10月。
冬に差し掛かる秋の日。
夕食を平らげた後の食堂。いつものメンバーの中、ユウキだけが熱弁をふるっていた。
「この11才真っ盛りのおれらに男子寮に篭れと? 色気もなにもありゃしねえっ!?」
うだーっと机に突っ伏すユウキ。一応、こうも荒れているのには訳が有る。
なんとタマムシ大学は今日から2日、授業を切り上げる旨を発表したのである。
それに加えて、生徒には自宅に戻って外に出ないよう勧告が成された。理由は、季節はずれの台風の到来だ。かなりの規模らしく、夜にかけてここカントー地方を横断するらしい。
タマムシシティの店や施設も、今日は早めに店じまいをするだろう。そのため、好奇心旺盛な学生達だとて引き篭もらざるを得ない。オレらも例に漏れず、男子寮へと引き上げてきた……
……訳、なの、だが。この荒れようである。外に居ても中に居ても荒れているとはこれ如何に。
「む。ヤマブキの様に地下道でもあれば良かったのだがな」
「そのテンションのユウキに真面目に取り合うなよ、ゴウ。疲れるぞー」
「んー、ボクは色気より眠気だねー」
「非常時のロマンスこそが燃え上がるんだろうがよっっ!?」
「いやさ、ロマンスて。……良いけどさ、ロマンス。大事だけどさ」
「大方ポケウッド映画でも見たのだろう」
「色気より眠気だねー」
ユウキも、言ってる事は側面的だとはいえ正しいんだよなぁ。
とはいえ命には代えられないし、オレらの場合は帰る場所が寮だ。食堂のおばちゃんは日が沈む前に帰るとは言え、部屋に篭らなくてもいいからな。自宅通いの連中とかよりは暇しないはずだろ。
そもそも。
「そもそも、台風の間に出来ることなんてたかが知れてるんじゃないか?」
「シュン、お前……遂に枯れ方までショウに似てきやがって……! そんなだからヒヅキのお嬢様にも言い寄られんだぞ!? 何だ、その内前髪で隠れて目が見えなくなるのかよっ」
「ギャルゲーの主人公化するっていうのか、オレ。……ぞっとするなそれは……」
血涙が見えそうな(見えないが)ユウキの言葉には、オレも少しだけ身を引く。視線が怖いからな。
……ってかショウのそういった特性に似てるとか言われるとやっぱり怖いぞ。この間、あれは好意かどうか判らないけど、天才同士で仲良い娘も居たし……ついにはミカンにまで影響させたからなアイツ。うんよし、前髪は切ろう。
あんなになりたいか、と問われたらオレはノー。多分ユウキはイエス。飢えてるからなぁ。
「それは兎も角。自宅待機だからって何かある訳じゃないんだろ? 夜になったら寝て、起きたら午後からまた学校ってのは変わらないんじゃないか」
「―― いや、それは違うなシュン」
向かいから生真面目な声。……おおっと、まさかゴウから否定されるとは思わなかったんだけど。
「どういう事だ?」
「……僕としては承服しかねるが。学生が、こういった事態に何もイベントを練らないはずが無いだろう」
「だな。マツバ寮長が臨時でバトル大会のメンバー集めてるぜ? ハヤト委員長ですら図書館貸しきって肝試しの取り仕切りやってるしよ」
「ぼくはー、寝るかなー……ぐぅ」
何なんだろうな、アクティブ上級科生!? ケイスケが寝るってのは知ってる!!
……ま、馬鹿やれるのも学生の内ってのは理解できるな。台風が来る前に図書館に移動してしまえば、ってのも。出来ればオレも参加したかった……けどさ。
「うーん。そのバトル大会にしろ肝試しにしろ、動けるポケモンが居ないとなぁ」
「……なる。そういやシュンは2月の大会に向けて、調整の大詰めしてるんだったな」
「ポケモン達を無為に疲労させる訳には行かないか」
「そうなるな」
言って、オレは腰元のボールを翳す。日中殆どの時間をバトルの練習に費やした結果、アカネもミドリもベニも、お疲れモードで睡眠中だ。とまぁこの通り、バトル大会にしろゴーストポケモンを使うのであろう肝試しも、今はお預けなのである。流石に優先順位というものがあるのだからして。
……まさかオレもケイスケ側に回ることになろうとは! なんて、一応の弁護をしておいてだ。
「って訳で、オレは早めに寝ておくことにするよ。先輩方といいんちょには謝っておいてくれるか?」
「ま、そりゃ仕方がねーな」
「任せておけ」
「ぐぅ」
「悪いな。そんじゃ」
ユウキ達に手を振って。イベントを控え、にわかにざわめき始めた食堂を後にする。
未だ日は沈んでいないにしろ、風は強くなり始めていた。寮の傍にある木々はけっこうな強さで揺れている。大丈夫なのかなこれ。この寮って建てられたの何時ぐらいなんだろ……と考えつつも、オレは階段を上って行く。いや、少なくとも古くは無いから心配ないか。
325号室に到着するとすぐさま、『ちいさくなる』で命中率低下したポケモンを押し潰さんばかりに、ベッドにダイブ。それにしても正直、ポケモン達が疲れていなければ男子寮バトル大会は惜しかったかなー……と思いながら。
疲れに負けて、オレは眠りに落ちて行く。
《ゴーォォォ……》
「―― ん、あ?」
風の音、窓が軋む音、雨粒が衝突する音。全体的にうるさいなぁという感じで、目が覚めていく。
……というか辺りが暗いな。
「……夜? あ、夜か」
何だかぱちっと目が覚めてしまった。壁掛けのポッポ時計を見ると、午前3時。眠り始めてから7時間ほどだ。睡眠としては十分だけど、夜中に起きてすることがある訳でもない。日の出も遅いため、バトルの練習にも早すぎる。
隣のベッドを見ると、同室のショウはやはり帰ってきてない。アイツは不良少年か。
「んー、喉は渇いたかな……」
寝起きに枕もとのモンスターボールを腰に着け(ボールの中の3匹は完全に眠ってるけど)、オレは部屋を出る。一気に寝たせいで冷蔵庫の中身が空なのだ。買いに行くしかないだろう。
扉を開いて出ると、廊下だけでなく寮中がしんと静まり返っていた。風と雨の音だけが響いている。灯りも何故かついてないし……いやさ、慣れ親しんだ寮の中で迷うことは無いけど。
「自販機コーナー……おいしいみず……いや、あえてここはミックスオレにするべきか。……にしても真っ暗だなおい。……うん、まさか?」
この暗さにも理由があった。予想外にも、自販機コーナーが稼動していなかったのである。
……成る程、廊下を歩いても自動照明が動かないのは停電だからか。足元灯だけが点灯しているのは非常電源から。……となると次に目指すべきは、多目的スペースか。あそこには確かろ過機があったはずだ。
階段を降り、今度は多目的スペースに向かう。暗い中を転ぶ事無く進み、1階。食堂の前で右折する。
いつも通りの多目的スペースの奥。薄暗い一面のガラス張りに雨粒が打ちつけられており ――
そこに居た人影に、オレは思わず声を掛けていた。
「っと、ケイスケか?」
「……あれー、シュンー? どーしたのさー、こんな時間にー」
「のどが渇いてさ。ってか」
それはこっちの台詞でもあるのだが……兎も角。ケイスケが1人、ソファーに腰掛けていたのである。
いつもなら(たかが)夜中の3時程度なら誰かが残っていてもおかしくは無い、この多目的スペース。そこに誰も居ないのは、恐らく馬鹿騒ぎをしたり図書館に行ったりと、人がばらけているからだ。
3時ってなると馬鹿騒ぎ → 皆おねむのコンビネーションを食らっている時間帯だしな。この嵐で図書館から帰ってこれるはずも無いし、せめて風が収まるまでは無理だろうし。
しかし、ケイスケと言えば睡眠、睡眠と言えばケイスケ。そして睡眠といえば、夜にとるべきものである。今回のオレみたいに珍しく早く寝てしまったとかなら判るけど、ケイスケは……
……ん? そういやケイスケ、昼間は寝てるな。おかしくはない、のか?
「でもー、シュンが来るってー、丁度良かったかもねー……。珍しく今、誰も居ないしー」
そう言うと、ケイスケはろ過機へと近付いた。ボタンを押してコップに水を注ぐ。水を飲みに来ていたのだろうか。それはオレの目的でもあるので、同様にコップを取って水を汲み……隣にケイスケ。水を飲み干した所で。
「そんで、何が丁度良かったんだ?」
「んー? そうだねー……」
問い掛けに対して応じながら、ケイスケは再び、だるりとソファに腰掛ける。
「シュンはさー。ボクとポケモン勝負の練習ー、するー?」
いきなり、そんなことを言った。
ケイスケ。ポケモン勝負。
……うん、違和感が拭えない単語の並びだな!
ではなく。キキョウシティスクールにおけるケイスケの成績は、実はトップクラスだったりするのだ。模擬手持ちポケモンを使用してのバトルもかなりのレベルで実践的だった。そんな相手とバトルが出来るのは、勿論、嬉しいことではあるのだが。
「嬉しいし願ったり叶ったりだけど、いきなり言われてもな。今はポケモンも寝てるし。……そもそもケイスケの目標は『のんびーり』過ごす事なんだろ?」
そう続けて、オレもソファの向かいに腰を下ろす。嵐は収まる気配を見せていない。でも嵐の夜って何だかテンションあがるよな。オレだけかもしれないけどさ。
置いといて、『のんびーり』について。
ケイスケが信条としているこれは、つまりはバトルとか、そういうのに「忙しなく取り組まない」という言葉だと受け取っていたんだけどな……。
とはいえオレの言葉に大きな間違いが有る訳でもないのだろう。ケイスケは苦虫を噛み潰したような顔をしながら、こっちの言葉を否定もせず。
「そうなんだけどねー。……今年の夏のバトル大会、知ってるよねー。イブキが優勝したんだけどー」
「そうらしい、ってのは知ってる。バトルスコアも持ってるぞ」
夏のバトル大会。オレ達がセキエイ高原の合宿から帰ってきてすぐ、夏休みの初めを利用して催された大会だ。
その大会ではケイスケの言う通りイブキさんが優勝して、ヒトミがなんとベスト32(+シード2名)入りしたりして。
……その頃のオレはイツキに負けたばかりで、落ち込んだポケモン達のフォローと、その後の練習に時間を費やしていたから、参加しようという気分にはならなかったんだよなぁ。
しかも実際にバトルを見たわけじゃあない。ケイスケの言う「知ってる」っていうのもどの辺りを指すのか判らない。なので何となく曖昧な返答になってしまった。
そんなオレに向かって、ケイスケはいつものだるそうな視線を向けつつ。
「ならさー。シュンが優勝を目指すんならー。優勝候補のイブキへの対抗策を考えておいてもー、悪くはないよねー」
どうやら自ら、練習台を買って出てくれているらしい。
……微妙な静寂。風の音がうるさい。
……あ、成る程。珍しい事をいうのは全部、外が嵐で『ぼうふう』のせいか(こんらん)!!
「違うけどねー」
「いやごめん。ちょっと意外過ぎたんだ」
「別にいいけどねー」
本当に気にした様子も無く、ケイスケは立ち上がった。
そのままオレに背を向け、多目的スペースの入口を曲がり。……曲がった角からひょっこりと首を出し。
「忘れてたー。イブキ達には見付かりたくないからさー。練習したい時はー、ボクのツールに連絡ちょーだいー」
「お、おう」
「じゃあねー」
本当に眠そうな表情で、この場を去っていった。
……うーん。何だろうな。何か、ケイスケにとっての転機でもあったのだろうか。そしてそれは、友人として手伝える事だろうか。
そんな風に悩みながらその晩、オレは自室へと戻っていった。
明けて翌日。
だがしかし、一晩考えたらある意味開き直れていたりする。
ドラゴンタイプとのバトル練習なんて、望んで出来るものじゃあないからな。ミニリュウを手持ちポケモンとするケイスケは、練習相手としてうってつけだ。今まではケイスケ自身の気質が「あれ」だから、こっちから進んで挑む事はなかったけどさ。
なので、午前はスクールの授業が休みとなっているため、オレは早速とケイスケに連絡をつけてみた。
睡眠の権化に対する朝早くからの連絡だったので若干心配ではあったのだが、「今行くー」との簡素な返信が来たのでちょっとだけ安心しつつ……自然公園の片隅にて待つこと数分。
「お待たせー」
「お早うケイスケ。悪いな、こんな朝早くから」
「んーんー。むしろありがたいかなー」
ありがたいって……ああ、成る程。そう言えば「イブキ達に見付かりたくない」とか言ってたものな。そこまでは考えてなかったけど、結果的にケイスケの都合としても良かったのならば万々歳だ。
「それじゃあ早速ー」
《ボボウンッ!》
「ミーリュー!」「コッ、コッ、コッ!!」
フード付きパーカー+ジャージ姿のケイスケは目の前に立つなり、いきなりポケモン達を繰り出してみせた。
ドラゴンタイプのミニリュウ。そして今回はきちんと公園脇の水路スペースに出してもらえたコイキングの、2匹である。
「
「コッ!!」「リュー!」
やる気十分なミニリュウと、それ以上にやる気十分なコイキングが跳ねる跳ねる。しかしなにもおこらない。
……そう言えばミニリュウって元々水棲ポケモンだったんだよな……というか。
「オレのしたい練習ばっかりで良いのか?」
そりゃ確かに水中戦は課題だって言ってたし、練習できるのは嬉しい。でも、オレとしてはてっきり、ケイスケも何かが練習したくて誘われたと思ってたんだけどさ。
折角練習に付き合ってくれているのに不躾かとは思ったが、友人なのでそう問いかけてみると。
「……う~ん……良い、と思うんだよねえー……」
おおっと、ケイスケには珍しくのんびーりしていない返答だな。
「何か理由があって誘ったんじゃないのか?」
「理由ねえ~……有るというか、練習の手伝いがそもそも目的と言うかー……」
どもりながら、指をくるくると回すケイスケ。
暫くそのまま回し続け。
「……まぁ、良いやー。その内話すからさー。今は練習しようよー」
話題をぶん投げやがりました。うん。遠投120メートル。背筋いくらだよ!
……いやさ。多分面倒くさくなったんだろうなーとは思いつつも、バトルの為に思考を切り替える事にする。
「それじゃ、頼んだベニッ!!」
《ボウンッ》
「―― グッグ!」
「ベニだねー。それじゃあー、きんぐは一旦下がってーぇ」
「コッコッ!?」
「お願いするよぉー、りゅーた」
「ミーリュ!」
あれだけやる気を出していたコイキングは無残にもボールの中へ。
やはりオチ要員は避けられぬ定めか……。
――
――――
さてさて。
そんな流れで、バトルの練習それ自体はつつがなく進んだのだが。
「いや、知ってたけどやっぱり強いのな」
「グッグゥ」フラフラ
「まぁねー。どらごーんだからねー」
「ミーリュ!!」フンス
日はすっかり昇り、予鈴まできっちり40分。
ベニとりゅーたの一騎打ちは、見事なまでの敗北だったりした。敗北の要因は色々とあり過ぎる。オレにしてもベニにしてもな。
……うーん、ミニリュウの水中での器用さを舐めてたな。何せベニが脚か鋏で水をかく必要が有るのに対して、ミニリュウは身をくねらせ自由自在に泳ぎ回るのである。多分コイキングより美味……じゃなくて上手い。
オレはふらふらになったベニを一旦ボールへ戻すと、買い置きのミックスオレを投与しつつ。ケイスケはケイスケで、いつのまにか首にミニリュウ巻いてるし。ドラゴンマフラーとか随分とまた豪華な。
「学校が開いたらナツホ達と図書館に行く予定なんで、今日はこの辺りで終わりだな。……ドラゴンタイプって、何か弱点とか無いのか?」
「んー? 弱点はあるよー。確かにー、初心者向けのタイプとの相性になるとー、どらごーんの一方通行だけどねー」
ケイスケがサイコソーダを飲み差し……そう。オレが手持ちにしているポケモンとのタイプ相性が、抜群に悪いのだ。主に防御面で!
ドラゴンタイプの弱点は、ドラゴンと氷。海外だとその他にもフェアリーがタイプとしてあるらしい(ショウ談)が、少なくともオレの手持ちには居ないからな。そこを頼っていても仕方が無い。
しかも氷タイプに到っては何かと弱点が多いため、そもそも「ポケモン自体」が初心者向けではなかったりする。ポケモン自体も暑さに弱かったりと育成が難しい。その分、育てきればカンナさんやプリムさんの様に強力な見返りもあるけどな。
そんでもって、オレの手持ちの内でダメージを期待できるミドリの草もベニの水も、ドラゴンに効果は「いまひとつ」。対する相手の攻撃は半減出来ずじまいでは、どうあっても1対1じゃあ厳しいと思うんだよな。
当のケイスケは、弱点、弱点ねーと呟きながら。
「うーん……学生じゃあ『ない』と思うけどー、逆鱗を狙うのも手だねー」
「逆鱗? というと、技の『げきりん』じゃあなくてか?」
「そうだよー。つよーいドラゴンタイプはプライドが高いからねー、怒りのツボみたいなのを持ってるんだー。逆鱗以外にもぉ、肩の後ろの2本のゴボウの真ん中に有るすね毛の下のロココ彫の右って言ったりするねー」
最後のボケは兎も角。
……とはいえケイスケの言う通り、学生トーナメント位じゃあカイリューとか、ガブリアスとか、そういう強いのは出てこないだろうからなぁ。
「それに慣れてるトレーナーほど逆鱗は隠しちゃうからねー。フスベのドラゴン使いはつつかれても怒らないようにって練習するしさー。……やっぱり氷タイプかなぁー。どらごーんをタイプとして用意するのはぁ、難しいからねー」
「ミーリュ」
「うーん、そうなるよな」
そういう結論に落ち着いた。イーブイが『あられ』を覚えられれば万事解決なんだけど、残念ながら相性が悪くて覚えられないらしい。根本的な対策が必要になるとすれば……難しいな。
ここでバトルも終了したため一息ついて。どうせなので話題を振ってみることに。……そういえば、氷タイプと言えば。
「フスベの里も、ドラゴンの修行の為にあえてシロガネ山を切り開いたらしいよな。寒さ対策とかでさ」
「うんー。そう
不穏な部分があった気がする。主に伝聞系とか。
……うーん。どうも、ケイスケの難しい部分は「この辺り」なんだよな。……これって聞いて良い場面なのか? 選択肢は?
「って、違う! だからギャルゲーの主人公じゃあないってのに、選択肢とか場面で悩むとかな!」
「……シュンってさー。たまーにそうやって独り言が凄くなるよねー」
「……いや悪い。それは知ってる」
悪癖なんだ。どこかで直すべきなのか、個性は元々特別なオンリーワンなのか。
「ま、それも兎に角だ。明日からも出来れば一緒に練習して欲しいんだけど、ケイスケ、頼めるか?」
「別にいいよー。どうせ起きようと思えば起きれるしー。ボクは興味ない授業は寝てるしー」
最後にそう返答すると、ケイスケはミニリュウを首に巻いたままマイペースに歩き去って行ってしまった。
オレも「おいしいみず」を口に含みつつ。……それにしても、ケイスケとポケモンバトルについての話をすることになるとは思わなかったけどな。明日からも頑張ってみよう。ドラゴンタイプの練習相手って、気軽に頼める人だと他に居ないしな。
となると、うん。せめてケイスケの方の都合をもう少し考えるべきか。タマムシ国立公園は早朝とはいえ人も多い。余り人目に付きたくないのであれば……
「とりあえずショウにも相談したい所だな。オレ自身もアイツに相談したいこと、有るしさ」
最後の詰めについてはアイツと一緒に進める約束をしているのだ。同時に場所についても相談できれば万々歳だろう。
そんな風に予定を考えながら、オレは公園を後にした。
修行編の始まりですが、とはいえあまり長くはありません。語り過ぎず、余力(仕込みネタ)を残して最後のバトル連打に持って行きたいと思います。
ケイスケと書いて伏竜と呼んだら三顧の礼(ぉぃ。
因みに、駄作者私はグルグル大好きです。作中ワタルのカイリューでパンチラドラゴンかましてやろう(ルリのを)と本気で考えました程度には。すんでの所で思いとどまりましたけど。
ほかのさくしゃさんたちはすごいなぁ。ぼくにはとてもできない。