ハイスクール・フリート マーメイドと海の男達   作:SNAKE金城

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第16話 掃海作業とドイツ料理

 

翌朝、朝靄で晴風と播磨の周りは、まるで雲の上にいるような光景になっていた。

 

「これじゃあ、周りにある機雷が見えねぇな」

「まったく、こんなときに朝靄かよ・・・機雷に当たって沈むのだけはごめんだぜ・・・」

「心配するな。播磨が簡単に沈むわけないだろ」

 

播磨の乗員達が右舷の甲板でボヤいていた。

 

「凄いな、周りがほとんど見えないぞ」

「艦長、水測員からの報告です」

 

金城が水測員からの報告を秋津に伝える。

 

「機雷の分布範囲は?」

「恐らく航路阻止の為、比較的狭い範囲だそうです。機雷の種類は不明。水深から考えて、係維機雷・短係止機雷・沈底機雷だと思われるそうです」

「う~ん・・・掃海が必要だが、播磨の巨体では掃海は無理だな」

 

播磨の巨体では、掃海作業は不可能であった。秋津は、掃海作業を晴風に任せることにした。

 

「しかし、六黒さんの報告には驚きましたね」

「ああ、電子機器が使用不能になった原因がネズミに似た小動物だってなぁ。確かに、あんな小さいネズミが原因なんて、誰も思わないだろうからな」

「しかも見たこともないウィルスに感染していたなんて・・・」

「立石もそれが原因で暴れて発砲らしいし、もしかしたら武蔵も立石の様な事が起きているのかも知れないな」

 

二人は昨日の六黒が報告した内容について話す。昨晩、六黒は直ぐに播磨に戻り、あの小動物について報告した。電子機器が使用不能になった原因が小動物である事と。立石が暴れ、発砲したのも、小動物が原因である事を。

秋津は、武蔵も立石と同様な事が起きていると推測する。

 

「艦長、ここは私に任せて、朝食を取られては?朝、食べないと力が出ませんよ」

「そうだな、任せたよ。おやっさん」

「ええ」

(今日は、菅野でも誘うかな・・・)

 

秋津は、食堂に向かいながら誰を朝食に誘うか考えていた。秋津は食事に行く際。必ず乗員数名を誘って食事を取る事にしている。乗員いわく「彼と食事をすると、終始楽しい食事の時間を過ごせる」と言われている。

彼が乗員から信頼を寄せる理由の一つとも言える。

 

 

晴風の後部甲板では、杵崎姉妹とみかんが竹の棒で機雷をつつき晴風から遠ざけていた。

 

「つっついて大丈夫なの?」

「近くにあるのは、古い触発式の機雷だから、突起を押さなければ問題ないよ」

「ええ!」

 

それを聞いたあかねは、顔を歪める。

 

「全部爆破させればいいんじゃない?」

「霧が晴れないと周辺にどれだけあるかわからないし。一つ爆発させて、それが連鎖したら怖いから・・・」

「「大変だね~」」

 

霧で周辺が見えない状況で機雷を爆破させると、それが連鎖して他の機雷も爆発しかねない。だから一つ一つ遠ざけていくことにした。

 

「おーい!気を付けろよ、間違っても突起に触れるな!!」

「「「はーい!」」」

 

向かい側に停船していた播磨の甲板に居た乗員が突起には触れるなと注意する。

 

 

晴風の教室では皆が朝食をとっていた。晴風でも昨晩、楓がソナーで機雷の範囲を測定していた。楓はその結果を明乃に報告する。

 

「係維機雷って何?」

「係維機雷は、係維器に係維索が繋がっている機雷だよ。簡単には言えば、鎖に繋げられている機雷だね。接触して爆発したってことは、触発式係維機雷だな」

 

明乃が係維機雷とは、何かと聞くと。それを内田が説明した。

そんな中、一番の後ろの席で朝食をとっていたミーナが箸で納豆をつつき糸を引く納豆を見て顔を歪めていた。

 

「掃海する必要があるな・・・」

「掃海手順は?」

「説明させていただきます!」

 

明乃が掃海手順を聞くと、幸子が威勢よく答え、掃海手順の説明にはいる。

 

「まず、各掃海具を掃海柵で繋ぎ、展開器を水中に落とします。船が進むにつれ展開器は左右へと広がって、沈降具が艦尾から引っ張られていき、この掃海柵に機雷のワイヤーが引っかかると、動いていって切断器でちょきんと切れるのです」

「うえぇ・・・」

 

幸子が掃海手順の説明をしている中。ミーナは箸でつついた納豆の豆が、納豆の入った器に落ちると更に糸を引くのを見て更に顔を歪め、吐き気がすると言った様子だった。

 

「浮かんできた機雷を機銃で撃って、どっか~ん!!」

「おお!私の出番だ!早く撃たせて~!」

 

西崎は機銃が撃てると知ると、早く撃ちたいのか興奮していた。

 

「だけど、今は周囲が機雷が囲まれていて艦を動かすのは無理だな」

「内田さんの言うとうりだ、下手に艦を動かせば被害がでる」

 

掃海するとは言うものの。今の晴風と播磨の周辺は機雷で囲まれている状態で下手に動かすと被害がでてしまう。

 

「器具・・ない・・・」

「うん、本格的な掃海器具は積んでないけど・・・できる事はしないと」

「人力での水中処分は、危険だ。怪我人が出たらどうする」

「・・・」

 

ましろに人力で機雷の処分は危険だと言われ、明乃はどうするか悩む。すると、何か思いついた様な表情をする。

 

「スキッパーを使おう!」

「確かに、あれなら小さいので温風、水圧、磁気、各種の機雷に引っかかる可能性は低いです」

「それなら、安全に掃海作業ができるな」

「あん・・ぜん・・・」

 

掃海作業は、スキッパーで行うことにした。確かにスキッパーは、船体も小さく機雷に接触する可能性も低い。安全に行うには、スキッパーしかない。播磨の内火艇はスキッパーより船体が大きく接触する可能性が大きい為、掃海作業には出せなかった。晴風のスキッパーでやるしかなかった。

 

「スキッパー乗員には、通常装置に加えて重安全具の装着を・・・」

「岬さんは、行っちゃダメだよ」

「そうです、艦長は艦にいてください!」

「は・・はい・・・」

 

内田とましろに行くなと言われて、明乃は縮こまる。

 

「すまないな。皆を危険に晒すようなお願いをして・・・」

「いえ、実技演習と思えば・・・」

 

内田は、晴風のクラス皆を危険に晒す様なお願いをしたことを謝るが、明乃は実技演習と思えばどうってことないと言う。

 

「ん?あれ、ミーナさん納豆。口に合わなかった?」

 

朝食に余り手をつけていないミーナを見て、みかんが声をかける。

 

「い、いや・・そんな事はないじょ」

「噛んだ」

「噛んだね」

「納豆が苦手な外国人は多いからな」

 

内田は、納豆が苦手な外国人は少なくないと言う。

 

「実は、納豆だけじゃないんじゃ・・その・・・日本料理があまり口に合わなくて・・・」

「ええ!そんなんだ。気がつかなくて、ごめんね」

「確かに日本料理は、外国人から見て奇妙な食べ物もあるからな。寿司だって最初は、生の魚を食べるなんてあり得んと言われて、拒否されてたからね」

 

みかんは、今まで気づかなかった事をミーナに謝る。内田は、外国人にとって日本料理には、奇妙な食べ物もあると言う。今や外国人に大人気の寿司も最初は、生の魚を食べる習慣のない外国にとっては、あり得ない事であり、拒否されていた。だが、今となってはだんだんそれが受け入れられ大人気となっている。

 

「じゃあ今日は、ドイツ料理を作ろうか」

「えっ、いやいやいや・・・」

「大丈夫、私ドイツ料理得意だから!」

 

みかんは、今日の夕食はドイツ料理を作ろうと言う。ミーナは、わざわざ自分の為にそこまでしなくてもと恐縮する。

 

「せっかくだから、北条さんにもお願いして作ってもらおうか?」

「是非お願いします」

 

内田がせっかくなので、北条にもドイツ料理を作ってもらうようお願いすると言い、みかんは是非ともと言う。

 

「じゃあ今日は、ドイツ料理祭りで決定!」

『おおー!』

 

それを聞いた、教室にいる全員が喜び拍手した。

そして、みかんは烹炊室に戻り早速ドイツ料理作りに取りかかる。しかし、みかんはインターネットのサイトでドイツ料理のレシピを見ながら作っている。ドイツ料理が得意なのでは・・・?

 

播磨の烹炊室では。

 

「ん?ドイツ料理を?」

「ええ、何でもドイツの子の為にドイツ料理を作るので、北条さんにも作って欲しいと」

 

晴風からの依頼を炊事員が北条に伝える。

 

「・・・うん、分かった。今日の夕食の献立を何にするか迷ってたし、丁度いい・・・」

 

こうして播磨の夕食もドイツ料理となった。北条はドイツ料理はドイツ料理でも何にするか考える。

 

一方、艦橋では今日の夕食がドイツ料理になると言う事が秋津に伝えられる。

 

「ドイツ料理か、そりゃあ楽しみだな」

「つい最近まで、敵だった国の料理ですか・・・」

 

砲雷長がそう呟く

 

「砲雷長、確かにドイツはつい最近まで敵だったが。ドイツ料理まで敵ではないだろう」

 

秋津がドイツつい最近まで敵ではあったが。ドイツ料理は敵ではないと言う。

 

「料理にまで、戦争の罪を被せるのは可笑しいだろ?」

「そうですね。料理に罪はありませんもんね・・・すみません」

「分かればいいさ」

 

砲雷長が謝ると。秋津は、分かればそれでいいと言う。

 

「ドイツと言えば、あのヒトラーがこの世界では、画家になっているって聞いた時は驚いたな」

「自分達の世界でのヒトラーは、画家の夢が潰えて軍人になり政治家になり独裁者になりましたからね」

 

この世界のヒトラーについて、秋津と金城は話しをする。

 

アドルフ・ヒトラー この世界では、とても有名な画家であり政治家でもある。

オーストリア出身で、子供の頃から絵が上手で、いくつもの賞をもらうほどであった。18歳の時、ウィーンにある。ウィーン美術アカデミーを受験し見事合格。卒業後は、夢であった画家になる。30代の頃にドイツに移住した際、欧州動乱の影響でドイツは、経済不況にたたされており。幼少の頃過ごした第二の故郷の為に何か出来ないかと思い。40代の頃、ドイツ国籍を取得し政治家になった。政治家としても有名でドイツ国民からは「彼のおかげでドイツは救われた」と言われている。政界引退後は、再び画家として活躍し、彼が生涯最後に描いた作品は数億円すると言われている。写真では、スーツ姿で笑顔のヒトラーが写っている。

 

 

その頃、晴風では掃海作業の準備が進められていた。掃海準備が出来ると、明乃はまず視界内にある機雷を排除するように立石と西崎に指示する。それを聞いた西崎は、待ってましたと言わんばかりに喜び、二人は機銃座に向かう。

 

「イヤッホーイ!!」

 

興奮しているのか、西崎は声を上げながら機銃で機雷を排除していく。

 

「快感!実感!ジンギスカーン!!」

「ヒー、ハー、ラムー」

 

立石も表情は普段と変わらないが興奮しているようだ。

すると、播磨の三連装機銃。数基が動き出す。そして、機銃は一斉に発射され数発の機雷が一気に爆発した。それを見た西崎は。

 

「おお!一度でいいから播磨の三連装のあの機銃撃ってみたいな~!!」

 

更に興奮していた。

 

「完成っす~!」

 

掃海具の固定されている場所では、青木がペンキでアザラシのキャラの顔を描いていた。

 

「かわいい~!」

「ねぇねぇ。名前つけようよ」

「アザラシだから、タマちゃん!」

「うぃ?」

 

みかんは、掃海具に描かれたアザラシのキャラをタマちゃんと命名した。アザラシでタマちゃんと言えば、多摩川の・・・

みかんのタマちゃんと言う言葉に反応した立石は、みかん達の方向に振り向くが、機銃の銃口もみかん達の方向に向く。

 

「「「うわぁ!」」」

「危ないっすー!」

 

三人は、急いで物陰へと避難する。

 

「だけど、誰が機雷なんて敷設したんだろう・・危ないよね?」

 

艦橋では、知床が一体誰が、この海域に機雷を敷設したのか疑問に思い、それを口にした。

 

『過去に敷設された機雷が時代を超えて蘇ったんだ!サルガッソに巻き込まれ消失した機雷が。あ、こんな所に、某国の陰謀に違いない!』

「陰謀ね・・・」

 

幸子の恒例の一人妄想芝居が始まった。それを見た内田は苦笑いをしながら呟く。

 

「この辺りの機雷は、恐らく各国が自国の権益を守り。活、航路帯防御用に敷設したのだろう・・・20世紀初頭にな」

(20世紀初頭・・・この世界では欧州動乱が起きた頃ぐらいか・・・その時に・・・)

 

ましろが機雷が敷設されたのは自国の権益を守るためだと推測し説明する。内田は、欧州動乱の時に敷設されたのだろうと内心推測し呟く。

 

「現実はロマンないですね~」

「戦争が起こってたら大変だったよ~」

「うん・・・戦争なんて起きない方がいい。戦争は、大切な人や物を跡形もともなく消し去ってしまう・・・昨日まで一緒にいた人が、翌日には、もうこの世にいない・・・戦場に行き兵士になれば、最初は人を殺すことに抵抗を感じるが、それが段々慣れてくると、人を何のためらいもなく殺せるようになっている。気づかないうちに・・・」

 

内田は、下を向き深刻な表情で戦争の悲惨さを話す。

 

「内田さん?大丈夫ですか?」

「まるで戦争経験者のような話し方ですね?」

「うん?いや、おじいちゃんから聞いた話を思い出してね。つい・・・」

(それにしては言葉に重みがあったような・・・)

 

内田は、おじいちゃんから聞いた話だと言うが、幸子は内田の言葉に重みを感じ、本当におじいちゃんの話なのかと疑問に思った。

 

「内田さんの話のように、戦争等の悲惨な事が起きないよう。国を越え、海を守る為にブルーマーメイドが生まれたんだろ」

 

戦争等の悲惨な事が起きないように設立されたのが海の安全を守る。ブルーマーメイドだと、ましろは言う

 

「ブルーマーメイドの主任務は、人命救助や機雷掃海とかの航路を守る事だもんね」

「海に生き・・・」

「海を守り」

「海を」

「往く」

『それが、ブルーマーメイド!』

 

艦橋組全員がブルーマーメイドの標語を高らかに言う。それを見た内田は。

 

(いい心構えだな・・・彼女達は、戦争の本当の悲惨さ知らない・・・だからこそ、彼女達にはあの様な悲惨な経験をしてほしくない)

 

内心そう呟く。この世界では、二つの世界大戦が起きてない他。太平洋戦争(日米開戦)すら起こっていない。前の世界では、日本は太平洋戦争で、アメリカ相手に善戦はしたが。その分、犠牲も多い。また、内田は太平洋戦争は、経験してはいないが。欧州ドイツ戦線で初陣の際、ドイツ残党海軍の攻撃で同期の兵士を数人、失っている。しかもその数人の兵士は、彼の目の前で亡くなっていた。内田は自分の様な経験を彼女達にはして欲しくないと思った。

それは、秋津も同じであった。秋津も欧州ドイツ戦線で、一番の友である。葉月を一度失っている。二つの世界大戦、太平洋戦争を経験していないこの世界で生きた彼女達には、悲惨な経験をさせまいと思い。秋津は、生徒達を何が何でも守ると、海洋実習が始まる前に決意したのだ。

 

視界内にある機雷の排除が終わると、次はスキッパーによる。掃海作業に入る。掃海具をつけたスキッパーが降ろされる。スキッパーに乗っているのは、姫路と松永の二人である。そして、掃海作業が開始された。

その様子は、播磨の艦橋でも確認していた。

 

「掃海作業、始まったようです」

「そうか・・・」

「何も、起きず無事に掃海を終えてくれればいいんですが・・・」

 

二人は、晴風に掃海は任せた物の。やはり危険な作業なので、心配で仕方がなかった。秋津も双眼鏡で掃海作業の様子を見る。

 

「機雷が浮いてきたな・・・うん?ちょっとスピード出しすぎじゃないか?」

 

秋津は、松永と姫路が乗るスキッパーのスピードが出すぎていることに気づく。

 

「通信長。晴風に、掃海作業をしているスキッパーのスピードを落とすよう・・・・」

 

ドグヮーン!

 

秋津が通信長に指示を出している途中。晴風の前方の海上で爆発が起きた。

 

「何だ!?」

「晴風の前方の海上で水中爆発!掃海作業中のスキッパーが巻き込まれた模様!!」

「こちら通信室!救難信号を受信!反応は2、安全装置からです!」

 

通信室から松永と姫路が乗るスキッパーから救難信号を受信したと報告が来る。

 

「武藤に救助隊を編成させろ!編成後、直ちに救難信号の場所に向かえと伝えるんだ!」

「了解!」

 

陸戦隊の待機室では、武藤が救助隊を編成させ。急ぎ内火艇に乗り救難信号が発信されている場所に向かった。

晴風でもこの救難信号を受信しており、明乃が松永と姫路を助けに向かおうとする。それを見たましろは「また艦長が持ち場を離れる気か?」と言う。そう言われ明乃は、どうすればいいのか、うろたえる。すると、知床が。

 

「私が行きます!」

「「えっ?」」

「艦長手伝ってください!」

「は、はい・・・」

 

知床が自ら救助に行くと言い、明乃に手伝って欲しいと言う。

 

「副長、後をお願いしてもいいですか?」

「えぇ?あ、いや・・・内田さん何とか言ってください」

 

ましろは、内田に助けを促すが・・・

 

「播磨からも救助隊が出ているし、協力と言う形で行けば問題ないだろう・・・責任は自分がとるから。二人共、行ってこい!」

「・・・副長!内田さん!後は任せます!総員、艦の安全を最優先!万里小路さん、他に機雷がないか徹底的に調査を!」

『了解!』

 

明乃は指示を出した後、知床と共に艦橋を出る。

 

「違う・・・常に艦で指揮をするのが艦長でしょうが!オールウェイズ オン ザ デッキってそういうことじゃないのかー!!」

 

ましろは、心の底から叫ぶのであった。

 

「まぁまぁ、宗谷さん落ち着いて」

「落ち着いていられますか!これで三度目です!何で内田さんは、艦長を止めないんですか!?」

「今の内に色々と経験した方がいいだろ、責任は自分が取ってるんだから、叱られるのも自分だけだし・・・」

「だからって・・・」

 

呑気に言う内田にましろは、少し呆れた表情をする。明乃と知床は、スキッパーに乗り救助に向かった。

 

「私は嬉しかったよ」

「え?」

 

知床は、明乃の背中に手と顔を当てながら言う。

 

「岬さんは、逃げ回ってばかりだった私を認めてくれた・・・私は、理想の艦長がどんなのか全然分かんない・・・でも、うちの艦長が岬さんでよかった」

「ありがとう・・・りんちゃん」

 

知床は、自分を認めてくれた明乃が艦長でよかったと言う。向かう途中、武藤達播磨の救助隊と合流し、武藤は、一方の安全装置の救助に向かうよう明乃達に指示をする。

 

その頃、作動した安全装置の中では、気を失っていた姫路が目を覚ます。

 

「うっ・・・あれ?私、どうしたんだっけ・・・あ、掃海に出て・・・」

 

目覚めたばかりなのか、意識が少し朦朧としている。そして辺りを見て自分が安全装置の中にいることを知る。

 

「そっか・・・安全装置の中に・・・りっちゃん!りっちゃんどこ!?どこに居るの!!」

 

一緒にスキッパーに乗っていた松永を呼ぶが、彼女の姿は、見当たらない。すると急に波が来て安全装置が揺れる。姫路の不安が恐怖へと変わる。

 

「誰か助けに来てくれるかな・・・?くれるよね?絶対・・・」

 

恐怖のあまり、肩が震える。その時、安全装置の出入口のチャックが開き誰がが覗き込んできた。

 

「きゃあぁぁぁー!」

 

姫路は恐怖で耐えられなくなり、悲鳴をあげる。

 

「大丈夫か?っ、姫路さんじゃあないか?」

「あっ・・・」

「ほら、掴まって」

 

武藤が姫路に手を伸ばす。武藤と姫路は、播磨の休息の時に知り合っている。

 

「む、武藤さん・・・」

 

姫路は、武藤の手を掴み。安全装置から出ると。

 

「かよちゃーん!!」

「りっちゃん・・・よかった・・・」

 

松永の方も明乃達によって無事救助されていた。大きな怪我もなく、見たところ大丈夫そうだった。

 

〈こちら、武藤。救出に成功しました〉

「よし!よくやった武藤」

 

播磨の艦橋に救出成功の報を伝えると、秋津は、安心した様子で武藤を誉める。晴風でも、まゆみが双眼鏡で救出成功の様子を報告し、艦橋は歓喜の声が上がった。内田とましろは、その報告を聞き安心した様子だった。

そして、時刻は夕方。夕食の時間になり、みかんがミーナの為に食った、ドイツ料理を出す。北条も烹炊室を炊事員に任せ、ドイツ料理を持って晴風に来ていた。

 

「えーと、まずドイツ料理といえばこれ。アイスバイン!」

「うーん、北方の料理でうちの方ではシュバイネハクセ・・・つまりローストすることが多かったな」

「えっ?」

 

いきなりダメ出しを受けるみかん。同じドイツ料理でも地方によって作り方が違う。みかんはミーナの故郷とは違う地方の物を作ってしまったようだ。

 

「シュバイネハクセと言うことは・・・ミーナさん。バイエルン出身か?」

「そうじゃが、よくわかったな」

 

何と北条は、料理名を聞いただけでミーナの出身地を当てた。シュバイネハクセは、バイエルン州で好まれている豚料理である。

 

「じ、じゃあ。次は定番。ザワークラフト」

「チッ、チッ、チッ、ザワークラウト。それとこれは酢漬けのキャベツじゃな。本当は乳酸発行させるのが本物じゃあが・・・」

 

ザワークラウトもダメ出しを食らう

 

「うぅ、つ、次!カツレツ!」

「トンカツだね~」

「カツってドイツ料理なの~?」

「カツレツはフランス料理でコートレットと呼ばれている。トンカツ自体は日本で発展した料理だよ。」

「「へー」」

 

北条の説明に感心する松永と姫路。

 

「おお、シュニッツェルじゃな!・・・我が国では、こんなに厚く切らないぞ」

「うっ、じゃあこれぞ真打ち!ドイツ料理と言えば、やっぱりハンバーグ!!」

「これは・・フリカデレか?ドイツではあまり見かけない料理だぞ」

「ええぇぇぇーーー!!」

「確かにハンバーグは、ドイツ料理ではあるけど・・・起源がドイツであって、ハンバーグ自体はアメリカで生まれたような物だな」

 

ハンバーグは、もともとドイツ、ハンブルクで流行していた。タルタルステーキが起源とされている。それをドイツ系移民がアメリカに持ち込み、そして明治時代に日本に渡り、今の形となっている。

 

「それよりこのふかしたジャガイモとアイントプフはおいしそうじゃな~。隣のベーコンと炒めたジャガイモとシュヴァイネブラーテンはもっとおいしそうじゃ」

 

シュヴァイネブラーテンとは、バイエルン名物の豚肉料理である。

 

「他にヴルストがあれば海では文句は言わんぞ」

「これ誰が作ったの~」

 

みかんは、涙を流しながら誰が作ったのかと問う。

 

「「私達です」」

 

気まずそうに手をあげる杵崎姉妹がふかしたジャガイモとアイントプフを作ったようだ。それを知ったみかんは、ショックを受ける。

 

「じゃあ・・・隣は・・・」

「ジャーマンポテトとシュヴァイネブラーテンは私が作った」

「ま、負けた・・・」バタン

 

みかんは、北条の作った料理を聞き、更にショックを受け、料理で北条に敵わないと思いながらその場で倒れた。

 

「おい、大丈夫か?」

「まぁ、折角作ってくれたんだから皆で食べよう」

 

内田は、みかんが折角作ってくれたドイツ料理だから皆で食べようと言う。

晴風の食堂ではドイツ料理で盛り上がり、賑やかな空気が流れる。その様子を見ていた明乃は、微笑むのであった。

播磨でも北条の作るドイツ料理で盛り上がった。

 

その頃、晴風の医務室では・・・

 

「一応、抗体らしき物は出来た・・・本当にこれが効けばいいが・・・」

 

美波は液体の入って試験管を試験管立てに置き、一本の注射を手に持ち、後を向く。其処には、羽交い締めにされている和住と、和住を羽交い締めにしている青木が居た。

 

「これを知るはこれを行うに如かず・・・学はこれを行うに至りて止む!」

「やめて美波さん!」

 

美波は、注射を持ち和住にゆっくりと近く。和住は美波が持っている注射を自分にやると思い声をあげる。

 

「大丈夫・・・痛くはないから・・・フフフ」

「ヒィィー!」

 

晴風の医務室に来ていた六黒は、痛くないと言うが。悪魔の様な笑顔で言う為、和住は更に声をあげる。

 

「何かあったら止めるんだぞ・・・」

 

和住は、注射を刺されると思い顔を背け目を閉じる。が、もう刺されている筈なのに、痛みを全く感じない。和住は目を開けると、美波は、自分の腕に注射をしていた。

 

「美波さん大丈夫か?・・・ちゃんと消毒してから打ってるのか・・・?」

 

六黒は、美波が自分の腕に注射をするとは知らなかった為、心配になり声をかける。

 

「問題ないです・・・」

 

美波は、問題ないと言う。

 

 

 




遂に開幕しましたね!ロシア ワールドカップ。

日本の初戦はコロンビア。前回のリベンジなるか!?楽しみです。
日本代表には決勝Tまで行って欲しいです!

ヒトラーの詳しい設定は、登場人物設定をご覧ください。

誤字、脱字など変なところがあると思いますが、ご容赦ください。感想お待ちしてます。


次回もお楽しみに!

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