ハイスクール・フリート マーメイドと海の男達   作:SNAKE金城

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第11話 播磨の休息

 

播磨と晴風は、間宮と明石から補給を受ける為、室戸岬沖に停泊していた。補給は、1日もかからず完了したものの。晴風がこれまで受けた傷は大きく、それに加え播磨が晴風ぜを守るために負った損傷箇所も直さなくてはならないため補修に関しては、数日かかる。

補修が完了するまでの間、播磨と晴風の乗員、生徒達は、休息を取ることにした。

 

 

播磨 格納庫

 

 

「お?葉月、こんなところにいたのか?」

「秋津さん、何か用ですか?」

 

秋津は、格納庫にいた葉月を見かけ声をかける。ちなみに葉月と平賀は、立石の聴取の日まで播磨で待機することにしていた。

その平賀は、秋津を探していた。播磨の乗員に聞き、秋津が格納庫にいると聞いたので格納庫に向かった。

 

「格納庫は・・・ここかな?」

 

平賀は、格納庫の入り口の扉まで来ていた。すると秋津の声がした。

 

「久しぶりに再会したわけだし(柔道)やらないか?」

 

(え?やらないかって・・・いったいないを?)

 

秋津の声が聞こえた。誰かと喋っているようだ。平賀は咄嗟に物陰に隠れ、秋津の話を聞く。

一方、格納庫内にいる秋津は、葉月に向けて柔道の構えをとる。それを見た葉月は、秋津が何をしたいのか直ぐに分かった。

 

「ええ、いいですよ・・・そう言えば、秋津さんと最後に(柔道を)やったのはいつでしたっけ?」

「確か・・・この海洋実習が始まる三日前ぐらいだったか?あの後、腰を痛めたが。実習前日に治ってよかったぜ本当に」

(あの声は葉月さん・・最後にやった?腰を痛めた?・・・いったい何を・・・)

 

平賀は、この会話を聞いて、秋津が話している相手が、葉月であると分かった。だが物陰に隠れているため二人が何をしているのかは、わからない。

 

「そんなんで大丈夫なんですか?また、腰痛めたりしませんか?」

「心配するなって・・あっ、でもお前。寝技も上手いからな・・ちょっと本気でお前とやりあわないと、また腰を痛めちまうかもなぁ」

(寝技?やりあう?・・・まさか・・・あのヤりあう!?)

 

平賀は、秋津が葉月を抱こうとしていると勘違いする。勘違いしている平賀は、秋津が自分より先に葉月を抱いていたのかと思い、ショックを受ける。

 

「そんじゃあ・・・やりますか?」

「負けませんからね・・・」

(え?ヤるの?ヤちゃうの!?)

 

平賀の勘違いがヒートアップする。すると、後ろから金城がやって来る。

 

「あれ?平賀さん、何してるんですか?」

「えっ?金城さん!?・・・あの、その・・・」

「ん?格納庫に何かあるんですか?」

「だ、ダメです。今は・・・!!」

 

平賀は、格納庫に入ろうとする。金城に入っては行けないと叫ぶも、時すでに遅く。金城は、格納庫の中に入っていた。平賀は、頭を抱えていた。

 

「二人とも、何やってるんですか?」

「おやっさん・・・何って、柔道やってたんだよ」

「えっ?柔道?」

 

平賀は、秋津の言葉を聞いて格納庫に入り、秋津と葉月の方を見る。そこには、葉月の片手を持つ秋津と、倒れている葉月の姿があった。どうやら一本背負いした後のようだ。

 

「こんなところで・・・今、甲板で乗員達が剣道と柔道の試合をやるって準備してます・・・やるんだったら、そこでやってください」

「アハハ・・・すまんな、おやっさん」

「すみませんでした、金城さん」

 

金城は、二人に注意する。二人は金城に謝り、金城は格納庫を後にする。

 

「平賀さんは、何か用ですか?」

「えっ?いや・・その・・・何でもないです!/////」

「行っちゃいましたね」

「何しに来たんだろうな?」

 

平賀は、今まで勘違いしていた自分が恥ずかしくなり、その場から立ち去る。秋津と葉月はそれを見て何だったのか分からず首をかしげる。

 

 

播磨右舷甲板

 

 

「始め!」

「あああぁぁぁぁーー!!」

「いやああぁぁぁーー!!」

 

剣道の試合が始まった。内田と、同じ砲雷科の一人が対戦していた。審判の始めの合図で、お互いの気合いが周りに響く。赤のたすきを着けているのが、内田。白は砲雷員である。

 

「メーーーン!!」

「コテーーー!!」

 

まず、相手が面を打ってきた。それを対し内田は、すかさず甲手(こて)を打つ、だがお互い打突部から外れており一本にならなかった。お互いすかさず構え直し。間合いをとりながら、竹刀の剣先で駆け引きする。

先に仕掛けたのは、相手の砲雷員で甲手を狙う。だが、内田はこれを読んでおり、相手の竹刀を払い、がら空きの面を打つ。

 

「メーーーーン!!」

「面あり!」

 

審判が赤の審判旗をあげる。一本勝負のためこの試合は、内田の勝利である。

 

「勝負あり!」

 

審判が試合終了の合図を出す。お互い蹲踞(そんきょ)し、竹刀を納め場外まで下がり一礼し、試合が終わる。そして次の対戦がはじまる。

その隣では、柔道の試合をしていた。

 

「おらっ!!」バタン!

「一本!」

 

秋津が相手を背負い投げで一本を取り、勝ったようだ。

 

「次!」

「お願いします!」

「始め!」

「おおっ!!」

「しゃあ!!」

 

秋津と陸戦隊の隊員との試合が始まった。両者、互いの片方の襟を掴む。陸戦隊員が秋津の足をかけようとするが、逆に返され、倒されてしまう。間一髪で体制を変え、一本取られずにすんだ。

今度は、秋津が仕掛ける。秋津は、陸戦隊員の片襟取ると、投げるような仕草をする。陸戦隊員は、投げられないように必死に防ぐ。すると秋津は、直ぐ様、陸戦隊員の足をかけて倒す。投げられないよう防ぐのに集中していたため、足技への警戒が緩んだ。秋津は、これを狙っていたのだ。秋津は、大外刈りで一本を取り勝利した。これで、5連勝である。

 

「凄いね~、シロちゃん!秋津教官5連勝だよ!」

「凄い・・・」

 

明乃とましろは、秋津の試合を観戦していた。今、播磨には数名の晴風の生徒が乗艦している。

 

「シロちゃん、艦内に入ろう」

「は、はい」

 

明乃とましろは、播磨の艦内に行くことにいた。武器庫。戦闘指揮所以外の場所であれば、晴風生徒達の立ち入りが許可されている。

 

「君達、入る前にこれを・・・」

「何ですかこれ?」

「艦内の案内図だよ、播磨は大きいからね。迷うといけないから、艦内に入る生徒達には、配っているよ」

「ありがとうございます」

 

艦内に入る入口前で播磨乗員から、播磨艦内の案内図を受け取り、明乃とましろは播磨艦内に入っていった。

 

「播磨ってこんなに広いんだね」

「それは、大和型の艦だから、広いのは当たり前だろ」

「この先、格納庫だよね?何かあるかな?」

「私に聞かれても解らな・・・」

 

ダダダーン!!

 

「な、何今の!?」

「これは、銃声?」

 

明乃とましろは、突然の鳴り響く音に驚く。音を聴いてましろは、銃声であると判断する。それは、格納庫から聞こえてきた。二人は、格納庫に入ると、そこにはアサルトライフルを構えている乗員がいた。構えている先には的ががあり、陸戦隊員が射撃訓練をしていた。

格納庫には、陸戦隊員の射撃訓練の為に射撃練習の場所が設けられている。

 

「よっしゃ!全部中心部分に当たったぜ!」

「俺だって、ほぼ中心に当たってる」

「自分は、何発かはずしちゃいましたよ」

 

陸戦隊の三人が暇潰しに、射撃をしていたらしい。その後で、はしゃぐ声がした。

 

「凄い!あれ撃ってみたい!」

「でも、私たちが銃を持ったら違法になるんじゃ・・・」

「そうだった・・・」

 

晴風、砲術員の小笠原。武田美千留。日置順子がいた。

小笠原が陸戦隊員が使っている64式小銃を撃ってみたいと言うが、武田が銃刀法違反になるのではと言い。三人は残念がる。と言っても彼女達は、すでに銃より大きい晴風の主砲を撃っている。その時点で違法なのでは・・・?

 

「ヒカリちゃん達、来てたんだ」

「あ、艦長に副長。二人も、銃を見に?」

「いや~、凄い音がしたから。何かな~って」

「そうだったんだ」

 

そんな会話をしていると、後ろから長身の男性が来た。

 

「64式を撃ちたいのか?」

「ろくよん?」

「あの銃の名前だよ。撃ってみるか?」

「えっ!いいんですか!」

「ああ、模擬弾であれば構わないよ」

「やったー!!」

 

長身の男、武藤 大輔 陸戦隊隊長が模擬弾であれば撃っても構わないと、許可を出す。小笠原達は、陸戦隊員から64式を受け取る。

 

「お、重い・・・」

「ハハハ、そりゃあ4.3キロあるからね」

「そんなに!?」

「自分達は、軽々持っているけど。実際持ってみないと、銃の重さなんて分かんないからね」

 

銃の重さを知った砲術員三人組は、次に銃の構えかた。撃ち方を習い、実際に撃ってみた。さすがにフルオートでは、反動が強く。肩をはずす恐れがある為、セミオートにして撃たせた。

 

ダァン!!

 

「うわっ!」

「凄い反動・・・」

「肩、はずれそうだった・・・」

「ハハハ、その反動に慣れないと連射は、無理だね」

 

武藤は、微笑みながら砲術員三人組に言う。

 

武藤 大輔 一等保安監督官(大尉)は、播磨所属の陸戦隊の隊長を務めている。身長が178センチと長身。大人しく優しい性格であるが、戦闘になると血が騒ぐらしい。欧州ドイツ戦線では、一人でドイツ兵を50人倒したと言われているが、本人はこれに関して何も言わない為、真実か否か。定かではない。陸海軍の間では「五十人殺しの武藤」と言われている。本人は、この渾名に対し快く思ってない。

 

本来、陸戦隊は乗組員のうち必要人数をあらかじめ陸戦隊の要員として指定しておいて、有事の際に「陸戦用意」の命令のもとに武装して、陸戦隊を編成していたが。太平洋戦争終結後。日本国海軍は、各艦艇の乗員を陸戦隊の要員として指定するのではなく。すでに編成された陸戦隊と隊員を、その艦に配属することにしたのだ。播磨には、20人の陸戦隊員がいる。

 

「シロちゃん、あれ内田さんが言っていた空飛ぶ乗り物じゃない?」

「あれが・・・ヘリコプター」

「大きいね・・・上にあるのが翼かな?」

「本当に、水素やヘリウムを使わずに飛べるのか?」

 

 

明乃とましろは、格納庫を後にする。暫く艦内の通路を歩いていると、いい匂いがしてきた。

 

「美味しそうな匂いがするね」

「この先は、烹炊室だ」

 

二人は、烹炊室に入ると、中では昼食の準備をしていた。烹炊室には、杵崎姉妹と美甘がいた。

 

「凄い、こんなに大きい釜、始めてみます」

「そう言えば晴風には、こんなに大きい釜はないか」

「はい、ご飯も炊飯器で炊くので」

「播磨では、この釜で米も炊くし、炒め物もこの二重釜でやるよ」

「一気に数十人分作れるなんていいな~」

 

北条と杵崎姉妹、美甘が播磨烹炊室にある。二重釜の話をしていた。北条は、烹炊室入口にいた明乃とましろに気づく。

 

「ん?二人ともどうした、道に迷ったか?」

「いや~、美味しそうな匂いがしたので」

 

すると、明乃の隣にいる。ましろのお腹が鳴る。それを聞いて、北条と明乃。美甘と杵崎姉妹がましろを見る。

ましろは、恥ずかしくなり顔を赤くする。

 

「す、すみません・・・」

「フフ、もうすぐ昼だしな、隣の食堂で待ってるといいよ。あと少しで昼食の準備ができるから、君達も食べていきな」

「いいんですか!」

「ああ、今日の献立は肉じゃがだよ」

 

北条は、昼食を食べて行くように言うと、明乃達は、大喜びした。

暫くして昼食の時間になり、播磨の乗員達も続々と食堂に入ってくる。明乃達は、食堂の一番端に座って昼食を取る。

 

「美味しそう・・・」

『いただきます!』

 

そう言うと、肉じゃがを食べる。すると、五人は幸せそうな表情をした。北条もそれを見て微笑む。

 

『美味しい!!』

「出汁がきいていて、はむっ・・・美味しい~!」

「ジャガイモにちゃんと、味か染み込んでいて、こんなに美味しい肉じゃがはじめてかも」

「こんなに美味しい肉じゃが食べたことないよ~」

「私も、こんなに美味しく作れたらいいな~」

 

播磨の肉じゃがは、大絶賛だった。五人は、満足した表情をする。五人は、昼食を食べ終え。明乃とましろ、杵崎姉妹は、晴風に戻ると言って食堂を後にする。

美甘は、烹炊室にいる北条の所に来て。

 

「北条さん、美味しいケーキの作り方。教えてください」

「ケーキ?・・伊良子さん、ケーキ作れるんじゃ・・・」

「もっと美味しいケーキを作りたいので、是非教えてください」

 

美甘は、北条に美味しいケーキの作り方を教えてほしいと言う。

 

「・・・フフ、いいよ。とても美味しいケーキの作り方、教えてあげよう」

「ありがとうございます!」

 

北条は微笑みながら言うと、美甘は北条にお礼を言い。二人は、烹炊室でケーキ作りを始める。

 

時刻は夜になり、秋津は艦長室で音楽を聴いていた。この世界で知った1970代のヒット曲 沢田研二の「勝手にしやがれ」だ。

 

「カッコいい曲だな・・・俺達の世界でも後、数年たったらこの曲も出るのかな・・・」

 

秋津がそう呟くと、艦長室のドアからノックする音が聞こえた。扉が開くと平賀が入ってきた。

 

「秋津さん、いいですか?」

「平賀さん、どうしたんだい?」

「秋津さんと話がしたくて・・・」

「そうか・・・」

 

秋津は、そう言って椅子を出して、平賀に座るように促す。

 

「そう言えば平賀さん、格納庫の時。何か言おうとしてたけど・・・何かあったか?」

「えっ、いや・・・何も・・・/////」

「そうか、だったらいいんだか」

 

秋津は、平賀に格納庫での事を聞く。平賀は何でもないと答える。あの様な勘違いは、口がさけても言えるわけがない。

平賀は、秋津にある事を聞く。

 

「秋津さん、そう言えば葉月さんから聞いたんですが・・・」

「ん?葉月から?」

「「洋上の狂気」って、前の世界で言われていたみたいですけど・・・」

「ああ、確かに前の世界では、そう呼ばれていたよ」

「何故、そう呼ばれているんですか?」

「そう言えば、平賀さんには話してなかったな・・・せっかくだし、何故俺がそう呼ばれているのか話そう」

 

秋津は、自分が何故「洋上の狂気」と呼ばれているのか、平賀に話すことにした。

 

 

 




今回、オリジナルで作ってみました。結構オリジナルで書くの難しいですね

次回は、秋津が何故「洋上の狂気」と呼ばれているのかについて書きたいと思います。


次回もお楽しみに!


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