ポケットでモンスターな世界にて   作:生姜

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1995/秋 VSロケット団①

 

 

「という訳なんで、ナツホ。ノゾミと一緒にマイを連れて自宅待機で宜しく」

 

「……」

 

 

 合流した後、経緯について一通りの説明をしてからの提案である。

 ……ああ。率直に伝える以外に思いつかなかったんだ。時間もないしさ。

 …………で、痛い痛い。ジト眼ジト眼。今はやめてくれませんか、それ! 御褒美だけど!!

 

 

「……ナツホ、ノゾミ。……隠れよ?」

 

「うん。そうだね。ナツホ、ほら」

 

 

 我が幼馴染が防御力低下を試みている間に、ありがたいことに、マイはナツホの袖を引いてくれた。隣のノゾミも、微笑でもってクールに促し。

 当のナツホの反応は……と、オレが戦々恐々の面持ちで伺っていると……大きく息を吸い込んで。

 そしてそのまま、吐き出す。

 

 

「―― っはぁ。仕様がないわね。今回だけはマイに免じて、アンタの無茶も許してあげる。ただし、怪我の1つでもしてみなさいよ? 絶対に許さないから!」

 

「確約は出来ないけど、判った。約束として受け取るよ」

 

 

 オレが真摯に頷くと、ナツホはぶつくさ言いながらもマイに引き連れられて行ってくれた。因みに「絶対に許さない」はオレの脳内で「ぶ、無事に帰ってきてね」くらいに変換されている。おう。ナイスデレ。

 などと、約束も重ねてしまったからには……さてはこれからの5時間、何とかせねばなるまいな。デートをふいにする訳にもいかないしさ。

 そんな風に約束を受諾したオレがデレを噛み締めていると、その横でもだ。

 

 

「ゴウ」

 

「む。ノゾミか」

 

「ゴウも手伝う。……そうでしょ?」

 

「ああ。そうだな」

 

「気をつけて」

 

「しかと肝に命じよう」

 

「じゃあ」

 

「うむ」

 

 

 短いやり取りを交わして、ノゾミもマイ達の後ろを追って行った。どうやらというかやはりというか、心配してくれていたらしい。

 これにて全て、忠告も、見送りも終了だ。

 オレはゴウと顔を見合わせる。

 

 

「それじゃ、行くか!」

 

「ああ。そうだな」

 

 

 

 

ΘΘΘΘΘΘΘΘ

 

 

 

 

 ギーマ会長がジュンサーさんや教員らと相談の上で立案した作戦は、単純明快。

 敷地内に放たれた「首輪つき」のポケモン達を、しらみ潰しに探すというものだ。

 

 ……要するに、人海戦術であると!

 

 そんな内容について電子文面で作戦の概要について説明を受け、各々が持ち場へと移動する最中、ゴウがぽつりと溢す。

 

 

「ジュンサーさんと動ける教員、生徒会、それに僕達でもって全区画を総当りして野生ポケモンを探し出す。……効率的ではないな」

 

 

 効率的……か。言われるとそうかも知れないけどさ。

 

 

「オレとしては、有効な手段だってのは間違いないと思うけど」

 

「いや、すまない。僕とて不満は無い。ただ、ロケット団の言う『ゲーム』とやらが、此方にとってひたすらに理不尽であるというのが気に食わないだけだ」

 

 

 成る程なぁ。

 几帳面なゴウの性格からして、如何に悪の組織が相手であったとしても、不公平さそれ自体が気に食わないものなのだろう。

 でもこれに関して言えばロケット団有利で当然な訳で……やるせない感じをどこへぶつけると良いのやら、と言った所か。

 

 

「それもまぁ、首輪を付けられているらしい野生ポケモンにぶつけるのは可哀想だしなぁ」

 

「論外だな。八つ当たりにも程がある」

 

 

 だよなーと、ゴウの愚痴を適当に受け流しながら、オレらは管理棟の階段を降りて行く。

 階段を降り切ると、今度はすぐさま北側へ。

 オレとゴウ、それに現地にいるジュンサーさんが探索を担当する新A~B棟の辺りを目指し……その途中。

 園芸サークルで買ったと思われるポフィンを放ばるゴーリキーとトレーナーの前を横切り。ヒウンアイスを持った親子の間を抜け、焼きそば屋台の裏を通り。

 

 

「コラッ、ラッ、ラァッタ!!」

 

 

 赤くてR印の着いた首輪を着けた、野良コラッタとすれ違い。

 

 ……。

 

 ……ん?

 

 

「シュン。今のはもしや……」

 

「もしやも何も……って言ってる間も惜しいな。追おう!!」

 

 

 いやさ、あれはどう見ても捕獲対象だしな!!

 言うが早いか、オレとゴウは振り返るとすぐさまダッシュ。すいませんと掌をかざしながら人垣を割り、コラッタの後を追って屋台の裏へと抜けた。

 

 

「コラッタは……!?」

 

「シュン、向こうだ!」

 

 

 ゴウが指差す先へ……草むらへと速度を緩めずに突っ込む。

 石畳の大通りから外れると、流石に人は多少なりとも少なくなった。走るには十分だ。それでも木々が増える分、視界は若干悪くなるけどさ。

 走りながら前方を確認する。当のコラッタはと言うと芝生の上を全力疾走、生垣を潜り、ちょこまかと動き回っては方向を変えて!

 

 

「っく、ただでさえコラッタのが早いって言うのに!」

 

 

 これは当然だが、オレらよりもコラッタのが移動は早い。しかも小回りが利くから質が悪い。逃げる時はジグザグに、というのも案外迷信ではないのだろう。

 そんな、全力で脚を動かしていても射程圏内には近づけず、悪戦苦闘していると。

 

 

「……仕方があるまい。シュン、少しこれを持っていてくれ」

 

 

 見かねたゴウが、今まで背負っていた鞄を差し出した。

 お、本気を出すつもりだな。是非とも見失う前に ――

 

 って。

 

 

「―― と、そうは問屋がおろさない訳よな、ガキども!」

 

「「うおっ!?」」

 

 

 目前に、いきなり、草むらより現れましたる……ただしポケモンじゃなくて、怪しい人物! 

 

 

「へっへ、ここは通行止めさせてもらうぜ? ガキどもよう」

 

 

 男は出るなり、コラッタとの直線状に立ち塞がってみせてだな。

 その態度に、オレと、ダッシュを仕掛けようとしていたゴウの足がピタリと止まる。この間からチンピラ風味のお方には心当たりがありまくりなのである。主にロケット団のお陰でな。

 男とオレ達とで視線が交わり。

 

 

「へっへ。あのコラッタを簡単に捉まえられるとなぁ、オレ達の上役が困るわけよ」

 

 

 止まったオレ達の目の前で、いよいよ怪しい人物(私服)はモンスターボールを突き出している。

 ……やっぱりゲリラバトル研究会でしたー、とかいうオチにはならないよな? いや、期待が薄いのは判っているけれども。

 

 

「でも期待したいと言うか何と言うか」

 

「……シュン。当然というか流石に、この流れはロケット団の人員だろう」

 

「はっはぁ。ご明察ぅ! さて、正解したガキンチョには賞品としてオレとのポケモンバトルをくれてやる。嬉しいだろ!」

 

 

 いいえ。押し付けがましいにも程があるんですが。

 それに今、バトルを挑まれて楽しい状況じゃあないのはそっちだって判ってるくせに!

 とは思いながらも、オレとゴウは腰のモンスターボールに手を伸ばしておく。……男のせいで逃したコラッタはもう見当たらないし、辺りにジュンサーさんも居ない。仕方が無いな。

 

 それは、この私服(青アロハ黒ハンチング)ロケット団を何とかしてからにしよう!

 

 

「行くぜっ……とあっ!!」

「ラァッタ!」

 

「頼んだ ―― ヒトカゲ(ホカゲ)!」

「カァゲーェ!」

 

「任せた、マダツボミ(ミドリ)っ」

「ヘナッ!」

 

 

 願いましてはポケモンバトル、いざいざである!

 同時に放ったボールからは予定の通りにポケモン達が飛び出す。オレは様子見かねてマダツボミのミドリを、ゴウはエースであるヒトカゲのホカゲを繰り出した。

 相手のラッタはやる気満々に跳ね、闘争本能むき出し。前歯を突き出して此方を威嚇している。

 ……うん? と言うか、さ。

 

 

「え、2対1で良いんですか?」

 

 

 尋ねたオレも、何故か思わず敬語である。

 しかし、そう。

 相手はラッタ1匹。トレーナーたるロケット団員も1人。

 相対するは、オレとゴウ。ポケモンは2匹。

 ……いや、これってこっちが有利じゃないか? 勝つ気があるのでしょうかと。

 

 

「へっへ。他の場所の奴らはそうじゃねえみてえだけどな! たかがガキ2人に負けてたまるかってんだよ!!」

「ラァッタ!」

 

 

 この疑問に、指を此方に突きつけながら、ロケット団は大声でそう話すものの。

 ……んー……ま、良いか。状況を前向きに捉えれば、だ。

 

 

「ゴウ。どうやら不満をぶつける相手が、わざわざ出てきてくれたみたいだぞ」

 

「うむ、そうだな。―― ならば、容赦などしてくれると思うなよ、貴様ら」

 

「んん? ……って、ひぇ!?」

「ラァッ……ラァッタ!?」

 

 

 戦闘モードに入って、ゴウの口調は少々(・・)変わっていた。その恫喝まがいの声にロケット団はびびり腰で身を竦め、ノリノリだったラッタは綺麗な2度見をする程の変容ぶりだ。

 ……何と言うか、あれだ。これまでちょいちょい話題にしてきたが、ゴウはチョウジタウンで忍者(っぽい護衛みたいな役職)に就いている人物なのである。

 エリトレ資格もゴウの場合、実は望んで取りに来たと言うよりも護衛対象であるノゾミが来るから来た……といった方が正確だったりする。ま、その辺は実際もうちょっと複雑なんだけどさ。

 それは置いておくにしても。詰まる所、ゴウは戦闘モードに入るとちょっぴり性格が変わるのである。本人曰く「やや強気」なのだそうだ。

 で、その結果がこれであると。ゴウは悪役よろしく拳の骨をポキポキしながら。

 

 

「お前らがでしゃばったお陰で、僕も彼女も被害を被っているのだ。―― この憤り、貴様らにぶつけてくれよう」

「カァーゲーェ♪」

 

「益々怖いぞ、ゴウ。立場とか逆転してるし」

「へナナッ!?」

 

 

 既に慣れている様子のヒトカゲは、ゴウの目の前で同様の「骨ポキポキポーズ」。うん、アカネを出しておかなくて良かったな。オレの前ではミドリですらびっくりしているのだし、アカネだったら完全に隠れてるぞこれ。味方なのにさ。

 ……置いといて。目の前で震えているロケット団員(平)とラッタには悪いのだが。

 

 

「時間もないし、行くぞミドリ! 『つるのムチ』!」

「ヘェッ、ナァァッ!!」

 

「ホカゲ、『ほのおのパンチ』!」

「カァ、ゲーェ!!」

 

「どっひゃああ!?」

「ラァッ!? ラッ、ラッター……ぁ」

 

 ――《《 ビシべゴンッ!! 》》

 

 

 良くあるアニメの悪党宜しく、迅速に星になっていただいた。

 ま、その辺は比喩だけど……って、あ。

 

 

「―― ちっくしょ! 覚えていやがれ!!」

 

「あ、こら待て!!」

 

 

 オレ達が勝利を喜んでいる間に、ロケット団は自らのポケモンを放り出して、何処ぞへと逃げ去ってしまった。その逃げ足たるや凄まじいもの。木の陰に隠れたかと思うと、一瞬の内に姿を消して。ゴウが俊足を発動する間もない早業だ。

 

 

「うーん……何かしらの道具を使ってるっぽいな、これ。『あなぬけのヒモ』とかさ」

 

 

 流石に消えるとかなるとな。あのロケット団員がエスパーだって言う可能性もゼロじゃないけど。

 因みに、解析が終了したトレーナーツールによれば倒れているラッタはレベル10(・・・・・)。成る程な。これは、オレ達のポケモンで十分に倒せるレベルだった訳だ。

 そんなこんなで腰に手を当てつつ、ロケット団員の逃走方法についても頭を割いていると、ゴウが隣に並んでいた。

 

 

「逃したのは惜しいがロケット団は捨て置こう、シュン。……良くやってくれた。戻ってくれ、ホカゲ」

「カーゲッ!」

 

「ゴウ的には良いのか? 悪党、逃がしたんだけど」

 

「……ふむ。相手は男の成人だった。どうせジュンサーさんが居なければ、僕達子供2人では捉えられないからな。それにロケット団の末端なのだ。情報など持っていなかった可能性が高い。それよりも、優先するならば先ほどのコラッタの捕獲だ」

 

「言われてみればそうか。……こっちもありがとな、ミドリ」

「ヘナナッ」ビシッ

 

 

 オレもポケモンをボールへ戻しておいて、だ。

 さて。本来ならばさっきの「首輪付き」のコラッタを追いかけたい所なのだが……どうするか。これ以上敷地から離れるのもな。先にギーマさんに連絡をした方が……

 と、手元で連絡の文面を入力しながら考えていた時の事。

 

 

「対象発見、ついでに捕まえましたよー!! ハンチョー!」

 

「コラッ……ゴルァ!?」

 

「大声上げないでください我が班員。一応そういう役割なんです。それと今はハンチョー呼びやめてくださればと、切実に」

 

 

 木々を割り、騒がしい2人組が顔を出していた。

 片方は(オレ達やもう片方と比べて)背が高く、眼鏡。なんだかぽわぽわとした「夢見がち花弁オーラ」でも纏っていそうな白衣で黒髪の女性だ。その腕にはがっしりと「首輪つき」のコラッタを捉えていて、瞳をきらっきらに輝かせている。綺羅星。

 とはいえこれら、大学敷地内にいる研究員ならば別段珍しくも無い様相である。

 

 ……だから問題は、もう片方の人物だ。

 

 

「もう。呼び方を変えるにしても、じゃあ何て呼べば良いんですかぁ。……ルリちゃん?」

 

 

 あ、言っちゃったよ。折角「赤ジャージの眼鏡装備」なんて変装っぽいことしてるのに、ずばり名前を言っちゃったよこの人。

 当の名前を呼ばれた側。秋の通常講義以来顔を合わせていなかった……セキエイ高原秋講義と同様の服装に眼鏡が付与された元チャンピオン……ルリは、微妙に視線を落として溜息をつきながら。しかしそのマイペースさには慣れている様子で、女性とやり取りを交す。

 

 

「……あー、まぁ、呼び方はそれで良いですんで……それよりも」

 

「それじゃあそれじゃあ! わたしが名前で呼ぶんですから、わたしの事も『我が班員』とかじゃあなくて、名前で呼んでくださいませんか?」

 

「はいはい、判りました。それよりも、いいからコラッタの首根っこを掴むのはやめてあげて下さい、マコモさん(・・・・・)。……これで良いですかね」

 

「ええっと、もう一声!! 敬称を捨て、親愛を込めて、甘えるように!!」

 

「ゴルァ」

 

「コラッタが息苦しそうですので早く離してあげて下さい ―― マコモ姉さん」

 

「グッ! ベリグッ!!」

 

「いやだから、親指立ててないで。コラッタがバッドな状態なんで、迅速な解放をお願いします……はぁ。ほいっと」

 

「ゴルァッ、ラッ、コラッ、……コラッタァ!?」

 

 

 何度言っても聞かない女研究員の手から、ルリがコラッタを奪い取っていた。

 当のコラッタ(首輪つき)はそのままルリの腕の中、「マコモ」と呼ばれた女研究員を怖いものを見る目で見つめ、震えながら(すが)っている状態である。当人は奪われてああっとか声を上げているが、どうみてもルリの方が良心的だ。

 そして正面に居るそれらを見つめていたためか、2人とこちらとで、視線がぴたり。オレ達の存在に気付き、ルリは目を大きく見開いた。

 

 

「……んお? シュン君とゴウ君じゃあないですか。どうしてここへ……って、あ、もしかしてこのコラッタを追い立ててくれたのは君達ですか?」

 

「ああ、そうだけど」

 

 

 オレらを認めると、ルリはコラッタを抱きかかえたままで此方へと小走りに寄って来た。

 近付いて、その様相を改めて確認。赤ジャージ+ビン底眼鏡。それでもツーテールは同様、変わらずだ。

 ルリが頭を下げる。ツーテールがふわりと弧を描く。

 

 

「ありがとうございました。お陰で捕獲できましたんで。……そこのラッタは、ついさっき消えたチンピラロケット団員の手持ちですかね」

 

「そうだけど……それより、ルリのそれは変装か?」

 

「はい。もう半年以上もテレビからは離れてますし、一般客にばれない程度の一応のものですが。まぁこうして、戻ってくるなり面倒な事件に巻き込まれましたので……ほいほい、記憶媒体は抜き取りました。マコモ姉さん。コラッタはこのまま保持。ロケット団員のラッタは鹵獲と転送をお願いします」

 

「はいは~い」

 

 

 首輪を除去すると、マコモさんが白いボールに手際よくコラッタを収める。ついでにロケット団が置いていったラッタ(気絶中)は、何やら白い網の中に入れ……あ、ラッタ小さくなってるぞ。

 

 

「そんで持って……ピジョット!!」

 

「―― ピジョオッ!!」

 

 

 ルリが左手をかざすと、空からピジョットが降り立った。

 恐らく、コラッタを捉えたのはピジョットだったのだろう。ピジョットはルリにぐりぐりとトサカを押し付け、ルリは一頻り労うようにもふもふし。

 

 

「んー、お疲れ様です。しばらくは貴方達に頼れますから、お願いしますね」

 

「ジョッ、ピジョオッ!」

 

「あはは。確かに見せ場ですね。―― 時が来たなら、あたしと貴女の力。ロケット団の奴めに見せ付けてやりましょう!」

 

「ジョッ!!」

 

 

 最後に拳とクチバシをごつりと合わせて、モンスターボールに戻していた。

 ……んー、兎に角。色々と聞きたいことは在るのだが。

 

 

「面倒な……って事は、ルリもこの事件の収集に協力してるんだな?」

 

「ええ。というよりあたしとしては、シュン達が事件に関わっている方が驚きですけどね!」

 

「それはご最も。いやさ、色々あったんだよ」

 

 

 こちらへと向き直り、いつものやり取りを繰り広げながら。ともかくも、彼女らが強力な助っ人であることは間違いないな。

 その後、オレとゴウがルリにこれまでの、ロケット団と相対するに到った経緯を説明する。何とか納得をしてもらい……それじゃあ一緒にと笑顔を向けてくれていた。流石はルリ。細かいことは気にしない方針である。

 それで、だ。

 大体の都合あわせも済んだ所で、ルリは手元の携帯PCでラッタの転送を確認(・・)。確認を終えると頭を上げた。

 

 

「さて ―― 転送も無事に済みましたね。これにて『確認』は1つ終了しました。……事件の解決に向けて動く前に、少しだけ準備したい事があります。近場のジュンサーさんを探しましょう。シフトはどうなってますか?」

 

「判った。近場で言うと……どこだっけ、ゴウ」

 

「ああ。恐らく広場の十字路が1番近いだろう」

 

「では、そこへレッツゴーですよ! ハンチョー!!」

 

「……はぁ。もう、ルリと呼んでくださいと何度言えば良いのやら。こればっかりはまあ良いやで済ます訳には行かないんですがねー……確かに、『ルリ』も貴方達の班長ではあるのですが……(書類上は)」

 

 

 マコモさんとやらは、ルリの手を引っ張りながら十字路のある方向へと駆け出してゆく。

 何とも活力に溢れた人だな、マコモさん。いや、ルリが疲れているっぽいから対比でそう見えるのかも知れないけれども。

 あっという間に2人との距離は開いてゆく。オレも、ゴウと顔を見合わせ。

 

 

「ま、元チャンピオンの協力は望む所だよな」

 

「む。とにかく……追うか」

 

 

 陽気な1人とお疲れの1人、その後を追いかける事にした。

 






 チョウジタウンは忍びの里です。ええ。原作的に。
 ゴウのヒトカゲのニックネームは忍者だけに、といった次第なのでした。火影。


 マコモさんはBWよりのご出演。かつての研究班員A(ハンチョー呼び)が彼女でした。出演フラグも少しずつですが溜めておりました。
 確か、「原作前編」の庭でポッポを抱きかかえて夢がどうたらとかやっていた筈です。後は研究班員の研究の下見に外国へ~とか、ちょくちょく書いてた気がします。
 ……ええ。細かいですが!!
 そしてマコモさんを登場させる事それ自体もある意味ではフラグだという。主にプリンの特性とかですね。

 明らかに注目していただいたラッタのレベルについては、後々に。


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