせはせん。我らがフォースの栄光を――」
隊長機のザクが黒紫のオーラを帯びる。
初撃で負担の掛かっていた足がひび割れるものの、構わずに銃撃を浴びせかける。
「お前などに――」
当たらない。
威力。速度。連射性。ブレイ
不意に放たれたアンカーが残ったマシンガンを捉え、内側から破裂するように四散させる。
「――あ、あっ?」
まともに身動きも取れず、メインウェポンのマシンガンもたった今失った。武装は背中のヒートホークがあるものの、のこぎりを思わせる巨大な剣で断ち切られる方が早いだろう。
「く、来るなァ!」
苦し紛れにヒートホークを投げつけるも、大剣との重量差に軽々と弾かれる。
頭のバルカンを撃ち込むも、マシンガンの時の様にアンカーを打ち込まれ爆発を起こす。
「クソッ……クソォッ!」
今度こそ武器もなく、機体もまともに動かない。
禍々しい意匠の大剣、その切っ先がザクの胴体に向けられる。
赤い粒子は火の粉の様に。沈み切る寸前の今際の残光は燃え盛る炎の様に。そこに立つガンダムを飾り立てる。
禍々しいフォルム。黒をベースとした機体色。悪人面。
リーダーは一つの感情を想起した。
――まるで、悪魔の様だと。
大剣の切っ先がザクの胴体に沈み込む。
沈み込むにつれて刀身から突き出た刃がその傷口を圧し壊し、引き潰し、それを広げていく。
――群青に染まった空の下で3つ目の花が咲いた。
あれれー、深夜テンションが残っているうちに書いていたプロット通りに書いてたはずが戦闘の展開が全然違うぞー???
見せ場らしい見せ場もあったはずなのに全然盛り込めてなくて草生える。
まあ、かませ相手だから仕方ないか。