ハイスクール・フリート マーメイドと海の男達 作:SNAKE金城
現在、播磨と晴風はアドミラルティ諸島近海でシュペーの救出作戦を行っていた。だが、シュペーの予想外の行動に救出作戦は、事実上失敗した。だが、秋津はこうなる事を想定していたのか、考えていた予備の作戦を実行することにした。
その頃、晴風では。
「これでは・・・接舷乗り込みなど不可能じゃ・・・出直すべきじゃ・・・」
「ミーちゃん!諦めちゃダメだよ!秋津教官も頑張っているだよ!」
「しかし、これ以上続けると、播磨に大きな被害が出る・・・もし晴風に砲弾が直撃しれば一瞬で消し飛んでしまう・・・これ以上、危険にさらすわけには」
艦橋では、シュペーの予想外の行動を見て、どうすればいいのかと言う空気が漂う。
諦めようとするミーナを幸子は説得するが。ミーナは、完全に諦めていた。
「でも、前には行けたじゃない!」
幸子は前のシュペーでの戦闘では、うまくいったではないかと言う。
すると、その言葉を聞いて、西崎がある事を思い出した。
「艦長、スキッパーなら行けるんじゃない!」
「確かに、小さくて小回りが効くスキッパーなら、砲撃を避けるのは用意です」
「だが、至近弾を受けたらスキッパーは粉微塵なる。それだけじゃない、スキッパーに乗る突入隊に怪我人が出る可能性もある」
確かにスキッパーで行くのは、いい案ではあるが。その分危険が大きいと内田は言う。すると、
「艦長!播磨から通信が入っています!」
八木が播磨から通信が来ていると報告が入る。
「わかった、繋げて」
明乃は繋げるように指示し、無線電話の受話器を取る。
「艦長の岬です」
〈岬さん、今から俺が用意した予備の作戦を説明するからよく聞いてくれ〉
「わかりました」
秋津が予備で考えていた作戦はこうであった。
作戦開始前に、シュペーの主砲は全自動で無人でおることを確認している。そこで秋津はシュペーの後部甲板の主砲塔を無力化し、晴風の突入隊を海鳥に乗せ、シュペーの後部甲板上空に到達したら。強行着陸し、播磨の突入隊と共にシュペーに乗り込むと言うものであった。
この作戦内容を明乃はクラス全員に説明した。それを聞いたクラス全員は、作戦に賛同してくれた。
〈突入隊は編成してあるかな?〉
「はい、してあります」
〈では、突入隊を後部甲板に集めてくれ。今、海鳥がそちらに向かっている〉
「わかりました」
明乃は言われたとうり、突入隊に後部甲板に集まるよう指示した。晴風の突入隊には、野間、楓、青木、等松と抗体のワクチンを持っている美波。そして、シュペーの副長であるミーナが居る。
突入隊は後部甲板に集まり、向かってくる海鳥を見て驚く。飛ぶ姿は遠くで見たことはあるが、間近で見るのは始めてであった。
「こんな乗り物、我がドイツにも無いぞ・・・」
ミーナは驚きを隠せなかった。技術力ならどこにも負けないくらいの高さを誇るドイツでも、人を乗せる空飛ぶ乗り物はないからだ。
すると、海鳥のドアが開く。中にはガスマスクを着け武装した人が数名乗っていた。それを見た等松が少し怖がる。
それを見た武藤はマスクを外す。
「ほら、つかまって!」
播磨突入隊隊長の武藤が手を出し一人一人海鳥に乗せていく。
「全員乗ったぞ!」
「よし!そんじゃあ行くぞ、バカヤロウ!」
播磨は一気に上昇する。
「すごい、本当に空を飛んでる」
「信じられませんわ・・・本当に空を飛んでるなんて」
晴風突入隊は海鳥が飛び立つと更に驚く。今まで体験したことのないことを体験している。
晴風の艦橋でも、飛び立つと海鳥を見て改めて驚く。
「いいなー、私も乗ってみたいな~!」
西崎が羨ましそうに言う。
「本当に大丈夫でしょうか?」
「大丈夫、秋津教官が考えた作戦だ、救出が成功することを信じよう」
ましろは心配するが、内田は秋津の作戦を信じようと言う。明乃も秋津が考えた作戦が成功することを心の中で祈る。
「副砲一番!対艦榴散弾の模擬弾を装填!」
「副砲一番!対艦榴散弾、模擬を装填!」
秋津は51センチより小さい15.5センチ砲に対艦榴散弾の模擬弾を装填するように指示する。
対艦榴散弾は、日本国海軍が榴散弾を対艦用に開発した砲弾で、敵艦の兵装を無力化する目的で作られた。
この世界に来て、模擬弾を開発し、実習が始まる前日に完成しているため。これが始めて模擬弾として撃つ対艦榴散弾となる。
「副砲一番!装填完了!!」
「左○○度、仰角20度!発射準備よし!!」
「副砲一番!発射準備よろし!」
副砲の発射準備が整ったと戦闘指揮所から伝声管で伝えられそれを砲雷長が秋津に伝える。
「砲撃始め!!」
「撃ぇー!!」
第一副砲から対艦榴散弾の模擬弾がシュペーに向け放たれる。対艦榴散弾はシュペーの主砲の手前上空で炸裂。砲弾の中にある破片弾が降り注ぐ。
シュペーの主砲の砲身は変形し使用不能になった。
「シュペーの第二主砲に着弾!無力化に成功!」
「よし!後は突入隊が乗り込み、シュペー救出に成功することを祈ろう・・・」
秋津は突入隊のシュペー救出の成功を祈った。
シュペーの第二主砲の無力化を確認した。菅野は、
「よし、行くぞ!何かに掴まっとけ!」
海鳥はスピードを上げシュペーの後部甲板に向かう。
播磨艦橋でも海鳥がシュペーに向かっていくのを確認した。
「海鳥、シュペーに向かって行きます!」
「よし!シュペーの主砲の射程外まで、退避する!晴風にもそう伝えろ!機関最大戦速!取舵一杯!!」
「取舵いっぱ~い!最大戦速!!」
播磨と晴風はシュペーの主砲の射程外まで離脱するよう指示し、それを晴風にも伝えた。
「主砲の射程外に出るまでどれくらいかかる?」
「我々の速度だと約33分、晴風だと約30分です」
「てことは、まだまだ撃ってくるな・・・」
「この際、第一主砲も潰しますか?」
「馬鹿!お前は国際問題を起こしたいのか?このまま退避だ!」
砲雷長が、第一主砲も潰すかと言うが。これ以上シュペーに損傷を与えてしまうと、国際問題に発展する。秋津はそのまま何もせず退避することにした。
シュペーは副砲を播磨と晴風に向け放つ。すると、播磨より前へ出てしまっていたせいか、砲弾は播磨の艦橋を通過し、晴風の射撃指揮所に被弾した。
「晴風の射撃指揮所に被弾!」
「何だと!?」
秋津は直ぐに艦長席を立ち、無線電話の受話器を取り晴風に通信を繋いだ。
〈艦長の岬です〉
「岬さん!射撃指揮所の生徒は無事か!?」
〈射撃指揮所に居た3人は、安全装置のお陰で無事です〉
「そうか、良かった・・・」
晴風の射撃指揮所に居た。小笠原、武田、日置の無事を聞いて、秋津は安堵する。
その頃、シュペー後部甲板に無事強行着陸に成功した。晴風、播磨突入隊は行動を開始する。
ドアを開けた瞬間、野間がいの一番に飛び出す。野間の前には、感染したシュペーの乗員四人が立ち塞がる。
「私を倒せると思うなよ」
そう言うと、シュペーの乗員二人が野間に襲いかかるが、野間は難無く交わし、正面に居る二人の顔面に海水入りの水鉄砲を食らわし、喰らった二人は感染時間が短かった為か、意識を失い倒れる。
先程、襲いかかってきた二人が野間の背後から襲いかかる。二人は野間に拳を喰らわそうとするが、野間は水鉄砲で受け止め、僅かな隙を見逃さず二人に水鉄砲を撃ち込み、顔面に海水を喰らった二人は意識を失い倒れた。
「「見事だ」」
それを見た武藤とミーナは呟いた。ミーナはドイツ語で呟く。
すると、野間の背後からもう二人が襲いかかってきた。二人が野間に襲いかかろうとした瞬間。
ダダダァーン!!
銃声が鳴り響く。
すると、野間に襲いかかろうとした二人は倒れた。青木が銃声が聞こえた後の方をみると、播磨の突入隊員が69式小銃を構えていた。隊員が持っている小銃の銃口を見ると銃を撃った後に出る硝煙が出ていた。
69式小銃とは、日本軍の兵器局と豊和工業が開発した。最新の小銃で主に特殊部隊に支給されている。
「し、死んじゃったよ・・・」
青木は野間に襲いかかろうとした二人が死んだと思い。顔は青ざめ身震いした。すると、武藤が青木の肩をポンと叩き、
「大丈夫、死んでないよ」
「で、でも」
「ゴム弾だから大丈夫だよ。ほら、よく見て」
そう言われ青木は撃たれ倒れた二人を見ると、二人の体からは血は出ていなかった。
美波はその場に倒れているシュペー乗員全員にワクチンを撃つ。
武藤は、播磨突入隊に甲板を制圧するように指示し、武藤は晴風の突入隊と共にシュペーの艦橋を目指すことにした。播磨突入隊には六黒が作った抗体ワクチンが入っているペン型注射器を渡す。ペン型なら簡単にワクチンを注入することができる。
「こっちじゃ!」
ミーナの案内のもとシュペーの艦内に侵入し、艦橋を目指す。武藤は先頭に立ち進んでいく。
その先に感染した生徒三人が立ち塞がる。武藤は銃を構える。すると、武藤の前に出た楓が薙刀入れの布を外し、薙刀を構える。
「万里小路流薙刀術・・・当たると・・・痛いですよ!」
万里小路は襲ってくる三人を目にも留まらぬ速さと見事な薙刀さばきで三人を無力化した。
「す、凄いッス・・・!」
「これが万里小路流薙刀術か・・・聞いたことないが、凄いもんだな」
シュペー乗員三人を一瞬にして無力化した。青木と武藤は楓の見事な薙刀さばきと技をみて驚きながらも感銘を受ける。
武藤自信も剣道三段で小野派一刀流を免許皆伝している実力者。聞いたこともない万里小路流薙刀術、楓の薙刀さばきと技を見ただけで凄い流派であると感じた。
「だが・・・痛そうだな、感染して痛覚が鈍っているのか、あまり痛みを感じてない様だから。いいかもしれんが」
防具も無しに直に薙刀技を喰らったシュペー乗員三人を見て痛そうだと武藤は同情した。
「兵は敵に因りて勝ちを制す」
美波は倒れた三人にワクチンを打っていく。すると、倒れている生徒の服からネズミが逃げ出す。そのネズミはウィルスの感染源であるラットだった。それを見た五十六が、
「ぬぉ~!」
ハンターの目になり、猫とは思えない鳴き声で逃げていったラットを追いかけれる。
「五十六!!」
ラットを追いかけていった五十六を青木が追いかける。
その頃、播磨と晴風は、まだ射程外まで退避中であった為、シュペーの砲撃を受けていた。
「シュペーから11マイル!副砲の射程外に出ました!!」
播磨と晴風はシュペーの副砲の射程外まで退避したが、まだ第一主砲の射程内に居る為、シュペーは第一主砲を播磨と晴風に向け撃ってくる。
「・・・主砲の射程外まで後何分か?」
「主砲射程外まで約10分!」
「後少しだ・・・主砲射程外まで持ちこたえるぞ!」
その頃、シュペー艦内に居る突入隊は、艦橋目前の所まで来ていた。
「ここを上がれば艦橋じゃ!」
ミーナを先頭に突入隊は艦橋に続く階段を登ろうとした時、後から数名シュペーの乗員が来た。
「来たか・・・」
「ここは行かせない!マッチは私が守る!」
「四人は、先に行け!ここは俺と等松さんで食い止める!」
武藤はミーナと楓、野間、美波に先に行くように言う。
武藤は等松と後から来るシュペー乗員を食い止めるため残る。
「等松さん、あまり無茶しないようにね」
「大丈夫です。マッチを守れるなら!」
「フフッ・・・さぁ、来い!」
武藤は持っていた小銃を下ろし、拳を構える。
武藤が来いと言った瞬間。シュペー乗員は武藤に一斉に襲いかかる。武藤は繰り出される拳を鮮やかに交わしていく。すると、後から一人襲いかかるが、その乗員の手を掴み背負い投げをし、すかさず首筋に手刀を喰らわす。
シュペー乗員は等松を相手にせず、脅威と判断した武藤に向かっていく。
武藤と等松が乗員を食い止めているお陰で、ミーナ達は艦橋にたどり着いた。
ミーナ達はウィングに居たシュペー艦長、テア・クロイツェルと対面する。
「艦長!」
「・・・」
ミーナは呼び掛けるが、テアは一切反応しない。彼女もウィルスに感染していた。
「艦長!」
ミーナは、もう一度テアに呼び掛ける。すると、テアはミーナに向かって回し蹴りをした。
「うぅぅいや!」
「・・・」
テアの回し蹴りはミーナのこめかみにヒットするが、彼女は表情を変えず、テアの足を掴み払う。
テアは自分の蹴りがミーナに効かなかった事に少し動揺する。
ミーナはすかさずテアを抱き締める。テアは、振りほどこうとするが、ミーナは彼女を強く抱き締め決して離さなかった。
ミーナがテアを押さえている隙に美波がテアの腕にワクチン入りの注射を打つ。
すると、ワクチンが効いてきたのかテアは大人しくなり、ミーナに抱かれながら、その場で意識を失い膝をつく。
「遅れてごめんなさい・・・テア・・・」
ミーナは申し訳なさそうに気を失っているテアに謝罪する。
シュペー甲板の制圧を担当していた。播磨突入隊は、甲板の制圧に成功し、機関を止め、シュペーを奪還及び救出することに成功した。
シュペーのマストには制圧成功の合図である。白旗が上げられた。
「シュペーのマストに白旗を確認!!」
「シュペーの停止を確認!」
「やりましたね。艦長!」
秋津は双眼鏡でシュペーのメインマストにはためく白旗を見て。安堵したのか、笑みを浮かべる。
その頃、シュペー艦内では、
「マッチ・・・私・・・役にたった・・かな?」
艦内に続く階段の前では、ボロボロになった等松と数名のシュペー乗員を相手したにも関わらず。いまだピンピンしている武藤がおり、通路には数名のシュペー乗員が倒れていた。
「ああ、よく頑張ったな等松さん、野間さんもそう思っているはずだ」
「そう・・ですか?・・・良かった」
「おっと」
等松は、笑みを浮かべその場で倒れるが、武藤がすかさず受け止める。
「本当に・・よく頑張ったな」
すると、階段から野間が降りてきた。
「武藤さん、変わります」
「うん」
武藤は眠る等松を野間に託した。
野原は、等松の腕を自分の肩にかけて海鳥へと運んだ。
シュペーの甲板では、五十六が捕まえたラットを青木の前に置いた。
「これで10匹目、お手柄っすね~」
五十六が捕まえたラットはガスマスクをつけ、手袋を装着している播磨突入隊、隊員がラットをケースに入れた。
シュペー救出作戦は死傷者も出さず。無事終了した。
播磨と晴風はシュペーに接近。両艦の間にタラップが接舷され、行き来することが、出来るようになる。
シュペーの左舷に晴風、右舷に播磨が接舷されている。
シュペーは駆逐艦と超戦艦に挟まれている状態である。
ワクチンを打たれ、意識を失い倒れていたシュペーの乗員らは、無事目を覚ます。だが、目を覚ますと同時に悲鳴が上がった。
何故なら目を覚まし、最初に見た光景が、六黒の悪魔の様な笑顔だからだ。
シュペー乗員全員が目を覚まし暫くして、播磨の前部甲板では、晴風とシュペーの炊事委員と播磨の烹炊員たちの手料理が振る舞われた。
晴風の甲板では、人数が入りきれない。シュペーも後部甲板の第二主砲を損傷している。そこで秋津が何の損傷も受けず、三隻の中でも一番の広さを誇る播磨の前部甲板上で交流会を開くことにした。
「美波さん、抗体の接種。終わった?」
「播磨の突入隊員の人達で最後だ」
播磨の突入隊員はガスマスク装着など、感染しない為の対策をしてはいるが。念のためワクチンの接種を行った。
「明乃、ましろ、秋津教官」
「ミーちゃん」
「・・・ミーちゃん?」
ミーナの事をミーちゃんと呼んでいることにテアは不思議に思った。
「紹介する。こちらが・・・」
「艦長のテア・クロイツェルだ、話は聞いた。我々を救ってくれて感謝する」
テアは自己紹介と感謝の言葉を述べると、手を出し明乃、ましろと握手を交わし、明乃とましろも自己紹介をする。
「晴風艦長の岬 明乃です。こちらが・・・」
「副長の宗谷ましろです」
「そして副長の隣にいるが・・・」
「播磨艦長 特別教官の秋津 結です」
秋津もテアに自己紹介し、握手を交わす。
「シュペー乗員全員、無事か?」
「現状は・・・ゼーアドラー基地に戻って補給です」
「そうか・・・」
現在のシュペーは、スクリュー 一基と第二主砲が破損している。また、シュペー乗員がラットのウィルスに感染してから、補給を全くしていない為、補給と補修は急を要する状態だ。
「てことは、ミーちゃんも・・・」
「ああ、当然我々と行く」
「えっ・・・!?」
幸子はテアの言葉を聞きショックを受けた。人生で始めて意気投合し仲良くなった親友と離ればなれになる・・・
幸子は、交流会に参加することなく。目に涙を浮かべ、人知れず駆け足で晴風に戻ると自室に籠った。
「基地に戻ったら念のため、精密検査を受けて欲しい」
「分かった」
「フフフ・・・ちゃんと全員受けさせるようにね・・・」
「ヒッ・・・!」
「六黒さん・・・」
テアは、悪魔の様な笑顔で言ってくる六黒を見て、恐怖を感じ顔が青ざめる。
それを見た秋津は苦笑い。
「ご飯できました~」
「できました~」
「・・・特別メニュー、用意しました」
杵崎姉妹が夕食の準備が出来たと知らせる。北条はこの為に特別メニューを用意したと言う。
晴風、播磨とシュペーの交流会が始まった。
「これはラックスフィレだな」
様々な料理が並ぶ中。テアは寿司桶の中にある寿司をラックスフィレと言う。
ラックスフィレとは、鮭と言う意味だ。
「そうです艦長、寿司とも言います」
「「我々も手伝いました!」」
この寿司作りにシュペー乗員二人も手伝ったようだ。
「寿司は寿司なんだが・・・」
「クネーデルやマチェスも乗せてみました」
「ああ、スシ、サシミ、カロウシってやつか」
「最後のはなんか違う」
「過労死の意味知って言ってるのか・・・?」
テアの最後のカロウシと言う言葉に、北条が珍しくツッコム。
寿司桶の中にある寿司の幾つかは、北条が握った物もある。
ちなみにマチェス寿司はドイツ独自の寿司である。
「これはアイントプフだな」
テアはおでんに興味を示す。
「そうです艦長、おでんとも言います」
「おで?」
「ん?」
寿司作りを手伝ったシュペー乗員二人は始めて見たのか、おでんを不思議そうに見る。
「おでんとアイントプフは全然違う料理なんだが・・・」
北条が再びツッコム。
「艦長、挨拶を」
挨拶するようにミーナに言われ、テアは皆の前に立つ。
「我々の不断の努力により、艦と自らの制御を取り戻した。このめでたい日に感謝して、晴風艦長と播磨艦長から乾杯の音頭を頂きたい」
「えっ?私も?」
「晴風もシュペーを助けた、立役者だかなぁ。一緒にやろう岬さん」
「は、はい」
明乃は最初、戸惑うが。秋津に一緒にやろうと言われ、秋津と明乃は皆の前に立つ。
「それでは、皆さん」
「「乾杯!」」
『乾杯!』
『プロースト!』
「カリー!」
一人だけ乾杯の掛け声が違った。
『かりー?』
「自分、何か変なこと言ったかね?」
違った掛け声をしたのは金城である。「カリー」とは、沖縄の方言で「乾杯」と言う意味である。
聞いたことない掛け声をした金城に、晴風とシュペーの乗員が注目する。
金城は、何故自分に注目するのか分からない様だ。
晴風とシュペー乗員はジュース。播磨乗員はビールや金城持ち込みの泡盛が入ったコップで乾杯し、交流会が始まった。
日本料理とドイツ料理がテーブルに並ぶ中。美波は山盛りに盛られたサワークラウトを見てドン引きしていた所、テアがその山盛りサワークラウトを嬉しそうな表情で持っていく。美波は何故か胸に手をあて、ホッとした表情をする。
シュペー乗員二人が作ったドイツ独自の寿司。クネーデル、マチェス寿司は、口に合う者と合わない者に分かれた。
そんな中。一番人気だったのが、北条が作った料理である。
日本料理、ドイツ料理も人気があったが、その中でも一番は北条自信が独自に作った日本とドイツ料理を組み合わせた料理が一番人気だった。
今まで食べたことのない美味しさだったらしく、北条はシュペー乗員に囲まれ、質問攻めに合う。
食事以外では、等松と武藤がシュペー艦内での、あの奮戦を称えられ賞状が送られ、野間は後部甲板で倒した乗員四人に囲まれ尊敬それている様子だった。野間は珍しく照れた表情をする。
「はい艦長、あーん」
「あーん、はむっ。ムグムグ」
「それソーセージ?」
「ドイツのソーセージ。ヴルストだな・・・」
「我が艦特製じゃ。これがずっと食べたくてな~」
「はむっ・・モグモグ。なかなかいけますね」
「ムグムグ・・・さすが本番のヴルストだ・・・」
皿にある三本のヴルストの内一本を楓、もう一本を北条が食べる。シュペー特製ヴルストは、お嬢様育ちの楓の舌をも唸らせ、前世で世界的有名な料理人である北条も認めるほどの一品の様だ。
皿に残っている最後の一本をましろが食べようと手を伸ばした。すると、五十六が最後の一本を奪い取る。
それを見た周りの皆が笑った。
「艦長・・・ずっと預かっていたこれ」
「被せてくれ」
ミーナはテアけら預かっていた艦長帽を脱ぎ、テアに被せる。
すると、テアの目から一筋の涙が頬を伝う。
信頼していたの友人との再開、そして乗員が元に戻った事が嬉しかったのだろう。
「艦長さん・・・」
知床も二人の再開に感動したのか、涙目になる。
「私は泣いてない!・・・しかし、そちらの二隻は相当酷い状態だな・・・」
テアは手で涙を拭うと、晴風と播磨の損傷箇所を見る。
「誰のせいかな~・・・でも、ナイスパンチだったよ。播磨を倒すにはちょっと足りなかったけど」
「ああ、久し振りにいい戦いが出来て良かったよ」
西崎と秋津は、先の戦闘でのシュペーの奮闘を称える。
駆逐艦を倒すには十分なポケット戦艦だが、超弩級戦艦に比べると、比にならない。
ましてや播磨は大和型より一回り大きい超大和型戦艦。
この世界に来て超弩級戦艦を越えるほどの装甲を備えている。恐らく、この世界では史上最強の艦であろう。
「我々と共に、ゼーアドラーに行って修理を受けたらどうだ?」
「いえ、私達は明石と合流するようにと連絡を受けています」
「我々も同様。晴風と共に明石と合流するように言われている。せっかくのお誘いだが、すまんな」
テアは、自分達と共にゼーアドラー基地に行き修理をも受けないかと提案するが、明乃は、この後。明石と合流するように連絡を受けている事を伝える。
播磨も同様である。
「そうか・・・では、ここでお別れだな」
「はい」
「また、いつかどこかで会おう」
秋津と明乃はテアと再び握手を交わした。
「・・・あっ」
ミーナは幸子が居ないことに気づき、辺りを見渡す。
その頃、幸子は自分の部屋ではなく。ましろの部屋で毛布にくるまってテレビで何かを見ていた。
恐らくミーナと一緒に見た任侠映画であろう。
「盃はかえしますけん・・・以降わしを晴風の者と思わんでつかい・・・・帰るゆうても・・・帰えれんぞ!」
任侠映画の台詞を呟き、1人ミーナとの別れを悲しんでいた。
交流会も終わり、シュペー乗員と晴風乗員は自分達の艦に戻り、暫くしてシュペーは出航の準備が整った。
「何処にいるんだ?」
秋津は播磨に戻らず晴風の艦内で誰かを探していた。
シュペーの左舷甲板では、ミーナとテアがおり、ミーナは晴風の甲板を見渡していた。
「どうした?」
「ココ・・いえ、何でもありません・・・」
ミーナは交流会に居なかった幸子を、居ないと気づいた時からずっと探していた。
そして、シュペーゆっくりと進んで行く。
マストには、U、W、1の国際信号旗が掲げられており「あなたの協力に感謝する。ご安航を祈る」と言う意味である。
播磨と晴風のマストには、U、Wの旗が掲げられおり、意味は「貴艦(貴船)の安全な航海を祈る」である。
「楽しかったぞ!」
「私達もです!良い航海を!」
「グーテ ライゼ!(良い旅を)」
シュペーがゆっくりと進むと、晴風の左舷手前に移動していた播磨をミーナとテアは見る。
右舷甲板には、数十名の播磨乗員が一列に整列していた。
「シュペーの航海の安全を祈り!敬礼!!」
播磨乗員はシュペーに対し敬礼をする。テアとミーナもそれに応え敬礼する。
シュペーが汽笛を上げる。それを聞いた幸子は急に部屋を飛び出した。このまま顔を合わせず別れると後悔すると思ったのだ。
その途中の通路で秋津と出会い、秋津が声をかける。
「居た、納沙さん探したぞ・・・っておい、何処行くんだ?」
幸子は、秋津に構わず甲板に向かった。
秋津は幸子を探して欲しいとミーナに頼まれて晴風に残り彼女を探していたのだ。秋津は幸子の後を追う。
幸子は甲板に出た。晴風の甲板に居る幸子を見つけたミーナは、
「わしゃあ!旅いってくるけん!」
「体を厭えよ~!!」
ミーナは幸子に別れの言葉を投げ、幸子もそれに答えた。
「ありがとう~!!」
ミーナは幸子に手を振った。
すると、後ろからましろが幸子の肩に手をかける、
「間尺に合わん仕事をしたの」
いつも、ましろの部屋のテレビで任侠映画を見ていたミーナと幸子。
その時に覚えた台詞なのか、ましろは任侠映画の台詞で幸子に慰めの声をかける。
「もう・・・一文なしや」
「納沙さん」
秋津は幸子の肩に手をかける。
「また、必ず会えるさ・・・会いたいと思えば会える・・・永遠の別れなんて、ないんだからさ」
「秋津教官・・・そうですね・・・!」
秋津、ましろ、幸子の三人は、水平線へと遠ざかるシュペーの姿が消えるまで見つめた。
誤字、脱字や変なところがあると思いますが、ご容赦ください。
感想お待ちしています!
次回もお楽しみに!