ハイスクール・フリート マーメイドと海の男達 作:SNAKE金城
それではぞうぞ!
播磨と晴風は、トラック諸島近海で行方不明になっていたう戦艦比叡と遭遇した。秋津は比叡と砲撃戦を続けて何とか阻止しようとしたが、明乃が提案した作戦の方が比叡の足を止めるには、十分な作戦であると判断し。秋津は校長の真雪に作戦実行の許可を求め、その許可を得た。
作戦実行の許可を得た秋津は、晴風に直接通信で連絡した。播磨は作戦で晴風の支援をすることにした。
明乃は、艦内放送でクラス全員に作戦概要を説明した。
「以上が作戦の概要です」
「そこまでして止めなきゃならないの?」
「それは・・・」
等松は作戦概要を聞いて、そこまでして止める必要があるのかと懐疑的であった。だが、そこまでしてでも止めないといけない理由を美波が話す。
「比叡はウィルスに感染している。先日の砲術長の症状を思い出してくれ、さるしまも武蔵も同じウィルスに感染したと思われる。ウィルスに感染したものは自分の意思を制御出来なくなる・・・しかし、私と播磨の六黒衛生長で抗体を開発した」
それを聞いた和住は、あの時医務室で美波が自身に注射をうったのは、ワクチンの実験だったのかと納得する。
「データは学校に届けた。だから足止めさえしておけば、比叡の生徒は後日治療出来るはずだ・・・しかし、このまま比叡を放置すれば、トラック諸島の住民に感染するかもしれん。となると・・・トラックで
「私は、皆助けたい。比叡の子達もトラックの人達も・・・海の仲間は家族だから」
「で、また一人で飛び出すつもり?」
黒木はまた一人で飛び出すのかと言う。
「うんうん、この作戦を成功させるには、皆の力が必要なの。だけど、皆に危険が及ぶから。私一人じゃ決められない。皆の意見を聞かせて」
明乃は確実に艦長として成長している。そう感じたのか内田は微笑んでいた。艦橋組は今までの明乃とは何かが違うと感じた。シュペーや武蔵の時みたいに独断で助けに行ったりしていた明乃とは違った。
「比叡クラスって、武蔵に次ぐ優等生が乗るクラスだよね・・・」
「私達じゃ・・無理っぽくない・・・?」
「大型艦だもんね~・・・」
「武蔵の時も怖かったし・・・」
クラス全員。武蔵の戦闘で恐怖を覚えたのか、作戦の実行に消極的であった。それもそうだ彼女らは、最近入学したばかりの高校生。戦闘も経験したことのない、言わばひよっこである。あんな怖い思いをして消極的ならない訳がない。
だが、そんな消極的な空気を打ち破ったのは・・・
「わ、私・・やります!頑張ります!」
いつもは逃げようとする知床がこの比叡足止め作戦をやると涙目ながら声を上げる。
「引っ込み思案な知床さんが~」
皆、珍しいと言った表情で知床をみる。知床も確実に成長している。この成長は、明乃の影響もあるのかもしれない。
「どうする?」
「うい、うい!」
「よし、やるか!」
立石と西崎もやる気満々のようだ。
「やるやる!」
「やぶさかではありません!」
「わしも手伝う、他人事ではないしな」
「わ、私達も~!」
「艦長は、播磨の人達と私達を助けに来てくれたし!」
「今度は私達が助ける番!」
艦橋組以外にも作戦に賛同する声が上がる。各委員、各科から続々と賛同の声が上がった。
「私達は・・・」
「どうすれば・・・」
「うーん・・・と、兎に角。ご飯炊こう!」
「「ご飯炊こう!」」
炊事委員も自分達が出来ることを全力でやることにした。ご飯を作ることも重要な事だ。
「やっぱり無茶よ!機関が持つかどうか・・・ねぇ、麻侖?」
「・・・よ~し!やってやろうってんでい!」
「ええ?」
「艦長ってのは神輿よ!軽くて馬鹿でも神輿を担ぐのが江戸っ子の心意気でぇい!」
「いや、千葉出身でしょ。機関長殿」
最後まで消極的であった。機関科メンバーだったが、機関長の麻侖は作戦に賛同した。
「でもま、機関長が言うなら」
「やりますか!」
麻侖に続き機関科メンバーは賛同していく。
「宗谷さんは、無理だと思うよね?」
黒木は最後まで消極的のようだ。
「互いの艦の特性を考えれば、不可能ではないと思う。だから・・・力を貸してくれないか」
「宗谷・・さん・・・わかった・・・」
黒木はましろの言葉にショックを受けるも、この作戦に渋々ではあるが賛同した。
「艦長、やるからには私も全力を尽くします」
ましろがそう言うと艦橋に居る生徒達は明乃を見る。これで晴風クラスの全員が明乃の作戦に賛同した。
「みんな・・・ありがとう」
明乃は皆に感謝の言葉を述べた。内田は微笑んでいた。彼は長く晴風に乗艦して分かったことがあった。この晴風の生徒達は確実に成長していると。播磨がいながらも、どんな困難にも立ち向かい成し遂げてきた。それは、秋津も同じであった。晴風から作戦実行の連絡が播磨に入る。その連絡を聞いた秋津は微笑んだ。
「戦闘よーい!」
(お手並み拝見といきますか・・・)
内田はそう呟く。
晴風による比叡足止め作戦及び救出作戦が始まった。
「比叡を岩礁地帯まで誘導させろ!主砲、砲撃始め!」
「撃ぇー!」
(晴風の生徒達・・・頑張れよ!)
秋津は晴風のクラス全員を心の中で応援した。
播磨の主砲弾は容赦なく比叡に降り注ぐ。比叡は播磨に敵わないと判断したのか、岩礁地帯に居る晴風に目標を変える。
晴風艦橋では、幸子がタブレットで潮の流れと岩礁がある場所のデータを明乃に見せていた。
「凄いねこれ・・・」
「本当に凄いな・・・(自分達の世界にもこんなのがあったら便利だろうな)」
内田は前の世界にもタブレットのような物があれば、便利だろうなと内心呟く。
「データはより多く、より新しくがモットーでして。個人的に収集してます」
「助かるよ。ありがとう」
「お主、やるではないか」
「このへんでええとこ見せんと、もう舞台は回って来ませんけぇ!」
「間尺に合わん仕事かもしれんなぁ・・・」
(この二人、こんな時でも任侠映画の台詞って・・・どんだけ任侠映画が好きなんだ?)
こんな時でも、任侠映画の台詞を言う二人に内田は苦笑いしながら呟く。
「メイちゃん、タマちゃん!準備を!」
「よしきた!」
「うぃ!」
立石と西崎は気合いが入っていた。西崎場合、撃てること自体に喜んでいる。このトリガーハッピーがもしブルーマーメイドになっても続くと思うと先が思いやられそうだ。
「艦長!針路の候補、出ました!」
タブレットには、足止めするための幾つかの針路候補が表示されていた。明乃は一通り目を通すと、針路候補を決めた。明乃は知床にその針路に航行するよう指示した。
比叡は容赦なく晴風に向け主砲を撃つ。
「右舷に着弾!」
「と~りか~じ!」
「と~りか~じ!」
明乃は艦橋のにある天井のハッチを開け身を乗り出し、指示を出す。
「もど~せ~!」
「もど~せ~!」
明乃の指示をましろが復唱する。比叡の砲弾は晴風の右舷後方に着弾し水柱を上げる。
「シロちゃん!砲雷撃の指示。お願い!」
「わかった!戦闘。右、砲雷同時戦!発射雷数2。比叡の左舷を狙え。当てるなよ!」
「難しいな~」
「主砲。こちらの砲では装甲を抜けないから、当てるつもりで撃っていい。ただし、左舷よりに着弾させて少しでも右に誘導して!」
「うぃ」
「攻撃始め~!」
晴風の後方の主砲が比叡に向けて撃つ。晴風から放たれた砲弾は左舷ギリギリに着弾し水柱を上げる。負けじと比叡も主砲を晴風に向けどんどん撃つ。
「既定のコースをお進みください。海底に障害物は、ありません」
「勝負どころじゃ・・狙うもんより狙われるもんの方が強いけぇ・・・」
「後がないんじゃ・・・」
(なりきりすぎだろ!)
台詞だけでなく顔も任侠を意識している二人を見た内田は内心思わずツッコム。
「あ・・当たりそぉ~・・・」
「大丈夫だ、知床さんの操艦技術があれば当たらないよ」
比叡から降り注ぐ砲弾に怯えながらも舵を握る知床。知床の操艦技術があれば砲弾に当たることはないと、内田は笑顔で言う。
その頃、播磨は岩礁地帯の周辺を航行しながら、全主砲を自動捕捉モードで比叡を捉えながら晴風を見守っていた。
「大丈夫ですかね・・・」
「大丈夫だよ。おやっさん・・・岬さん達なら比叡を止められるさ・・・」
金城は心配でしょうがなかった。駆逐艦である晴風にもし戦艦である比叡の砲弾が1発でも当たれば致命傷になりかねないからだ。人の生死に敏感な金城は、晴風の生徒達の身を誰よりも心配していた。だが、秋津は信じていた。晴風の生徒達は必ずやり遂げると。比叡を足止め出来ると。秋津は只々見守っていた。
「比叡!第一ポイントへの誘導に乗りました!」
比叡は予定のコースに乗ったと見張りの野間から報告が入る。
「うまく、乗ってくれたか・・・」
「ここで座礁させれば沈めずに足を止められる!」
「っ!?抜けられた!」
何故か比叡は座礁ポイントを抜けた。どの様にして向けたのかは不明であった。比叡は、晴風に向け主砲どんどん撃つ。
(やはり、一筋縄では行かないか・・・!)
「撃ってきた!と~りか~じ!」
比叡の砲弾は晴風の左舷後方の付近に着弾。至近弾だったため、着弾の衝撃波が晴風に襲い艦橋にいる全員がよろける。
「至近弾!左舷後方に着弾!」
「損害は!?もう少しだけ頑張って!」
すると、機関室では。至近弾の影響でバルブが破損し、破損箇所から蒸気が吹き出す。機関科メンバーは破損したバルブから離れる。
「バルブ破損!」
「ヤバイって!これじゃ速力維持出来ないよ!」
「わ~てる!まだか艦長!」
「後10分だけ持たせて!」
「分かったけどよ!本当に10分でぶっ壊れるぞ!」
晴風の機関は限界が近いようだ。これまで戦闘してきたたその分、故障してきた。今の状況だとぶっ壊れてもおかしくない様だ。
「比叡、第二ポイント。通過を確認!」
野間から比叡を座礁させる二つ目のポイントを通過したとの報告が入る。
「艦長!座礁させるポイントを今度も抜けてこられたらどうする!?」
「まだだよ・・・まだ終わってない!」
「しかし、艦長!もう・・・!」
「越えられない嵐はないんだよ!!」
ましろは、明乃の言葉に何かを感じたのか、キョトンとした顔をする。今までの明乃とは明らかに違っていた。
「と~りか~じ!」
比叡は晴風に向けどんどん撃ってくる。すると、ましろは一度比叡に避けられた座礁ポイントに戻ってきていることに気づく。晴風と比叡は同じコースを一周してきたのだ。
「さっきと同じ所に戻ってきている。此処じゃ比叡は座礁しなかったぞ!」
「ひめちゃん、今!!」
「了解!バラスト排水!」
明乃は和住にバラスト水を排水するよう指示する。
「バラストを排水したら安定性が・・・!」
「りんちゃん!速度一杯で!」
「嘘・・・」
「お願い!」
「は、はいー!!」
(バラストを排水させたか・・・安定性はなくなるがそうでもしないと・・・)
知床は涙目になりながらも指示に従い、速度を上げる。内田は明乃が何をやりたいのか、理解していた。
「比叡!先程と同じコースに入りました!」
比叡は先程と同じコースに入る。機関室からは麻侖が速度を下げないと機関が持たないと報告する。明乃は比叡をじっと見つめていた。すると、
ドゴオォォーーン!!
何処からか物凄い砲撃音がした。すると、比叡の左舷付近に大きな水柱が上がった。明乃が音がした方向を見ると、播磨が比叡に主砲を向けていた。どうやら一斉射で比叡の左舷付近を狙って撃った様だ。
比叡は左へと舵を切り、再び晴風の方へ向かう。すると、比叡の船体が急に傾いた。同時に海中では物凄い音が響く。先程避けた座礁ポイントに比叡は座礁した。
「比叡、停止!!」
「比叡の機関停止を確認しました」
野間と楓から比叡が完全停止したとの報告が入る。晴風は比叡の足止めに成功した。
しばらくすると播磨も比叡が座礁している所に着く。すると、比叡の後方から黒いゴムボートが比叡に向かっていた。ゴムボートには、ガスマスクをし、どこかの特殊部隊の様な武装をした人達が乗っていた。それを見た知床は少し怖がっていた。
「誰?あの人たち?」
「あれは播磨の特警隊だよ。たぶん臨検のため、比叡に乗り込むだよ」
「何か、強そうですね~」
播磨の特警隊は比叡に乗り込んだ。数十分後、特警隊は比叡を制圧した。ガスマスクはウィルスの感染を防ぐためにつけていた。特警隊は、比叡の生徒達に美波と六黒が作ったワクチンを打った。ワクチンは六黒が大量に用意していた。
後は、派遣のブルーマーメイドが来るのを待った。
時刻は夕方。晴風では比叡の足止め成功で盛り上がっていた。
「潮の満ち引きか」
「ココちゃんのお陰だよ。オンラインの海図だったから水深の変化はリアルタイムで分かったし」
「なるほど、前に通った時より潮が引いて。水位が下がっていると」
「そこまで想定していたのか」
そう、あの時比叡は座礁ポイントを抜けたのではなく。あの時、潮が満ちており水位が上がっていた為、座礁せずそのまま抜けられたのだ。明乃はリアルタイムで表示される海図を見て水位が下がる時を見計らって比叡の座礁に成功したのだ。バラストの水を排水したのは晴風の座礁を防ぐためにやったのだ。
「私達が助けたんだよね?」
「トラック諸島と比叡と、両方とも」
「うちの艦長って、いけるくちなのかな?」
「その褒め方おかしいから」
比叡の足を止め、比叡の生徒。そしてトラック諸島に住む住人を救った。またウィルスの感染拡大も防いだのだ。晴風の生徒達は自分達でやり遂げたのだと歓喜した。
「私、今。艦長・・だったかな」
「うん、今の岬さんは立派な艦長に見えるよ」
「秋津教官」
秋津も晴風に来ていた。
「宗谷さんもそう思うだろ?」
「ええ、まぁ。らしかったです・・・幾分ですけど」
「でも、すまないな。君達を危険な目に会わすような作戦に賛同してしまって」
「いえ、私が考えた作戦ですし、皆も賛成してくれましたから」
「そうか・・・」
秋津は晴風の生徒達の身を危険に晒すような作戦に賛同してしまったことを詫びる。明乃は自分で考え、クラス全員が賛同した作戦だから気にしないでくれと言う。それを聞いた秋津は微笑んだ。すると、その横にいた内田が何かに気づいた。
「ん?艦長、黒い艦艇が此方に向かってきます」
「何・・・?インディペンデンス級ってことは、ブルーマーメイドの艦艇か?」
晴風と播磨に黒いインディペンデンス級が接近してくる。それを見たましろは、
「ま、まさか・・・!」
何かまずいと言った表情をするましろ。その黒いインディペンデンス級の艦尾には「弁天」と書かれていた。
すると、弁天から黒の制服に黒のマントを纏った女性が飛び乗ってきた。
「こりゃ見事な着地だなぁ」
「言ってる場合ですか?」
秋津の言葉に内田がツッコム。
「ブルーマーメイドの宗谷真冬だ。後は任せろ・・・お、シロじゃねぇか!」
真冬はましろに気づき無理やり肩を抱く。ましろは嫌そうな顔をする。
「久しぶりだな、おい!」
「ちょ、やめてよ姉さん!」
「成る程、名字が同じですしね」
「ハハハ、二人とも仲がいいなぁ」
「縮こまりやがって、お姉さんが根性を注入してやろうか?」
「根性・・注入?」
真冬の根性注入と言う言葉に明乃が反応する。
「いらないわよ!根性注入なんて!」
「お願いしてもいいですか?」
「ば、バカやめ・・・」
「おう!任せとけ!」
明乃は真冬に根性を注入してくれとお願いする。真冬は笑顔で任せろと言う。すると、何故か拳を鳴らしている。秋津と内田は背中を平手で叩くのだろうと思った為、止めなかった。
「覚悟はいいな?」
「はい!お願いします!」
「よ~し!まずは回れ右だ!」
明乃は言われたと売り回れ右し後ろを向く。
「根性・・・注入ーー!!」
真冬は明乃のお尻目掛けて両手を前に出す。すると、お尻を揉み出す。だが、それは明乃のお尻ではない。お尻を揉み出す真冬を見て晴風のクラス全員がドン引きする。内田もドン引きした。秋津は目を細目ながらその様子を見る。
「根性、根性、根性・・・ってあれ?何でシロが?」
姉の真冬の根性注入がお尻を揉む事を知っていた。ましろは、明乃をかばい代わりに犠牲になった。
「こんな辱しめは、身内で留めておかないと・・・」
「ふ~ん、お前がいいなら構わねぇが~。船乗りは尻が命だからな」
「ちょ、やめて・・・!」
「おお!?ちょっと柔になってね~か?この尻!」
「やめて姉さん!」
「こんな、尻じゃシケる海を越えられねぇぞ!おらおら、根性!根性!」
「そのへんにしとけ、宗谷二等監督官」
見かねた秋津が止めにはいる。
「お、あんたが。あの播磨艦長の秋津特務監察官か~?」
「そーうだけど」
「あんたにも根性を注入してやろうか?」
「ハハ、やれるもんならやってみろ」
「よーし、根性・・・注入!!」
真冬は秋津の尻目掛けて両手を前に出す。秋津は両手を避けその両手を掴み。背中に回し逮捕術をかける。
「イテテテテテテッ!勘弁!勘弁してくれ!」
「ハハハ、俺の尻を触ろうなんざ数百年早い!」
秋津は自分の尻を触るには数百年は早いと笑いながら言う。
「イテテテッ!シロ、助けてくれ!」
「自業自得!」
「そんなこと言うなよってイテテテテッ!」
『アハハハハハハ』
その場に居た全員がその様子を見て大笑いするのであった。
誤字、脱字など変なところがあると思いますが、ご容赦ください。感想お待ちしています!
次回もお楽しみに!