魔法少女リリカルなのは Preparedness of Sword   作:煌翼

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本章を読む前にリリカルなのはReflection、リリカルなのはDetonationの視聴を強くおすすめします。

上記作品の核心に触れる要素が多数出て参ります故に・・・


反鏡終焉のDetonation
岩海のHappiness Summer


 どこかの世界、遺跡のような洞窟の奥で1人の女性が青い板の様な物を手に取っている。

 

「分かってると思うけど、もう時間がないわ」

 

 板には橙色の髪をサイドテールに束ねた少女が映し出されており、何やら言葉を紡いでいるようだ。

 

「全部救うには本当にこれしかないんだよね?」

 

「ええ、私達の星を救うには・・・貴方の家族が幸せになるにはこの方法しかない」

 

「だったら、私はッ!」

 

 癖毛の桃髪を伸ばした女性は決意を固めたかのように顔を上げた。

 

 

 絞り出したかのような言葉。

 

 女性の持っている青い板には黄金の剣十字が描かれた一冊の書物が映し出されていた。

 

 

 

 

 時は流れ・・・

 

 地球で起きた無限円環(ウロボロス)の構成員による襲撃事件から三ヵ月余りが経過していた。

 

 地球在住の魔導師---蒼月烈火は夏服姿で通学路を歩いている。

 

 自らの世界から地球に来て息を吐くように事件に巻き込まれていた彼だがこの三ヵ月はようやく・・・ようやく普通の学生ライフを過ごせていたようだ。

 

 

「あ、そうだ!夏休みはみんなで旅行に行こうって話をしてるんだけど、烈火も一緒に行こうよ」

 

「俺もか?」

 

「ん?他に誰がいるの?」

 

 金色の髪を揺らしながら歩いている少女---フェイト・T・ハラオウンは共に登校している烈火に旅行への誘いをかけていた。

 

 彼女の学生服も冬服から夏服へと変わっており、以前までブレザーに包まれていた健康的な白い腕が姿を覗かせている。

 

「アリサのご両親の仕事の関係で今度、新しくできる〈オールストーン・シー〉っていう海上遊園地のオープン前の視察に私達も特別招待してくれるんだって。せっかくの夏休みだし、烈火も一緒にお出かけ出来たらなって思ったんだけど、その・・・迷惑だったかな?」

 

 フェイトは申し訳なさそうに烈火の顔を覗き込んだ。

 

 烈火は上目遣いでこちらを見つめながら瞳を潤ませるフェイトから目を背け、夏季休業の予定が一つ埋まったことを感じ取っていた。

 

 

 

 

 そして現在・・・

 

 蒼月烈火は高町士郎が運転する乗用車の後部座席に腰かけて窓越しに広がる海沿いの景色を眺めている。

 

 1学期の終業を迎え現在は夏季休業に入ったばかりであり、烈火は結局、押し切られる形でなのはらの旅行に同行することになったようだ。

 

 ブレーキ音と共に静かに車体が揺れ、目的地の〈オールストーン・シー〉へと到着したことが士郎の口から伝えられた。

 

 車両から降りれば、眼前に広がるのは青い海に面した巨大なテーマパーク。

 

 

「あ!来たわねぇ!」

 

 烈火が車両に乗っていた面々と共に歩いていると遊園地の入り口に端正な顔をした金髪の男性と同じく金髪の女性の姿がある。女性の方は一同に向けて笑みを浮かべながら大きく手を振っているようだ。

 

 アリサ・バニングスの両親---デビッド・バニングスとジョディ・バニングスであった。

このオールストーン・シーの建設を手掛けた張本人であり今回のオープン前の事前視察に皆を招いたのも彼らである。

 

 招かれたのは娘のアリサを除けば、高町士郎、桃子、美由希、なのは、リンディ・ハラオウン、フェイト、月村忍、すずか、蒼月烈火という面々であった。

 

 ヴォルケンリッター、アルフは管理局の仕事の都合上来られなかったようであり、八神はやても同様であったが彼女は後々、高町恭也と共になのはらと合流する手はずとなっているようだ。

 

 

「開演前だから動いてないアトラクションが何個かあるけどそれ以外は通常稼働しているよ。今日は君達みたいに特別に招かれた人しかいないからアトラクションは乗り放題!では、楽しんで行こうか!」

 

『おー!』

 

 皆を先導するデビッドに合わせて烈火と士郎以外の面々は楽し気に声を上げた。

 

 

 

 

 遊園地のアトラクションへ向かったのはデビッド、士郎、美由希、そして子供達である。

 

 

「子供達はお父さんズに任せて私達は羽を伸ばしましょうか!」

 

 桃子、リンディ、忍、ジョディの4名は歩いていく子供達を2階のテラスから眺めながら用意されたトロピカルジュースに口を付け、話に花を咲かせているようだ。

 

 

 やはりというか、彼女らの話題は自分の娘や妹の話が中心となっていた。

 

「そういえば、フェイトちゃんを引き取ってもう5年になるんですよね?うちより仲が良さそうで羨ましいわね」

 

「そんなことないですよ。まあ、色々不安でしたけどどうにかやってこれています。でも、時々思うの。母親として私はあの子を幸せにして上げられているのかしらって?」

 

「そんなこと・・・」

 

 ジョディの問いに答えるリンディの瞳には憂いのような感情が見受けられる。

 

 

 リンディ・ハラオウンとフェイト・テスタロッサはロストロギア〈ジュエルシード〉を巡る事件の折に知り合った。その事件でフェイトは自分の親であり創造主ともいえる人物に見限られ、全てを失って天涯孤独の身となる。

 

 その後、フェイトらの裁判期間中にリンディの方からフェイトとアルフを家族として迎え入れるという話を持ち掛け、彼女らはそれを受け入れて闇の書事件が終わった後、正式にハラオウン家の一員となった。

 

 しかし、そこに至るまでには様々な問題があったのだ。

 

 最たる物は養子縁組の話をリンディが先に付けていたにもかかわらず、東堂家がフェイトの親権を主張し、自らが親元となると名乗り出た事であった。

 

 東堂家の子息である煉が当時からフェイトに特別な感情を抱いているのは明白であったが、それだけで東堂派が動くとは考えにくい。何らかの思惑があっての事だと思われるが今とはっては知る術はない。

 

 しかし、フェイトの親権を得る為か、東堂派によるハラオウン排斥が始まったのはこの時からであった。

 

 その時点でも大きな派閥であった東堂派と違い、PT事件解決時点のリンディは今ほど大きな権力を持っていなかった。

 

 若い女性でありながら提督まで上り詰めた手腕は評価されていたし、魔導師としても一流の腕を持っているリンディであったが如何せん相手が悪すぎる。

 

 この養子縁組の問題によって東堂派とリンディやクロノの出世を妬む者達によってハラオウン派の立場は一気に悪化した。

 

 

 

 

 その当時には既にフェイトは地球のハラオウン家を拠点としており、聖祥大付属初等部に通っていた為に実質的に娘同然となっていたが、東堂派の介入で養子縁組の手続きが遅れていた。

 

 そんなある休日、いつも通り朝食の用意をしようとしていたリンディが赴いたリビングにはフェイトが座り込んでおり、肩を揺らして嗚咽を漏らしていた。

 

 リンディは何事かとフェイトに近づいていくが・・・

 

 

「わ、私のせいっ、で!リンディさんやクロノに迷惑が掛かってるって!ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・」

 

 フェイトは大粒の涙を零しながらリンディに向けて謝り続けていた。

 

 恐らくは今のリンディ達が置かれている状況を知ってしまったのだろう。

 

「フェイトさんは何も悪くないわ。私もクロノも大丈夫よ」

 

 リンディは小さな体を震わせて自らが罪人であるかのように懺悔をし続けるフェイトを見ていられなくなり、その華奢な体を抱き締めて大丈夫だと何度も言い聞かせ続けた。

 

 

 

 

 フェイトにとっての世界の全てはかつての母親であった。小さな少女の歪な世界はその母親によって無残にも打ち砕かれたがフェイトの心に寄り添った1人の白い少女がいた。

 

 母親との決着は叶わなかったが白の少女とぶつかり合うことによってフェイトは本当の自分を歩み出すことができた。

 

 小さな少女が背負うには余りに辛く、理不尽な過去。

 

 その過去を背負ってフェイトは自分の道を歩き出したばかり、ようやく友人を作って普通の少女として過ごせるようになったばかり、母親の人形であった少女が笑顔を取り戻した矢先に突き立てられた氷の刃はフェイトの心に暗い影を残すこととなった。

 

 

 それから数日、東堂派は突然鳴りを潜め、フェイトの親権関係に口を出してこなくなっていた。

 

 リンディの同僚であるレティ・ロウラン曰く、どこからか圧力がかかったらしいが、大きな派閥である東堂派を抑え込めるだけの派閥がどこにあるのか2人揃って首を傾げる事となったようだ。

 

 結果として、フェイトはテスタロッサの姓をミドルネームとして残し、ハラオウン家の一員となった。

 

 

 

 

「あの子に言われたことがないんです。何かが欲しいって」

 

 何時しか、フェイトからの呼び方はリンディさんから母さんへと変わった。両者の間には確かな信頼関係が築けている。

 

 だが、フェイトは我儘という物を1度も言ったことがなかったのだ。養子縁組の際の出来事が彼女の心に未だに巣食っているのだろう。

 

 しかし、どこか遠慮しているフェイトに対してリンディからの言葉は逆効果でしかない。どうすることもできず、そのままの関係で今日に至るというわけだ。

 

 

 

 

「難しいわよね。家族って・・・」

 

 桃子が小さく呟いた。高町家はハラオウン家よりも家庭環境に関しては複雑と言える。士郎の前妻の子である恭也と士郎の妹の子供である美由希を育てるにあたって、桃子自身も戸惑うことが多くあったのだろう。

 

 

 忍も静かに瞳を閉じた。夜の一族という特異な事情、すずかへの負い目といった感情と相まって思うところがあるのだろう。

 

 

 4人の周囲が重苦しい空気に包みこまれている。

 

 

「ごめんなさいね。せっかくのお休みだしもっと明るいお話をしましょ!!」

 

 リンディは明るい声音で顔を上げた。どこか無理をしているように見えなくもないが彼女の思いを汲み取ってか指摘する者は誰もいない。

 

「そ、そうですね!ところであの黒髪の彼って誰のボーイフレンドなんですか?」

 

 ジョディは暗くなった雰囲気に戸惑っていたが渡りに船と言わんばかりに会話の内容が明るい方へと向かうべく舵を切った。

 

 

 

 

 アトラクションコーナーへと向かった面々は小休止がてら園内にある水族館を見て回っているようだ。

 

 

(遊園地に水族館。こんな所に来たのはいつ以来だったか)

 

 烈火は円柱状の柱に背中を預けながら水槽を眺めている。その水槽はまだ準備が整っていないのか魚は泳いでおらず、上の照明すら点灯していない為に烈火がいる柱の影も含めて明るい館内とは対照的に周囲は暗闇と静寂に包まれていた。

 

---早く行こうぜ!!

 

---もう!そんなに急がなくても逃げたりしないわよ

 

 

 脳裏に蘇るのはかつて友と過ごした故郷での記憶。烈火は懐かしさと憂いを覚えながらその場に佇んでいた。

 

 

 

 

「こんな所にいたぁ!」

 

「1人でどっか行っちゃダメなんだよ」

 

 そんな烈火に声をかけたのは彼を非難するかのように不満げな表情を浮かべているなのはとフェイトであった。

 

「どうしたんだ?」

 

「どうした?・・・じゃないよ!後で来るはやてちゃんや他の友達に見せる写真をいっぱい撮るって行きの車の中で言ったじゃん!!」

 

「送るのはお前の友達なんだから俺が映ってもしょうがないだろう。終わったらまた呼んでくれ・・・っておい!?」

 

 烈火は膨れっ面で携帯端末を突き付けて来るなのはを軽くあしらったが、その直後に思わず声を漏らしてしまうこととなる。

 

 右腕をなのは、左腕をフェイトにがっちりとホールドされてしまっていたからだ。

 

 

「烈火君見つかっ・・・んなぁ!?」

 

因みにすずかは烈火の腕にしがみつくように身体を密着させているなのはとフェイトを見て、ショックのあまり次の言葉が出なくなっている。

 

 

 

 

「はい。もっと引っ付いて、自然な表情を浮かべてくれ」

 

 5人の子供達は大きな水槽を前に並んでおり、士郎は彼らに向かって携帯端末を構えている。

 

(なのはちゃんとフェイトちゃんがそういう風なら、私だって!)

 

「じゃあ、行くよ!」

 

 士郎の指が撮影ボタンへと向かって行くと同時にすずかは流れるような動作で烈火の胸に背中を預けてカメラへの目線を逸らすことなくこれでもかと体を引っ付けた。

 

 

「へ?、ちょ、ちょっと!?」

 

 両手に華状態の烈火を呆れて見ていたアリサは背後から体を前に押し出されるような衝撃を受けてつんのめる。

 

 いつの間にやら美由希がアリサの背後に回り込んでその背を押しながら士郎にサムズアップしており、指が端末の撮影ボタンに触れる前の一瞬で画面外に退避するという果てしなく無駄な超人技を見せていた。

 

 

 絶妙な力加減で押し出されたアリサは烈火の両肩に手を置いて、覆い被さる様にに密着することとなる。押されるシャッターボタン・・・・・・

 

 

 

 

 時空管理局・無限書庫と言われる全次元世界最大クラスの書庫に務める金髪の美少年---ユーノ・スクライアは通知を知らせる携帯端末を手に取って表情を綻ばせていた。

 

 差出人は高町なのはであり、送られてきた写真を見ながら画面を送っていくが、最後の1枚を見て思い切り頬を引くつかせている。

 

『お魚いっぱい!凄い!』

 

 大型水槽を背に5人の少年少女が映った1枚の写真が表示されていたからだ。

 

 以前のサプライズパーティーの際に見かけた黒髪の少年を中心にしてなのはとフェイトがそれぞれ片腕を抱いており、身体を預けるように密着するすずかと背後から抱き着くようなアリサという両手どころか全身に華と言わんばかりの画像であったからだろう。

 

 ユーノ的になのはの行動はいただけない部分があるようだ。

 

 

 

 

「みんな、ええなぁ。どうして急に仕事が入ってもうたんや」

 

 高町恭也の運転で都内を走行している車両の助手席では八神はやてがすずかから送られて来た同様の画像を見て頭を抱えていた。

 

「もうすぐ着くからそれまでの辛抱だよ。なのはもそうだが夏休みまで仕事とは管理局はそんなに忙しいのか?」

 

 恭也はそんな妹の親友の姿を見ながら苦笑いを浮かべている。

 

「ほどほどにですけど、私はちょっと特殊ですんで急にお呼ばれしちゃうことが時々あるんです」

 

 八神はやては夜天の魔導書の主という究極の一ともいえる存在であり、夜天の書自体の機能や保有する稀少技能(レアスキル)の多さと稀少性が相まって局内でも重宝されている人材と言える。

 

 はやては能力が戦闘に向いていないというだけで魔法の才能という意味合いにおいては高町なのはらすら軽々と超えるだけの物を有しているということだ。

 

 

「おっと、危ないな」

 

 恭也が運転する車両が大きく揺れた。大型トレーラーが強引な追い越しをかけて来たからだ。

 

 道を譲った恭也であったがそのトレーラーが道路内で車体を横に傾けて進行方向を塞ぐように急停止をかけてきた。

 

 それを見るや、恭也は急ハンドルとアクセル動作でドリフトをかける事によって衝突を回避するが車体が大きく傾く。

 

 迫る大型車両に対して恭也ははやてを横薙ぎに抱え、走行している車両のドアを中から蹴破って脱出し、道路に着地するというスタントマンも真っ青な超人技により危機を脱していた。

 

「あ、ありがとうございます。えっと、足に治癒魔法を!」

 

「大丈夫だ。これでも鍛えているからな」

 

「そういう問題じゃないと思うんですけど」

 

 助けられたはやてであったが、常人では不可能な行動を取った直後であるにもかかわらず平然と歩きだした恭也に思わず乾いた笑いを零している。

 

 

「なんかおかしい。ここは私に任せてください!封絶結界!!」

 

 はやては恭也に礼を言うと明らかに様子がおかしい車両群を目の前に封絶結界を展開し、周囲への被害を食い止めるべく行動に移す。

 

「リインもシグナム達もおらへんけど何とかするしかあらへんなぁ」

 

 都内の道路の中心で変形して襲い掛かって来る車両群と戦闘状態へと突入した。

 

 

 

 

「この地球に違法渡航者?」

 

《はい。先日未明に突如としてこの都内に現れました。渡航者は女性1人だけなのですが、追跡していたアルフとザフィーラはその女性と関連しているであろう未知の戦闘手段を行使する機械兵器によって突破されました》

 

「そんなことが・・・じゃあ休暇はお終いってことね」

 

《ええ。アルフとザフィーラが退けられ、他の守護騎士がいない以上は心苦しいですがなのは達に出てもらう必要がありそうです。できればこちらだけで片付けたかったのですが・・・》

 

「その渡航者に関係があると思われる大型車両の暴走で現地への被害も出てしまっているし、こればっかりはどうしようもないわね」

 

 リンディの下へクロノから通信が入る。地球へ違法な手段で渡航してきた者がいる事とその人物によって引き起こされたであろう大型車両の暴走、追跡していたアルフとザフィーラが退けられたという情報であった。

 

『なのはさん、フェイト。今の通信は聞いていたわね』

 

『うん。違法渡航者追跡の為になのはと一緒に出撃するね。バルディッシュとレイジングハートにデータの送信をお願いします』

 

 フェイトはクロノからの出撃要請を受けてなのはと共に夜の空へと飛び立っていく。

 

 

 

 

「なんだってこんな時に!?無事に帰って来なさいよね」

 

「なのはちゃん、フェイトちゃん・・・」

 

 アリサとすずか、保護者達はなのはとフェイトが飛び立った方向に心配そうな視線を向けている。

 

 魔法という物に関して一通りの説明を受けているが、実際に自分の娘や同性代の少女が不審者に話を聞きに向かって行くという光景を目の当たりにして少なからず不安があるのだろう。

 

 

「そういえば、アンタは一緒に行かなくていいの?」

 

 アリサは魔導師組が皆、事件の対処へと当たっている中で魔法を使える烈火がこの場に残っていることに疑問を呈した。

 

「俺は管理局員じゃない。出撃する理由も権限も持ち合わせていない」

 

 持ち場へ向かおうとしたリンディの耳にアリサと烈火のやり取りが飛びこんでくる。

 

 リンディとて民間人の烈火を現場に出す気など始めからなく、たとえ烈火から出撃を申し出たのだとしても断るつもりであった。

 

(白いバリアジャケットに蒼い翼、黒い炎・・・きっとそういうことだものね)

 

 リンディは烈火の後姿を一瞥してこの場から去って行った。

 

 

 

 

「烈火君・・・なのはちゃん達は大丈夫かな?」

 

 なのは、フェイト、リンディを除く面々はオールストーン・シーに隣接するホテルの大部屋に集まっているようだ。

 

 すずかはこの中で唯一魔法が使える烈火に不安げになのは達について問いかける。

 

 先ほどからホテルに設置されている大きな液晶テレビに都内で大型トレーラーや工事車両が暴走し始めたというニュースが引っ切り無しに流れている為に彼女達の不安を掻き立てているのだろう。

 

「余程のことがなければ大丈夫だ。だが、相手の手口が少々気にかかる」

 

「どういう事?」

 

「無機物の車両を暴走させるという手口が魔導師の物とは思えない。その渡航者は何かしらのロストロギアを所持しているか、魔法ではない力を操るのか・・・」

 

 烈火自身が直接、刃を交わしたわけではないがなのは達の実力が高さは誰もが知るところであり、よほど特殊な事情でもなければ心配する必要などない。

 

 しかし、相手の動きに不可解な点が多すぎる以上、絶対に無事と断定もできないという所であろう。

 

 先日の無限円環(ウロボロス)の一件もあり魔法が絶対的な支配力を持っているという一般常識は徐々に覆されつつある。

 

 そして、なのは達は魔法無効という事象に対しての根本的な対策手段を持ち得ていない。違法渡航者が魔法に対して何らかの対処手段を持っているのだとすれば・・・

 

「何もなければいいんだがな」

 

 烈火の呟きは夜の空に消えて行った。

 

 

 

 

 管理局の魔導師部隊は〈惑星エルトリア〉からやってきた違法渡航者---キリエ・フローリアンと彼女の操る〈機動外殻〉と戦闘状態に陥る。

 

 戦いの最中、守護騎士らも増援として参戦するが魔法を解析・分解する力を有した〈エルトリア式フォーミュラ〉と限界を超えた力〈アクセラレイター〉の前に魔導の力は無効化され、使用武器のスペック差と相まって管理局の魔導師部隊は退けられた。

 

 残された者達に八神はやて、リインフォース・ツヴァイ、シャマル、ザフィーラ、アルフの5名とキリエを止めるべくやって来たもう1人の違法渡航者---アミティエ・フローリアンの撃墜、さらに〈夜天の魔導書〉が強奪されるという事実上の敗北通知が届いたのはそれから程なくしての出来事であった。

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

休み最高!!ということで久々にがっつり執筆できています。

そして!

とうとう始まりましたReflection&Detonation篇。

今作約40話目にしてようやく原作話となりますね。

気になる方がいるかもしれませんので今回は原作との変更点をいくつか述べておきます。

まず大前提としてキャラクターやら舞台の設定はリリカルなのはReflection&Detonationを主としております。
ヴィヴィオやアインハルト、トーマといったゲーム版のお祭り要素要因は一切出てきません。


そして、主要人物たちの年齢が原作より4歳上となっているのが一番の変更点ですね。

またオールストーン・シーに来るメンバーも原作と変わっています。

今作において、月村家はとらハ寄りの設定となっていますので両親は亡くなっており、そこに忍と恭也が収まる形としました。
月村家はとらハと劇場版で両親が別人ですのでRefに出てきた2人は存在していません。
ノエルとファリンは休暇中となっています。

それから負けイベント・・・もといキリエや機動外殻との初戦闘ですが、大きな流れは変わらない為、端折ります。

キリエ戦を掻い摘んで説明すると、前章までの話で魔法が効かない相手が出て来るかもっていう事だったので物理主体でキリエと渡り合うなのフェイ→機動外殻が投入されるも八神家参戦→新型武装の試作機を持っているシグナム、ヴィータが瞬く間に撃破→トゥルケーゼ未満、原作のこのシーンで出て来た機動外殻以上の大型が追加投入、フォーミュラスーツにダメージが通る可能性があるシグナム、ヴィータと邪魔な、なのフェイはそちらの相手をせざるを得ない→アクセラレイター・オルタ起動、シグナム、ヴィータの武装を破壊、なのフェイに手傷を負わせた後にはやてと周囲にいた面々を撃破、夜天の書を奪取して逃走といった流れですね。

アミキリの絡みは原作通りです。

変更点としては原作はキリエ1人に全員やられましたが、主要キャラが魔法が通用しない相手との戦いをある程度想定していた為、幾許か善戦しています。
結果として、武闘派4名は撃墜までされなかったが敗北みたいな感じになっていますね。

後、アルフが参戦しているところが変更点ですね。

ぶっちゃけこの時点じゃフォーミュラ使いにはどうやっても勝てないのでこればっかりは致し方ないです。

因みに東堂煉とフェイトが出会いはPT事件中ですので、リンディの回想の時にはもう知り合っています。
この辺はまた別の機会に本編で語ることになるでしょう。


あの感動の劇場版篇とあってかなり気合が入っています。

皆様の感想などが私の原動力となっていますので頂けましたら嬉しいです。

では次回会いましょう。

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