ショウとミィのマルチバトルを見届けた後、オレは一旦学内のポケモンセンターに寄る事にした。バトルの後に転送したポケモン達の回復予定の知らせを受け取ったからである。
初日から3戦ずつを消化した大会の予選も終了し、人気のない闘技場内。疲労困憊の友人らと別れて移動すること数分で、お目当ての闘技場上階端にあるポケセンに辿り着く。
ガラス張りの引き扉を潜ると ―― しかし。
「あら。奇遇ね」
「おおっと……マジか? いや、奇遇だけどさ。ショウとミィが居るとは思ってなかったぞ」
「おいっす、シュン。それはこっちの台詞でもあるんだが……試合の後に、わざわざこのポケセンまで来たのか?」
なんと、つい先ほどまで試合をしていたショウ&ミィのコンビが休憩スペースを陣取っていたのである。
オレはびっくりして見せながらも、2人のいる方向へと近付いていく。というかさ。
「わざわざ……って聞くって事は、ショウ達はここのポケセンをよく使ってそうだな」
「ああ。遠くて不便だけど、このポケセンは使い易いからなー」
ちらりと奥を見ると、受付のジョーイさんは席を外していた。回復終了の時間まではまだ多少の余裕がある。急ぐ用事でもないので、ショウの答えに成る程、と呟きながら2人の向かいに腰を下ろす事にする。
オレが座るとミィが静かで優雅にお茶(セルフサービス)を差し出してくれたので、それをありがたく受け取りつつ。2人が何をしているのかと見てみるも、ショウはドリンクバーコーヒー三昧。ミィはいつもの通りに本を広げているな。
……ああ、そうそう。
実は、現在、この小さなポケセンにはオレとショウとミィしかいないんだよな。利用客!
このポケセンがある場所は闘技場の4階。4階というのは微妙な場所だ。トレーナーがたむろするバトルスペースからは上階、観光客の集まる屋上庭園からは階下にあたる。そもそも各階に二箇所はポケセンがあるし……エレベーターから離れた最端のこのポケセンは、人気が無いと踏んだのだ。
それでもオレがここを選んだのには理由がある。
先に挙げたのはあくまで、立地に限った話だ。オレみたいなトレーナーにしてみれば、利用客が少ないというのはそれだけでも利点。受け取りやパソコンの利用がスムーズに行えるという特典が盛り沢山だったりするのである。
「(いやさ。どうせ今、他の所のポケセンは、ポケモンを回復してる大会参加者らで混雑してるだろうからなぁ……)」
それはそれで、学生らを巻き込んだ一大イベントだから仕方の無いことなんだけどさ。
その点、このポケセンは建物の面積は(ポケセンにしては)かなり小さいものの、設備の内容は1階ロビーのものと比べてもそん色ない。それどころか何気に喫茶や売店、ドリンクバーは充実してるしな。利用客は今も、食事目当ての方が多い。
なので今日はここのポケセンで夕食しつつ、スコアを眺めてから部屋に帰ろうと思ってたんだよ。寮には食堂もあるけど、あそこは食べながら長居するには向いてないしさ。
久しぶりに来たけど、ここのポケセンは雰囲気も好きだ。内装やインテリアがシックな色合いに纏められており、パステルカラーで統一された万人向けのポケセンとは方向性が違い、落ち着いた感じがする。窓から一望できる景色も高層にあるポケモンセンターならではだ。
「おっと、その点については俺も同意だ。こっちのポケセンに入り浸ると、どうしても学生で賑やかなポケセンは居辛くってなー。……ポケセンの内装って、実は管理の人に任されてるんだ。このポケセンはこじんまりしてる分、費用が内装に割かれるんだそうで」
「へーぇ。つまりここのジョーイさんのセンスが良いって事なのか?」
「ん? あー、まぁ、ここの場合はそうなるかもな」
「……それが、私達が。このポケモンセンターをよく利用する理由でもあるのだけれどね」
珍しく歯切れの悪いショウの言葉に、本から視線を上げたミィがちょっとだけ補足する。
この場合にミィが挙げた「それ」というのは多分、内装センスの事じゃなくて……だ。
「―― あ、ショウ君。ミィちゃんも。また来てくれてたの? ありがとう!」
「ハッピッピー!」
後ろから白衣の天使……じゃなくて、看護師と医療事務とポケモンドクターの複合国家資格……ジョーイさんの制服に身を包んだカチューシャ女子と、そのポケモンらしいハピナスが現れる。それぞれの腕に巻かれた「研修中」の腕章も印象的か。
あ、見たことあるぞ。この人は確か、学園祭の時にミカンにお菓子作りを教えてた ――
「実習中に出てきて良いのか? ナナミ」
「良いのよ。もう今は実習時間外だし。ね、お福?」
「ハピッ!」
「……おっと、そういやいつの間にか17時も過ぎてるもんな。悪い、マルチバトルが進行遅れてて気付かなかった。……って事は、もしかして、待ってたのか?」
「ふふ。それはどうかなー」
「ハピピィ~♪」
ハピナスの合いの手に乗って、その女子は笑みを深めた。
悪戯っぽい笑みでショウとやり取りをする ―― お姉さんっぽいけど同年の女子、ナナミさん。
お姉さんっぽさを全面に押し出した彼女は、マサラタウンにおけるショウの幼馴染の1人。今はジョーイさん資格を取るため、上級科生としてタマムシスクールに在籍しているのだそうだ。
とはいえ、ショウの場合は幼馴染が多過ぎる。幼馴染という意味でなら生まれた時から隣に居たらしいミィや弟子でもあるカトレア、ナツメさんやエリカ先生は幼馴染に加えて年上属性まで完備という幼馴染セレブっぷりなのである。
……だから、なんとなくだけど、ナナミさんの個人的な印象はやや薄いんだよな。薄幸気味なキャラというか。ちょっと残念というか。
「(それはどうかな、ね。……バレバレでしょうに)」
「(ボソッと言わないでミィちゃん!?)」
小声でやり取りをしているけど、こういう部分がさ。
そんな微妙に落ち込んだナナミさんの横で、ショウはさして気にした様子も無いらしい。
「それよりナナミ、実習が終わったんならご飯食べてから寮に戻らないか?」
「えっと……良いのかな? あ、わたしは嬉しいよ。一緒に食べられるのは。でもショウ君のことだし、大会中はそちらに集中するものだと思ってたんだけど」
「いや、飯の時間まで集中はしないだろ。俺はどれだけバトル脳だと思われてるんだ?」
「だって家じゃ食べながらお仕事してたじゃない。グリーンも呆れてたっけ」
「……それはそれ、これはこれという事にしといてくれると助かるなぁ」
「はぁ。……どうせ、女子寮に戻るなら。ここで食べて行っても変わらないでしょう」
「んー、それもそうかな。ありがとショウ君、ミィちゃん。それにシュン君もね!」
切り替えの早い人だな。とは思いつつも、お礼には頷いておこう。
聞くに、ナナミさんは丁度、実習時間が終了した所だったらしい。
ハピナスをボールに戻し、一旦ロッカーへ戻り着替えを済ませると、新たにナナミさんを加えたオレら一行は、ポケセンからフードコートに(同じ区画の中を)移動する。
注文の品が来るまで、とりあえずオレが気になっていたことを尋ねる事にしとこう。さっきは途中で話が終わってしまったから。
「話を戻すけどさ。このポケモンセンターの内装は、確かに、一般的なトコとはかけ離れてますよね」
「だなー。でもま、ナナミがこのポケセンの内装をやってるのは本当だぞ」
……んん?
いや、さっきの話だと管理の人じゃなかったっけ、内装決めるのって。
そんな疑問の視線を横へ向けると、ナナミさんは少しあわてた様子で手を振っていた。
「あはは……やったけど、わたしが全部決めたんじゃないよ? 年間を通して貢献をするのが、実習の課題みたいなものなの。わたしの場合はその課題が、インテリアコーディネイトだったっていうだけかな。……ポケモンセンターの内装にも幾つか決まりがあって、落ち着いた色でまとめるのは、ちょっと難しかったけど……あ、でもでも、あれこれ考えるのは楽しかったよ? それにショウ君やミィちゃんも、こうやってよく遊びに来てくれてるものね」
「確かに、バトルの後とかは結構来てるな。ここのポケセンは固定客が居るんで、稼働率も立地の割にそこそこあるから、俺とミィで必死こいて通う必要もないんだけどな。ナナミ達の努力の賜物だろ。流石はナナミだ。ポケモンコンテストだけじゃなく、こういうのもセンスあるもんなー」
「もう、ショウ君ったら。あれはショウ君のポケモンで出場できたからこそだよー」
「いやいや。今じゃあいつら毛繕い大好きだからな……っと。一応補足しとくと、ナナミはポケモンのコンディション調整が上手いんだ。公的なコンテストで優勝したこともある」
「へぇー……」
などと紹介を受けている内に、各々が注文した食べ物が完成していた。
カウンターで受け取り、机に運び、手を合わせ、ちょいちょい口に運びながら話を続ける。
「……このポケモンセンターに関してなら、わたしなんかより、イチミちゃんとかミライ君の力が大きいと思うのよね」
「あー、イチミとミライな。あれは確かに経営の化け物だ。実家がポケセンとかいうポケセンの妖精、チユなんかも戦力としては大きいだろーな。……っと、噂をすればだ。ほれシュン、あっち」
そう言いながら、ショウがくいっと首を向ける。
するとそちらで、ジョーイさんの制服に身を包んだ女子が、此方に向けて手を振っていた。
……あ、手に持ってるのは回復が終わったオレのポケモンっぽい。どうやら届いたみたいだな、と、席を離れてカウンターまで近寄って行く。と。
「お待たせしました! 痛いのイヤイヤ! ナオッター!!」
「な、なおったー……?」
「タブンネ~」
いきなりなぜか、目の前で両手バンザイをするジョーイさん女子。それとタブンネ。
釣られてオレもちょっとだけバンザイ。彼女の胸元で揺れる名札には、「チユ」と書かれている。この不思議っ娘がナナミさんやショウの言う「ポケセンの妖精」であるらしい。
オレも何度か「ナオッター!」を繰り返した所で、満足したらしい彼女からモンスターボール3つを受け取った。腰のベルトにボールを装着し、再び前を向くと。
「チユの所にも、話は聞こえてましたよ。でもこの第22ポケセンが立地の割りに安定して稼動できてるのは、チユの他にも、イチミちゃんとかミライ君とか! ナナミさんとか! みぃんながこのポケモンセンターの経営を手伝ってくれてるからなんです!」
「タブンネ~」
にかーっという笑みを浮べておいて、「それではごゆっくりー!」という言葉を残し、チユさんは奥へと引っ込んで行く。一々付け加えられる「タブンネ~」はご愛嬌として。
……ああ、成る程。判ったぞ。
「いやさ。……面子が濃いのな、このポケセン!」
「その通りだ。とまぁこんな風に、このポケセンは元々人員が少なかったんで実習が始まった今、動かしてるのは学生が多くてな。だからこそこんな思い切った内装にも出来てる。小さいからこそ縛りが少なくて、自由が出来るってのも大きいか。……勿論、監修の人はいて、オッケーは貰ってるぞ?」
そりゃそうだろうけどさ。
面子が濃いってのは、学生とか関係ない気もするぞ。
「いや。俺としては、エリトレはかなり個性派だと思うんだが。……つってもこれ……学生が多く施設に実習してるのって、このポケセンに限った話じゃあないんだよな。ポリスやレンジャーは警備とか公安。ナースやドクターはポケセン。つまりこの大会には、エリトレ以外の上級科生徒も色んな形で絡んできてるんだ。大学をあげた最後の実習みたいなもんで」
成る程。そういう背景もあるわけか。レンジャーを掛け持ちしてるショウならではの情報だ。
因みにショウも一応、レンジャーの哨戒くらいには顔を出しているらしい。
「んでもって、話は戻るんだが……経営の化け物やポケセンの妖精なんて人員を集めてみせたのは、結局ナナミだよなって話」
「ふふ。おだてても新作の焼き菓子くらいしか出ないわよ、ショウ君?」
「流石はナナミ。抜かりないなー」
ありがと、とか言いながら木の実の焼き菓子を並べていくナナミさん。
豪華な装飾がされた……ポフィン? いや多分、デコレーションしてあるからポフレかもしれないが。出来栄えは店売りしているものとそん色ない……どころか、それ以上の品だろう。お菓子作りの師匠は伊達じゃないな。
既にサンドイッチの軽食を食べ終えたショウは、早速とナナミさんのお菓子にもフォークを伸ばしつつ。
「そんでこんな風に、そこかしこで学生らが動きまくるからこそ、世間における大会それ自体の注目度も高い ―― 」
ショウはここで、ふと視線を逸らして、入口の側を見る。
つられて、オレやナナミさんも視線を其方に向けて……ミィは一切気にしていないけど。
半透明の自動扉が、左右に開いて。
「ですよね、クルミさん?」
「―― おやぁ? ばれてましたか」
声に応じて、桃色の髪と眼鏡がトレードマークの少女が観念したという様子で姿を現した。
ヤマブキ放送所属。色物系名物アナウンサーの、クルミちゃんだ。
出入り口から現れたクルミちゃんは、驚いているオレ(とナナミさん)の近くへマイペースに歩いてくると、ペコリと会釈。
「初めましてぇ……と、言うほど知らない仲でもありませんですねぇ。解説は聞いてくれてましたか、シュン選手?」
「えっと……はい。初対面ですけど、どうもです。あの解説は……その、嫌でも耳に入るというか」
「おぉっと、その言い様。流石はショウ君の友人さんですねぇ! あ、だいじょぶですよぅ。アナウンサーにとって『嫌でも耳に入る』は褒め言葉ですからぁ。そうそう、ミィちゃんも、ナナミさんも、お久しぶりですぅ!」
それぞれに如才なく挨拶を送りつつ、クルミちゃんは明るい感じで手をぶんぶんと振り回す。元気な人なんだな。解説そのまんまなテンションだ。
クルミちゃんの挨拶が終わると、ショウは「それで」と間を取り持った。
「仕切りなおしまして。わざわざ出入り口で待ち伏せてまで、どうしたんですクルミさん」
「……んっふっふぅ。聞きました。聞いてしまいましたね理由を。このわたくし、何を隠そう……!」
「あ、ちょっと時間無いんで帰っていいですか」
「ちょぉっと待ったぁぁぁ!?」
もう既に、やはり、ショウとクルミちゃんは
兎も角。アオイちゃんと共に予選の解説席(の賑やかし)を担当していたクルミちゃんが何故、この予選も終了している時間に、こんな端っこのポケモンセンターに?
「よくぞ聞いてくれましたぁっ! 皆さんこれから、わたしとアオイ先輩のインタビューを受けてくださいませんかぁ?」
多分、この問い掛けの主体はショウとオレだ。クルミさんの視線がそれっぽいから。最初から名前も挙がらないミィがインタビューを受けないというのは、半ば確定事項なのだろう。実際ミィは本から視線を逸らそうとしない。オーラは出てるから気にはかけているみたいだけど。
オレはショウの方を見る。視線が合って、オレが微妙に顎を引く。決断というか、この部分のやり取りはショウに任せたかった。オレにとってのクルミちゃんは、「ちゃん付け」が拭えない程度には画面の向こうの人だしさ。
視線を受け取ったショウは肩を落とすと、いつもの。
「……はぁ」
「いきなり溜息ですかぁショウ君!? ええぇ、それは流石のわたしでも困りますよぅ!?」
「クルミさんの場合、困るのはリアクションでしょうに」
「……ですねぇ。どうしてこう、タレント路線なのでしょうか」
「アオイさんといい、貴方達の発言に問題がありますね。やり取りがコントメインなのも助長している原因かと」
「あ、それは判りますぅ。納得ですねぇ!」
「納得したのならなによりですがね」
それで良いのでしょうか!
ただ実際、2人とも数年後にはDJとかタレント業がメインになっていてもおかしくは無い働きぶりだからさ。重ねて、2人が納得してるなら良いんだけれども。
「そんじゃあ本気で話題を戻してインタビューですね。……うーんぬ。強いて言えばこの食事の後なら、まぁ、俺は良いですが。シュンはどうだ?」
「それならオレもです。どうせオレもショウも同じ部屋ですから、時間を合わせるのは苦になりませんし」
「わっかりましたぁ!! お二方とも、ありがとですぅ!!」
クルミちゃんが左右の手を伸ばし、がっしりとオレ及びショウの手を掴む。上下に揺すられる。元気過ぎてちょっと痛い。
そんな動作をいつまでたっても止めないクルミちゃんの頭部に「いい加減にしろ」と左の手刀(威力は無い)を叩き込むと、ショウがこちらを向いた。
「ああ、そーそ。この話になるのが遅れたけど、本戦出場おめでとうな、シュン。途中までは見てたが、試合前だったんでラジオ中継に切り替えて聞いてたよ。作戦がハマッたみたいだな」
「ありがと。……でもここからが本番だろ?」
「だなー。本戦は名前のある人がかなり出てきてる。まぁ、逆に言えば対策のたてがいがあるんじゃないかね」
「ですねぇ。今大会は実力がある……と
……ん? と、違和感を感じるものの。
話に割って入ったクルミちゃんは、席の後ろから僅かに身を乗り出し、ショウの持っていたトレーナーツールの画面を指差す。
「そういやクルミさん。本戦の組み合わせって、もう出来たので?」
「はぁい。そちらの中継も
「あー、成る程。後の打ち合わせを抜け出しましたか。……アオイさんの苦労が忍ばれるな……」
「なんで判っちゃうのですかぁ!?」
「ここへ、到着するのが。早すぎるでしょうに」
「はぐぅっ、ミィちゃん鋭いですぅ!?」
呆れたミィの突っ込みにクルミちゃんは大げさ気味なリアクションを取ってみせている。うん。これについては予想通りだ。
……が、ここでクルミちゃんはすぐさま表情を戻し。
「うーん……でもぉ、今の打ち合わせは解説の間を持たせる小ネタ作りだけ。アオイ先輩が居れば十分ですからねぇ。それに、選手と直接お話ができるとやっぱり解説も違いますよぅ? 選手紹介とか、場繋ぎの時もそうですねぇ。わたしがキチンと理解をしておく事で、よりよい実況もできるものだと思いますぅ」
これだ。にへら、とした笑みとは真反対なクルミさんの対応に、思わず反応が鈍ってしまうのだ。
……正直、びっくりしたな。オレの想像していたクルミさんのキャラと実像とでは、かなりのギャップがあったみたいだ。
元から知っていたのだろう。ショウは微塵も動揺を見せず。
「とまぁ、クルミさんはTVでのタレント染みたキャラとは裏腹にかなりきっちりした人なワケだ。キャラがたってる分、惚けてみせても様になるんで、そこを活かして多少は腹黒く立ち回ると」
「えぇ~……ショウ君、そういう紹介になるんですかぁ?」
「あの時に貸し借りなしだって、まぁ、そんな風味の事を言いました。なのでもちろん、遠慮はしません」
「またそうやって
「ブーピッグが鳴いてますかね」
「残念、バネブーでしたぁ!!」
「うおう。ただでさえ水物の鳴き声を、しかも進化系統ですら間違いと言い切るのは流石ですクルミさん」
相変わらずコンビネーションのよろしい事で。既に漫才の域だよな。ショウとクルミちゃん。
長居もよくないと思ったのだろう。慣れたやり取りを繰り広げがら、各人がお菓子を食べ終えた頃を見計らい、ショウは席を発つ。オレらのトレイも重ねて、さっさと返却スペースへ。そこで此方に視線を寄こすと、騒がしいクルミちゃんを引きつれ、自然な流れでポケセンの出入り口へと歩き出した。
……ミィはそのまま図書館に向かうらしく、早足な感じで出口を潜ってしまったけどさ。
「うーん……インタビューって、何をすればいいんだ?」
先行し、時折振り返りながら、オレを手招きするショウ。どうやら逃がすつもりはないらしい。オレにもクルミちゃんの相手をしろと、そういうことなのだろう。
仕方が無い。慣れない事でも、やっておいて損はないだろう。スコアを眺めるのは部屋でも出来る。しかも部屋でやればショウの解説付きだ。というかエリトレは職業上、バトルの情報戦という意味では別にしろ、世間に名前を売っておいて損はないのだし。
「それに、クルミちゃんとアオイちゃんから大会参加者の情報もちょっとだけ聞けるかもしれないしな」
そう考えればオレにも十分な利はあるだろう。
なので鞄を抱え、ボールの中のポケモン達にもうちょっと待っててくれよと話しかけておいて。ボールがカタカタと揺れたのを確認して、多少ゆっくりながらも、2人の後を追うことにしたのであった。
……。
……。
「……。……あ、あれー。わたし、話題も移動も置いてかれてるよね? ちょ、ちょっと待ってよー、ショウ君!」
アオイさんファン(とナナミさんファン)の方には申し訳ないですが、とりあえずこの辺で。
書いているときりが無いもので……。ご容赦土下座。
ですが大丈夫です。出番の機会は用意してあります……!(多分)
>>ナース
診療の補助などを行う人の事。
BWにて登場いたしましたトレーナー職。ドクターと同じく、バトルの後は回復役となってくれます。
前話あとがきより、続き。
とはいえ、この方達(ナース)とジョーイさんは何が違うのか……語源的にもポケモンドクターの女性版がジョーイさんなのか。ですがそうなると医療の主体となる方がポケセンでは受付をしていることになってしまいます。だとすると医療事務も兼任なのか……というかアニメの描写的にポケモンは外科的処置+謎の機械で回復をしている筈(ゲームのポケセンにジョーイさん1人しかいないのは流石に演出もあるでしょう)なので、そもそも専門技術は備えている必要が……あ、でも、知識がないと治療の判断が出来ないのでやっぱり専門技術は必要ですね。ただしそれだと医療機器担当のMEさんも兼ねていることに。うーん。そもそもポケモンって「ひんし」からの回復と医療は違うのでしょうし、道具を使うなら資格は必要なさそうですし。なのでジョーイさんはポケモンセンターを運営する為の複合資格という事にしてしまいました。もちろんポケモンドクターも複合資格で、トレーナーの上級資格はその1つとしておきましょう。ジョーイさんとの違いは、治療の主体がポケセン機器か外科的処置かという辺りに置いておくとして……(以下略。
↑ ここまで全て無駄思考。
>>ナナミさん
折角の(久方振りの)登場シーンが、
全体的に、
クルミさんに持っていかれている。
どうしてこうなった……(ぉぃ
ただ出番がない症候群の彼女も、これにて、ポケセンで出会える素敵なお姉さんに。
……だからそもそも本編でタウンマップを貰う以外に出番はあるのでしょうかと。
▼チユ、イチイ、ミライ
BW2に登場。トレーナーではなくジョインアベニューのオープンスタッフとして活動をしている方々です。
初期配置なら、チユさんはナースで回復。イチイ&ミライは自職選択などの人員管理をしてくださっているエリトレグラフィックとなっています。
……どこまで脇役を出せば気が済むのでしょうね、駄作者私!