ハイスクール・フリート マーメイドと海の男達 作:SNAKE金城
翌朝、播磨と晴風の周りは少し霧がかっていた。
「おはようございます。艦長」
「おはよう。おやっさん」
秋津が艦橋に入ってきた。昨晩、泡盛を結構飲んだにも関わらず。元気である。泡盛は、日本酒よりアルコールが強い酒である。秋津は相当の酒豪のようだ。
「また霧がかかってるようだな」
「暫くすれば晴れるそうです」
「早く晴れてくれるといいが」
数分後、辺りの霧が晴れてきた。すると、見張りから・・・
「っ!?前方1時に艦影視認!」
「何処の艦かわかるか?」
「赤のカラーラインから横須賀女子の所属艦と断定。艦橋形状からすると・・・っ!?武蔵と思われます!」
「何!?」
前方から来る艦は、今まで行方が分からなかった武蔵だと言う。それを聞いた艦橋全員が驚く。すると、もう一人の見張りが
「ん?・・・いえ、あれは武蔵じゃありません。あれは戦艦比叡です」
「どうしてわかる?」
「よく見ろ。両舷に副砲がないだろう。それに前方の主砲は連装主砲だ」
見張りは、両舷に副砲がないのと前方の主砲が連装主砲。艦の形状から金剛型戦艦 比叡であると断定する。
「天皇陛下の御召艦か、久しぶりに見る。この世界でも全然変わってないなぁ」
「確か比叡は行方不明だったはずです・・・こんなところに居たとは・・・」
金剛型戦艦二番艦 比叡は、昭和天皇の御召艦としても知られる艦。史実では1942年に起きた第三次ソロモン海戦後に自沈したが、秋津の世界では自沈はしておらず。天皇陛下の御召艦として国民から親しまれている。この世界では、横須賀女子海洋学校所属の大型直接教育艦として使われている。
「目標との距離は?」
「目標との距離約13マイルです」
「さすが高速戦艦もうそこまで来てるのか」
その頃、晴風で野間が最初は武蔵と報告したがよく見ると比叡である事が分かり、艦橋へ報告していた。
「遠くから見ると武蔵そっくりですね。でも大きさが全然違いますし・・・野間さんもそのせいで距離感が狂ったのでしょう」
「行方不明になった比叡が・・・こんなところにいたとは・・・」
明乃は比叡の位置と進路を学校に知らせるよう指示をだす。そんな中、多聞丸がエサのお代わりをましろにねだる。その時、
「比叡、発砲!!」
「なんだと!」
野間から比叡が発砲してきたと報告か入る。いきなりの発砲。と言うことは比叡も武蔵、シュペー同様。あのウィルスに乗員が感染している可能性が高い。
「最大戦速!取舵一杯!」
「取舵いっぱ~い!」
晴風は回避行動を取るが、比叡は容赦なく撃ってくる。
「学校からの指示は?」
「ブルーマーメイドの派遣要請をしてくれました。到着は四時間後、それまで可能な限り比叡を捕捉し続けよ。ただし、晴風と播磨は安全を最優先にとの事です」
「播磨から連絡は?」
「まだ何も・・・」
学校はブルーマーメイドの派遣を要請した。ただし四時間後に到着。それまで晴風と播磨は比叡を捕捉し続けるようにと学校は指示した。ただし安全は最優先に・・・と言っても比叡は晴風と播磨に向け発砲し続けている。被弾する可能性は大である。
「りんちゃん、距離を取って大きく回り込んで。比叡の後ろについて」
「はい!」
「撃って来たと言うことは・・・」
「うん、比叡も例のウィルスに感染しているんだと思う。武蔵と同じように・・・」
二人は比叡が例のウィルスに感染していると推測した。すると幸子が、
「待ってください!比叡がこのままの針路、速度で航行すると、三時間後にはトラック諸島に到達します」
『っ!?』
「トラックって・・・確か」
「居留人口は一万を越えます。おまけに海上交通の要所なので一日平均。千隻の船が出入りします」
「ブルマーの到達は四時間後。間に合う可能性は低い」
ミーナの言うとうり、ブルーマーメイドの到達は四時間後。比叡がトラック諸島に到達するのが三時間後。どう考えても間に合う可能性は低い。もし比叡がトラック諸島に到達すれば、トラック諸島に向け砲撃する可能性は大である。また、比叡からウィルスがトラック諸島に広がればパンデミックを起こす可能性は十分であった。
「感染が広がったら大変なことになる。私達で阻止しないと」
「艦長、播磨の秋津教官から連絡です」
「わかった」
明乃は無線電話の受話器を幸子から受け取る。
「岬です」
〈岬さん、晴風は急ぎ比叡の射程外まで退避。ここは播磨が引き受ける。いいね?〉
「・・・分かりました」
「秋津教官はなんと?」
「比叡の射程外まで退避って・・・」
秋津は晴風に比叡の射程外まで退避を指示する。秋津は比叡の阻止を播磨がやると言う。
「りんちゃん、比叡の射程外まで退避」
「りょ、了解」
晴風は比叡の射程外まで退避する。播磨艦橋では、晴風が
退避して行くのを確認した。
「晴風、比叡の射程外まで退避完了!」
「よし、これより比叡を阻止する!総員、対水上戦闘用意!」
「対水上戦闘よーい!」
播磨は、戦闘体制にはいる。金城は、秋津に比叡を沈めるなと釘を刺しておく。秋津は微笑みながら返事をする。
「さぁ、天皇陛下の御召艦との戦いを始めようか」
秋津は不適な笑みを浮かべていた。
その頃、横須賀女子では真霜が校長の真雪の元を訪れていた。
「失礼します」
「あなたがここに来ると言うことは、よほどのことね」
「ええ」
そう言うと、二人は席につくと。真霜は真雪に報告書を渡す。その報告書には「密閉環境における生命維持及び低酸素環境に適応するための遺伝子導入実験」と書かれていた。真雪は報告書に目を通す。
「っ!?実験艦は深度1500mまで沈降。制御不能。サルベージは不可能・・・」
「のはずが、海底火山の影響で押し上げられて。浮上してしまった」
「・・・西ノ島新島。ここは、今年の海洋実習の集合地点よ」
真雪は海洋実習以外にこの集合地点で行われていたことを話した。
「教官艦さるしまに、研究員を乗せる手配をしたわ・・・西ノ島新島付近で海洋生物の生態を研究したいという依頼があって・・・」
「それが実は、実験艦からデータを回収して。その後、自沈させる為のチームだったんです・・・」
さかのぼること数十日前、古庄の聴取の日。真霜は聴取と見舞いを終え、古庄の病室を出て通路を歩いている時だった。ある病室から話し声が聞こえた。
「予想を遥かに超える感染力だ。さるしまだけでは、済まないかもしれない」
「うちの研究員全員が入院・・・こんなことになるとは・・・どう報告すればいいんだ!我々の責任問題になるぞ!」
その病室は、さるしまに乗艦していた研究員が入院いしている病室であった。それを聞いた真霜は独自で調査をした。
「RAT・・・」
「海中プラントで偶然生まれた生物に彼らが付けた名称です。この生物が媒介するウィルスは、生体電流に影響を及ぼします。そのため感染者同士は、一つの意思に従い行動する」
「一つの意思・・・?まるで群体ね。アリやミツバチみたいな・・・」
「ええ、だから記憶があるのに、行動の理由が説明できない。古庄教官の記憶が曖昧なのもこれが原因。付近の電子機器が狂う原因も、この生体電流の影響です」
晴風や播磨。東舞校教員艦隊の電子機器が狂ったのも、誘導弾などが使用不能になったのも。生体電流が影響していたせいであった。
「晴風から報告書が届いたわ。この生物が媒介するウィルスあり、試作した抗体を送るので増産されたし」
「抗体を学生が?」
「晴風には鏑木美波が乗っているのよ」
「え?あの海洋医大始まって以来の天才?」
「飛び級でまだ海洋実習をしてなかったから。今年済ませたいと言われて」
「変わり者とは聞いていたけど・・・でも助かりましたね」
「それに・・この抗体作りには、播磨の衛生長。六黒さんの協力もあって出来たそうよ」
「えっ?あの悪魔みたいな人が?彼、本当に医者なの?マッドサイエンティストじゃないの?」
「前の世界では、彼の名を知らない医者はいない程。有名な人だそうよ。それに、この抗体を短時間にかつ大量に増産する方法を作ったのは彼よ」
真霜は最初。六黒に会った時、彼が本当に医者なのかと疑った。何せ、あんな悪魔のような笑顔に不気味な笑い方。マッドサイエンティストではないかと思うのも無理はない。
「感染後の経過時間が短ければ。海水がウィルスに対し有効と推測される。しかし、時間経過と共にウィルスが全身に行き渡った場合。抗体の投与のみが効果的と思われる」
その頃、トラック諸島近海では、
「絶対に晴風に近づけさせるなぁ!」
「主砲一番、二番!撃ぇー!!」
播磨の51センチ砲から放たれた模擬弾は、至近弾で比叡の回りに着弾。水柱が上がる。比叡は、全主砲を播磨にむけ発砲しているが播磨は比叡から放たれた8発の砲弾を鮮やかに避ける。
「凄いです。比叡の砲弾を全て避けてます」
「さすが教官艦じゃな」
それを見ていた晴風艦橋組は、感銘を受けていた。
「じゃが、このまま戦闘を続ければ、いつか播磨にも被害がでるぞ」
「比叡の足を止よう・・・例え沈めることになるとしても」
ましろの言葉に艦橋にいる全員が唖然とする。内田は、無表情で何故かずっと黙っている。
「比叡の舷側装甲は武蔵のおよそ半分。砲戦では無理ですが。雷撃なら可能です」
「よっしゃきたぁー!!きたよー私の時代!西崎、慎んで沈めさせていただきま~す!あ~待ってましたこの時を。撃って撃って撃ちまくるぞ~!」
トリガーハッピーな西崎は雷撃と聞いて自分の出番だと興奮する。すると、内田が
「それは絶対に駄目だ!相手は君達と同じ学校の同級生だ。その同級生が乗る艦に魚雷を打ち込む事は絶対にあってはならない!怪我人が出る可能性だって大きい!」
内田が珍しく怒鳴る。ましろも沈めるとは言ったものの。それは、あくまでも過程の話であって足を止める方法がないと言うだけの話であった。
それを聞いた西崎のテンションは下がる。
「内田さんの言うとうり・・・比叡に乗っているのは私達の同級生なんだよ・・・もしもの事があったら」
「しかし、このままでは播磨に被害がでるぞ」
一瞬悩むが、明乃は決断をする。
「・・・何とかして、沈めずに比叡の足を止めよう」
「シュペーの時と同じことを!?あの時ですら無理だったんだぞ!」
「比叡の両舷には副砲が七門ある。晴風の射程に寄せる前に七発の砲弾で蜂の巣にされる」
比叡の足を止めるには、どうすればいいのか悩んでいる中。艦橋にある通気孔らしき所から勝田の声が聞こえてきた。すると、その通気孔から多聞丸と五十六が出てきた。だが、五十六はぽっちゃり体型の為、入り口で引っ掛かっている。
それを見た明乃は、何かひらめいた様子。
「比叡を・・・止められるかも」
比叡の足を止める方法を思いついた様だ。
播磨艦橋では、明乃が比叡の足を止める作戦の実行の許可を要請してきた。だが、秋津は自分の判断では許可を与えるわけにはいかないと言う。明乃が出した作戦は自分達を危険に晒すような作戦。教官だけで許可を出す訳にはいかない。秋津は横須賀女子に通信を入れた。
横須賀女子海洋学校の校長室では、播磨からの通信を受けた。
「校長、播磨より通信です。繋ぎます」
真雪は机にある電話に繋ぎスピーカーにする。
〈こちら、教官艦 播磨艦長の秋津です。現在、晴風と共に比叡監視の任務についていますが、比叡もさるしまや武蔵同様。ウィルスに感染していると思われます。このままだと約二時間後にトラック諸島に到達する見通しです。そうなれば比叡からウィルスが流れ、トラックの住人に感染しパンデミックを起こす可能性があります。そこで晴風艦長の岬さんより、比叡の足を止める作戦の提案がありました。その作戦実行の許可を願います〉
秋津は明乃が提案した作戦の実行許可を真雪に要請する。
〈作戦内容をパソコンに送ります〉
秋津はそう言うと通信長に指示し、晴風の作戦内容をタブレットで真雪のパソコンに送る。真雪は作戦内容に目を通す。
「よく考えられているわ・・・確かにこれなら実行可能ね」
「そんな危険すぎるわ!晴風一隻で比叡を止めるなんて。秋津さん播磨では出来ないの?」
〈播磨では船体が大きすぎて、比叡を止める前に自分達が巻き込まれる可能性があります。だから許可を求めているんです〉
この作戦は晴風にしか出来ないの作戦のようだ。晴風の生徒達は校長の真雪の生徒である。特別教官の秋津が、危険に晒すような作戦の許可を簡単に出す訳にはいかない。だからこうして校長である。真雪に許可を要請しているのだ。
〈今、この海域にいるのは我々と晴風だけです。もし更なる危険が及ぶのであれば、俺が全力を持って晴風の生徒達を守ります。どうか許可を〉
「晴風の燃料は足りてますか?故障箇所は?晴風の生徒達の体調は?」
〈さっき聞きましたが、全て問題ないそうです〉
「・・・分かりました、許可します。ただし、クラス全員でよく相談して実行するように晴風の生徒達に伝えてください」
〈分かりました。ありがとうございます〉
校長、真雪の許可を得た秋津は電話をきる。
「いいの・・お母さん?」
「私が見たところ作戦そのものは無謀なものではないわ。秋津さん達がついているし、それにほら・・・」
真雪は真霜にパソコンに映っている物を見せる。そこには、
「猫?」
パソコンの画面には、ふんぞり返ってる五十六の姿が映っていた。
「晴風からの報告でね。RATを捕らえた猫には、ウィルスが感染しなかったのよ・・・いい風が吹いているのかもしれないわね。あの艦には・・・」
ちなみに播磨にはRATが居なかった為、感染者が出なかったようだ。真雪は作戦が成功することを祈る。
トラック諸島近海では、晴風による。比叡足止め作戦が、始まろうとしていた。
サッカー日本代表。セネガル戦は激闘の末ドローでしたね。日本、次勝てば決勝T進出が決まります。実に2大会ぶりです。相手はグループで最上位でまさかの予選敗退を喫した。レヴァンドフスキ有するポーランドです。
日本、今の調子で行けばポーランド相手にも勝てる可能性があります。頑張っれ!西野ジャパン!!
誤字、脱字やおかしな所があると思いますが、ご容赦ください。感想お待ちしております。
次回もお楽しみに!