ガールズ&パンツァー~地を駆ける歩兵達~   作:UNIMITES

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どうもUNIMITESです。
2か月も投稿止まってしまって申し訳ありません。
PCが故障して修理に出したり、リアルが忙しかったりしてすこし遅くなってしまいました。
今回から黒森峰戦開始です。
では、本編をどうぞ。


第28話 真西住流と鉄血のインファンタリーズ

 鳴り響く目覚まし時計の音で凛祢は瞼を開いた。

 天井には見慣れた木製の天井が広がっている。時刻は5時を回っており、起きる時間だと気づいた。

 体を起こし、いそいそと身支度を始める。

 特製制服に着替え、鏡の前でネクタイを締めた。

「今日が、最後の試合……」

 無意識に視線は鞠菜の写真へと向いていた。

 写真を手に取ると一度だけ笑みを浮かべる。

「行ってくるよ、鞠菜。俺とみほたちの思いと共に、勝って戻って来るから」

 凛祢は再び写真を置くと玄関で靴を履き、学園目指して歩き出した。

 

 

 学園で運び出した戦車と歩兵用の装備を列車の後方車両に積み込み、凛祢たち大洗連合は試合会場へと向かっていた。

 空はまだ薄暗く、列車内で眠りについていた者も見受けられる。

 ヤブイヌ分隊やあんこうチームだって例外ではないはない。麻子や俊也はもちろん華や翼も眠りについていた。

 そんな中、後方車両の外で、手すりに手をかけていた凛祢は吹き抜ける風を感じていた。

 朝の風は少し冷たく、体も身震いしている。

「ここにいたんだ凛祢」

「うお、早朝さむ!」

「英子、不知火……」

 扉が開く音を聞いて振り返ると照月英子、衛宮不知火の姿があった。

「いよいよね」

「ああ」

「俺たち、本当にここまで来ちまったんだな」

 不知火も腕を組んで、手すりに背中を預けると、空を見上げた。

 彼の言う通り、自分たち大洗連合は来るところまで来た。

 ならば、後は突き進むだけである。

 みほと話し合ったあの日から決めたのだ。

 この学園艦を、西住みほの居場所を守って見せると。

「決勝戦で黒森峰連合か……聖羅に龍司だけじゃなく、あの悠希って男も相手にしなくちゃならないのか」

 凛祢は手すりを握る手に力を込める。

「到着まであと10分くらいね」

「俺たちも戻ろうぜ」

「ああ、必ず勝って学園艦に帰るんだ」

 腕時計を確認した英子の言葉で2人も視線で合図する。

「ええ!」

「おうよ!」

 凛祢の言葉に英子と不知火も強気に返事をした。

 会場に到着したころには陽も上り、空には青空が広がっていた。

 決戦会場は、富士山の見える草原である平野フィールド。更にフィールドは今まで以上に広く、市街地も今回のフィールドに含まれている。

 塁や優花里の話によれば戦車道と歩兵道の聖地でもあるそうだ。

 やはり試合会場では多くのテントによる売店が並んでいた。

 それも、今まで以上に多くの売店が並んでいる。ここにきて、高校戦車道と歩兵道の認知度を改めて思い知ったと感じた。

 食べ物だけでなく戦車の模型やM4といった銃のモデルガンまで並んでいる。他にも戦車や自衛隊と写真撮影をする者までいた。

 そんな中、今日の主役である大洗連合も陣地で決勝前の最後の整備、作戦確認を行なっている。

 凛祢も自身の装備である2丁の自動拳銃『ブローニング・ハイパワーDA』と『コンバットナイフ』、『手榴弾』を装備していく。プラスチック爆薬『ヒートアックス』の入ったバックパックを順番に装備していく。

「ごきげんよう」

「あ、こんにちは」

 ダージリンとみほの挨拶を確認して凛祢も視線を向けた。

 そこには聖グロリア―ナと聖ブリタニアの生徒であるダージリンやケンスロットの姿があった。

「久しいな、葛城凛祢」

「よう!元気してたか」

「ケンスロット、ガノスタン、久しぶりだな。てか、再戦する前に負けたってどういうことだよ?」

 凛祢も2人と挨拶を交わすと、思わずそんな話を切り出す。

「仕方ないだろ、負けちまったんだから」

「そう、怒るなよ。何も全国大会だけしか対戦する手段がないわけじゃない」

「まあ、そうなんだけどさ……」

 ケンスロットの言葉に凛祢もやれやれと視線を戻す。

「まさか、大洗連合が決勝に進むとは思いませんでした」

「……俺もです」「……私もです」

 オレンジペコが予想外と口にすると凛祢とみほも顔を見合わせて同じ返答する。

「フフ、そうね。あなた方はここまで予想を覆す戦いをしてきた。今度はどんな戦いを見せてくれるか、楽しみにしているわ」

「がんばります」

「葛城凛祢。黒森峰は強敵だ、だが絶対に勝て」

「負けるつもりはないよ」

 ダージリンとケンスロットたちは激励の言葉を述べると観客席へと向かって行った。

「みほー、りんー!」

 名前を呼ばれ、2人が視線を向けるとサンダースとアルバートの生徒であるケイやレオンが2輌のジープに乗ってやってきた。

「またエキサイティングでクレイジーな戦い期待してるからね!ファイト!」

「パンツァーキラー葛城凛祢の撃破ショー期待してるぞ」

「ありがとうございます」

「黒森峰の戦車相手にそんなショーを期待されてもな……頑張るけどさ」

 ケイとレオンも冗談を交えて激励の言葉を残してくれた。

 みほが感謝してお辞儀をすると凛祢は皮肉を言うように呟く。

「「グットラーク!」」

 その言葉を最後にジープも観客席へと向かって走って行った。

「みほ―シャ」

「周防」

 再び名前を呼んだのは3回戦の対戦相手であるプラウダとファークトの生徒であるカチューシャとアルベルトたちだった。

 相変わらずカチューシャはノンナに肩車されており、視線を上に向けることとなった。

「カチューシャ様が見に来てあげたわよ!黒森峰なんてボコボコにしちゃってね!」

「あ、はい」

 カチューシャの暴君の如き言葉に、口籠りながら返事をするみほ。

「俺の事、まだ周防って呼ぶのはアルベルトくらいだぞ」

「そっちの方が呼び慣れてるからな。お前にとって黒鉄時代の仲間が全員敵になっていると考えた方がいい。それでもお前は対抗できる。お前と戦った俺が保証する」

「リボルバー・アルベルトにそう言ってもらえると光栄だな」

 アルベルトは昔から好敵手を認め、その上で自分を認めさせる男だと感じた。

 自分もアルベルトを好敵手と認めているしな。

「凛ーシャもがんばりなさいよ!じゃーねーぴろしきー」

「ダズビダーニャ」

「期待してるぞ、超人周防」

 アルベルトは最後に小さく「超人」の名を呟くとカチューシャたちと共に去って行った。

「もう少しで時間か……」

「凛祢くーん!」

「ん……?」

 そう言いかけた時、再び聞き覚えのある声が聞こえて凛祢が再び視線を戻すと、ドリフトしながら継続のマークが描かれた2輌のジープが現れた。

 そこに搭乗していたのは継続のミカとミッコたち、冬樹の司やアンクたちである。

「ギリギリ間に合ったようだね」

「ミッコ、君は無茶な運転しかできないのか?」

「いいじゃん!間に合ったんだし」

「……」

 車内で言い争っている中、ミカは1人カンテレを弾いていた。

「継続や冬樹の皆さん」

「お前らも来ていたのか……」

「見に行くって言ったじゃん!頑張ってよね、黒森峰に勝ってよ!」

「大洗の皆さんならきっと勝てると思います」

「……」

 ミッコとアキが激励のメッセージを送るがミカは変わらずカンテレを弾いていた。

「葛城先輩!俺たちも応援してます!」

「凛祢、君ならきっと聖羅たちに勝てると信じている」

 アンクと司も同じように言葉を送る。

「皆さんありがとうございます」

「ありがとな」

 2人が感謝するように頭を下げると、ようやくミカが口を開いた。

「……西住さん、それに凛祢。君たちは面白いね。戦った相手、すべてと友情を築き上げるなんて」

「それはみんなが素敵な人だったから……」

 みほは少し視線を逸らしながら答えた。

 ミカの言葉を聞いて凜祢も不思議とそれを感じた。

「いや、ミカの言う通りだ。君たちはケイやレオンたちだけでなく、あのカチューシャやアルベルトをも認めさせ、戦友となった。なかなかできる事じゃない」

 ヴィダールもみほをみてそう口にした。

「それは、俺の力じゃない。きっとみほの才能だな」

「そ、そんなことないですよ!凛祢さんがずっと一緒にいてくれたから!」

 凛祢の言葉に否定するようにみほが声を上げる。

「……勝利は永遠の物じゃない。西住さん、凛祢、君たちの健闘を祈ります」

 ミカのその言葉を最後に継続と冬樹の6人も観客席へと向かって行った。

 すると、試合開始5分前のアナウンスが響き渡り、凛祢とみほたち大洗連合は草原へと向かう。

 お互いのチームが整列し、試合開始の合図が告げられるのを待っていた。

「……」

 視線の先に整列している黒森峰連合は大洗連合の倍以上の戦力を保有している。

 歩兵の人数もこちらより遥かに多く、その戦力がどれほどのものか見ただけですぐに分かった。

 すると決勝戦の審判を務める者たちがようやく現れた。その中には教官として大洗を訪れた蝶野亜美や照月敦子の姿がある。

「両チーム、隊長、副隊長。前へ!」

 蝶野の声を合図にそれぞれのチームから4人の生徒が前へと踏み出す。

 凛祢とみほもゆっくりと歩を進める

 審判たちの前まで進み足を止める。

 西住まほの隣に立つ銀髪の少女、副隊長である逸見エリカは見下すような視線を向けたまま、皮肉そうに口を開いた。

「フッ、お久しぶり。弱小チームだとあなたでも隊長になれるのね……」

「……」

 その言葉を聞いた凛祢は鋭い視線をエリカへと向ける。

「エリカ、そういう安い挑発はいいから」

「なっ!べ、別にそんなつもりは!」

 聖羅の隣に立つもう1人の副隊長、星宮悠希が静かに呟くと取り乱すようにエリカは声を上げる。

「もう試合を始めるのだから静かにしろ」

「本日の審判長の蝶野亜美です」

「同じく照月敦子だ。よろしく頼む」

 審判長の挨拶でお互いのチームの隊長、副隊長は頭を下げる。

「「両校挨拶!」」

「「よろしくお願いします!」」

 亜美と敦子の声で両校のチームも頭を下げた。

「では、お互いに試合開始地点に移動」

「お互いの健闘を祈っているぞ」

 そう言い残して審判も持ち場へと向かっていく。

「いくぞ」

「はい……たまたまここまで来れたからっていい気にならない事ね。見てなさい邪道は叩き潰してやるわ」

 エリカはそう言い残してみほに背を向けてしまった。

 一方凛祢は聖羅の元へと歩み寄る。

「聖羅……」

「今語り合うことはねぇよ。話があるなら戦場で語ることだ」

「そうだな」

 聖羅とは短い会話で済ませると凛祢は再びみほの元へと戻った。

「あまり気にするな。俺たちは俺たちだ」

「はい……」

 俯きかけていたみほに声をかけ、試合開始地点へと戻ろうとした時だった。

「待ってください、みほさん!」

「はっ……!」

 振り返ったみほは驚きを隠せなかった。

 凛祢も同じようにその少女に視線を向ける。

 黒森峰のパンツァージャケットに身を包み赤黒い色に少し癖っ毛のある髪。

 確か、赤星小梅と言ったか……。

 かつて、1年前みほが戦車を降りて助けようとした少女。

「あの時はありがとう……あの後、みほさんが居なくなって、ずっと気になっていたんです。私たちが迷惑かけちゃったから……でもみほさんが戦車道やめなくてよかった」

 小梅は涙を流してそう言った。

「私はやめないよ……」

 みほも優しくそう答えた。

 その様子を見て凛祢も少し安心していた。

 1年前の事をみほが気にしていないはずがない。だが、みほの行動は間違っていなかった。

 小梅という少女が今も戦車道を続けているのが証拠だ。

「小梅先輩!あまり長話は……って凛祢さん!?」

「やあ、凛祢」

「久しぶりだね」

「案外、元気そうじゃねーか」

 次々と現れる見覚えのある顔に凛祢も思わず口を開き、

「聖菜、それに龍治、グラーフ、ビスマルクも……」

 かつての仲間の名を口にしていた。

「みんな歩兵道続けていたのか」

「うん。結局、あの頃のチームメンバーは凛祢と司、アンク以外はみんな黒森峰に進学したからね」

「あたりめーだろ。でも、今年に限ってお前が歩兵道の表舞台に出てくるとはな。手は抜かねーぞ」

 グラーフやビスマルクも昔のまま、何も変わらない。

 自分のよく知る仲間だった。

「俺だって、手を抜くつもりはないよ。龍司も元気そうだな」

「うん。君が歩兵道という戦場に戻ってきてくれてよかったと思っている」

「そうか……」

 龍司が差し出した手に凛祢も手を伸ばし握手を交わす。

「みほ先輩と凛祢さんが戦車道と歩兵道をまた始めてくれて、私も嬉しいです。今日は負けませんよ!」

「うん。お互いに頑張ろうね聖菜ちゃん」

「いい試合にしよう。行こうみほ」

「はい!」

 聖菜の言葉にみほと凛祢も笑顔で答えると試合開始地点へと歩き始めた。

 

 

 陣地に到着して、戦闘準備を終える。

 特製制服の胸元には今回のフラッグ車の隊長の証であるエンブレムが着いている。

 今回のフラッグ車はみほたちあんこうチームの搭乗するⅣ号である。そのため凛祢がこのエンブレムを付けることになった。

「相手はおそらく火力にものを言わせて攻めてきます。その前に有利な場所に移動して長期戦に持ち込みましょう」

「そうだな。幸い相手チームとの距離も離れているからすぐに接敵することはないだろう」

 みほや凛祢が今回の試合での作戦を大洗連合へと伝える。

「試合開始と共に速やかにR27地点に移動してください」

「歩兵はいつでも戦闘できるように準備しておいてくれ」

「では、乗り込んでください!」

 みほの声でそれぞれのチームが戦車と駆動車に乗り込んでいく。

「……」

「……」

 みほは感謝するように生徒会役員の6人に頭を下げた。

 杏たちもまた、何も言わず頷いた。

 彼女もまた、杏たち生徒会の頼みで戦車道を始めた。自分も感謝している。

 英治たちがいなければ、ここに……戦場に立つことは二度と叶わなかっただろう。

「約束は守りますよ。必ず大洗連合を勝たせて見せます」

「うん。俺たちも全力で戦う」

 凛祢の言葉に英治も頷くと肩を軽く叩き、ヘッツァーの元に歩き出した。

「うー。緊張してきたねー」

「う、うん。別に先にやられても怒られないよね?」

 風香が車内で砲弾を触っていると、華蓮も緊張しているのかそう呟く。

「何言ってんの?撃破されるつもりなんてないわよ」

「ふふ、ずいぶん強気ね英子」

「当たり前よ!みほさんたちだけに良い顔させないんだから!不知火もよ!」

「はいはい。ちゃんと英子さんたちを守ってやるよ」

「期待してるわよ!」

 不知火がやれやれと首を振ると強気な英子も通信を返した。

「まったく最初はあんなに仲が悪かったのに、随分仲良くなったものね」

「え?衛宮くんと照月ちゃんって仲悪かったの?」

 セレナの言葉に風香が興味を持ったのか聞き返す。

 するとセレナは笑みを浮かべていた。

「ええ。それはもう犬猿の仲くらいにね」

「今じゃあんなに信頼しあってるのに」

「本当だよねー」

 セレナの言葉に2人も思わず同じ反応を見せる。

「がんばろーね……」

「最後まで俺がが守ってやる」

 Ⅳ号に優しく振れたみほに凛祢も優しく声をかける。

「凛祢さん……」

「凛祢の言う通りだな!俺たちも全力で戦うぜ!」

「最後の瞬間まで狙い撃ってやる!」

「僕も最善を尽くします!」

「ここまで来たんだ。勝つために戦ってやる」

 凛祢の言葉を聞いていたヤブイヌ分隊のメンバーも意気込みを言い放つ。

「お前ら……みほ」

「はい」

 みほと凛祢もアイコンタクトを取る。

「みんな行こ!」「みんな行くぞ!」

「「「おーー!」」」

 2人の隊長の声を合図にあんこうチームとヤブイヌ分隊のメンバーは声を上げた。

 

 

 一方、決勝戦に出場しているもう一つの学校である黒森峰連合はすでに戦車に乗り込み、いつでも進軍できる準備を整えていた。

「これより決勝戦だ。相手は初めて対戦するチームだが、決して油断するな。グデーリアンは言った。厚い皮膚より早い足と」

「相変わらず戦車道しているときはおっかねー顔だな」

「ビスマルク、そんなこと言ってたら怒られるぞ……」

 ティーガーⅠのキューポラから上半身を乗り出し通信を送っていた西住まほを見て、ビスマルクが呟くと、グラーフも思わずツッコむ。

「流石、西住流の後継者なだけあるな。ビスマルク、グラーフ。準備できたなら行くぞ」

「「了解」」

 聖羅がキューベルワーゲンに乗り込むのを確認し、2人も乗り込む。

「聖羅、私たちには負けることは許されない。鉄血の歩兵団(インファンタリーズ)と呼ばれたその力を証明しろ」

「任せな、いくぞ!」

 まほからの通信に、聖羅も声を上げる。

 鉄血。聖羅たちが黒森峰に入学してから得た名前だ。

「戦車前進(パンツァーフォー)!」

「歩兵疾走(オーバードライブ)!」

 みほと凛祢の声で両チームの戦車が次々に全身を始めた。

「敵にはビスマルクにグラーフ、龍司。そして聖羅と星宮悠希か……実力だけで言えば1人でも相当な戦力になりうる存在が多い上に、戦車は装甲が堅い」

「本当、これで勝てるのかねー?」

「やるしかないよ、僕たちはね」

「そうですよ、いままでそうでしたね」

 凛祢が送っていた通信に辰巳、アーサー、亮がそれぞれ返答する。

「まずは作戦通り、有利な地点で戦力を削るのが俺たちのやり方だ」

「ま、狙撃兵である俺たちはそうだよな」

 英治も通信を返すと、続けて不知火も通信を送る。

「……」

 そんな中、凛祢は難しい表情を浮かべていた。

 聖羅たちを全員相手にしていては、たとえ凛祢という歩兵でも一方的に敗北することは分かっている。

 ならば、誰に誰の相手をしてもらえばいいんだ……。

「こちらはあんこうチーム。207地点まであと2キロ、今のところ黒森峰の姿はありません。ですが皆さん、油断せず気を引き締めて行きましょう。交信終わります」

「あれ、なんか話し方変わりました?」

「本当、余裕を感じます」

「凄いですね沙織殿」

 沙織が送った通信に優花里や塁が関心の言葉を送る。

「そお?プロっぽい?」

「話し方がイラっとくる」

「全然プロっぽくない」

「ちょ、麻子だけじゃなく俊也君まで!なんでそう言うこと言うの!?」

「「アマチュア無線だし……」」

 声を上げた沙織に2人は同じ答えを返していた。

「……!」

 その時、凛祢の直感が何かを感じ取った。

 同時にⅣ号に向けて放たれたであろう砲弾が地面を抉り、大きな土煙を上げる。

「なに!?」

「もう来た!」

「うそ!?」

「南西より砲撃!」

 凛祢は無意識に声を上げ、マガジンケースから取り出した単眼鏡を目に当てる。

 西に広がる樹海から砲撃しているⅣ号駆逐戦車、パンターG型の姿を確認した。

「随分早い攻撃だな、西住まほ。歩兵隊は砲兵の攻撃に備えろ!翼、敵歩兵は数人確認した。狙えるか?」

「流石にキツイな。そもそも動いてる車両から狙い撃つのはあまり慣れてないんだ」

「そうか……」

 凛祢が再び視線を樹海に向けると黒森峰の戦車が次々にその姿を現す。

 ティーガーⅡにエレファントの姿も確認した。

「森の中をショートカットしてきたのか!?」

「そんなのありかよ!?」

 桃と雄二がそう言っている間にも敵砲兵がパンツァーファウストを構えている。

「凄すぎる……」

「これが西住流」

「八尋、迎撃準備できたか?」

「あったりめーよ!」

 八尋と俊也もセーフティーを外していつでも発砲可能にしていた。

「全車両、ジグザグに走行して、前方の森に入ってください!」

 みほの指示で大洗の車両は次々にその車体を揺らして走行する。

「全車両、一斉攻撃!」

 エリカの指示で、黒森峰の戦車砲撃は更に激しさを増していく。

「前方2時方向に、敵フラッグ車を確認!」

「よし、照準を合わせろ」

 ティーガーⅡはゆっくりと照準を大洗連合のⅣ号へと向ける。

 敵砲撃によって隊列を崩していた大洗連合はバラバラになりながらも森林を目指していた。

 しかし、そんな中でも大洗連合の三式中戦車は動きを止めていた。

「ギア、かた!入んない!」

「ゲームだと簡単に入るのに……」

 ももがーが必死にギアにかけた手に力を入れるが、ギアは入らない。

「ちょっと、ちょっと!何止まってんですか!?速く動いてくださいよ!」

 三式中戦車の上に掴まっていたアインも思わず声を上げる。

「照準よし!フラッグ車に合わせました!」

「一発で終わらせてあげるわ!」

 エリカは勝利を確信したように笑みを浮かべる。

「……!アイン、飛べ!」

「え?」

 視線を向け、ティーガーⅡの動きを確信した凛祢は通信を送る。

「うーん!」

 車内では操縦手のももがーが力一杯引っ張るとギアはようやくリバースに入った。

 同時に三式中戦車は後退する。

「あれ?」

「バックしちゃったよ!?」

 思わずねこにゃーも声を上げる。

「敵フラッグ車に照準完了」

「よし、撃てー!」

 ティーガーⅡが再び砲撃する。

 放たれた砲弾は吸い込まれる様にⅣ号に向けて放たれるが、後退してきた三式中戦車が射線上に割り込みそのまま被弾した。

 まもなく三式中戦車から走行不能の白旗が上がる。 

 衝撃でアインの体も地面に投げ出され、戦死判定のアラームが響く。

「くっ!」

 その様子を確認して凛祢は思わず表情を歪ませる。

 砲撃を終えたティーガーⅡと黒森峰連合は、すぐに移動を開始した。

「……」

「……フッ」

 悠希は何も言わずに戦場に視線を向けるが、1輌撃破したエリカは不敵に笑みを浮かべていた。

 観客席前の大型スクリーンでも大洗連合が1輌撃破されたことを表示する。

 そんな様子を多くの者たちが何も言わずに見つめていた。

 西住流家元、西住しほや葛城朱音、照月玄十郎も同じであった。

「あーあ。1輌やられたな……」

「アインも戦死しちまったな」

 八尋と俊也が思わず口にする。

「ごめんね。西住さん、葛城くん。もうゲームオーバーになっちゃった……」

「怪我は!?」

 ねこにゃーからの通信にみほは思わず声を上げる。

 それだけ彼女が心配しているのが伝わってきた。

「大丈夫です。アインくんも大丈夫みたいだけど戦死しちゃったみたいで……」

「そうか……」

 凛祢も通信を聞いて、インカムに手を当てる。

 みほや沙織も安心したようにお互いの顔を見つめ合う。

 しかし、そんな安心をかき消すように砲撃音が響き渡った。

 黒森峰連合が砲撃を開始したのだ。次は戦車の砲弾だけでなく、砲兵の攻撃も開始されていた。

「狙撃兵は、迎撃を!」

「全車両モクモク作戦です!」

「「「了解!」」」

 みほの指示にそれぞれの車長が通信を送る。

「私たちも行くね!」

「せっかく九七式軽戦車(テケ)を手放して、乗り換えたんだから。プラウダ戦の時よりも多く敵を倒すわよ」

 杏と英子が強気に通信を送り、ヘッツァー、キャバリエ、英治たちカニさん分隊の搭乗するキューベルワーゲンが方向変換していく。

「いいか。1人でも多く敵歩兵を戦死させるんだ」

「了解だっての」

 英治と不知火もそれぞれの武器を手にする。

「各車、モクモク用意!」

「「「モクモク用意!」」」

 沙織の通信で一斉に返事をする。

「ワニさん分隊とタイガーさん分隊は作戦通りに!他は迎撃に集中してくれ!」

「「「了解!」」」

 凛祢も通信を送り、歩兵隊も散開していく。

「モクモク開始!」

「モクモク始め!」

 みほの声と共に各車が一斉に煙幕を噴射し始める。

 瞬時に煙が立ち込め、大洗連合後方の視界を奪う。

「青葉先輩、亮!ワイヤーを!」

「了解した」

「はい!」

 凛祢の指示でシラサギさん分隊とヤマネコ分隊が動く。

 流れるような動きでⅢ突とM3から伸ばしたワイヤーをポルシェティーガーに取り付けていく。

 更にⅣ号からもワイヤーを伸ばしⅢ突とM3に取り付ける。

「悪いねー、ポルシェティーガー重いでしょー?」

「ったく。こんな重量のある戦車が山登りなんて出来ねーだろ」

「ヒムロそう言うなって!」

 引っ張られているポルシェティーガーを見つめていたヤガミが笑みを浮かべているが、ヒムロはやれやれと首を横に振っていた。

「煙?忍者じゃあるまいし……」

「でも、敵が見えないんじゃ弾を無駄に消費するだけなんじゃない?煙幕はどこのチームも使ってるし……」

 エリカが吐き捨てるように呟くと、隣を走行するキューベルワーゲンの車内にいた悠希が言った。

「何言ってんのよ!攻撃あるのみに決まってるでしょ!全車砲撃かい――」

「撃ち方止め!」

「隊長!?」

「下手に敵の作戦に乗るな。それに悠希の言う通り無駄に攻撃しても無意味だ」

「決勝戦とはいえ弾数制限はあるからな」

 まほに続いて聖羅も悠希と同じことを言っていた。

「11時の方向に敵戦車発見!」

「あの先は坂道だ。敵にはポルシェティーガーがいる足が遅いからそう簡単には登れまい」

 エリカは先ほどⅣ号を撃破できなかったことで焦っているのか、機銃を撃ち始める。

「そんなこと凛祢も西住妹も承知の上だろ。なんかあるに決まっている」

「やはり聖羅もそう思うかい?」

「つっても足がおせーならさっさと追いついて潰せばいいだろうが」

 聖羅とグラーフが凛祢やみほの作戦を読んでいるかのように会話を始めると、何も考えていないビスマルクが口をはさむ。

「ああ、脳筋は黙ってていいから」

「とにかく砲兵である俺やビスマルクは弾数制限がある。グラーフ、狙える時は撃て。ビスマルクも撃てる時は撃っていいが……凛祢だけは俺が決着をつける」

「うん」

「わーったよ」

 グラーフとビスマルクが頷き、聖羅は再び前方の大洗連合に視線を向けた。

 

 

 大洗連合の作戦にオレンジペコは驚きを隠せなかった。

「まさか、煙幕を張るなんて……」

「そんなに珍しいか?大洗連合ならやりそうな作戦だと思うけどな」

「ガノの言う通りだ。『我が道を外れることはなく、使える手段は使う』、それが大洗連合の戦い方だと思う」

「確かにそうね、ケン。恋と戦いはあらゆることが正当化されるのよ」

 ケンスロットとダージリンは対決したチームであるからこそわかると言わんばかりに口を開いた。

「ケンのはわかりやすいが、ダージリンの説明は相変わらずよくわからないな」

「ふふ。それはあなたがまだ子供であると言うことです」

 同じように試合を見つめているモルドレットは首を傾げていた。そんな様子を見て、アッサムは思わず笑みを浮かべる。

「高校生はどいつもこいつも子供だろうが!だいたいデータ主義のアッサムは――」

「あ、煙幕が晴れてきたみたいですよ」

「おい、聞いてんのか!?」

 アッサムは再び視線をスクリーンに向けると聖グロと聖ブリの生徒たちも同じように視線を向ける。

 

 

 煙幕が晴れた先に写る光景に黒森峰連合だけでなく、観客席で観戦する者の多くが驚きを隠せなかった。

 大洗連合がすでに山道を上り始めていたからだ。

 ポルシェティーガーの速度を考えればここまで距離が離れることはないと思っていた。

 しかし、大洗連合はすでに予想のはるか先まで前進していた。

「もうあんなところに?」

「そう言うことか」「そう言うこと」

 瞬時に聖羅と悠希が納得したかのように同じ言葉を口にした。

「戦車で戦車を引っ張るとは考えたな西住妹。だが」

「やっぱ、隊長の妹だけあって侮れないよ、西住みほ(あの女)。でも」

「「そんな工夫は小さすぎる」」

 聖羅と悠希のキューベルワーゲンが加速し、続けて黒森峰連合の戦車も加速していく。

「……」

 前方を走行するジープに搭乗していた凛祢は視線を後方へと向けた。

 予想通りの位置に黒森峰の姿を確認して少し安心したように再び大洗連合のほうへと視線を戻す。

「流石に重い……」

「レオポンダイエットするぜよ」

 操縦手である麻子とおりょうが文句を言う。

「自動車部は太ってんのか?」

「そんなわけないでしょ」

「失礼だよ、ヒムロくん」

「「あはは」」

 ヒムロの言葉にスズキとホシノがツッコむとヤガミとナカジマが乾いた笑い声を上げる。

「どっしりしているのがレオポンのいい所だ」

「確かに。速さを捨てて、攻撃力と防御力を上げるのは悪いことではないと思うよ」

 左衛門座とシャーロックもフォローするように言った。

 観客席でノンナに肩車してもらいながら試合を見つめていたカチューシャは感心するように頷いていた。

「そっか。みんなで引っ張っていたのねポルシェティーガーを!」

「ほう、考えたな。今度ウチもKV-2を引っ張ってみるか」

「いいわね!……ごほん」

「なんだよ?……にしてもウチの時よりも戦力差があるのに周防たちはどうするつもりだ?」

 カチューシャに続いてアルベルトも頷きながら試合に視線を向けていた。

「パラリラ作戦です!」

「「パラリラ作戦、了解!」」

 再びみほの作戦開始の通信でルノーと八九式が左右に分かれていく。

 車体からは先ほどと同様に煙幕をまき散らしている。

「なによ、この作戦!?」

「私たち不良になったみたい」

「帰ったら手が腫れてそう……」

 ルノーの車内から緑子たちの声が響く。

「そど子さん不良になっちゃったんですか!?」

「そんなわけ無いでしょ!」

「てへっ!」

 緑子から帰ってきた通信に青葉は笑みを浮かべていた。

「うー、お尻痛い。腕がつりそう……」

「頑張って!」

 八九式の車内でも忍が操縦する中、妙子が励ましていた。

「塁、翔。いくぞ」

「「了解です」」

 凛祢たち、3人の工兵も跳躍し煙幕に紛れる。

 

 

「こんなに広範囲で煙が広がるとは……」

「どうしますか、西住隊長?」

 悔しそうに望遠鏡を覗くエリカの隣を走行していたパンターから小梅が上半身を乗り出していた。

「全車、榴弾装填!」

 まほの指示で黒森峰も次の戦闘準備に入る。

「あと、少し……」

 地図を確認しているみほが呟くと、優花里も静かに見つめていた。

 一方、凛祢たちは工兵は電管を刺したヒートアックスを次々に地面に置いて行く。

「葛城先輩。そろそろ後を追わないと追いつけなくなっちゃいますよ?」

「そうですね。行きましょう凛祢殿」

「ああ」

 バックパック内のヒートアックを仕掛け終えた工兵部隊は再び走り出す。

 煙幕の有効時間は限られている。

 この罠も悟られてしまえば、不発におある可能性もある。

 すべてが時間との勝負であった。

「撃て!」

 合図と共に黒森峰の戦車が砲撃を開始する。

 榴弾が瞬時に誘爆していく。

「やられる前に……有利な場所に逃げ込まないと」

「さあ、どうする凛祢?敵戦車に当対処するんだ?」

「あなたたちももいつの間にか、彼女たちの味方ね」

 オレンジペコとガノスタンの様子を見て、ダージリンが思わず笑みを浮かべた。

「え?」

「そりゃあ、そうだろ。確かに黒森峰連合はつえぇよ。でも、あの大洗連合が勝利するところを俺は見て―んだよ」

 ガノスタンの口からは自然と言葉が出ていた。そしてその顔には笑みが浮かんでいた。

 一方、草原フィールドの森林近くではヘッツァー&キャバリエ、カニさん分隊と不知火が身を潜めていた。

「……にっ」

 砲手として照準器を覗いていた杏は静かに笑みを浮かべる。

「……はぁ、はぁ」

 同じように照準器を覗く華蓮の手は震えていた。

 緊張と失敗したらという恐怖心が彼女の手を震えさせていたのだ。

 そんな時、英子が優しく肩に右手を置いた。

「華蓮、落ち着いて。あなたならできるわ、正確に履帯を狙ってね……」

「う、うん……」

 その言葉で不思議と震えは止まっていた。

「装填も完了したよーん」

 風香が気の抜ける声で合図する。

「発射!」

 英子の声で、2輌の戦車がほぼ同時に砲撃する。

 放たれた砲弾がヤークトパンターとパンターの履帯を撃ち抜いた。

 被弾した2輌はその場で行動不能になっていた。

 更に英治と不知火の狙撃で黒森峰の歩兵を2人戦死させる。

「う、しょっと」

「どっせい!」

 桃と風香が再び次弾を装填して、2輌が発砲した。

 次はヤークトティーガーとⅢ号J型を行動不能にさせた。

「会長、英子さん!敵戦車4輌履帯破壊です!」

「河嶋ー当たったぞー」

「わかってます……」

「あ、当たった……」

「やるわね、華蓮」

「やったじゃん!」

「でも、履帯を破壊しただけだから油断は禁物よ」

 ヘッツァーだけでなく、キャバリエの車内でも歓喜の声が響くがセレナが注意するように呟いた。

「ここが限界だな。杏引くぞ」

「撃破したいなー」

 英治の指示で2輌と歩兵隊は撤退していく。

「あの、ちび」

「深追いはするな。さっさと本隊を潰せばいい」

 エリカが砲撃された方に視線を向けるが、聖羅が無視するように促す。

 山頂を上りえた大洗連合はこちらに向かってくる黒森峰連合を見つめた。

「……」

「守り固めたよ」

「了解。全車両、照準をフラッグ車の前にいる車両に!」

 大洗連合の車両はそれぞれの砲塔を回転させ、照準を向ける。

「みんないけるか?」

「オオワシは行けます!」

「ワニも準備OKだ」

「「いつでもいけまーす」」

「タイガーも大丈夫だよー」

 凛祢がブローニング・ハイパワーを引き抜き通信を送る。

 すると黒森峰連合がようやく射程圏内に入った。

「全車停止」

 その声でお互いのチームの車両が停止する。

 その時、戦場に乾いた風が吹き抜ける感じがした。

 観客席でも戦闘が開始されるのが今か今かと待っていた。

「想定より早く陣地を形成したな」

「まほ、お前はあまり動くな。凛祢が工兵であるなら罠がある可能性がある」

 聖羅は注意を促した。

 それは彼自身が凛祢と共に戦ってきたからこそわかる。

 凛祢の考えることは直感的に分かっていた。それは『超人直感』とは違う。

 かつて、お互いの考えを理解しあっていたからこそであったのだ。

「囲め……」

 その声で、黒森峰連合の戦車が散っていく。

「砲撃はじめ!」

 大洗連合が先に攻撃を開始した。

 次々に放たれる砲弾と狙撃が黒森峰連合を襲う。

 数秒後、Ⅲ突の放った砲弾がパンターに命中。白旗を上げて、走行不能にした。

 続けて翼と迅の狙撃で歩兵隊を数人戦死にした。

「やった!」

「……ふう」

 カエサルが声を上げ、翼が短く息を吐いた。

「次、1時のラングだ!」

「ラングってどれだ?」

「ヘッツァーのお兄さんみたいなやつ!」

 エルヴィンが視線を向けて答える。

「お兄さん……みたいなのか?」

「確かに似ては居ると思うけど……」

 アーサーとシャーロックが苦笑いをしていると、

「やりましたね、五十鈴殿」

「はい」

 次のパンターを撃破したⅣ号車内で優花里が声を上げた。

「よし、いい滑り出しだ。このまま少しずつ……」

 少しずつ戦力を削っているのを確認した凛祢がそう言った時であった。

「ヤークトティーガー、正面へ!」

「グラーフと狙撃隊は邪魔な歩兵を潰せ」

 2人の言葉で黒森峰が動いた。

 長砲身の車両が前に出てきたのだ。

 赤黒い装甲色のヤークトティーガーが正面に現れると凛祢はすぐに気づいた。

「そりゃあ重戦車を出してくるよな」

 短く言葉を続けた。

「重戦車を盾に使うのね」

「あの距離じゃ装甲は貫通できないしな……」

 ダージリンとケンスロットの表情も曇っていた。

 しかし、今の状況は大洗連合にとっても絶望的状況であったのだった。

「それでもな……諦めるには、早すぎるんだよ」

 凛祢はそんな中でも強い思いを持ち続けていた。




28話どうだったでしょうか。
今回で黒森峰戦が開始されましたね。
次の話はなるべく早く上げられるようにしたいとおもっています。
今回も読んで頂きありがとうございました。

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