ポケットでモンスターな世界にて   作:生姜

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Θ57 戦況、御把握

 

 

 ―― Side ミィ

 

 

 カントー北部に位置する水の街、ハナダシティ。

 ただし事ここに至っては、大量の野生ポケモンが逃走しているその先に「あってしまった」不幸な街と表現しておくけれども。

 

 因みに、私は黒尽くめの戦闘服からいつものよりは若干アクティブなゴスロリ衣装へと着替えていたり。身体の前に掛かったチェック柄のエプロンが目立つこの格好は、過剰にヒラヒラとはしておらず動きやすいために、最近の私のお気に入りでもある。

 そんなこんなで「私達(・・)」はハナダシティの南側に立ち、次第に強くなる風と雨脚の中で、先から走り寄ってくる黒い点の群れ(ポケモン達)を目に捉えつつ話し合っていた。

 

 

「さて。随分と、大群でお越しのご様子ね」

 

「でも、あれはわたし達だけで相手になるのかしら? 大分心配なんだけど……」

 

「……ふ、わぁ……。まぁ、相手になるかどうかはさて置くとしまして。『相手をしなくてはならない』のですわ、ナツメ」

 

「んんーーっ! よし、充電完了っ! あたしはいつでも行けるよ、ミィ!」

 

「あらら。カスミはいつにも増して元気ねぇ。……ならワタシも姉として、ジムリーダーとして。この街の為に頑張るとしますかぁっ!!」

 

 

 順に私、ナツメ、エリカ、妹カスミ、姉サクラという女性陣。更に、

 

 

「おれの岩ポケモン達は、守ることに関してはピカイチだからな。うん、こうして街を守るのもジムリーダーとしての職務なんだし、全力を尽くそうじゃないか!」

 

「オウ、何気にグレートなメンバーだナ! ミーも含めてジムリーダーが6人もイルゾ!?」

 

「うーん! こりゃ、わざわざグレンから遠出してきてみて正解だったみたいだな! わっはっは!!」

 

 

 後半は救援のタケシ、マチス、カツラという男性陣。

 ……そして、重ねて更に。

 

 

「さぁ、みせてやろう。カイリュー!」

 

「ここから先へは進ませないわ。わたしと氷ポケモンの実力、存分に発揮してあげる!」

 

「む。……あれらが相手か。不足はない」

 

 

 お聞きの如く、私が収集をかけたワタルとカンナとシバのゲームにおける四天王3人も合流してくれている。……えぇ。昼過ぎまで一緒に暴れていた幽霊使い(キクコ)がこの場にいないのは、とりあえず気にしないでおきましょう。他にもカラテ大王や各ジムのトレーナーなんかも集まっているのだし、これならナツメのいう「戦力」については何とかなると思うの。

 

 さて。

 ハナダシティはヤマブキから見れば比較的高台に位置する、山間かつ川間(かわあい)の街。北西にオツキミ山、東にイワヤマトンネルを配していることから、野生ポケモンの生息域に事欠かない立地でもあるわね。

 そんな街へ野生ポケモンが大量に侵入してしまえば、その被害たるや想像すらつかない。となると、侵入を許さない為に、こうして防衛線を張る必要性があったという訳。

 ……それじゃあ、最後の確認をしましょうか。

 

 私はトレーナーが大量に集まったせいで出来上がっている人ごみの中心で、大きく左腕を上げながら右手に拡声器を持ち、声をあげる事に。

 

 

「皆、聞いてくれるかしら」

 

 

 まず辺りにいた主要メンバーが此方へと振り向き、次いで3桁にも届こうかというその他の「率いられる」メンバー達も視線を向けてくれる。

 そして、視線が集まった所で。

 

 

「最終確認をするわ。……まず、予想される野生ポケモンの侵入ルートは2つ。空からの侵入ルートに関してはそのままハナダの上空を通過するでしょうから、ここでは陸路におけるものだけを挙げるわ。……さて。その1つ目が、今目の前にあるヤマブキ~ハナダ間の急勾配、5番道路を駆け上ってくるルートよ」

 

「このルートが主要防衛点です。ミィの他にわたくしエリカと、ナツメと、それにマチスさん。あとはカスミとサクラのハナダ姉妹に防衛を担当していただきますわ」

 

 

 横に立つエリカが加えて説明を行い、後ろにいるメンバー達が説明に沿って情況確認を行う。人によっては地図に戦況を書き込んだりもしているみたい。これなら大丈夫かしらね。

 私はエリカへありがとうと感謝の意を伝え、2つ目のルートについての説明を始める。

 

 

「2つ目はオツキミ山手前の『4番道路』と『ハナダシティ』、そしてハナダ南側にある『5番道路』……これら3箇所を囲む岩山の『三角地帯』へ逃げ込むルート。位置的には、ここから南西に下った所になるわね。特に知能が高く戦い慣れした野生ポケモンは私達の前衛を回避してここへ逃げ込むでしょうから……担当リーダーはタケシ、カラテ大王、カツラ、カンナ。タケシとカラテ大王、カツラとカンナは定置としておいて……そうね。カンナのチームのワタルは、機動力があるから遊撃を担当して頂戴」

 

「ああ、わかった」

 

 

 今回のメンバーの中で唯一ジムや大企業、研究班等とは関係なく『一般トレーナー』という立場で参加したワタルが、とても良い笑顔で承諾する。既に7つのジムを突破したという彼とジムリーダーたちは顔見知りであり、その実力もわかっている為、ワタルが今回の作戦へ参加することへの異論は出なかった。

 ……それに四天王であるカンナが認めている、というのが大きかったわね。シバに関しては(道場自体がジム候補としての実力もある)カラテ大王の一派に属してもらっているから、リーダー格ではないのだけれど。

 

 さてと。この話はともかくとして、本題を続けましょう。

 

 

「では、その他の指針についてお話するわ。ハナダの東……9番及び10番道路に逃走するポケモンについては、放置しましょう。あちらへ逃げたのであれば、ポケモン達は野性に(かえ)ってくれるでしょうから」

 

 

 向こうにあるのは無人発電所とイワヤマトンネル、あとは廃棄された工場群くらいのもの。ゲームでは存在していたイワヤマトンネル前のポケモンセンターに関しては現在建設されていないから、問題が起きたとしても処理は後々で間に合う筈。

 

 

「次に、野生ポケモン達に街中まで押し込まれた場合。この場合、私とハナダ姉妹……それに遊撃として行動するワタルが街中まで戻って対応する予定。ただし、その場合。各々のリーダー達が余力があると判断するのであれば、街中へ戦力をまわして頂戴」

 

 

 街中の人達は、既に北側にある「ハナダの岬」まで避難してもらっている。けれど、街へ攻め入られたのであれば対応する必要もあるでしょう。街中に野生ポケモンがいては、後々が大変なのだし。

 私からの注意事項伝達にまずリーダー達が頷き、次いで小波のように他トレーナー達も頷き始めた。それじゃあ、

 

 

「……それじゃあ、各自行動を始めてくれるかしら。先遣隊は既に動いているから、合流してあげて」

 

 

 この言葉を放つと、各人がそれぞれに動き出そうとする。……けど、あら。そういえば1つ、伝えるのを忘れていたわね。

 私は拡声器を持ち直し、

 

 

「あと少しだけ、付け加えておくわ。……皆、自分の行動については逐一リーダーに報告を忘れないで頂戴。それに勿論、安全が最優先よ。いざという時に居場所が判明していないと危ないのだし、何事も貴方達の命には代えられないのだから。お願いね」

 

 

 口元に微笑を浮かべながら、いつもよりも心なしかしおらしい声で。

 動き出していた人達の動きが少しだけ止まり、暫くの間雨が地に落ちる音だけが響く。

 そしてその後、

 

 

「「「ハイッ! 了解ですッッッ!!!」」」

 

 

 集まっていたカントー指折りのトレーナー集団は、とても元気の良い返事を返してくれたのだった。

 

 

「……相変わらず人を使うのが上手いのね、ミィ。職業柄なのかしら?」

 

「人聞きが、悪いわね。ナツメ。これは必要なことなのよ」

 

「そうですわね。後は男のジムリーダーの皆さんに、上手く『ムチ』を使ってもらうだけですもの」

 

「……いえ、だから。……そこまで狙ってはいないのだけれど」

 

 

 いつもの2人に挟まれながら話すものの……本当にそこまでは考えていないわね。ただ、この集団を纏めるのに「もう1押し」が必要だとは思ったのよ。ただし言われている内容自体については否定出来ないのだけれども。

 

 ……で。そんなやり取りをしている内にも先遣隊の2波が出立し、オツキミ山方面の部隊も四天王であるカンナを筆頭にして動き始めている。それなら ――

 

 

「私達も、始めましょう」

 

「えぇ。……ヤマブキのエスパーの力、見せてあげるわ!」

 

「そうですわね。わたくしも、草ポケモンの華麗な舞をお見せしましょう!」

 

「いっくわよーッ! 攻撃こそ最大の防御ーッ!!」

 

「……わたしの妹、どうして『こんなん』になっちゃったのかしら。姉としては結構心配なのよねー……。ま、いいけどさ」

 

「HAHAHA! ゲンキがあるナ、アクティブガール!!」

 

 

 言いながら、ジムリーダーたちも各自モンスターボールを取り出して戦闘態勢を整える。私もボールを取り出しておきましょう。そう考え、コートから白塗りの初期生産型モンスターボールを取り出すと、

 

「(……雨)」

 

 ―― ザァァァァ……

 

 降り続けていた雨が、より一層の濃さとなってきていた。これは、土砂降りと表現しても誇張ではないでしょう。

 雨粒がフードを伝って落ち、濡れたモンスターボールが曇天を映して鈍い輝きを放つ。

 ……けれど「雨」という天候は、この日ばかりは私たちに味方をしてくれる筈。なにせ、そのためにマチスとハナダ姉妹をこちらのチームに配置したのだから。

 

「(……さて、戦況はどうかしら)」

 

 思考を終えて視線を前へと移し、双眼鏡を覗き込む。すると、数キロ先からポケモン達が黒い塊となって駆けて来ているのが見えた。あの中には先遣隊として戦っているトレーナー達もいるのでしょうけれど……そうね。野生ポケモン達自体に罪はないとはいえ、このままではハナダシティが大変なことになるのは当然でしょうという程の数が、走り寄って来ているの。

 

 ―― カタタッ!

 

「……あら」

 

 

 思わずモンスターボールを強く握りこむと、カタカタと揺れた。どうやら皆、私を励ましてくれているみたい。そうね。期待には、応えたいもの。

 私は双眼鏡を懐へとしまい、このポケモン達の主として、胸を張って前を向く。

 

 

「……そろそろ、行きましょう。戦線を押し上げるわ」

 

「了解よ」「心得ました」「行っくぞー!」「行きましょーか!」「イエスマム!」

 

 

 一歩を踏み出し、坂を駆け下り始める。

 ジムリーダー達は走り始めた私の後を着いて来ていたけれど、私よりも歩幅が広いため、直ぐに前へと追い越していく。

 その勢いを頼もしく思いつつ ―― そう。最後の戦いが「始まる」というのは、言葉としては正しくとも……違うわね。

 

「(最後の、戦いに。『してみせる』のよ。私達の力で)」

 

 私は心の中で宣言をしながら、更なる一歩を踏み出して行く。

 

 

 ―― Side End

 

 

 

 ――

 

 ――――

 

 

 

「っと、この辺からは登りか。……現在地はゲームで言う育て屋老夫婦の居た辺りなんだが」

 

 

 俺ことショウはヤマブキゲートを潜りハナダシティの郊外に達した所で自転車を止め、未だ解除していない女装の小物である四次元ポシェットへとしまう。勿論、重要な移動手段となっている自転車をしまったのには理由があるからな。

 

 ―― これ見よがしに目の上で水平に掌を当てている俺の視線の先は、段々畑のように階層になっていたり、急勾配の上り坂となっていたりしているんだ。

 

「(そういえば、ゲームじゃあ育て屋夫婦のとこだけ『降りジャンプ』でしか入れなかったんだっけ。HGSS辺りからは、育て屋の周りは都合の良い廃人ロードが設置されてたからなぁ)」

 

 なんていう思考はしかし、問題点ではないのだからして。

 本当の問題点は別にあるんだから、ここで思考を切り替えよう。

 

 

「さぁて、野生ポケモンの集団逃走ねぇ。結構な大事(おおごと)だよな」

 

 

 そう。ただいまこのカントー地方は、非常に大きな混乱に包まれている。

 その原因の1つこそが、カントー南方からミュウツーのプレッシャーに追い立てられ逃げてきた野生ポケモン達である。逃走予想経路ど真ん中にあったヤマブキシティはゲートと壁に囲まれた街であるため、野生ポケモン達は一旦は迂回しその数を減らしたのだが……結果としてミュウツーはヤマブキにも現れたんで、ハナダまで逃げてきているポケモンも数多いという次第だったのだ。

 先行してきているミィやらエリカやらナツメ、他にも連絡を受けたサクラなんかの各ジムリーダーとジム員が事態の収拾にあたっているらしいんだが……

 

 

「……えぇと、うっわぁ。これ、どうすりゃいいんだ?」

 

 

 こうして見る限り、どうやら5番道路は最激戦区となっているらしい。……いや、だってさ。

 俺の目の前では ―― カントー全土から集まったかの如く非常に多種多様な野生ポケモン達が、登り坂の先で待ち受ける、ひっじょーに見覚えのあるジムリーダー達と大規模集団戦闘(レギオンレイド)よろしくのポケモンバトルを繰り広げているんだから。

 

 

 ―― 、ァァァ……

 

 《ゴロゴロ》――《ピシャァァンッ!!》

 

 ワァ ―― ァァッ!

 

 

 イッシュ出身のネイビー的なエレクトリックジムリーダーとそれに率いられるトレーナー達が、雨中の必中『かみなり』なんかで野生飛行ポケモン達の相手。

 タマムシシティのお嬢様ジムリーダー率いる集団が草ポケモンで、野生水ポケモン達の相手。

 ナツメ率いるヤマブキ勢とカラテ大王のおっちゃん率いる格闘道場勢は、貴賎なく他のポケモン達を相手取っているとみえる。

 

 因みに「相手取られる」ポケモン達の内訳は、オニスズメ、ゴルバット、レアコイル、ゴルダックにコダック。遠くセキチクから逃げてきたのであろうラッキーやらメタモンやらドードリオ。どこぞから現れたマルマインなんかも大集合しているのが見えるなぁ。

 ……これはあれか。ゲームでハナダの洞窟に出現してたポケモン達が集ってるって事か! 初代とリメイクのが混ざってはいるけれどもっ!!

 

「(……なんてな。一応驚いてはみせるし、ミュウツー戦に手を抜いてた訳じゃあないけど、予想はついてた)」 

 

 あー……まぁ、テレビで野生ポケモン達の大逃走というニュースを見かけてから、予感はあったのだ。同時に最終決戦はハナダシティ辺りになるであろうとの予測もな。

 

 

「さてさて、さてさて……どうするかね? ホントに」

 

 

 この光景を目の前にして、少しばかり考え込んでみる。

 回り込む……のは、うーん。どうなんだろうな。自転車が役に立たない状況であるからには、時間が掛かる。って事はあんまり好ましくはないかなぁ。

 このまま後方から野生ポケモンを挟撃……は、折角『逃げてくれる』野生ポケモンを引き止めてしまうだけだ。長引いても良い事ないし、逃げてくれるポケモン達にはさっさと逃げてもらったほうが楽ではあるな。うん。

 となれば、やっぱり。

 

「(俺としてはハナダシティの中に突撃出来るのが、一番良い状況ではあるんだよなぁ)」

 

 前線にミィやハナダ姉妹の姿が見えていないという事は、既に街中まで侵入されている可能性が高いのだ。そんなんなら、俺も戦力として街中に入れると良いんだが……うん。「振り返り」はここまでにしとくか。

 

「(そろそろ約束の時間なんだが……)」

 

 俺は思考をここで切り、『先程トレーナーツールで連絡しておいた頼みの綱』の姿を探すため、辺りを一通り見渡す。

 すると、郊外の林の中に……

 

 ――《シュンッ!》

 

「……来たわよ! 急いでるんだから早く来て! ショウ!!」

 

 

 フーディンの『テレポート』によって引き連れられ、エスパー少女ことナツメが迎えに到着してくれたのだった。

 ナイスタイミングっ! そして、やっぱりエスパー頼みかっ!!

 

 

 

 

ΘΘΘΘΘΘΘΘ

 

 

 

 

 ―― ハナダシティ

 

 

 《ギ、ギィィ……》

 

「お邪魔しまーす……って、うぁぅ」

 

「あー、あの時の女の娘! 久しぶりっ!」

 

「ありゃりゃん。来てくれたのねー。ありがとう、シ……じゃなくて。えぇと、ど忘れしちゃったわ。アナタ、名前なんだっけ?」

 

「うわぉぅ! ルリちゃんですかぁっ!?」

 

「はい、どもです。因みに名前はルリで間違いないですよ。カスミちゃんとサクラさんには、オツキミ山で『遭い』ましたね。……クルミさんは、もしかしてですが、アオイおねーさん経由で伝わってましたかね」

 

「その通りですぅ」

 

 

 ハナダシティにあるプール……ではなく、ハナダジムな。ま、プールといっても過言ではないこの場所の扉を開いてからの、第一会話がこれなのである。

 周囲を見てもハナダジムのジムトレーナーの細かい人以外は結構な割合で知り合いばかりであるため、女装の解除時期を完全に逃した俺にとっては戦々恐々の状況だったりする。

 ……ん、とりあえずは正体を「知ってくれている」サクラが上手くやってくれることを祈っておくか。むしろ、ハナダだのヤマブキだののジム員も「オツキミ山事変」には参加してくれていたんで、俺こと『ルリ』を知ってくれているんだから、解説がいらなくて好都合だろう。

 

 そんな風に顔合わせをしている中、後から入ってきたナツメがいつもは自動で開くはずのジムの扉を手動でバタンと閉じ、こちら全体へと声をかける。

 

 

「……顔合わせは済んだかしら?」

 

「うぃっす」

 

「それなら早く始めましょう。南側の指揮は父さんに任せてきたけど、事態は一刻を争うのよ?」

 

「ま、そですね。ではでは」

 

 

 ナツメに催促されてしまったが、もとよりそのつもりだったのだ。

 俺は既に左手に持っているカントー北側を拡大したタウンマップをばさりと床(の様なプールサイドなのだが)に広げ、周囲に集まった人垣の2列目までをしゃがませ、多人数が見えるような陣形を作ってから話し出す。

 

 

「まずは状況確認ですね。あたしが知っている状況を吐き出していきますから、皆さんも頭の中で整理すると同時に、疑問やら違う点があったら指摘を下さいです。……まず、5番道路を駆け上って進行して来るルートに関しては、あの感じなら持ちこたえることが出来るでしょう。ここはこのままで問題なし、としておきたいですね」

 

 

 ミィが立てたのだという作戦は、ここに来るまでにナツメから聞いた戦況によると、概ね上手く進行していたらしい。

 ……そう。『概ね』は。

 

 

「ですが、問題点もあります。5番道路に戦力が集中してしまいました」

 

「む、そだねぇ。カラテ大王にタケシ、カツラさんにも『三角地帯』から援軍に来てもらってるからさ」

 

「で、でもあれは仕方がないですよぅ!」

 

 

 俺の指摘に解説を加えてくれたサクラの台詞に、……ハナダへ中継に来ていて、逃げるタイミングを失ったせいで街中に閉じ込められてしまったのだという……クルミが返す。クルミは中々に戦えるポケモントレーナーでも為、街中での戦いにゲリラ的に協力してもらっていたらしい。

 で。サクラの言葉に「仕方がない」と反論したクルミが、続けて口を開いた。

 

 

「あの『白いポケモン』さんが来なければ、『三角地帯』の人達が大打撃を受けることもなかったですよぅ?」

 

「あれは……『数』で押し切るのは無理だったわよね。それこそジムトレーナーくらいじゃあ、ムリムリ!」

 

 

 聞いての通り、どうやら俺がここハナダへ到着するまでの間、かのミュウツーがハナダの南西へと顔を出し、4番道路と5番道路の間である地帯にて強敵トレーナー達と「大遊び」していたらしい。

 確かにクルミの言う通り。ミュウツーが来なければ『三角地帯』が大打撃を受け、「実力の高いトレーナー数名以外を残して5番道路へ集中させている」なんて今の状況には至っていなかっただろうな。

 ……なにせあのミュウツー、『攻撃の範囲が異常に広い』からなぁ。ただトレーナーとポケモンの数を集めるだけでは、むしろ邪魔になってしまうのだ。

 

 

「因みに、残ってくれているトレーナーはカンナさんが選抜したわ。四天王が選んでくれたのなら、文句も出ないし」

 

「……それでミュウツー戦に向かってるのが……」

 

「えっと、ミィちゃん、カンナ様、ワタルさん。あとは……カラテ大王のおじちゃんのお弟子さんポイ人と、突然出てきたユーレイおばぁちゃんっ!」

 

 

 カスミが指を折りながら、ミュウツー戦のために『三角地帯』へと向かったトレーナーの名前を挙げていく。1人だけ様付けだったカンナに関しては、ゲームでも憧れていた的な描写があったから、まぁいいか。

 ついでに、お弟子さん……てのは、多分シバ。幽霊ばぁちゃんもキクコで間違いないだろうから、ふぅむ。かの地にはゲームでの四天王がリアルに大集合していることになるんだが。

 

「(こりゃ、さぞや豪華な光景になってるだろーな)」

 

 これならミュウツーも御満悦に違いない。その勝敗はともかくとして、ではあるが。

 ……ふむ、と。

 

 

「さってと。それで、ルリちゃんも行くんだよねー?」

 

「……ま、そですね」

 

 

 ある程度まとめたかと考え俺がボールに手をかけた所で、ハナダのジムリーダーたるサクラが声を発していた。とりあえず、生返事を返しておく。

 

 例えば名実共にこの街のリーダーである彼女は、この街を離れて郊外である『三角地帯』へと……VSミュウツーの決戦へと、向かう訳にはいかない。雨中であるために大活躍できるであろう水ポケモンのジムリなのだから、尚更だ。

 例えば遂に夢を叶えてジムリーダーの立場と「なってしまった」ナツメは、南側の指揮を父に任せているとはいえ、だからこそ街内部の戦線からは離れる訳にいかない。

 南側で奮戦中のミィから指揮権を移されたエリカや、エスパージム軍の半分を引き受けているナツメ父。さらには必中『かみなり』で思う存分暴れているのであろうマチスさん達も然りで、5番道路の防衛を放棄は出来ない。

 ……つまり。

 

 

「ここで動けるのは、『あたし』だけですよね?」

 

「ま、そうよねー。……うん。ルリちゃんにも『あのポケモン』の相手を、頼めるかしら? あたしはやっぱり、この街を守りたいから」

 

「はいはい、了解ですよ。あたしが声をかけたオーキド班の援軍がもう少しで来ますんで、期待しといてください。えーと、多分班員である眼鏡の女の人がいますから、『ハンチョーからの言伝だ』って言って……よし。今の状況確認まとめを書きました、この手紙をお渡しくださればと」

 

「ほい。確かに受け取ったわー」

 

 

 サクラへ、間もなく到着予定である我が班員にもすぐさま状況が伝わるように書いた手紙を渡しておく。これで恐らく、班員及び援軍達を上手く振り分けてくれることだろう。うむ、これで良いかな。

 

 さぁて、うっし。これでやっと、俺がすべき ―― やりたい事が、あと1つだけになってくれた。

 全てはこのため。この後のために、俺は今までバトルの練習をしてきたのだ。切り札も含めて全てを出し尽くし、それでも勝てるかは分からない。そもそも勝つのが「正しい」のかどうかも分からないし。

 ……まぁ今となっちゃ、ポケモン勝負は趣味みたいな部分も多分に含んではいるけどな。このため『だけ』にとは、既に言い切れはしないのだ。

 

「(……うし。行くか!)」

 

 俺は、電源が落ちている為に薄暗くなっているハナダジムの内側から、入口のドア越しに外を見る。

 未だ曇天の空と、街中に鳴り響く警報音。そして遠くから、重く響く鳴声と雷鳴。

 それらを聴きながらドアの手すりに手をかけ、

 

 

「それでは皆さん。この街をお願いしました、です。あたしゃあ郊外のやつを相手しに行きますんで!」

 

 

 中に立つ集団へ、とても元気良く。

 

 

「任せたわよ、ルリちゃん!」

 

「良いわ。こっちは任せて、行って来なさい!」

 

 

 まず返ってくるのは、それぞれのリーダーの声。「任せた」との気持ち弱気な声援に、「行って来い」との切れ味鋭い応援だ。そして、

 

 

「任せたぞ、嬢ちゃん!」「お願いねー!」「負けたら承知しねぇぞ!」「行って来い!」「ツインテーェェル!」「お

気をつけて!」

 

「ニュロ、モモッ!!」「(……)」コクコク「グワ! グワワ!?」「ギャララ! グオ゛ォ!」「……ビチッ、ビチッ」「バリバリ! バリリィ!」

 

 

 この街の人々だけではない。沢山のジム員達、そしてポケモン達からの声援を受けた。

 しかし ―― それらが鳴り止んだ頃合。俺がドアを開け放ち、一歩を踏み出した時。

 

 

「―― わ、わたし! ルリちゃんと一緒に行けますぅっ!」

 

 

 眼鏡をかけた少女が、おっかなびっくりな様子で名乗りをあげたのだった。

 

 

 

 ――

 

 ――――

 

 

 

 ハナダシティを出てから西へ向かう間、数度野生のポケモンと遭遇する。

 そのどれもが強力な野生ポケモンであるのは……成程。あの軍団の中をここまで「逃げ続けてこれた」ポケモンは、カントー地方屈指の高レベルであるという事なのだろう。

 これはもう出し惜しみしている場合じゃあないな、と!

 

 

「頼んだ、ミュウ!」

 

 《ボウン!》

 

「―― ンミュッ!!」

 

 

 ボールから飛び出たミュウが、「出て良いの?」と問う視線を此方へと向けたのも束の間。目の前のドードリオに向かって素早く『メガトンパンチ』を繰り出した。ドードリオの持つ3つの頭の内怒っているそれを出会い様で的確に殴り倒したミュウは、空中で宙返りしながら素早く距離をとる。

 その間を埋めるようにクチートを走らせ、

 

 

「クチート! 『かみつく』です!」

 

「クゥ、チィ!」

 

 ――《ガブゥッ!》

 

「ド!」「ド!?」「ドォォォド……」

 

 フラッ ―― ドスンッ!

 

 

 クチートはブンッと鋼の顎を振り回すと、ドードリオの喉元へと『かみつく』。暫く鳴声を上げた後、ドードリオの巨体が地面に倒れた。そして素早く、もう1体!

 

 

「ピジョン! (『でんこうせっか』!!)」

 

「ジョッ!」コクッ

 

 

 頭上のピジョンへサイン指示を出し、同時に「俺の隣にいるトレーナー」も自らのポケモンへと指示を出す。

 

 

「ネムリン! 『サイコキネシス』ですよぅ!」

 

「……ムフッ」

 

 

 奥にいる水色の身体、ゴルダックに向かってピジョンが一気に飛翔。

 そして隣にいるトレーナーこと、クルミ。彼女の手持ちである「ネムリン」 ―― スリープは指示に従い怪しく両手を動かすと、ゴルダックに向かって「1点を基点として広がる」念波を放った。

 

 

「グワワッ!?」

 

 ―― ォォ、 ―― ポシャンッ

 

 

 『サイコキネシス』に襲われ、かつ予想外の距離を一気に詰めてきた『でんこうせっか』も横合から直撃。ゴルダックを俺とクルミが走る道の脇にある川へと落とすことに成功した。

 ……うーん。これ、経験値はどうなるのやら。倒したんなら、入るとは思うんだけども。

 そんな無駄思考を少しだけしておいて……ここまで連戦もいい加減にして欲しいほどのエンカウント率だったからな。手持ちの状態確認に入ろうか。

 

 

「ミュウ、クチート、行ける?」

 

「ミュミュ♪」「ゥゥ、チィ♪ ガチン、ガチッ!」

 

「えと、だいじょぶそうですね。……おかえり、ピジョン!」

 

「ジョーォ!」

 

 

 中空に浮かぶ1体と肩に止まる1体、そして足元に擦り寄る1体を撫で、ピジョン以外はボールに戻す。もう一方の手ではポケモン図鑑を弄り、手持ち状態確認画面を表示。どうやらHPが緑ゲージ以下になった手持ちはおらず、状態異常もかかっていないみたいだな。……申し訳ないけど、まだまだ先は長いし。皆には頑張って欲しい所か。

 

 

「ふぅっ! ……戻ってくださぁい、ネムリン!」

 

「ムフッ!」

 

「お疲れ様です、クルミさん。……スリープも、ありがと」

 

「ネムリンは強いんですよぅ? この程度じゃー負けません!」

 

 

 スリープをボールに戻すと腰に手を当て胸を張り、えっへんとでも言うように笑うクルミ。

 クルミが言うように、確かにこのスリープは高レベル。図鑑のレベルチェック機能によるとレベル33であるとの事だった。

 ……いやさ。俺も、「なんぞ」とは思うけどな? トレーナーとの相性で低レベル進化するポケモンがいるということは、多分、進化レベルが引き上げられるってな事もない訳じゃあないんだろうと思うんだ。うん。

 

 そんな風に自分を納得させておきながら手元では「むしよけスプレー」を取り出し、自分とクルミへ噴射する。これは、あれだ。ギアナでも思ったけど、キン○ョールぽい匂いがするんだよな。

 

 

「ぅわっぷ」

 

「ピ……ジョ」フルフル

 

「うし、ピジョンは終わり。クルミさんもガマンして下さい。なるだけ戦闘回数を減らしたいですからね」

 

「それはそうですが……」

 

 

 一旦言葉を切り、クルミが辺りを見回す。

 ―― ハナダの西側に広がる、岩山然とした瑞々しさの少ない台地。オツキミ山緩やかなのぼりとなっている4番道路が、俺たちの現在地なのだ。

 ずぅっと続く坂道に、嫌気が差してきたのだろう。クルミは如何にも疲れた、といった表情で続ける。

 

 

「まだ着かないんですかぁ? もう、4番道路には入ってますよね?」

 

「はい。それどころか既に4番道路を出ようかという位置ですよ。報告からして、最終的にはもうちょっと北まで移動しなくちゃあいけませんけどね。ほら」

 

「……うひゃぁ。もうこんなに来てたんですか」

 

 

 クルミが大仰なリアクションをしながらマップを覗き込み、……そろそろか。

 俺はコートの中へとマップを収納すると、ピタリと立ち止まってクルミを見る。

 その視線にクルミも立ち止まった所で、さて。どうやって切り出すべきかね。率直に行くべきか。

 

 

「んー……とりあえず。クルミさん」

 

「はぁい? なんですかぁ?」

 

「このままあたしを手伝ってくださるのなら、カメラを取り出してもいいですよ」

 

「……」

 

「ピジョ?」

 

「クルミさんのスリープ……あー……『ネムリン』とかニックネームがついてる方のスリープです。あの子、とてもお強いですからね」

 

 

 ピジョンはそうなの? とばかりに首を傾げているが……何故かクルミの手持ちは2体、どちら共にスリープ。片方は未進化高レベル、もう片方は低レベルなつき度ゼロという両極端且つ非常にマニアックなチョイスをしているのだ。

 ……あぁ、そうだそうだ。本題の続きといこう。

 

「あぁ因みに、そういえば。貴女が来るといった時点で、撮られるのは覚悟しています。いくら『エース級』がいるとはいえ、手持ちがスリープ2体だけで着いて来ると言って下さった貴女の根性も、評価したいです。どです?」

 

「……ふむぅ。中々に腹黒さんですね、ルリちゃんは」

 

「いえいえ。貴女ほどでは……って、違いますかね。あたしはともかくとして貴女の場合は、被っている仮面が『濃すぎる』だけ……つまるところ、キャラとのギャップのせいでそう感じるだけでしょうよ」

 

 

 そう。「この人」が只でこんな危険を冒すはずはない。ホウエンにおける解説、アレを聞く限りじゃあ……あの口調とボケ芸にはぐらかされはするものの……彼女がポケモンに対する深い知識を持っているのは読み取れた。恐らくは仕事(アナウンス)の為に叩き込んでいるのだろう。

 そんな彼女が、「巻き込まれた」なんて理由でハナダに残っているって言うのは、可能性がないと言い切りはしないけど、それこそ低確率だろうと考えていたからな。

 俺の呼びかけによってちょっとだけ素を見せてくれたクルミは、腰につけたポシェットからハンディサイズのカメラを取り出した。シルフ製の最新型であるそのカメラは、報道者が常時持ち歩いている人気商品だとミィから聞いたことがある。

 

 

「……ルリちゃんがそんな事を、態々こんな場まで来て言うという事は、ギブ&テイクなのですか。……ではでは、遠慮なく撮らせて貰いますよぅ?」

 

 

 にへら、と。この状況でもこんな笑みが出来る彼女は、かなり肝が据わっているのであろう。

 

 ……まぁ、俺がクルミの同行を許可したのは、このため。「ルリとしての活躍をカメラで撮って貰うため」なのだ。

 ヤマブキで出会ったサカキの「仕込み」は、ミィとの連絡からある程度予測はついている。その内容からして、俺は未だ女装を解く訳にはいかなくなっている訳なのだが……うん。個人的にはもう衣装を投げ捨てたい気分なんだけどな。それはともかくとして。

 「仕込み」が成功している時点で、ロケット団の勝利は確定してしまっているのだ。なればこそ、俺としてはこのもう1人の自分……「ルリ」の知名度を上げておいて損はないと思う。

 

「(……まぁ、知名度を上げたせいで起こる『弊害』もあるけどな。それは後回しだ。こいつらに申し訳ないとは思うけど)」

 

 少しだけ感慨深くここまで付き合ってくれている手持ち達の事を考え、隣を跳ねているピジョンのたてがみを撫でてみる。ピジョンは非常に気持ちよさそうな表情をしてくれている……が、まだ終わってはいないのだ。ここで気を抜いちゃあいけないな。

 気を引き締めなおし、俺は再びクルミと共に前へと目を向ける。北は……あっちだよな。大きな山の見えてる方。

 

 

「さてさて、この先からはハードモードです。……せめて、クルミさんがこの先でも笑顔でいてくれることを祈りますよ。目指すはあっち、オツキミ山の裾野に含まれている山です」

 

「危険なのは重々承知ですぅ。ではでは、いきますk

 

 ――《ッ、ガァァォンッ!!》

 

 ……やっぱ行きたくないかも知れないですよぅ」

 

「ピジョッ!?」

 

「根性見せてください、クルミさん。……そんじゃ」

 

 

 俺達が向かうべき場所辺りで響いた、大きな爆発音。

 恐らく、ミュウツーがヤマブキでも使用した技……『サイコブレイク』を使ったんだろう。「物理攻撃でダメージ計算される特殊攻撃」というなんとも面倒な仕組みを持つその技は、BW以降におけるミュウツーの専用技だ。中々に高威力を誇るエスパー技であり……ま、ここで重要なのは技の効果じゃあないんだけどな。ミュウツーがその技を覚えるレベルこそが問題なのだ。

 

 

 《ズゥゥゥ》

 

 ――《グニャァッ!》

 

 

 遠くの空一面、曇り空が歪んで見える。

 あの山の向こうは、俺が何度も対峙した件のポケモンを倒すならば、この地をおいて他にない程に最適な場所の筈。

 

 ハナダの北側 ―― 今はただのオツキミ山の一部である部分。

 ゲームにおける呼び名は、『ハナダの洞窟』。

 

 

「……さぁて、行きますかぁ!!」

 

「ピジョジョオ!!」

 

 ―― カタタ、カタタタッ!!

 

 

 揺れるボールを感じながら、またも走り出す。もう少しで丘を越えられる。目の前の丘さえ越えれば、見えてくるだろう。

 戦闘中の四天王+ミィ、そして……同時に。

 

 ―― 『サイコブレイク』を習得できる、「レベル100」に達しているであろう、ミュウツーの姿もな!

 

 

「……わたし、早まったかもしれません。生きて帰る事が出来るんでしょうかねぇ」

 

 

 未だ曇天に包まれた雨の降るカントー地方、ハナダシティ郊外の台地にて。

 ……不吉なクルミの呟きは、とりあえず無視しておきたい!

 

 






 ここで言い訳を致しますが、FRLGのハナダの洞窟にはラッキーやらドードリオやらは出現いたしません。初代には出現していたため、そのイメージ補正がかかっております。

 尚、実は、主人公的及び作者的な「女装の理由」が未だ残っているのです。
 ……その解説は、事件終了後になると思いますが。申し訳ありません。

 …………それにしても、多人数を紹介するに当たって、もっと適切かつ判りやすい方法がないものですかね。
 今話などは、迷走した上でのこの体たらくなのですが。

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