ガールズ&パンツァー~地を駆ける歩兵達~ 作:UNIMITES
今回から第二章 スクワッドジャム編になります。
オリジナルなので少々大変ですが、完成させられるように頑張ります。
では、どうぞ。
第二部 スクワッドジャム編
大海原を進む学園艦。今運用されている学園艦は、高か物だけでも数百を超えているそうだ。
そんな学園艦の中の一つである知波単学園&重桜(じゅうおう)高校の学園艦で青年は、生活していた。
黒髪に気だそうな顔をする青年の名は織田 信光(おだ のぶみつ)。
現在の重桜高校の歩兵道では隊長を務めている。
戦車や銃火器の置かれたガレージ内で座り込み、日本刀に視線を落としている。
「……」
「信光殿。ここに居られたか」
「信光さん。聞いてくれよー知波単の連中がさー」
ガレージを開けて現れたのは二人の男子生徒だった。
二人は信光が良く知る友人たちであり、自分と共に戦場を駆ける仲間である。
整った服装をした長身長の生徒は柴田 勝正(しばた かつまさ)。
もう一人は少し着崩した服装であり背丈も信光よりも低い生徒は十六夜 蘭丸(いざよい らんまる)。
「勝正、蘭丸。もうすぐスクワッドジャムが開催される。俺は出場しようと思うがお前たちはどうする?」
「信光殿が出場されるのであれば自分も出場させていただきます」
「オイラも信光さんが出るなら行くっすよ」
「そうか。全国大会は一回戦で敗退してしまったからな。スクワッドジャムでは勝利を収めるぞ」
「はい」
「はいっす!」
信光が声を上げると二人も返事をする。
すると、信光の元にもう一人の男子生徒が現れる。
「信光殿。ただいま戻りました」
「半蔵か……」
男子生徒は片膝を付き、信光の横に頭を下げていた。
制服姿でありながら、マフラーの様な布を首に巻き付けているのが特徴的である。
「半蔵さん!」
蘭丸も声を上げる。
男の名は百鬼 半蔵(ひゃっき はんぞう)。彼も信光の戦友である。
「どうやら2席の黒咲聖羅と3席のヴィダールはスクワッドジャムには出場されない様です」
「そうか。まあ、あの二人は元々スクワッドジャムには出てくるような性格ではないからな。まあいいだろ」
信光は携帯端末で今年の強襲歩兵十傑の第一席であり、聞き覚えのある名前のある名前の葛城凛を調べていた。
激闘続きだった全国大会が終わって1週間の時が過ぎた。
高校歩兵道強襲十傑(アサルト・ツェーン)の中でも最高位である第一席に選ばれた葛城凛祢は、普通の高校生に戻っていた。
教室内では今日も授業が行われている。
「そういえば、もう少しで鞠菜の命日か……」
思い出したようにそう口にすると凛祢は静かに空を見つめる。
翌日、夏休みに入ったことで学園艦とは離れた本土の地に凛祢とみほの姿はあった。
その場所には、多くの墓石があり、その一つの前に二人が立つ。
墓石には、周防家の名がと刻まれている。
何も口にはしなかったが、報告するように歩兵道を再び始めた事、ネビュラ勲章を授与されたことを思い出している。
みほも隣で線香を立てている。
「凛祢くん……?」
その声でふと我に返った。
振り返ると視線の先には見覚えのある者の姿がある。
背丈は凜祢やみほとそう変わらないが、日本人と思えないその褐色肌。そして、歩兵道連盟のスーツ姿。
「サンティ、さん?」
凜祢は思わずその名前を呟いた。
彼女の事は知っている。サンティ・ラナ。ネパール出身であり、数年前から歩兵道連盟の関係者になった人だ。
まだ軍人だった頃の鞠菜の知り合いである。
葬式にも顔を出していたのでお互いに顔も知っている。
「久しぶりですね!背も私より大きくなってますね!って、西住みほさんじゃないですか!」
「は、はい。こんばんは、西住みほです」
「サンティさんも、鞠菜に?」
「はい。鞠菜さんにはお世話になっていましたから……」
サンティはそう言うと、線香を立て目を閉じる。
凜祢とみほもその様子を静かに見つめていた。
お参りを終えるとサンティはゆっくりと立ち上がり、振り返った。
「ところで凛祢くん、みほさん。今日はこの後、お暇ですか?」
「一応……」
「なら、一緒にご飯でも行きませんか?」
「いいですけど……」
凛祢は少し戸惑うが了承する。
「じゃあ、私は先に学園艦に戻りますね」
「みほさんもご一緒して大丈夫ですよ。それにせっかく優勝校の隊長二人にお会いできたので」
凛祢がそう答えるとサンティは笑みを浮かべ、歩き始める。
数分ほどして、街に戻り飲食店に入った。
適当に注文を終えると、サンティは凛祢を見つめて口を開く。
「凛祢くん、みほさん優勝おめでとうございます」
「「どうも」」
それから他愛のない会話を交わしていた。
「そうだ凛祢くん。これをどうぞ……」
サンティはテーブルに一枚の封筒を置いた。
「なんですか、これ?」
「スクワッドジャムの招待状です」
「招待状?なんで俺に?」
「主催者からです。十傑の方たちには極力出場してもらっていますから……」
サンティはそう言うとお茶のコップに口をつける。
凛祢も招待状に目を通す。
「……少し考えてもいいですか?」
「構いませんよ。あくまで自由参加なので」
「スクワッドジャムってたしか歩兵だけの競技ですよね?」
隣で聞いていたみほが問い掛けるように凛祢に視線を向ける。
「うん。確か男女関係なく分隊を組んで競い合う競技だ。俺は出場したことはないけど」
「そうなんですか……あの凛祢さん。私たちで出場しませんか?」
彼女からの言葉で驚きを隠せなかった。
まさかみほのほうから共に参加しようっと提案してきたからだ。
「俺と、みほで……?」
「はい。駄目ですか?」
「俺は構わないけど……わかった。サンティさん、出場しますよ」
凛祢は再びサンティに視線を向ける。
「では、明日。連盟にこの書類を持ってきてください。私も待っていますので」
「「わかりました」」
食事を終えて、サンティと別れた二人は帰路についていた。
「装備は明日平賀さんに頼むとして……みほは銃火器扱ったことあるのか?」
「え?その……少しだけ」
「そっか。まあ時間も少しくらいはあるし少しずつ慣れていけば良いよ」
「はい。頑張ります」
みほとは予約していたホテルで別れるとそれぞれの部屋に行く。
部屋に着くとベットに倒れ込み天井を見つめる。
「まさか、みほの方からスクワッドジャムに出場したいと言うなんてな……昔は俺も聖羅や司たちといろんな大会に出場してたっけな」
そんな昔の記憶を思い出していると瞼が重く感じる。
いそいそとシャワーを浴び、明日に備えて眠りについた。
翌日、みほと共に歩兵道連盟の建物を訪れていた。
事前に話が通されていたため、すぐに応対室に通される。
「お二人とも、お待ちしていました」
室内に入室すると彼女の姿があった。
「「おはようございます」」
「こちらにどうぞ」
席に着くと差し出した書類にサンティが目を通す。
「第四次スクワッドジャムへの出場、承認しました。来週に予選が開催されますが、凛祢くんは十傑のメンバーなので本戦へのシード参加できます」
「へー。十傑にはそんな特典まであったんだな」
凛祢は思わずそんなことを呟くと書類を受け取る。
書類にはルールや開催会場についての説明が書かれていた。
スクワッドジャムは2人以上の分隊を1チームとして扱い、予選は合計50チームが競い合う。
50チームが一つの戦場で戦うわけではなく、5つの会場にそれぞれ10チームずつ配置される。
その中でも勝利した上位4チームが本戦に参加することができる。
つまり予選で勝ち抜いた合計20チームが本戦に参加できるわけだ。
そこに自分たちの様な十傑入りチームが参戦して、初めて本戦となる。
「本戦会場については追って連絡します。凛祢くん、平賀さんの元にはいつ行かれますか?」
「今日の内に行くつもりです」
「わかりました。ではすぐに連絡しておきますね。ではこれで手続きは終わりになります」
サンティは書類をまとめて立ち上がる。
「「ありがとうございました」」
二人も挨拶を交わすと退出する。
「本戦にそのまま参加できるなんてすごいですね」
「俺も知らなかった。ってことは他の十傑も出てくるってことか……」
本戦に出るのは構わないのだが、正直自分がロクに戦えるのか怪しかった。
全国大会で左手にかかった負荷で今は無拍子どころか覇王流の技を使うことですらきつい状態だったのだ。
拳銃を撃ったり、ナイフ戦闘といったCQC戦闘はできない事はないが、全国大会以上の戦闘をできる自信はない。
「凛祢さん、これから訪れる平賀さんってどんな方なんですか?」
「平賀さんは……銃火器の専門整備士兼改造マニアかな」
「改造マニア?」
みほは思わず首を傾げる。
電車に乗り込み、凛祢は説明を始める。
「平賀さんは、リトルインファンタリーで戦ってた頃に武器を提供してくれていた人で、要望があれば可能な範囲で改造をしてくれたりもするんんだ」
「すごいですね。その平賀さんって人」
凛祢は過去にあったことを思い出す。
工兵が使っているヒートアックスも現在の形に至るまで、多くの改良を重ねており、それをやったのが平賀孫市という人なのだ。
自分や聖羅も色々な武器の調節に付き合わされてきた。
みほも苦笑いしていた
数分ほどで目的の駅に到着する。
駅を出て、ある建物でサンティから受け取っていた書類を見せるとそのまま地下の奥まで通された。
進んだ先には眼鏡をかけた女性の姿があった。
「平賀さん、お久しぶりです」
「おー凛祢くん、お久しブリーフ!」
「……」
「えっと大丈夫か、みほ?」
平賀孫市の挨拶にみほが固まっていた。
凛祢も少々戸惑ったものの、話は通っているので、手短に話を進める。
「スクワッドジャムの武器の件だよね!話はラナちゃんから聞いてるよー。おっときみが西住さんだね」
「はい、西住みほです。よろしくお願いします」
「あの西住しほさんの娘だけあって可愛い娘だねー。二人で出場なんてラブラブなのかな?」
「え?えっと……!」
「平賀さん!冗談はその辺で。とりあえずすぐに試射できる銃とかあります?」
孫市の肩を掴み、みほから引き剥がすと凛祢はそのまま奥へと進んで行く。
奥にあった武器庫には多くの銃火器が壁に立てかけられ、並んでいる。
「そうだねー。凛祢くんこそなにか要望があればできる限り用意するけど?」
「じゃあ、女の子でも扱いやすい銃とすぐに見れる銃をお願いします」
「はいはーい」
孫市は入り口のノートPCを操作した後、奥から銃を一丁持ってきた。
L字型のその銃は『イングラムM11』である。
「これなんてどう?M11、使用弾薬は9㎜弾で小型軽量だから女の子でも扱いやすいんじゃないかな。それに今ならサプレッサーとロングマガジンをついちゃうよ」
「うーん。みほはどう思う?」
「え?いや、装備の方は凛祢さんにお任せします……」
みほは銃の話を聞いても分からなかったのだろう。
凛祢もそれを察する。
「じゃあ、みほの装備はそれで。追加で煙幕手榴弾を数個用意してもらっていいですか?」
「りょうかーい、それで凛祢くんはどうするの?」
「俺は少し見て決めます」
そう言ってショーケースを覗き込む。
多くの銃が並べられたケース内にはP90やMP5といった見覚えのある銃火器もある。
歩兵道と同様にスクワッドジャムでは使用できる銃火器に制限はないものの、ヒートアックスやC4、ロケットランチャーと言った超火力の武器は使用できない。これは相手が戦車ではなく歩兵だけであるためだ。
そして、歩兵道にはなかったルールが装備重量制限だ。
ナイフ以外の装備はすべて重量換算され、既定の重量までしか持てない。
歩兵道では重量制限などなかったが、スクワッドジャムにはそういった制限もあるわけだ。
「これって……」
ふと、発見した拳銃の前で足を止める。
見覚えのあるその拳銃は『コルト・ガバメント』。
鞠菜が初めて自分に射撃させたときに持ってきた拳銃である。
「平賀さん。これ、試射できますか?」
「いいよいいよー。なんならそれも一緒に試射してみれば?」
そう言うと平賀さんがショーケースの鍵を開ける。
ショーケース内にはガバメント以外にキャリコM950が収納されていた。
「このキャリコは最近調節が終わったばかりなんだー。」
平賀さんはキャリコのグリップを握り、ドラムマガジンを探している。
「俺、拳銃は撃てますけど。それ以外は苦手なんですけど……」
「せっかく武器が自由に使えるんだし、久々に撃ってみなよー」
「は、はぁ」
言われるまま凛祢は銃弾入りのマガジンをガバメントに差し込む。
すると隣でM11の射撃練習をしていたみほも声を掛けてくる。
「凛祢さんも決まったんですか?」
「一応、試射してみてかな……」
先にガバメントの射撃を始める。
弾金を弾くと.45ACP弾が銃口から排出されて行く。
ブローニングハイパワーとは異なる衝撃が腕に走っていくのを感じていた。
「すごい……」
隣で見ていたみほはそんな感想を漏らしていた。
凛祢の放った銃弾はそのほとんどが的の中央を捉えていたのだ。
「流石だねー。じゃあ、次これ撃ってみてぇー」
「何ですか?これ」
「私が半年前に改良したガバメントだよー。何人かには試射してもらってるから大丈夫だよ」
渡されたガバメントは確かにさきほど扱っていたものとは異なる点は一目で分かった。
マズルガードによる近接戦闘での安定性向上、ダブルカラムマガジンによる総弾数の向上。スライドを挟み込むような特徴的なハンドガードが取り付けられているせいか普通の物よりも大きく見えるような形状をしている。
更にはダットサイトまでついていた。
引き金も通常とは異なる横にした溝の少ないU字形状をしている。
「よくもまあこんな改造しますね……」
「えへへ、楽しくてさ」
凛祢は受け取ったガバメントを構える。
先ほどよりも重量は重くなっている者のダットサイトで遠くでも狙いやすくはなっている。
引き金を十数回引くと、ようやくスライドがノックバックした。
「思ったより使えますね」
「でしょでしょ!?つーわけで、スクワッドジャムで使ってくれ」
「えー?それはちょっと……」
「大丈夫だって一席なんだから。ほら予備マガジンとキャリコ使っていいから思う存分やってきな」
平賀さんは逃げるように射撃場を出て行った。
「まあ、これもつかえないことはないし使ってみるか」
続いてキャリコのマガジンをはめ込むと射撃を始める。
やはりというか、分かっていた通りの結果が出ていた。
銃弾のほとんどがぶれで外れている。
いつもは近接で撃ち合いと格闘戦闘ばかりしていたためかやはり射撃はからっきしであった。
「こりゃあ、練習あるのみだな」
そんな感想を漏らしながらも射撃練習を続けるのだった。
凛祢たちが出場の手続きと武器の登録をした数日後、スクワッドジャムの予選が開始された。
本戦へのシード参加である自分たちは当然ながら、会場にはいない。
現在も凛祢は孫市の元で射撃訓練をしていた。
「凛祢くーん。予選始まったみたいだよ。ネットにも本戦のシード参加チームが公開されてるし」
「了解です」
撃ち終えたカスタムガバメントを置いて、携帯端末を手に取る。
孫市の言う通り、すでに本戦出場のチームが公開されていた。
シード参戦チームは全部で3つ。
まずは自分とみほの分隊「RM」。
メッザルーナたちの分隊であるチーム「フェリーニ」。
星宮悠希と朝倉龍二たちの分隊「鉄血」。
どうやら話によれば聖羅とヴィダールは出場していないようだ。
「まあ、勝つことを目指しているわけじゃないし楽しんでいけば良いかな」
そう呟くと凛祢は再び射撃場に歩き出した。
各地で行われた予選が終わり、全ての本戦出場が決まった。
本戦が行なわれる本土の地域に凛祢はいた。
隣にはみほの姿もある。
「よう、葛城」
「メッザルーナか」
手を振って現れたのはメッザルーナだった。
「スクワッドジャムに出場してくれたな。俺と戦うまでやられんなよ」
「どうかな……楽しんでいけたらいいかな」
「まあ、そうだな。でも、ちゃんと再戦できたらいいな」
「ああ」
凛祢も深く頷く。
「にしても、西住さんもスクワッドジャムに出るなんてな。凛祢の事頼んだぜ」
「い、いえ。私なんて凛祢さんの足を引っ張らないようにするので精一杯です!」
「がんばれよ、2人とも」
「メッザルーナもな」
そう言葉を交わすとメッザルーナは歩いて行った。
その後、案内された部屋で用意された特製制服と装備品を身に着けると目隠しをされた。
連れて行かれるままトラックに乗り込み、数分ほどして下ろされた。
しばらくするとアナウンスが響き渡り、目隠しを外す。
目の前に広がっているのは森林だった。
「凛祢さん。ここどこですか?」
「森林フィールドに連れてこられたみたいだな」
端末を取り出し、マップを確認する。
「ど、どうします?」
「まあ、10分後にGPSスキャンが行なわれる。それまではあまり動き回らないようにしよう」
「はい。わかりました」
みほは緊張しているのかそわそわしていた。
凛祢はキャリコを手にゆっくりと歩みを進めていく。
すぐに10分が過ぎ、端末が振れたことで取り出す。
「時間だ」
端末のマップには、それぞれのチームの位置が表示された。
自分たちのチームの周りには2つのチームがいることが分かった。
「思ったより近いな」
思わずそんな感想を漏らす。
スクワッドジャムはランダムな初期位置からスタートし、10分ごとに特製制服のGPSスキャンを行う。
その際に、マップにはそれぞれのチームの位置がすべて表示される。
「戦うんですか?」
「うん。流石に結構近いから戦闘は免れないだろうな」
凛祢がそう呟くと……
発砲音が響き渡っていた。
「り、凛祢さん!」
「そうやら戦闘が始まったようだな」
凛祢が駆けていくと森林を抜けた先ですでに戦闘が始まっていた。
森林に身を隠しているチームと反対側のコンクリート製の建物を陣地としているチームが戦闘をしている。
「戦いますか?」
「いや、このまま片方が全滅するのを待つのが賢明だろうな」
凛祢はそう口にしながら戦闘を見守るのだった。
読んで頂きありがとうございます。
ようやくはじまったスクワッドジャム。
凛祢たちは勝ち抜くことができるのか。
そして、重桜高校の生徒たちは何者なのか?
感想、意見も募集中です。
では、また次のお話で