ガールズ&パンツァー~地を駆ける歩兵達~   作:UNIMITES

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どうもUNIMITESです。
今回も投稿が遅れてしまって申し訳ありません。
今回から準決勝。VS継続高校です。
では本編をどうぞ。


第24話 準決勝、大洗連合VS継続&冬樹連合

 大洗学園艦内の市街地。

 一軒家の前に建てられた小さなガレージには2人の女子の姿があった。

 家の玄関には涼月(すずつき)と書かれた表札。

「ねえ、風香。今日は本土に来ているんだから遊びに行くじゃないの?」

 家の人間である涼月華蓮(すずつきかれん)は心配そうにガレージ内の戦車を見つめる。

 その戦車は大洗女子学園で見た戦車たちと比べて砲塔が低かった。

 華蓮や風香が学園艦に来るよりも前にこの場所に戦車はある。

 引っ越してきたとき、涼月家の人間が処分することなく、そのまま残して今に至っていた。

「……確か名前は巡航戦車――」

 ようやく風香が戦車から顔を出す。

「それもいいけどさ。ウチの学校も戦車道と歩兵道で試合してるみたいだし見に行かない?」

「だから、私。戦車道なんて……」

 初月風香(はつづきふうか)が問い掛けるが華蓮は少し戸惑うように返答する。

「お願い!一緒に来てくれたらお昼くらいは奢るから!」

「……もう、午前だけだからね」

「やったー!歩兵道にはイケメンがいっぱいいるって聞くしね!」

 風香は一度万歳すると、香蓮もやれやれとガレージの外に出る。

「風香ってそんなに戦車に興味あるなら戦車道履修すればよかったのに……」

「それじゃあ、スズと別々になっちゃうじゃん!私は親友と彼氏は大切にする女だよー」

「そうですか……」

 2人はゆっくりと歩き出すと試合会場に向けて歩き出した。

 

 

 

 試合開始まであと数分。

 会場の観客席も、多くの客で賑わっている。

 照月敦子や照月玄十郎の姿も観客席にあった

 装備を整えた大洗連合は静かに時を待ち続けていた。

 今回から凛祢の背負うバックパックも前回とは異なり、小さなものに変わっていた。

 工兵や砲兵が増えたことで1人が持つヒートアックスの総重量が減ったためである。

 防弾加工外套は整備部が更にもう一つ製作して3つ。英治、凛祢、ヤガミが装備していた。

「凛祢殿、僕たちの作戦はどうしますか?」

「葛城先輩!俺も聞きたいです!」

 塁と翔もバックパックを背負い、凛祢の元に現れる。

「基本は今まで通り偵察兵として行動してもらって構わない。1人1人が持っているヒートアックスの総量は決まっているから戦車相手に無理して必殺する必要もない、狙うのは履帯でいい」

「履帯、ですか?でも、葛城先輩はドカドカ戦車倒してますよね?」

「凛祢殿のあれは特別ですからね。正直、僕たちがあれをやるのは無理です……」

 翔が問い掛けると塁が説明する。

「……まあ、俺の戦い方は粗削りだから参考にはならないよ」

 凛祢も静かに呟くと――。

 試合開始のサイレンが会場に響き渡る。

「行きます!パンツァーフォー!」

「「「「パンツァーフォー!!」」」」

 みほの合図に続いて、それぞれの車長も叫ぶ。

「行くぞ!オーバードライブ!」

「「「「オーバードライブ!」」」」

 凛祢も声を上げると続けて分隊長たちも声を上げて前進を始める。

「なー凛祢?」

「ん?」

「継続も戦車の数はウチと変わらないんだろ?なら正面から行ってもいいんじゃねーか?」

 敵の数と味方が同じであると聞いて強気になっているのか八尋がそんな事を口走る。

 確かに今までは車両数の差もあり、後手に回るがほとんどだった。

 だが、前回のプラウダ&ファークト連合との試合の様に読まれれば危険になる。

「うーん……よし、みほ――」

 凛祢は通信機越しにみほに作戦を伝える。

「え?隊を、分けるんですか?」

「あっちは工兵が俺だけだと思いこんでいるはずだから、それを最大限利用する」

「わかりました。危険ですが凛祢さんの作戦を実行します」

 みほは通信機から全軍に指示を伝達する。

「ウサギさんとカモさん、ヤマネコ分隊とワカサギさん分隊は塁さんと一緒にポイントD45地点を目指してください」

「はい!自信はありませんが頑張ります!」

「やってやります!」

 ウサギさんチームの車長、梓とヤマネコ分隊の分隊長、亮が強気に返事をする。

「風紀委員の力の見せ所なんだから!」

「黄場、気張って行きましょう!」

「そのシャレ詰まんねーから……」

「もう、冷たいですねー」

 シラサギ分隊の分隊長、青葉がいつもの様に笑って呟くが黄場は淡々と言い放つ。

「亮、青葉先輩。工兵である塁と翔を最大限使ってください。ヒートアックスの罠にかかれば隙も生まれますから」

「はい!」

「了解です!」

 凛祢の通信に亮と青葉も返事をする。

「次にアヒルさんとオオカミさん、オオワシ分隊と衛宮さんは先行して偵察に出てください」

「了解。任せてください!」

「わかったわ!」

「いつでもいけますよ!」

 続けて通信機とインカムから響くみほの指示に典子、英子、辰巳が返事をする。

「葛城くん、僕たちは?」

「ヤガミ先輩たちと他の部隊は38tの防衛を」

「「「了解」」」

 それぞれの部隊が別れ、進軍を開始する。

「珍しいな、凛祢。いつもなら真っ先に前線に出るのに」

「出たいけど、準決勝ともなれば相手はこっちの手の内を知っている。下手に前線にでれば危ないから」

「ふーん。少しは考えてるわけだな」

 凛祢の返答に八尋は納得したようにP90の様子を再度確認する。

 今回の作戦は工兵を使った基本的な戦術だ。

 これで、どこまでやれるか。

 凛祢は継続&冬樹連合のスタート地点に視線を向ける。

 

 

 そして、継続&冬樹連合もサイレンを聞きつけ動き始める。

「さぁ、行こうか……」

「俺たちの歩兵道を始めよう」

 変わらずカンテレを引くミカとヴィダールを横目に司も銃を握りなおす。

「全軍前進、オーバードライブ!」

 司の声に合わせて継続&冬樹連合も前進を始める。

「車両数はお互いに8輌だけどどうするの?」

 アキが問い掛ける。

「新しく持ってきた戦車が何かわからない以上、正面からぶつかるのは得策ではないだろうね」

「じゃあ、どうするんですか?」

 ミカの返答に再びアンクが問い掛ける。

「風の流れるままに行こう」

「ヴィダール、作戦は?」

「1輌ずつ潰していくのが得策だろうな。そのほうが有利に立ち回れる」

 司の言葉にヴィダールが静かに答える。

「いくぞ。俺たちは狙撃地点に向かい、牽制しつつ歩兵の撃破にあたる」

「司くん、頑張ろうね!」

 ミッコが笑みを浮かべるとBT-42とKV-1、司たちAチーム、他の狙撃兵数名はいち早く狙撃地点へと向かって行く。

 

 

 大洗連合が前進を始めて数分が経過したが、未だに会敵はしていなかった。

 ゆっくりと森林内を進み、凛祢も地図に視線を向ける。

「先行するアヒルさん、オオカミさん、オオワシ分隊は状況を教えてください」

「目標地点まであと数キロってところよ」

 みほの通信に英子が返答すると、凛祢は地図にペンで印をつける。

 敵も慎重なのか……姿を見せてくれれば動けるのだが。

「発見したらウサギさん、カモさん、ヤマネコ分隊、シラサギさん分隊のいるポイントH56地点まで誘導してください」

「了解です!」

「撃っちゃダメなのか?」

 再びみほの通信に典子が返答すると辰巳の声がインカムから響く。

「撃っても構わないが、無理に戦おうとしなくていい」

「へいへーい。バンバン撃たせてもらうよ」

 凛祢もインカム越しに呟くと不知火の腑抜けた声がインカムから帰って来る。

「磯部さん、私たちはあなたたち合わせるから、合図よろしくね」

「了解です、照月先輩!」

 英子の言葉に典子もいつものように声を張る。

 

 

 その頃、M3、ルノー、塁を含めたヤマネコ分隊、シラサギ分隊は目標地点である地点に到着していた。

「こちらウサギさん。目標地点に到着しました!」

「「工兵、これより罠を仕掛けます!」」

 梓の報告の後、ジープから飛び降りた塁と翔は地面にヒートアックスを設置していく。

「こんなので本当に戦車を倒せるんですか?」

「葛城くんが前回の試合でも戦車を倒していたじゃない」

 不思議そうにヒートアックスを見つめる青葉。

 その様子をみて緑子が思わず呟く。

「そうですけど……信じがたいですよねーこんな粘土みたいなもので戦車を吹っ飛ばすなんて」

「まあプラスチック爆薬なんて大体そんなものですよ。C-4だって似たようなものですしね!」

 塁は電管を刺すと地面に隠れるように埋める。

「C-4って舐めると甘いって風の噂で聞きましたよ!」

「青葉先輩、お腹壊しますよ……」

 にこやかに声を上げた青葉を見て、亮が思わず呟いた。

 すると再び青葉が気の抜けた声を上げる。

「えー、本当ですかー?」

「青葉くん!もっと緊張感を持ちなさいよ!まったく……」

「まあまあ、楽しくいきましょうよ!あははは」

 緑子の厳しい表情とは真逆に青葉は楽しそうに笑い声を上げた。

「お前はいつでも楽しみ過ぎなんだよ……」

 赤羽が呟くと黄場もやれやれとため息をついた。

 

 

 目標地点に到着し、典子と英子が同時にキューポラから上半身を乗り出す。

 お互いに双眼鏡で辺りを見渡す。続けて狙撃兵である迅と不知火も仰向けに倒れてスコープを覗き込む。

「「敵影は……」」

「「発見!Ⅳ号戦車J型とT-28中戦車!」」

 典子と英子が同時に声を上げる。

「随伴歩兵は合計9名!」

 続けてスコープを覗く迅が報告する。

「2輌だけ……ですか」

 みほは少し考えるような表情を受かべる。

 そんな顔を見て凛祢は口を開いた。

「欲張ってもいられないな。みほ、少し早いが作戦を決行しよう」

「わかりました。アヒルさん、オオカミさんは1度の攻撃後、敵を目標地点に誘導してください!」

 凛祢の意見を聞いて、みほは再び指示を出す。

「「了解」」

 典子と英子が同時に通信機に向かって返答する。

「まだ、こっちには気づいてないな……歩兵を1人か2人やっちまうか?」

「迅、1発でいけるか?」

 不知火が軽く笑みを浮かべると辰巳が迅を見つめる。

「ああ。狙い撃つぜ!」

「俺も1発で決めてやんよ!」

 迅と不知火はアイコンタクトを取ると、同時に頷きそれぞれの銃の引き金に指を掛ける。

 数秒後、ほぼ同時に放たれた銃弾は冬樹学園の歩兵に命中。

 倒れたと同時に戦死判定のアラームが響く。

「なに!?」

「狙撃か!」

 冬樹学園の歩兵も一斉に銃弾の飛んできた方向に視線を向ける。

「敵がいたぞ、追え!」

「ヴィダール隊長!ミカ隊長!こちらCチームとFチーム、敵戦車を発見!」

 継続高校のⅣ号J型とT-28も追撃を開始する。

「よし!」

 不知火はガッツポーズすると、すぐに移動を開始する。

「いくぞ!迅、衛宮先輩!」

「了解だよ」

「奇襲成功っと」

 迅が九五式小型乗用車に乗り込み、不知火も銃を肩にかけて九七式軽装甲車に飛び乗る。

「こちらアヒルとオオカミ。これより敵を目標地点まで誘導します」

「相手に作戦が悟られないように気を付けて誘導してください」

「了解」「わかってるわ!」

 操縦手の忍とセレナの声が通信機から響く。

「塁、翔。そっちの準備は出来ているか?」

「「いつでも準備できています!」」

 インカムの返答を聞いて、再び地図に視線を向ける。

 ここで1輌でも倒せれば、数的有利を取れる。

 そのための作戦だ。

 

 

 ウサギさん、カモさん、ヤマネコ分隊、シラサギ分隊はそれぞれ森林に身を潜めていた。

「ヒートアックスでの奇襲作戦はあくまでも履帯を狙っています。敵戦車が生存していた場合は砲撃で仕留めてください」

 塁が作戦を再度確認する。

「了解です。みんな頑張って敵戦車倒すよ!」

「やってやるんだから!」

「バンバンうっちゃえー!」

 梓が通信機で声をかけると照準器を覗くあゆみや通信機に触れる優季が返事をする。

「前回は撃てなかったけど、今日こそ風紀委員としての意地を見せるわよ!」

「分かっているよ、そど子」

 緑子も続くように通信機に声をかける。

「まあ、うまく撃破出来たら儲けものってことで」

 同じく工兵である翔がリモコンを握り、作戦準備に入る。

「歩兵の方はどうすればいい?」

「うーん……なるべく狙撃に回った方がいいだろう。接近して味方の流れ弾に巻き込まれでもしたら困るし」

「亮、なんか葛城先輩みたいなこと言うな」

「そりゃ、これまでずっと見てきたし。先輩から学ぶことも多かったから」

 歩が腕を組むと亮はトンプソン・サブマシンガンの安全装置に指をかけた。

「流石に2か月も一緒にいると色々学べますか?」

「はい、俺なんかまだまだですけど。少しでも大洗連合の役に立ちたいですから」

 青葉が首を傾げると亮の表情は真剣なものに変わる。

「そう言うことなら頑張ってくれよ、分隊長」

『僕らは亮分隊長に従う!』

 ジープの運転席に座る礼が呟くと隣にいた寡黙な銀もメモを見せる。

「青葉も後輩を見習えって」

「青葉だってやる時はやりますよ!」

 赤羽が視線を向けると青葉は胸を張り自慢げに言い放つ。

「こちらアヒルとオオカミ。あと2分で目標地点に到着するよ」

「塁くん、翔くん、タイミングを間違えないでね!」

 誘導を行っていたアヒルさんチームとオオカミさんチーム、オオワシ分隊からの通信が響く。

 後方からは敵戦車の砲撃が始まっていた。

「おー、こえーな」

「なるべく歩兵の戦力を削ぐぞ!」

「「あいよ!」」

 漣に続いて辰巳や淳も百式軽機関銃を構える。

 狙いをつけて発砲すると銃口から銃弾が吐き出された。

 お互いに射撃戦、砲撃戦を繰り返す中、

「来ました!」

「一気に仕留めるぞ!」

 青葉と亮が同時に声を上げる。

「「3」」

 すると塁と翔がリモコンを握り、カウントダウンを始める。

「やべぇ、近づいてきた!」

「セレナ、当たらないでね!」

「わかってるわよ!」

 不知火が後方に視線を向けると英子が車内に潜り、声を張った。セレナも車体の速度を上げる。

「「2」」

「あと数メートル!」

「届けー!」

 典子と辰巳も態勢を低く落とし前方を見つめる。

「「1、起爆!」」

 2人がリモコンのスイッチを押した。

 その瞬間、地面に仕掛けられた十数個のヒートアックスが起爆。

 T-28中戦車を走行不能にさせた。

 Ⅳ号J型も走行不能にはなっていないものの両方の履帯を切断され、行動不能になっていた。

「今だ!攻撃開始!」

 辰巳の声を合図に隠れていたM3、ルノーが砲撃を開始する。

 亮と青葉が茂みから身を現し、発砲しながら突撃していく。

 次々と冬樹学園の歩兵を屠っていく中、砲撃を受けていたⅣ号J型の砲が火を噴いた。

 放たれた砲弾は茂みから狙撃していた大洗連合の歩兵に飛んで行く。

「みんな避けろ!」

「駄目だ、間に合わねぇ!」

 亮と辰巳が視線を向けた頃には遅く、砲弾を受けた4人は地面に伏せていた。

 ヤマネコ分隊のアキラと歩、シラサギ分隊の赤羽、黄場の4人の制服から戦死判定のアラームが響き渡る。

「こちら、ヤマネコ分隊のアキラと歩やられた!」

「こっちもやられちまった」

 アキラと赤羽の声が通信機とインカムから響く。

「よくもアキラくんたちを!」

「よくもやったわね!あの戦車に風紀アタックよ!」

 あゆみと緑子が叫び、放たれた砲弾はⅣ号J型に命中。

 数秒後に走行不能の白旗が上がった。時を同じくして亮と青葉が肩で息をしながら敵歩兵を仕留める。

 

 

 Ⅳ号車内にいた沙織の通信機に報告が入る。

「こちら奇襲部隊!奇襲は成功!敵戦車2輌と歩兵9名を撃破しました」

「奇襲は成功だって!」

 英子からの通信に沙織がみほに視線を向け、報告する。

「やりましたね!これで敵はあと6輌です!」

「うん。オオカミさんこちらの損害は!?」

 みほが通信機で問い掛ける。

「ヤマネコとシラサギがそれぞれ2人ずつ歩兵を失ったみたいね」

「そうですか……」

「かなりうまくいってる。たしかに少し戦力は削がれたがこれなら問題ない」

 みほの顔を見つめ、凛祢が言い放つ。

「次の作戦はどうする?」

「敵にはKV-1がいますから装甲の厚いポルシェティーガーとタイガーさん分隊と共に行動しましょう」

「「了解」」

 次の指示にナカジマとヤガミが返事をする。

「さて、敵は6輌。うまくいくといいがな」

「英治そんな風にいったらせっかくの勢いが逃げちゃうよー」

 英治の呟きを聞いた杏が心配しているのかしてないのか分からない声を掛ける。

「奇襲部隊はそのまま4輌でH45地点まで前進してください」

「「「「了解」」」」

 みほの指示にそれぞれの車長が通信機から帰って来る。

 

 

 一方、その頃。継続&冬樹連合内にも戦況の報告が入っていた。

「申し訳ありません。こちらCチームFとチーム、やられましたー」

 通信機とインカムからそんな声が響く。

「こんなにも早く敵は奇襲を実行してきたか」

「ヒートアックスによる罠があったということは凛祢もそこにいると言うことかな?」

 ヴィダールが感心していると司は少し考えこむ。

「どうでしょうねー。でも、周防……じゃなかった葛城先輩って昔から結構前線に出てくる人ですし、いたんじゃないですか?」

 司と同様に黒鉄中学の卒業生であるアンクは昔の凛祢の事を思い出して呟く。

「どうするの、ミカ」

「……ミッコ、H45地点まで行くよ。他の部隊はJ67地点へ」

「はいよー」

 アキの声を聞いて地図を見つめたミカはカンテレを鳴らす。ミッコは銜えていた双葉を捨てると操縦桿を握る。

「接敵したら報告後に交戦してください」

「「「了解です」」

 ミカが再びカンテレを鳴らすと通信機から車長たちの声が響いた。

「凛祢くんはどこにいるのかな?私たちにも工兵として向かってきてくれないかなー」

「ミッコ、こっちはもう2輌やられてるんだから、集中してよ」

「大丈夫だって!操縦は慣れてるし!」

 ミッコがアクセルを踏み込むとBT-42は速度を上げる。後に続くようにKV-1が追いかける。

 

 

 

 フラッグ車である38tの防衛部隊は、J67地点に到着していた。

 辺りを見渡す翼と八尋が報告する。

「「敵影なし……」」

「なら、このまま――」

 凛祢がそう言った時、砲撃音が響く。砲弾がポルシェティーガーの側面を掠めた。

 瞬時に大洗連合全員が警戒態勢に入る。

「あぶないな、もう!あたったらどうするの!」

「先回りされいていたのか?いや、ここでの接敵は偶然か……」

 思わず叫び声を上げるヤガミを横目に凛祢は辺りに視線を向ける。

 敵の数は……4輌?

 Ⅲ号突撃砲G型とT-34/76、85、BT-7の姿を確認する。

 残っている車両のほぼすべてじゃないか。

 歩兵は20人以上か……だが、こちらには砲兵がいる。今までとは違う。

「葛城、西住。どうする?」

「「このまま攻めます!」」

 桃が通信機越しに叫ぶと凛祢とみほは声を合わせる。

「マジかよ……ふん、行くぞ翼、トシ!」

「ああ」

「援護は任せろ」

 八尋の声に合わせて、俊也も突撃を始める。

「じゃあ僕も行くね!2人とも援護よろしく」

「了解です」

「さっさと行け」

 ヤガミがキャリコM950を手に走り出すとヒムロとヤマケンもそれぞれの銃の安全装置を解除し射撃可能状態とする。

「僕たちも行くぞ!」

「「おうさ」」

 ワニさん分隊もアーサーを筆頭に走り出す。

「カニさん分隊は身を隠しつつみんなの援護をしてください」

「了解した」

「交戦開始!」

 凛祢の声を合図に射撃戦、砲撃戦が開始される。

 

 

 目標地点に到着して、ヴィダールと司がスコープを覗く。

「敵影を発見。おそらく報告にあったⅣ号とT-28をやった連中だ」

「じゃあ、ヴィダール先輩、司先輩。僕たち突撃兵が突撃しますね」

「敵も2輌倒して少し油断しているから、一気にひっくり返してやりましょう」

 ヴィダールたちも戦闘準備を整える。

「アキ、ミッコ。あれで行くよ」

「えー、あれ大変なんだけど……」

「まあ、履帯が着れない程度にやるよ」

 ミカの言葉にアキが心配そうに呟くとミッコは前面ハッチを下げ、楽しそうに笑みを浮かべた。

「行くぞ!」

 落ち着いたようにミカがカンテレを指で鳴らすと、ミッコはBT-42を走行させ始める。

 そして、本体同士の戦いが開始されるのだった。

 

 

 会場にようやく到着した華蓮と風香」は試合を見つめる。

「ああ、もう始まってんじゃん!」

「はぁはぁ、これでも、急いできたじゃん……」

 風香が視線を向けると、華蓮は肩で息をして膝に手をついていた。

「もう、本当に体力ないねースズ」

「しょうがないでしょ!風香と違って体育会系じゃないんだから!」

「私だってそこまで体育会系ではないよー。スズが以上に体力ないんだって」

 風香の返答に華蓮は思わず鋭い視線を送る。

「……それにしても戦況はどうなのかな?」

「あの人にでも聞いてみれば?」

 華蓮が指さす先には金髪の少女と橙色の髪の少女の姿があった。

 2人ともティーカップを持って紅茶を飲んでいる。

「あのー、隣いいですか?」

「構いませんわよ……その制服大洗女子の生徒さんかしら?」

 制服姿の華蓮と立夏を確認し、少女は問い掛ける。

「そうです、そうです!あ、私は初月風香っていいます!こっちは」

「涼月、華蓮です……」

「私はダージリンと言いますわ。こっちはオレンジペコと言います」

 2人が自己紹介するとダージリンはティーカップに口をつける。

「あの、今ってどっちが優勢なんですか?」

「大洗連合が2輌倒していますが」

「どうかしら。戦車道と歩兵道は最後の最後まで分かりません事よ。勝敗は最後の数分で決まるものですわ」

 ダージリンは再び紅茶を飲むとスクリーンに映る試合を見つめる。

「でも大洗連合はここまで来たんだよね」

「勝ってもらわなきゃ、スズん家の戦車はずっとあのままだよ?」

「分かってるって……」

 華蓮や風香も一度顔を見合わせるとスクリーンに視線を向けた。




今回も読んで頂きありがとうございます。
継続高校は車両数が少なく、その分個人の技量が高いんですよねー。
オリジナル編なのでいつもより少し短めですが今回はここまでです。
意見、感想も募集中です。送ってくれたら嬉しいです。
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