ガールズ&パンツァー~地を駆ける歩兵達~ 作:UNIMITES
投稿が遅くなってしまって申し訳ありません。
今後はなるべく早く投稿できるように頑張ります。
では、本編をどうぞ。
山頂にて陣地を固めた大洗連合は砲撃によって敵戦車を撃破することに成功していたが、黒森峰が投入した重戦車とその戦力によって力の差を見せつけられていた。
「それでもまだ、諦めるには早すぎる」
凛祢が見つめていると、黒森峰から放たれた砲弾が山頂付近に雨あられの様に降り注いだ。
「これが、王者の戦いよ」
大洗連合が反撃するように砲撃するが、再び敵戦車の砲撃が地面を抉り、土煙を巻き上げた。
「せっかくここまで来たのに、このままじゃ撃ち負ける!」
「流石黒森峰」
「そんなことわかってだろ」
「そうですよ。それでも僕たちはここまできた」
「やってやるよ!」
辰巳に続いて亮や歩が引き金を引いた。
「凄い砲撃戦……」
「じわじわ首を絞められているようだ」
「ウチがあそこを陣地にするって読んでいたみたいだね。まあ当然か……」
杏たちも少し残念そうに言った。
「どうするの?このままじゃ……」
「ちゃんと作戦はあるんだろ?会長、照月さん」
「「うん」」
不知火の問いに、杏と英子が再びお互いの顔を確認して頷いた。
「18対8これだけ削れれば……ここから撤退します」
「でも、退路は塞がれてます」
みほの言葉に優花里が進言する。
「……そろそろか。全員、駆動車に乗れ!一気に行くぞ」
みほの言葉で凛祢も拳銃を懐のホルスターに差し込む。
「西住ちゃーん、葛城くん。いっちゃおうか」
「はい。おちょくり作戦です!」
「杏会長、英治会長。お願いします!」
「あんなところに突っ込むなんて……死ぬな、これは」
「やるしかないですね」
「いくぞ!」
英治たちも流石に冷や汗が流れるのを感じながらも、山頂に向かって走行しはじめる。
「とーつげきー!」
「華蓮、少し揺れるけど我慢してね」
「わかりました」
ヘッツァーとキャバリエ、宗司と雄二が搭乗するキューベルワーゲンは一斉に黒森峰連合の元へと突撃していく。
その後方では英治と不知火が狙撃準備へと入っていた。
「何している!隣にヘッツァーがいるぞ!」
「雄二!」
「おう!」
ヘッツァーとキャバリエは砲撃することなく動き回り黒森峰連合の戦車を翻弄していく。
更に雄二は引き金を引いた。撃ちだされた榴弾は敵歩兵周辺の地面へとぶつかり次々に誘爆する。
「なに!?」
「ちっ!」
「ヘッツァーだけでなくキャバリエもか!」
「落ち着いて!敵歩兵はたった2人――!」
指示を出そうとした敵歩兵を不知火が狙撃し、戦死させる。
後に続くように山頂にいたⅣ号たちも砲撃していく。
「下るぞ!」
その声で大洗連合は一斉に動き出す。
次々に山頂を下り始める戦車は黒森峰連合との距離を詰めていく。
「レオポンチームは前へ!」
「了解」
ナカジマの返答の後、ポルシェティーガーを先頭に一列の隊列を組み、大洗連合の戦車は黒森峰連合の隊列の間を抜けていく。
黒森峰連合の戦車も発砲するが、ポルシェティーガーの装甲が砲弾を弾いていた。
零距離で敵を翻弄していたヘッツァーとキャバリエも黒森峰が仲間撃ちを恐れていたために生存したまま、逃走していく。
「何やってんだ!逃がすな!」
「よし、これで!」
敵歩兵が次々にライフルやパンツァーファウストを構える。
「聖菜さん、後を追えますか?」
「行けます、小梅先輩!」
その声でパンターが方向転換して、追撃の準備に入る。
「待ってください、小梅さん!1輌で向かうのは危険だ!それに――」
「何もせずに山頂に陣形を作るわけないだろ!」
凛祢の手に握られていたリモコンを押したことで、仕掛けられていたヒートアックスが一斉に起爆した。
その爆発は、直撃ではなかったために敵戦車を走行不能にはできなかったものの敵歩兵の狙いを妨げるには十分であった。
「ぐっ!凛祢か……!」
「……!」
龍司や小梅たちは爆破の衝撃を受け、足を止める。
「このまま、右に抜けます!」
大洗連合は一列の隊列を組んだまま、煙幕を張り逃走していく。
「おー、本当に逃げられた!」
「やっほー!流石西住さんの作戦だぜ!」
弾幕を張っていたヤガミと八尋が歓喜の声を上げる。
「まったく、無茶するぜ……」
「スリル満点だな」
俊也と麻子がやれやれと首を振る。
その時だった。
ポルシェティーガーのエンジン部分から白い煙が上がり始めた。
「レオポンがブスリ始めたぞ!」
「ちょっと見てくるー」
ナカジマはそう言って、工具箱を手にキューポラから身を乗り出し外に出る。
その様子にみほだけでなく凛祢や八尋も驚きを隠せなかった。
彼女はそのままエンジン部分の修理を始めたのだ。
「ナカジマ―。走行しながらのメンテは危ないよー?」
「大丈夫大丈夫ー。あれ?ヤガミー、レンチ忘れたから貸してー」
「はいはい」
ヤガミも注意したものの、言われた通り六角レンチをナカジマに投げ渡す。
「走行しながらメンテするなんて……」
「本当にやることが凄い人たちだな」
凛祢たちも苦笑いする。
そのまま大洗連合は草原を抜け、運河へと向かっていた。
運河を横断することで、市街地までの道をショートカットするためだった。
「このまま距離を離して、再び奇襲を仕掛けよう」
「おうよ!」
「了解です!」
八尋と塁が返事をすると、大洗の戦車が横一列で運河を渡り始めるた。
その後を追いかけるように凛祢たちの車両が走行する。
運河を渡り始め、半分ほど渡った時だった。
ウサギさんチームのM3がその足を止めた。
「あれ?あれ?」
「なにしてんの?」
「エンジンがかかんない!」
「え!?」
車内で一斉に声を上げる生徒たち。
「おい、さっさとエンジンを掛けなおせ!」
「何度もやっているけど、動かないんだよー!」
歩が急かすように叫ぶが、桂里奈は半泣きしているような声を上げていた。
「先輩!私たちは大丈夫ですから、行ってください!」
「葛城先輩。俺たちも残ってウサギさんチームを手助けします!」
梓と亮が先に行くように促す。
このままではチームの勝敗に関わると考えたのだろう。
「おい、どうするんだ!?」
「このままじゃ追いつかれる」
「でも、見捨てるなんて……!」
「どうすんだ…西住」
それぞれが声を上げている中で俊也がみほに質問する。
「……」
「……わ、私は」
みほも絞り出すように声を出す。
彼女の気持ちが分かる気がする。迷っているのだ。
みほの頭には、去年の試合の事が浮かんでいるのだろう。
仲間を助けようとして、かつて彼女のいた黒森峰は敗北した。
今回もそうなってしまうのではないか。
きっとそう考えているのだろう。
それでも、それこそが西住みほの戦車道だから守りたいと思ったんだ。
凛祢は通信機に手を当てる。
「みほ。君のやりたいようにすればいい。ただ……自分が後悔しないと思える道を選んでくれ」
「凛祢さん……」
「行ってあげなよ!」
凛祢と沙織の言葉でみほは覚悟を決めたように声を上げる。
「優花里さん、ワイヤーを!」
「はい!」
数秒後、みほはワイヤーにロープを巻き付け、もう片方を自分の体へと巻き付ける。
「行きます!」
その言葉で彼女は跳躍する。
その体は宙を舞い、隣の戦車に飛び移ると再び跳躍した。ウサギさんチームの搭乗するM3リーを目指して。
そんな様子を観客たちも見守っていた。
「英治会長、不知火。少し作戦時間を遅らせることになりました」
「何かあったのか?」
「敵に奇襲されたか?」
通信を聞いて不知火と英治が同時に問い掛ける。
「いや、トラブルが起きてしまったけど、大丈夫だ。合流が少し遅れそうかと」
「「了解」」
「葛城、お前も死なない程度に頑張ってくれよ。正直、お前と西住だけがウチの最大戦力だからな」
その言葉でお互いに通信を終える。
一方、ヘッツァーとキャバリエは黒森峰連合の後方に回り込んでいた。
「さてさてー。あと1輌くらいは撃破したいところだよー」
「そんなにうまくいくとは思えないんだけど……」
相変わらずの杏に対して英子は少し弱気に呟く。
しかし、それを読んでいたのか。まほは振り返ることなく指示を出した。
「小梅、ビスマルク。10時の方向にヘッツァーとキャバリエだ」
「はい!」
「おらよ!」
パンターの砲撃とビスマルクの放ったロケット弾が付近の地面を抉った。
「ひー!やっぱ駄目かー!」
「撤退よ!撤退!」
「ちっ!まあいい。削れる分の戦力は削ってやったんだ!上出来だろ」
不知火が笑みを浮かべてキャバリエに飛び乗ると、2輌は逃げるように後退していく。
「追いますか?」
「深追いする必要はない。フラッグを落とせばそこで終わりだからな」
聖羅は指示を終えると再び駆動車を走行させる。
「大洗は凛祢と西住妹だけが脅威だと思っていたが……」
「そうだな。まあ、これだから面白いんだよ。フラッグ戦はね」
グラーフも思い出すように呟く。
みほが届けたワイヤーによって車体を牽引することで予定よりも早く川を抜けることに成功した。
抜けた直後、黒森峰連合から放たれた砲弾が後方で誘爆していた。
「おーあぶないあぶない」
「少し遅かったら危なかったね」
シャーロックやアーサーも頷きながら後方を見つめる。
「西住隊長凄かったね」
「うん。本当にヒーローみたいだった!」
ヤマネコ分隊も思わずみほを褒め称えていた。
数分ほど走行して市街地に到着すると、ようやくヘッツァーとキャバリエに合流する。
「なんとかみんな無事みてーだな」
「本当にギリギリでしたけど」
凛祢はさきほどの状況を思い出し、思わず苦笑いする。
「ここから先の作戦はどうするんだ?」
「やることは一つです。ヒットアンドウェイで戦います、ただ無理のない程度に」
凛祢が通信を送ると歩兵隊も本格的に戦闘準備に入る。
市街戦になれば歩兵戦闘も激しさを増していく。
そうなれば頼れるのは個人の能力と仲間との連携になってくる。
「戦力的な不利は変わらずか……」
「それでも黒森峰とここまでやれてんのは凄いことだろ」
ため息交じりに呟くと俊也が皮肉を言うように言葉を口にする。
「そうだぜ凛祢。ここまで戦力は削られてはいないわけだしな」
「それだと聞こえはいいが、こちらだって一向に敵の戦力を削れていないのが現実だけどな」
八尋や翼も同じように呟いていた。
分かってはいるが、それでも無茶することはできない。
技術的不利に戦力的な差が大きくなれば勝機を失いかねないのだ。
「おい、あれ見ろ……」
「……」
俊也が視線の先を指さすと同時に視線を向ける。
視線の先には市街地の建物から砲塔を覗かせるダークイエローの車体。パンターG型の姿があった。
「凛祢さん……!」
「やるか、ここで1輌でも多く削っておきたい」
「よっしゃー!塁、全速前進だー!」
「了解!」
八尋の声を合図にⅣ号とヤブイヌ分隊を先頭に大洗連合が敵戦車を追いかけていく。
「こんなところにたった1輌で?ねえ、不知火、どう思う?」
「怪しいとは思うけど……セレナいつでも離脱できるようにしとけ」
不知火が通信機で静かに呟く。
「いいの?罠だとしたらフラッグ車を守るべきなんじゃない?」
「ちっちっち!あの子たちなら大丈夫だって!ね!英子さん?」
「うん。そうね」
英子は再び視線を前方に向けた。
しかし、英子たちの予想は最悪の形で的中することとなる。
パンターを追撃するべく後を追いかけていた大洗連合。一定の距離を保ちながら走行していた。
「このままいきます!」
「待て!カモさんチーム!」
凛祢の声を上げるが遅かった。
パンターを追撃していた大洗連合の前に迷彩柄の大型戦車がゆっくりと現れる。
その姿に思わず大洗連合、観客席の者たちも驚く。
「なっ!」
「いっ!」
「「塁、全速で後退しろ!」」
凛祢と俊也の声で我に返った塁はギアを入れ直し、アクセルを踏み込む。
大洗連合の車両が後退を始めると同時に、大型戦車が重い一撃を放つ。
今まで感じたことのない衝撃波が全身を吹き抜けた。
その瞬間、被弾したのだろうカモさんチームの搭乗するルノーが横転し、白旗を上げていた。
「なんなんだよ、あいつは!?」
「超重戦車マウスだ!」
「なんで……!こんな大型が!」
次々に大洗連合の生徒たちが声を上げる。
「よくもカモさんチームを!」
「よせ!カバさんチーム!」
アーサーが声を上げるがⅢ突はすでに砲撃を開始していた。
マウスの正面装甲に砲弾が命中するが、まったく効いている様子はない。
「馬鹿!」
「何やってんだ!」
「カバさんチーム!!」
シャーロックとジルに体を押さえつけられていたアーサーが手を伸ばすがその手は届くことはなく、すぐにマウスの砲身がⅢ突に向けられ、火を噴いた。
轟音と共にⅢ突の車体はひっくり返っていたのだ。
走行不能であることはすぐに理解できた。
続けて、マウスと共に現れた敵歩兵がMP5の引き金を引いた。
銃弾がシラサギ分隊を撃ち抜いていた。
初めて感じた。
たった1輌の戦車による圧倒的戦力差という名の恐怖を。
「……ここでマウスか」
「かなりまずい状況だな」
「マウスが相手では大洗にとって苦しい所ですわね」
ケンスロットやガノスタン、ダージリンも険しい表情を浮かべていた。
「きちゃった……」
「去年もあいつを潰すのにかなりの労力を使ったものだ」
「「……」」
弱気に呟くカチューシャとやアルベルトも同じように戦いを見つめていた。
メッザルーナは肩で息をしたまま観客席の椅子に座り込む。隣にはマリーダの姿もある。
「おい……はぁ、試合状況は、どうなってる……?」
「メッザルーナさん?」
「どうしてここに?」
司とアンクが思わず問い掛ける。
「昨日の夜から会場に来てはいたのですが……遅くまで宴会していて今起きたんです」
「なにやっての……」
アキは思わずため息をついた
「宴会ってことはお料理もいっぱいあったの?」
「はい。残り物ですががキャンプ場にあるので分けましょうか?」
「「もらう!」」
マリーダの返答にアキとミッコは瞬時に返答する。
「んなことより、状況教えろよ」
「黒森峰が有利なのは変わらないが、大洗もなんとか食らいついている。だが、マウスが出てきてしまっては……」
「マウス?」
ヴィダールの言葉にメッザルーナは画面に視線を向ける。
映し出された映像には超重戦車の姿があった。
「確かにでけぇな。凛祢、どうするつもりだ?」
「分かりません。でも、今の凛祢は1人じゃない。仲間がいますから」
司は再び画面に視線を向けるとミカは静かにカンテレを鳴らしていた。
今回も読んで頂きありがとうございます。
29話でようやくアニメの11話までの内容を消化しました。
おそらく次回でアニメ版ガールズ&パンツァーの内容は終わりにたどり着けると思います。
では次回もよろしくお願いします。