ガールズ&パンツァー~地を駆ける歩兵達~ 作:UNIMITES
投稿まで少し時間がかかってしまいました。
申し訳ありません。
今回でスクワッドジャム編も最終話となります。
では本編をどうぞ。
スクワッドジャムも後半戦に差し掛かり、凛祢と悠希たちの協力チームは、チーム千本桜と対峙していた。
地を撫でるように振り上げられたコンバットナイフを信光がククリナイフでガードする。
今度は織田信光がMP5を向けるが凛祢も右手でブロックして、ガードした。
「流石は第一席、戦い慣れているではないか!」
「……!」
再び直感で後退する。
瞬時に凛祢の目の前を一発の狙撃弾が滑っていく。
「あれも避けんのかよ!?」
狙撃した蘭丸が思わず声を上げた。
「どうするんだよ、凛祢」
「どうするって言われても……」
再び背中を預けるように凛祢と悠希が立つ。
「このまま接近戦で戦っても先にこっちの体力が尽きるよ」
「そういう悠希は策とかないのか?」
「俺、考えるの苦手だから。そういうのは龍司の仕事だよ」
悠希はそう言うと再び光貞のほうへと駆けていく。
「考えるのは苦手って……威張られてもな!」
凛祢も再びコンバットナイフで攻撃を受け流すと、反撃するように信光の右足を覇王流、紫電脚で蹴り伏せる。
態勢を崩すも、信光は瞬時に右に身体を動かし、銃撃を回避した。
「ちっ!」
再びキャリコの銃口を向けようとするが、
「なっ!?」
「そうはさせない!」
それを遮る様に、半蔵がベレッタの引き金を引いた。
放たれた銃弾を紙一重で回避するが、続けて信光の放った銃弾で左手のキャリコが弾き飛ばされた。
「くっ!」
瞬時に周囲に目を向けるが、すでに信光と半蔵の銃口はこちらに向けられている。
直感でわかった。今、撃たれれば完全回避するのが不可能であると。
「凛祢さん!」
「凛祢!」
みほと龍治が声を上げる。
同時に響き渡る銃声。
数秒後、戦死判定のアラームが鳴っていたのは織田信光だった。
「ぐあ……」
「はぁはぁ……」
地面に腰から落下した凛祢のガバメントからは硝煙が出ている。
「信光殿!」
「信光さん!」
勝正と蘭丸が驚き、声を上げた。
状況からみれば、確実に凛祢を仕留めることができた。
だが、生き残っているのは信光ではなく凛祢であった。
「いっつー……」
お互いに射撃する直前、後方に跳躍し体を水平に倒すことで被弾面積をできる限り減らしたことで、被弾こそしたものの、
なんとか戦死だけは免れた。
「よくも!」
「勝正さん駄目ですよ!」
信光を討たれたことで勝正がターゲットを凛祢に向ける。
「まじか……」
被弾と落下していたことで瞬時に対応できない凛祢は険しい表情を見せた。
しかし、そんな勝正に数発の銃弾が打つ込まれ戦死判定のアラームが響き渡る。
その正確な射撃が龍治によるものだとすぐに分かった。
「まずいな……状況が悪化してきた」
「数的有利がなくなったな」
ククリナイフとコンバットナイフがぶつかり合い、光貞と悠希がお互いに呟いた。
「光貞殿、どうする――」
不意に飛んできた銃弾によって半蔵から戦死判定のアラームが響いた。
「え、まじ?ちょ――」
続けて通信機越しに蘭丸からも同じ音が鳴り響いていた。
「一体何が?」
「よそ見してる場合?」
「いっ!がっ!」
仲間の死に気を取られた光貞の頭部を弾切れの銃器で叩きつけた悠希がようやく討ち取った。
「なんとか凌いだな」
「でも、さっきの狙撃って一体……」
「何だったんでしょう?」
「……」
凛祢も先ほど銃弾の放たれた方に視線を向けた。
無論、視線の先にあるのは平原とその先の森林くらいだった。
「いやー流石、司先輩。狙撃の正確さならヴィダール先輩やエレンさんにも負けてないですね」
「アンク。君の方はしっかり狙撃兵を仕留めたのかい?」
「当たり前です。もう大洗の時みたいな慢心しないですから!」
冬樹高校の司とアンクの姿がそこにはあった。
「次は葛城先輩と朝倉先輩に挑むんですよね?」
「ああ、でも挑むのは数分後のGPSスキャンの後だよ。残りの敵チームを確認してから挑みたいからね。アンクもこっちに戻ってきて」
「了解です!」
通信を終えると司は再びワルサーWA2000のスコープを覗く。
信光との戦闘を終えた凛祢たちも周囲を警戒しながら端末に視線を落としていた。
4人共、GPSスキャンが行なわれるのを今か今かと待ち続けている。
「僕たち以外に、どれくらいのチームが残っていると思う?」
「今回はかなり全滅ペース速いからあと5、6チームってところだとは思うけど」
「きたぞ……」
凛祢の言葉で悠希と龍治が再び端末の画面に視線を落とす。
GPSスキャンで画面には生存しているチームの現在位置が表示されていく。
「これって!」
画面を見つめていたみほが驚く
「……」
今回のスキャンに表示されたチームは全部で4つ、凛祢たちと悠希たち、そして森林方向に2チームの表示があった。
「じゃあ行こうか」
「そうだな、敵の場所はわかったわけだし」
悠希と凛祢はそれぞれ残った武装である拳銃に銃弾がフル装填されたマガジンを差し込む。
「でも、凛祢さん。次被弾したらアウトなんじゃ?」
「だからって隠れててもどうにもならないからな」
凛祢はそう答えると
「まあ僕たちはいつでもこうだったよね」
龍治もMP5を手に一歩踏み出す。
「さあ、行こう!」
その言葉を合図に、4人は駆けだす。
「来たみたいだね。頼んだよアンク」
「了解です」
アンクも駆けだす。
森林を抜けて、その姿を現す。
「アンク……ってことはあの狙撃は司か」
凛祢が呟くとアンクが銃を発砲する。
ジグザクに進んでいた凛祢たちもなんとか銃弾を回避した。
「アンクの相手は俺がやる。悠希たちは司を」
「「了解」」
その指示で3人は更に先へと進む。
アンクが銃口を龍治に向けようとするが、凛祢の放った銃弾がAK-47を撃ち抜いた。
「ぐぅぅ……まずい!」
AK-47は撃たれたことで銃口が歪み、発砲不可能に陥ってしまう。
「近づかれたら対抗手段ないですって!」
「……」
凛祢は距離を詰めて、コンバットナイフによる近接戦闘に持ち込む。
「遅い!」
アンクの攻撃を受け流し、太ももに銃弾を撃ち込む。
更に、追い打ちをかけるように腹部を蹴り飛ばす。
「うう……」
そんなうめき声の後、アンクからアラームが響く。
「よし、みんなの元に――」
そう振り返った時だった。
直感的に危機を察知する。
飛んできたライフル弾が滑り込むように凛祢の肩を掠める。
「今のは!?」
凛祢が周囲を警戒しようとしたその時後方から放たれる銃弾の雨。
「先輩!」
「ぐぁあ……」
瞬時に凛祢がひざを折ると、アラームが響き渡りる。
「バトルエンド!現時刻を持って、第4次スクワッドジャムは終了!」
すぐにアナウンスが響き渡る。
「優勝チームはー……チームGフォース!」
続けて告げられる名前に凛祢たちもようやくスクワッドジャムが終了したことを理解する。
「大丈夫ですか?先輩」
「うん。丈夫なのが取り柄だからな」
凛祢たちも少し休み、立ち上がる。
少し、歩きみほや悠希たちの向かって行った元へと辿り着く。
「凛祢さん!」
「君もやられたみたいだね」
龍治はやれやれとこちら見て言った。
「ってことはこっちもGフォースってチームにやられたってことか」
凛祢も司や悠希の状態を見て、自分と同様に攻撃を受けたことを理解する。
「Gフォース……正確にはゴールドフォースって名前らしいよ」
「ゴールドフォース……」
凛祢も聞き覚えのない名前に少し戸惑っていると、GPSスキャンで使用していた端末が震える。
「ん?」
端末には、優勝チームGフォースの下に2位RM、3位鉄血と書かれていた。
それは自分たちが2位であり、悠希たちが3位であることを示している。
といってもこれは戦死のタイミングでこうなっただけであろう。
さきほど自分の戦死判定と共にバトルエンドの宣告が出た。
つまり悠希たちが後に戦死していたらこれは逆になっていたことになる。
「悔しいけど、今回はこの結果を受け入れることにするよ」
「悠希、次はちゃんと真剣勝負する機会があるといいな」
「ああ……」
凛祢がそう言うと悠希は静かに返答し本部から手配されたヘリに乗り込む。
「凛祢さん、大丈夫ですか?」
「みほ、ありがとう。俺、スクワッドジャムに出場してよかった」
「はい!それはよかったです!」
みほも笑みを浮かべていた。
こうして第4次スクワッドジャムは終了していった。
数時間後、スクワッドジャム運営本部ではサンティと孫市が他のメンバーと共にスクワッドジャム終了の書類整理をしていた。
「惜しかったなー。凛祢くんたちいい線行ってたのにー」
「仕方ないですよ。スクワッドジャムは多くのチームが入り乱れる乱戦。連続しての戦闘が予想されるあの状況じゃたとえ1席の凛祢君でも優勝するのは難しかったはずです。それに9、10席の悠希くんと龍治くんもいい線行っていました」
孫市は凛祢たちの優勝を疑っていなかったようだが、サンティはそうは思っていなかった。
鞠菜と同様に、戦場にいた経験のある彼女は、よく知っている。
たとえ優秀な歩兵でも1人では限界がある。
一騎当千だなんてのは化け物じみた超人でなければ不可能であろう。
「凛祢君は確かに強いですが、十数人を相手にするのが限界だと思います。それでも、まだまだ伸びしろはありますが」
「まあ、あの子ならもっと強くなるだろうね」
孫市も同感であるようにそう言った。
30分ほど経って、2人が本部を退出すると、孫市が1人の女性を発見する。
「サンティちゃん、あれって照月さんじゃない?」
「本当ですね。照月さんー!」
サンティも照月敦子の姿を発見し、声を上げる。
「ラナ、平賀。そうか、今日はスクワッドジャムの日だったな」
「どうしてこんな時間に?」
「……お前たちなら大丈夫だろうな。車で話するからとりあえず乗れ」
敦子は少し考えこんだ後、自分の車に乗る様に促した。
「「……?」」
サンティと孫市はお互いに顔を見合わせた後、車に乗り込む。
すぐに車が走行し始める。
「あの……照月さん。一体どこに向かっているんですか?」
「歩兵道連盟だ」
「スクワッドジャムが終わってすぐだってのに、なんで?」
「……これ見てみろ」
照月は、助手席に置いていた一枚のクリアファイルをサンティの前に手渡す。
「……え!?」
「おいおい、これってマジですか?」
サンティと孫市は思わず声を上げる。
「私も正直信じられなかった。でも、データ上その表示が出ていたら葛城さんに問い詰めないわけにはいかないだろ!」
「このデータを知っているのは?」
「全国大会から時間が経っているからな。多分、戦車道歩兵道連盟には広まっているかもしれないな」
照月は表情を歪ませ、アクセルを踏み込む。
「凛祢君には知らせない方がいいですよね」
「当たり前だ。場合によってはあいつは、大洗に居られなくなるかもしれないからな」
サンティは速度を上げる車内で書類に視線を落としていた。
その書類には葛城凛祢の血液検査の結果が刻まれている。
そして、そこには彼のDNA情報も……。
今回も読んで頂きありがとうございます。
これにてスクワッドジャム編は完結となります。
次回からは、劇場版編対大学選抜を描いていきたいと考えています。
ラストで語られた凛祢の血統とは?
次はもう少し早く投稿できるようにします。
質問、意見も募集中です。
では次回もよろしくお願いします。