ハイスクール・フリート マーメイドと海の男達   作:SNAKE金城

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第18話 救難活動でピンチ!

晴風と播磨は、商店街船 新橋から救難信号を受信。救助の為、新橋が座礁している。ウルシー環礁ファラロップ島に向かっていた。

 

数十分後。晴風と播磨は新橋が座礁している海域に到着した。

 

「低気圧は西に進んだことで嵐は収まったようです」

「『天気晴朗ナレドモ波高シ』とは、まさにこの事ですね」

 

金城はこの状況を、日本海海戦の時。当時先任参謀だった、秋山真之が打電した、電文内容の一部を言う。

また、余談ではあるが日本海海戦の時に行われた戦法。丁字戦法(東郷ターン)は、秋山真之が立案した戦法である。また、陸軍で兄の秋山好古は当時最強と言われたロシアのコサック騎兵を破っている。

海のバルチック。陸のコサック。当時最強と唱われた二つの部隊。艦隊を秋山兄弟で破っているのだ。

晴風の艦橋でも幸子が金城と同じことを言っていた。

 

「新橋の状況は?」

「新橋の船体は左舷側に大きく傾いています。傾きは、推測ですが約40度ぐらいかと・・・」

「危険な状態だな・・・」

 

見張りの報告に秋津は、新橋を見つめながら呟く。

 

「傾斜50度を越えると転覆する可能性があります」

「うん、救助を急がないとなぁ」

 

金城は傾斜約50度以上を越えると転覆する可能性があると言う。転覆すれば船内に残っている生存者が犠牲になる。秋津は一刻でも早く新橋の救助に向かうことにした。

播磨が新橋の近くに来ると秋津は、

 

「機関停止」

「何故、止めるんです?」

「近くに暗礁があるかも知れない。播磨まで座礁したら元も子もない・・・」

 

新橋が座礁していると言うことは、付近に暗礁がある可能性がある。もし、暗礁に播磨まで乗り上げてしまったら。元も子もない。救助作業は内火艇でするしかない。

 

「艦長、晴風から新橋の船内図が届きました」

「うん、見せてくれ」

 

航海長が晴風から届いた新橋の船内図をタブレットでみせた。秋津は新橋の船体図を見て救助作業の手順と救助隊の準備を確認した。救助隊はいつでも出られる体制にあった。

 

「それにしても、このタブレットは便利だな」

「ええ、前の世界にはない物ですからね。これのお陰で、気象などの情報が直ぐに入りますし、助かってますよ」

 

秋津達はタブレットの性能を絶賛した。

 

その頃、晴風でも救助隊の準備が完了していた。晴風の救助隊も出られる状態にあった。明乃は救助隊の準備完了を確認した。

 

「それと私もスキッパー・・・」

(また艦長が持ち場を離れる気か!)

 

明乃は自分も救助に向かおうとしたが、ましろの一言を思いだし。一瞬、静止する。

 

「何ですか?」

「・・・こう言う時。艦長ってどうしたらいいのかな?」

「っ!?」

 

明乃がましろにどうしたらいいのかと聞く。いつも即決即断の彼女が珍しく戸惑っていた。それを聞いた内田は目を見開き明乃を見る。

 

「私に聞かないでください」

「わかんなくなっちゃって・・・」

「艦長は艦にいてください」

「救助隊の指揮は?」

 

明乃はどこか自信のない声でましろに聞く。それを見かねた内田は、

 

「救助隊の指揮は、宗谷さんに任せる」

「えっ?」

「ワシも行こう!」

 

内田は、ましろに救助隊の指揮を任せると指示した。すると、ミーナがポージングしながら自分も救助に行こうと言う。

 

「岬さんはここから救助隊に指示を送ってくれ」

「わかりました・・・」

「播磨からも救助隊が出る。救助隊は、播磨の救助隊と協力して救助作業にあたってくれ。頼んだよ宗谷さん」

「わかりました」

 

そして、晴風救助隊と播磨救助隊は合流し救助手順の確認する。

 

「私とミーナさん、砲雷科三名と播磨救助隊の武藤さんと隊員一人が船内に入る。ダイバー隊は、播磨のダイバー隊と協力して船体の損傷を確認。航海科と応急員は救命ボートに乗っている乗員を晴風もしくは播磨に誘導」

『はい!』

「晴風救助隊、決して無理はするなよ。危ないと思ったら俺達に任せるんだ!」

『はい!』

 

そして、晴風。播磨救助隊は新橋の近くにきた。晴風の救助隊は、ちゃんと救助出来るだろうかと心配になる。そんな中ましろは、自分の運の悪さを言うと。皆の顔が一瞬で暗くなり、さらに心配になった。余計な一言である。

 

「大丈夫ですかね?」

「大丈夫だ、何かあった時は俺達がなんとしてでも彼女達を守る」

 

播磨の救助隊の一人が晴風救助隊の心配をする。武藤は、彼女達の身に何かあったら、なんとしてでも守ると言う。

 

「探照灯照射始め!」

「船上に生存者を確認!」

 

救助隊は、新橋の船上に生存者を確認した。船上には、助けを求める人が溢れ。恐怖と不安が生存者達を襲う。助かりたい一心で海に飛び込む人もいる。こうしてる間にも新橋の船体は傾き続けている。武藤は急ぎ両救助隊に海に飛び込んだ漂流者と船上にいる人達の救助を指示する。ダイバー隊には、海中に潜り新橋の損傷状況を確認するよう指示した。

ましろとミーナ、武藤は新橋に乗り込み、ブリッジで新橋の船長とあっていた。

 

「晴風副長、宗谷ましろです」

「播磨、救助隊隊長の武藤大輔です。只今から船内確認を開始します!」

「居住区はまだ乗員が残っている模様です。よろしくお願いします」

「了解しました!」

 

播磨救助隊の数名は他の区画を担当し、武藤とましろ、ミーナ、砲術委員の小笠原、日置、武田たちで、船内の捜索を行う。

 

「スプリンクラーが作動していない・・・故障か?」

「非常用システムがやられちゃったってこと!?」

「てことは・・・」

「この船って・・・」

「火災が起きてからでは遅い・・・直ちに船内の乗員を避難させよう」

 

播磨の艦橋には、続々と報告が入る。

 

〈船体は、第4区画前120mにわたり亀裂が入っていおり、前方の3区画は浸水している模様〉

〈此方、武藤。新橋の非常用システムが動作不良を起こしている模様〉

「何だと!火災は!?」

〈火災は起きていません〉

「艦長、晴風は新橋と接舷するそうです」

「わかった。暗礁に気を付けるように伝えろ」

「了解!」

 

新橋船内では、ましろ達が乗員の避難誘導をしていた。

 

「乗員。まもなく避難が終わります」

「あの・・・多聞丸がいないんです・・・」

「気がついたら傍にいなくて・・・」

 

一組の若夫婦が自分の子供がいないと言ってきた。子供かどうかはわからないが、さっきまで一緒だったらしい。

 

「小さい子ですか?」

「「はい」」

「捜索していないのは第5区画、飲食店地区だ」

「・・・よし!行こう!」

 

ましろは若夫婦の言っていた子を探しに第5区画へと走っていた。

 

「多聞丸ちゃんは任せて!お二人は避難を!」

 

ミーナも一緒に探しに行った。

 

その頃、晴風では、

 

「乗員の避難は終了しました!」

「中に入った救助隊も船から出てきたそうです。でも、副長とミーナさんが船尾方向の捜索に向かったと報告が・・・」

「えっ?」

 

それは船上に居た武藤にも伝えれた。

 

「何、二人がまだ中に!?」

「お子さんが一人、行方不明だそうです」

「何故お前達が行かなかった!」

「船内から出た瞬間に報告が来たもので・・・」

「くっ!・・・二人の所に行く!お前達も来い!!」

「了解!!」

 

武藤達はましろとミーナの所へと急いで向かった。一方、二人は、第5区画で若夫婦の子供を探していた。

 

「私はこっちを探してみる!」

「じゃあ、わしはこっちを!」

 

ましろとミーナは二手に分かれ捜索することにした。船が沈み行く中では、一緒に探すよりは分かれた方が効率がよく時間短縮になる。二人の生還率を上げることにもつながる。

 

「多聞丸ー!!」

 

一刻も早くあの若夫婦の元に連れ戻さなければ。すると、どこからか鳴き声が聞こえた。

 

「ニャー」

 

猫の鳴き声であった。新橋のコンビニの中から聞こえた。ましろはコンビニを見ると、一匹の子猫が座っていた。

 

「小さい子って・・・子猫のことか・・・」

 

電源が落ちていた為、自動ドアをこじ開けた。

あの若夫婦が言っていた。小さい子は、子猫のことであった。首輪にはローマ字で「TAMONMARU」と書かれていた。多聞丸って何処かで聞いたことがある様な・・・

すると、船内から鈍い嫌な音を立てる。船が限界に達したようだ。破孔から海水がどんどん入り、新橋の船体は沈み始める。

 

「何の音だ!?」

「これ・・・浸水音です!」

「クソッ!ここは退去するしかないか!退去する急げ!!」

 

二人の元に向かっていた武藤達救助隊も新橋が沈み始めていることに気付き、やむを得ず退去する。

播磨艦橋ては、新橋が沈んでいる様子を見張りが報告する。

 

「艦長!新橋が沈みはじめています!」

「くっ晴風に急ぎ新橋から離れるよう伝えろ!」

 

秋津は晴風に離脱するように伝えろと通信長に指示した。沈みゆく新橋は、真っ二つに折れた。

 

「船体が真っ二つに!!」

「まだ中に晴風副長の宗谷さんとミーナさんがいるようです」

「何だと!?武藤達は!?」

「何とか脱出した模様!」

 

秋津は苦虫を噛み潰したような表情をする。

 

その頃、新橋の近くにいた救助隊は、無事に船内から脱出し海に飛び込んだミーナを無事に救助した。が、船内にいるましろとの連絡が途切れた。

 

新橋船内では、ましろがまだ浸水していない所に多聞丸と共に避難していた。

 

「ニャ~」

「・・・怖いよな・・・」

 

多聞丸が不安そう鳴く。ましろは濡れており体が震えていた。

 

「私も怖い・・・何しろ私は・・・運が悪いし・・・このままじゃ駄目だ行こう」

 

ましろは恐怖のあまり泣きそうになるが、このままでは死ぬのを待つだけ、こんなところで死ぬの真っ平ごめんである。ましろは天井にあった。通風孔から脱出しようと考え通風孔の蓋を開け中に入った。

その頃、晴風艦橋では、

 

「副長・・・副長・・・シロちゃん!」

 

明乃は必死にましろを呼び掛けるが応答はなく。無線電話の受話器を戻す。

 

「待ってるって、こんなに・・・辛いんだね・・・でも、シロちゃんと約束したから・・・救助した人達に毛布を。それから何か食べ物。暖かい飲み物を用意して!」

『はい!』

 

いつもの明乃に戻ってきたようだ。それを見た内田は安心した様子だった。

播磨でも秋津が手空きの要員に救助した人達を播磨に移乗させるように指示し、主計科には、食事と飲み物の用意。また、居住区には、空いている部屋が多くある為、そこを救助者達の収容場所にし、足りなければ格納庫、食堂、会議室など空いているところは何でも使うよう指示した。

 

まもなく夜が開けようとしていた。秋津は艦長席を立ち、無線電話で、格納庫で待機している救助隊第2班と海鳥機長。菅野に指示をだした。

 

「こちら秋津、海鳥は救助隊第2班を乗せ発進!新橋に向かい晴風副長の宗谷さんを救助せよ!」

〈こちら、菅野。了解しました!直ちに発進します!!〉

 

秋津は、まだ新橋船内に取り残されている。ましろの救助を第2班に指示した。強風も収まった為、飛行に支障はない。第2班は急ぎ救助用機材を海鳥に積み乗り込む。海鳥はエンジンを始動する。格納庫のエレベーターが上がり海鳥の発進準備が完了する。

 

「こちら、海鳥。発進準備完了!」

「了解。海鳥、発艦始め!」

「海鳥、発艦する!」

 

海鳥は上昇し、新橋に向け飛び立った。この世界で始めて人が乗る。空飛ぶ乗り物が飛び立った瞬間である。

一方、晴風、播磨救助隊は、自分たちの艦に向かっていた。ましろを残した。新橋がどんどん遠ざかって行く。

 

「みんな・・・いるよね」

「航海科の子達は?」

「救助した人と播磨の救助隊の人たちと一緒に船に戻ったよ」

「あとは副長だけ・・・」

「宗谷さん・・・」

 

晴風の生徒達が不安そうに新橋を見る。ミーナは防寒具を着て、非常食を噛っていた。武藤はましろを助けられなかった。自分を責めながらも彼女の無事を祈る。その時だった、突如空から救助隊の内火艇を照らす無人飛行船がいた。

 

『ブルーマーメイドだ!』

 

新橋の救助に来たブルーマーメイドの無人飛行船だった。すると、後ろから次々とブルーマーメイド隊員が乗っているスキッパーが新橋へと向かう。

そんな中、一艇のスキッパーが晴風、播磨救助隊の内火艇に接近してくる。

 

「ブルーマーメイド保安即応艦隊の岸間です」

「晴風、砲雷科、小笠原以下救助隊です!」

「ご苦労様」

「播磨救助隊。特警隊隊長の武藤です。まだ船内に乗員一名が取り残されています!」

「わかりました。後は、任せて下さい!」

 

岸間は武藤にハンドサインをする。それを見た武藤は応えるように頷く。

 

「要救助者一名!」

 

岸間達はスキッパーを全速で新橋に向かう。すると、後ろから聞いたこともないエンジン音が聞こえてきた。

 

「何この音?」

 

ブルーマーメイド隊員達は不思議に思い辺りを見渡す。すると、物凄いスピードで轟音を立て、岸間達が乗るスキッパーの上を通り越す。物凄いスピードで来た飛行物体には、人が乗っており、機体には「日本国海軍」と書かれており、日の丸が描かれていた。

 

「あれが、噂に聞く播磨の空飛ぶ乗り物。海鳥!?」

「何てスピードなの・・・スキッパーの速度を越えてる!?」

「播磨の海鳥に負けてられないわ!私達も急いで新橋に向かうわよ!」

『了解!』

 

始めてみる空飛ぶ乗り物。ヘリコプターに驚きが隠せないブルーマーメイド隊員達。岸間はヘリコプター何かに負けられないとスキッパーのスピードを全開にして新橋に向かう。

その頃、新橋船内にいるましろは、通風孔のダクトの中を匍匐前進で進んでいた。進んでいくとライトの光が段々と消えていく。電池が切れたようだ。

 

「やっぱり・・・ついてない・・・うっ・・・クソッ!!」

 

一方、播磨艦橋では。

 

「救助者たちは、どうだ?」

「全員無事です。食事と飲み物も全員に渡っていますし、医務室では六黒さんが救助者たちの健診を行っています。晴風でも救助者たちに食事などを提供しているそうです。」

「そうか・・・後は、宗谷さんの救助か」

「すでに海鳥が到着して、捜索しているようです。また、ブルーマーメイドが到着したようです」

「うん・・・」

 

金城の言葉に秋津は安心した表情で応える。

 

その頃、新橋の船底部分で播磨の救助隊第2班が救助作業を行っていた。そして岸間たちブルーマーメイドも到着した。

 

「保安即応艦隊の岸間です」

「救助隊第2班の班長です」

 

お互い敬礼をし自己紹介をする。すると、第2班隊員の一人が何かに気づいたのか、

 

「叩くものないかー!?ハンマーでも何でもいい!急げ!!」

 

隊員の一人が船内からある音がしたらしく、もしかしたら、何かで叩けば応答するのではと思い。叩くものを要求した。ブルーマーメイド隊は、急ぎ木槌を取り出し、船体を叩き始める。すると、

 

「っ!?要救助者の位置確認!!」

「装置に反応あり、間違いありませんここに居るはずです」

「ガス切断機用意!」

「周辺確認問題なし!」

 

第2班救助隊はましろの居る位置を確認し、その周辺の船体をガス切断機で切断を始める。

 

「そのまま動くな!じっとしてろ!今助けるからな!!」

 

船内のダクトに居るましろは、第2班救助隊員の声を聞いて「助かった・・・」と涙を流しながら呟いた。そして・・・

 

「要救助者確認!」

 

ましろは第2班救助隊によって助けられた。海鳥からその様子を見ていた菅野は微笑んだ。

 

「副長!!」

「怪我は、ない?」

「大丈夫」

「よう行きとったの、我」

 

ましろは岸間におぶられていた。ましらの所にクラスの生徒達が駆け寄る。それを見た第2班救助隊員たちは、微笑んだ。

 

「ニャー」

「助かったにゃ~、よかったにゃ~」

「なんで、猫言葉になっとる・・・」

 

クラスの生徒達がましろの猫言葉に「えっ」と言った表情をする。

 

「そうか、宗谷さんは無事か!」

「ええ、うちの救助隊が救助したそうです」

「よくやってくれたよ」

 

秋津は、一人も犠牲を出すことなく。無事救助を終えたことに珍しく大喜びした。

その頃、晴風ではましろが助けた多聞丸をあの若夫婦に引き渡す所だった。

 

「多聞丸。無事救助しました」

「ありがとうございます」

「どうぞ!」

「多聞丸・・・あっ」

 

ましろが多聞丸を若夫婦に引き渡そうとすると、多聞丸はましろの手から逃げ出し、ましろの足元ですり寄り、離れない。

 

「多聞丸。いかないと・・・」

「ハハハハ。どうやら多聞丸は、宗谷さんになついたようだなぁ」

「秋津教官・・・」

 

すると、後ろから秋津が声をかける。晴風に来ていたようだ。

ましろに、なついている多聞丸を見た若夫婦は。

 

「ほら、多聞丸・・・」

「あの・・・よかったら」

「面倒・・みてもらえますか?」

 

若夫婦は、多聞丸の面倒をみてもらえないかとましろに言う。

 

「ご迷惑でなければ・・・」

「いいんじゃないか?面倒みてやっても、相当宗谷さんになついているようだしな」

「・・・わかりました、引き取らせて頂きます」

 

ましろは、多聞丸を引き取ることにした。こうして多聞丸は、ましろの猫となった。共に危機を乗り越えた仲・・・行動を共にする内になついたのだろ。

 

(多聞丸か・・・山口中将を思い出すな・・・確か晴風には五十六って名前の猫が・・・多聞丸に五十六か、海軍でも有名な二人の名前が、猫になって揃うとはな・・・)

 

秋津は微笑みながら内心呟く。

 

山口多聞(やまぐち たもん)は、日本国海軍。元第二飛行艦隊司令官で元中将である(前世界では、第二航空艦隊)。この世界でも大戦や日米開戦は起きていないものの第二飛行艦隊の司令官を務めた。一人前の兵士ですら厳しすぎると言うほど、猛訓練をさせる為、飛行船部隊のパイロットからは「人殺し多聞丸」と言われていた。秋津達の世界の山口も同様の理由で言われている。

退役後は地元の文京区の一軒家で静かに暮らしたと言う。87歳で亡くなっている。尚、秋津達がこの世界に来る前は生きていた為、秋津達の世界ではいつなくなったかは、不明である。

 

 

「お手数ですが・・・それを横須賀女子海洋学校まで届けてください」

 

美波は岸間に例のハムスターに似た謎の小動物が入った飼育箱を手渡す。

 

「了解しました」

「それとこれも・・・」

「これは?」

「抗体と私の報告書です」

 

美波は、抗体と報告書が入った大きめの茶封筒も岸間にわたした。すると、岸間は茶封筒と飼育箱を隊員に渡し、秋津の所に向かった。

 

「秋津特務監察官ですか」

「ん、確か岸間さんだったかな?」

「はい、この度は救助に協力して下さり、ありがとうございました」

「いいえ、当然の事をしたまでですよ」

「秋津さん、播磨はこれからどうするおつもりですか?」

 

岸間は今後、播磨はどうするのか尋ねた。

 

「引き続き、晴風と行動を共にしたいと思っています」

「そうですが。わかりました・・・後、秋津さん」

「はい・・・」

「あまり無茶はしないで下さいね。平賀さんが心配してますから」

「アハハハ。知ってたんですか?/////」

「ええ、平賀さんが話してくれましたから・・・では、私はこれで」

「ええ」

 

お互い敬礼をし、岸間は自艦へと戻った。

その頃、晴風艦橋では、

 

「ただいま・・・」

「っ!?・・・シロちゃん!」

 

ましろの名前を叫ぶと、明乃はましろに抱きつく。

 

「よかった無事で・・・私、待ってる間ずっと苦しかった・・・シロちゃんをずっと・・・ごめんね・・・」

 

明乃はましろの胸元で泣く。相当心配してたのであろう。

すると、

 

「ニャ~」

「えっ?」

「ん?猫の鳴き声?」

 

何処からか猫の鳴き声が聞こえた。すると、ましろの胸元から。

 

「ニャーン」

 

多聞丸が出てきた。それを見た艦橋組は、口を開け驚いていた。

 

「もう一匹・・・乗せてもいいだろうか?艦長・・・」

「もちろん!」

「可愛い~!」

「可愛い子猫だな、宗谷さん。この子の名前は?」

「多聞丸です」

「えっ・・・(多聞丸って、あの人殺し多聞丸の山口中将?あの人の名前をつけたのか・・・)」

 

内田は名前を聞いて驚いた。クラスの皆は多聞丸に夢中になった。多聞丸は、晴風の人気者と言うよりは人気猫になった。その様子を艦橋に来ていた黒木が不機嫌そうな顔をして見ていた。

 

「本職のブルマーは、流石だったな・・・後、播磨の乗員達も」

「私も遭難した時、助けてもらったからブルーマーメイドになろうと思ったんだ・・・それに、艦に乗れば家族が出来ると思って」

 

明乃は幼いときに、出会った無二の親友もえかと約束した事を話した。もえかの母親はブルーマーメイドで、もえかは母親はから「海の仲間は家族」と言われ、ブルーマーメイドになれば家族が増える。二人はそれからブルーマーメイドを目指すようになったのだ。

 

「だからあんなに・・・海の仲間は家族だと」

「そのもえかと言う子が。武蔵の艦長か・・・」

 

ミーナは思い出したのかシュペーに居る親友の話をする。

 

「わしのうちの艦長。テアとは中学からずっと一緒じゃった・・・ウィルスの抗体もできたことじゃしな。早く助けに行きたい」

「うん」

 

その頃、播磨艦橋では、

 

「また霧かよ。機雷はないよな?」

「あるわけないだろ」

 

見張りがまた霧かとボヤいていた。

時刻は夜、艦長室では秋津が平賀と一緒に写っている写真を見て、また微笑んでいた

 

(平賀さんには相当心配かけているようだな・・・心配かけないようにしないとなぁ)

 

そう呟いていると扉からノックする音が聞こえた。扉を開けると泡盛を持った金城と武藤、菅野が居た。

 

「おっ、武藤と菅野。珍しいなぁお前達が来るなんて」

「へへ、俺達もご馳走になろうと思いましてね」

「今日は色々と大変でしたから」

「フフ、まぁ入ってくれ、今夜は楽しい夜になるな」

「今日は、珍しい物を持ってきましたよ」

「おっ、いいですね~」

 

その日の夜、4人は二日酔いにならない程度まで飲んだと言う。

 

 

 




サムライブルー、やってくれましたね!南米強豪コロンビアを破り歴史的勝利を得ましたね!今度はセネガル。化け物並みの身体能力を持つ彼らに勝てるか!頑張れ!西野ジャパン!!

誤字、脱字などがあると思いますが、ご容赦ください。
感想お待ちしています。

次回もお楽しみに!

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