ガールズ&パンツァー~地を駆ける歩兵達~   作:UNIMITES

37 / 55
どうもUNIMITESです。
前回の投稿からかなり時間が空いてしまいました。
申し訳ありません。
では本編をどうぞ。


第33話 第四次スクワッドジャム2

 とうとう開始された第四回スクワッドジャム本戦。

 凛祢とみほの分隊であるチーム「RM」は森林と集落の間で繰り広げられている戦闘をその目で見ていた。

「随分、撃ちまくってるな」

「開始早々にあんなに撃って弾がなくなったりしないんでしょうか?」

 凛祢は単眼鏡でコンクリート製の建物からマシンガン系の武器を撃ちまくっている歩兵を見つめる。

 みほは茂みに身を隠しながら森林側の歩兵の様子を窺う。

「まあ敵チームの残弾を気にするつもりはないが、銃弾は血税で賄われているんだからもっと考えて撃つべきだとは思うかな」

 思わずそんな言葉が口から出た。

 これは昔、鞠菜から聞いた話だ。

 歩兵道の銃弾はライフルの銃弾だろうと拳銃の9㎜パラベラム弾であってもすべてが国民の血税で賄われているのだ。

 まあ、戦車道の砲弾などもそれは同じである。

 それでも鞠菜はいつも銃弾は一発一発大切に撃てと言っていた。

「さて、どうしたものか」

 森林に身を隠しているチームも適度に応戦しているもののはやり集落のチームは人数いっぱいの6名だからか、なかなか動けずにいた。

「あの、どちらかのチームと同盟結んだりはしないんですか?」

「そのほうが勝ち残れる可能性はあるだろうが、信頼できるチームでなければまず無理だな。メッザルーナたちのチームと合流できればいいんだがな」

 そう口にして先ほどのGPSスキャンを思い出す。

 チームの場所は一時的に表示されていたが、それでもメッザルーナのいるチーム「フェリーニ」の位置はずっと遠い位置に表示されていた。

「みほ。まずはあの2チームの勝敗を見た後に出て行こう」

「はい。わかりました」

 みほは特製制服や銃が慣れていないのかそわそわしている。

 凛祢もそんな姿を横目に単眼鏡を覗いていると――

 撃ち合っていた2チームは予想外の動きを見せた。

 集落でマシンガンを乱射していたチームのほうに何か小さな物体が放物線を描いて飛んでいく。

 それは凛祢たちの位置からは把握できなかったものの、なんなのかすぐに理解する。

 数秒もしないうちに集落で爆発が起きた。

「手榴弾でしょうか!?」

 みほが問い掛ける。

 堪らず集落の建物から姿を現した歩兵たちを誰かが狙撃したのか3人が倒れていく。

 ライフル弾が飛んできた方向を確認すると森林で戦っていたチームでないことがわかった。

 続けて現れた2人の歩兵が集落に入っていき残りの3人を屠った姿を確認した。

 突撃兵なのかその動きは、隊列が取れた動きをしている。

 そして、狙撃兵と突撃兵、しっかりと仕事を分けているあたり歩兵道のセオリーをよく知っているチームだと感じた。

 集落にいたチームの全滅を確認して、今度は森林にいたチームへとターゲットを変えたのか身を隠しながら森林に向けて煙幕手榴弾を投擲する。

 一瞬にして白い煙が周囲を包み込む。

「よし、みほ。このまま集落を突っ切る」

「でも、狙われちゃうんじゃ?」

「今は煙幕であっちはこちらには気づけない。今のチャンスを逃す手てはない」

「はい!」

 みほの手を引いて凛祢は駆け出す。

 森林と集落の中央に位置する道路を突っ切り、集落へと侵入する。

 コンクリート製の建物が並ぶ集落内を速度を緩めることなく駆け抜ける。

「はぁはぁ……凛祢、さん。少しゆっくり」

「悪い……」

 凛祢もみほの様子を確認してようやく速度を落とした。

 ふと、見つけた一軒家に入る。

「はぁはぁ」

「大丈夫か?」

「はい。すみません」

「いや、俺こそ無理させてゴメン」

 床にみほを座らせ、凛祢もしゃがみ込む。

 つい、みほの事を考えずいつもの様に本気で走ってしまったことを後悔する。

「みほは少し休んでいてくれ」

「私は、大丈夫です……」

 立ち上がろうとした時、みほに腕を掴まれる。

 みほの顔を見て、少しドキッとする。

 そう思ってしまうほど、みほは可愛かったのだ。

「……少し外を見てくるだけだから。それにみほを置いて行ったりしないよ」

「……はい」

 再び立ち上がると窓の近くの壁に背中をつけ、外に視線を向ける。

 この辺ではまだ戦闘が始まってないのか、銃声も遠くから響く小さな音だけが聞こえてた。

 すると、端末が揺れる。

「……!」

 どうやらさっきのスキャンから10分が経ち、次のGPSスキャンが始まったようだ。

 再びみほのもとに戻り、2人で端末の画面を覗く。

「え?」

 みほは少し驚いたように画面を見つめている。

 そんな様子をみて凛祢は少し疑問を感じていた。

 どうして驚いたのかがわからなかったからだ。

「どうした?」

「だって、凛祢さんさっきのスキャンからすでに5チームもリタイアしているんですよ?」

 みほは問い掛けるように声を上げる。

 確かに、彼女の言う通りさっきスキャンから5チームが減っていた。

「そんなものだよ……歩兵たちだけで戦う場合、約2時間もあればすべての戦いにかたが着く」

 中学の頃やリトルインファンタリーで戦っていたころは、長期戦になる方が珍しい。

 それは幼いころから歩兵道をしていた自分が良く知っている。

「そうなんですか……」

 みほがそう口にすると凛祢は再び端末に視線を落とす。

 自分たちのチームの周囲に3チームのGPS反応を確認する。

 GPSの動きを見た限り、自分たちを囲い込むように3つのチームの反応があった。

 他のチームがたまたまこの形でGPSスキャンされたのかわからない。

 しかし、この状況をみれば確実に1チームはこの場所に向かってくるだろう。

「この距離からすると、そろそろ戦闘しなくちゃならないかもな」

「そうですか。私も頑張ります」

「うん。でも、無理はしないでくれよ。みほは女の子なんだから」

「凛祢さん……ありがとうございます」

 お互いに顔を見合わせると再び窓に近づいて外を覗く。

 すぐに相手チームの姿を確認する。

「もうきたのか……」

 キャリコを握る右手に力を込める。

 その時、発砲音と共に大量の銃弾が民家へと放たれた。

「くっ!」

 凛祢はみほの態勢を低くさせ、なんとか被弾を避けている状態だった。

 一時的に射撃が止み、凛祢は再び外に視線を向ける。

 敵の数は4人。

「射撃はあんまり得意じゃないが……」

「……」

 二人とも態勢を立て直すと銃弾の雨によって砕かれた窓から射撃を開始する。

 キャリコとM11から放たれた銃弾は、次々に敵歩兵に命中し2人戦死させる。

「よしっ」

 続けて引き抜いた改造ガバメントの引き金を2回引くともう一人からも戦死判定のアラームが響く。

 その状況に危機感を感じたのか、敵歩兵は逃げるように振り返って離れていく。

「逃がすわけにはいかないな」

「り、凛祢さん!?」

 凛祢は窓を乗り越えて敵歩兵を追いかける。

 みほも驚いていたものの少し遅れて外に出た。

 少しずつ接近していくと敵歩兵も銃を構え、発砲する。

 その攻撃を凛祢は右に飛んで回避した。

 短くキャリコを発砲すると敵歩兵から戦死判定が響き渡り、全滅を確認する。

「ふう……」

 再び、周囲を警戒する。

「はぁ、はぁ。やっと追いつきました……」

「みほ。ここはあまりにも開けた場所だからすぐ移動しよう」

「はい……」

 みほを連れて移動を開始する。

 数分ほど歩いて響き渡る銃撃音に再び凛祢は表情を鋭くする。

「ここでも戦闘が始まっているのか」

 凛祢は態勢を低くして視線を向ける。

 すると、そこには見覚えのある者の姿があった。

「悠希、前に出過ぎないで!」

「仕方ないじゃん……だって当たんないんだから!」

 強襲十傑の第十席、朝倉龍司と第八席、星宮悠希がそこにはいた。

 悠希は持ち前の反射神経で敵の攻撃を回避し、距離を詰めた上で敵歩兵に銃弾を打ち込んでいく。

 一方、龍司は中距離を維持したまま正確な早撃ちを決めて敵を屠っていた。

「流石だな、あの2人」

「はい。そういえば凛祢さんと悠希さんってどことなく戦闘スタイルが似ていますよね」

「俺とあいつが?」

 みほの言葉に凛祢は思わず聞き返してしまう。

「はい。近接戦闘が得意で射撃が苦手な部分や、あんな風に敵歩兵に向かって行く姿はよく似ているなって」

「ふーん」

 凛祢は再び悠希を見つめるが、すぐに立ち上がる。

 そして、みほを連れて2人の元へと向かう。

「……止まれ!」

「撃つなよ……龍司」

「凛祢?どうしてここに?」

「西住もいるじゃん」

 二人もこちらの姿を確認すると銃口を下げる。

「凛祢たち、被弾はしてる?」

「俺が数発で。みほは無傷だ」

「そうか、僕たちもそんな感じかな」

「俺はあんまり残弾ないよ」

 お互いに状況を確認すると凛祢は2人を発見したときから思いついていた提案をする。

「なあ、よかったら手を組まないか?龍司たちが2人なら俺たちと合わせて4人で戦うのも条件として悪くないだろ?」

「僕は構わないけど……悠希はどう?」

 龍司が問い掛けると悠希はこちらを見つめる。

 数秒ほどしてようやく口を開いた。

「いいんじゃない?ただし、最後まで残ったら俺とこいつで戦ってもいい?」

 悠希はこちらを指さしてそう言った。

「構わないよ。それくらい」

「うん。そうだね」

 凛祢と龍司はうなずくと4人は行動を開始する。

「それで、どうする凛祢?」

「あと1分でGPSスキャンがスキャンが開始される。それで残存チームも分かるだろうし、それ次第かな」

 凛祢は端末をチェックして、周囲を警戒する。

 すぐに時間が過ぎ、GPSスキャンが開始された。

 チーム数は2度目のスキャンの時点で18チームであったが、現在はさらにチーム数が減少して10チームになっていた。

「思った以上にチームの脱落スピードが早いな」

「確かに。僕たちもこれまで3チームほど倒してきたけど。それでも30分でこの減りは少し早いね」

「もう半分ってところか……これはあと30分くらいで終わるんじゃない?」

「悠希の言う通りかもな。メッザルーナたちもまだ生存していればいいんだけど」

 凛祢だけでなく、龍司たちも少し驚いていた。

 

 

 一方、別地点。

 織田信光たちの分隊であるチーム「千本桜」は敵歩兵を屠っていた。

「こんなものか」

 信光はククリナイフとベレッタを腰のホルスターに収納する。その隣にいた男はMP5の弾倉を交換する。

 すると通信機から声が響き渡る。

「信光さん、今回の援護はどうでした?」

「よき狙撃だった。お前の腕を当てにしているからな」

「嬉しいこと言ってくれますね!」

 蘭丸はワルサーWA2000を手に、狙撃地点からの移動を開始する。

「こっちも敵は全滅させました」

 他の敵歩兵を屠ってきた半蔵と勝正も合流する。

「……お前もなんとか言ったらどうなんだ、光貞(みつさだ)」

「私は信光殿の影にすぎない」

「影とか言ってるけど、あんたのご先祖様は信光さんのご先祖様を……」

 蘭丸は皮肉を言おうとするが、

「やめろ、蘭丸。光貞は光貞だ、それに俺の先祖が謀反をされたのは、それほど周囲の怒りを買っていたからに過ぎない」

「す、すみません……」

「蘭丸殿がああいうのも分からなくはないですがね。ところで信光殿この後はどうされますか?」

 半蔵が話を変えるように今後の方針を求める。

「次も敵を討つ。目標は優勝のみだ」

「「はい」」

 勝正と蘭丸が声を上げる。

「……」

 そんな中でも明智光貞(あけちみつさだ)は無言で周囲を警戒していた。

 

 

 そして、スクワッドジャム運営のいる本部にはサンティ・ラナの姿があった。

「開始30分ですでに13チームが脱落ですか……凛祢くんたちも頑張っているみたいですね」

「サンティちゃーん!」

 そんなテンションの高い声を響かせて肩を組んできたのは平賀孫市である。

「平賀さん?」

「やー相変わらずかわいいねー。あたしが男なら絶対サンティちゃんのことはほっとかないよー」

「からかうのはやめてください」

「怒った顔も可愛いよー」

 平賀は更にからかうように笑みを浮べてそう言った。

 サンティは呆れたようにため息をつく。

 すると画面が信光たち千本桜を映し出す

「お、信光くんじゃん。相変わらずククリナイフ使ってるんだよねー、彼」

「無理に使うこと無いんですけどね……彼はナイフより長刀の戦闘を得意としている人ですから」

 サンティは少し苦笑いをしていた。

「信光くんはそれだけサンティちゃんをリスペクトしてることじゃん。ククリナイフって普通のコンバットナイフよりも扱いが難しいからあんまり使う人いないって聞くよ」

 孫市もよく知っているため頷きながら、画面を見つめる。

 ククリナイフ。くの字型のナイフであり、グルカ兵が良く使用していたナイフである。

 戦闘にも使用はされるが、狩りや伐採などのサバイバル系に特化したナイフなのだ。

「それにサンティちゃんは重桜では教官やってたんだから彼がサンティちゃんのCQC技術に寄った戦闘スタイルを身に着けるのは必然じゃないかな。凛祢くんがそうだったようにね」

「そうですね。凛祢君も鞠菜さんのスタイルを色濃く受け継いでいますから」

「これは鞠菜さんの教え子VSサンティちゃんの教え子ってことになるねぇ!燃えるねぇ!」

 孫市は再び熱くなるように声を上げる。

「別にそこまで熱くなることないですよ。それに私、鞠菜さんとの模擬戦の戦績は3勝7敗。圧倒的に負けてます」

「もう、謙遜しちゃってー」

 2人はそう言って、笑いあうと再び画面に視線を向けた。

 

 凛祢たち4人が移動を開始して十数分が過ぎた頃、また敵チームを一つ全滅させていた。

「ふう。流石だね。凛祢。昔と変わってない。むしろ技術的には上がったんじゃないの?」

「そんなことないよ。龍司こそ、いつの間にそんな早撃ちを身に着けたんだ?」

「まあ、ある人に少し手ほどきを受けてね。君もよく知る人だよ」

 龍司はそう言うと思い出す。

 かつて黒森峰に入学したての頃、自分だけのスタイルを探していた時に出会ったのが、ファークトのアルベルトであった。

 彼曰く、サブマシンガンでの正確な射撃を得意としていた龍二には早撃ちを身に着けることで、CQCを得意とする突撃兵にも負けないほどの力となるそうだ。

 だからこそ、早撃ちを身に着けたことで、龍二はサブマシンガンを10発早撃ちで正確に急所を撃ち抜く技「十弩」を得たのだ。

「そうだったのか……っ!」

「!」

 凛祢がそう言った時、「超人直感」が危険を察知した。

 同時に悠希と凛祢が動く。

 凛祢がみほの手を引き、悠希が龍司の胸倉を掴み左右に飛んだ。

 瞬時に銃弾が空を滑っていた。

「「狙撃!?」」

 龍司とみほが同時に声を上げる。

「敵は……」

 凛祢がそう言いかけた時だった。

 目の前に振り下ろされる刃をコンバットナイフでガードする。

「流石、超人にして強襲十傑第一席の称号は伊達ではないか……」

「……っ!」

 凛祢は再び超人直感で攻撃を見切る。

「ククリナイフ使い……か」

 凛祢も少し驚きながらそう口にした。

 ククリナイフなんて武器を使っている者は、凛祢の知る中でも1人しかいない。

 そう、サンティ・ラナである。

 そして織田信光のククリナイフの扱いはそれと同じ。

 元々傭兵であるサンティのナイフ捌きは、昔戦った鞠菜も苦戦したと聞いたことがある。

「凛祢!彼は重桜の織田信光だ!気をつけ――」

 龍司がそう言いかけると再び悠希が胸倉を掴み取り、攻撃を回避する。

「龍司、お前は援護を。俺はこいつとやる」

「悠希、もっと優しくして回避させてくれよ。まあ、援護するけど」

 悠希の数メートル先にも、光貞の姿があった。

「まさか十傑メンバーが3人もいるとはな。相手にとって不足はない」

「百鬼半蔵、参る!」

 次々に姿を現すチーム「千本桜」のメンバーたち。

「4人?いや、さっきの狙撃を考えれば、5人は確定か……」

「凛祢さん、どうしますか?」

「みほも下がって援護を。いくぞ悠希!」

 凛祢は指示を出し、引き抜いたガバメントの銃口を信光に向ける。

「……」

 悠希も無言であったが、凛祢の動き合わせて光貞、勝正との戦闘を開始するのだった。




今回も読んで頂きありがとうございます。
スクワッドジャム編も後半戦です。
凛祢と悠希が手を組み、信光たちとの対決がとうとう始まりました。
決着はどのようについてしまうのか?

次回はもう少し早く更新できるようにします。
質問や意見も募集中です。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。