ガールズ&パンツァー~地を駆ける歩兵達~   作:UNIMITES

52 / 55
どうもUNIMITESです。
では本編をどうぞ。


第41話 包囲を崩す一撃

 カール自走臼砲を撃破し、戦力的には五分まで持ち込んだ八校連合。

 次なる戦いに備え、遊園地跡へと到着する。

 遊園地跡は高い壁に囲まれ、東西南北にある4つの出入り口からしか侵入は不可能であった。

 園内は所々ボロボロであり、割れた窓に錆びついたアトラクションの鉄骨が目につく。

「面白い戦いになりそうね」

「お言葉ですが、データの上では厳しい戦いになりそうです」

「アッサムのデータってあんまり当てにならないよな」

「まあ、あくまで過去のデータから割り出したものでしかないからな。人間は日々成長する生き物だから昨日までのデータでは予想外の事が起きても不思議じゃない」

 モルドレッドと同様にケンスロットもあまりデータ主義は信用していなかった。

 言葉を聞く限り、あまり活かされていないようだ。

「覚悟の上じゃないですか。ね?ガノ先輩」

「そうだな。データ信じるより戦いで相手を知るのが一番だからな」

「運命は浮気者。必ず不利な方が負けるとは限らないわ。ね、隊長方」

 ダージリンの言葉に凛祢とみほも「はい」と返答する。

「私たちは私たちにできる戦いをしましょう」

 みほの言葉で各々は考え込むように真剣な表情を浮かべる。

「聖羅、アルベルト。隊の編成だが……」

「お前次第でいいんじゃねーか?大隊長はお前だ」

「俺もお前の考えに任せる」

 2人の言葉で凛祢も頷く。

 攻める編成にする場合、やはり兵科ごとに小隊分けして編成するのが早い。

 しかし、これはある意味では各分隊の編成を分けるためノーガード戦法に近い。

 つまり守りをほぼ捨てることになる。

 それでも攻撃こそ最大の防御だと言う言葉もある。

「編成は決まった。小隊は全部で3つ。

突撃兵で編成した強襲隊。

砲兵工兵と少数の突撃兵で編成した対戦車奇襲部隊。

偵察兵と狙撃兵で編成した機動力重視の偵察部隊」

 凛祢の指示で歩兵隊はそれぞれ別れ、自身の隊の方へと向かう。

 

 

 一方、大学選抜チームの中隊長の1人、ルミは双眼鏡で八校連合の向かった方向を見つめていた。

「全軍、遊園地跡へ移動。ラウくん、行くよ」

「はいよ」

 歩兵隊中隊長の1人であるラウもルミの後を追うようにジープへと搭乗する。

 そして、大学選抜チームの戦車と歩兵隊も遊園地跡を目指して前進を開始した。

 

 

 八校連合の隊再編成が終了し、各小隊も配置に着く。

 南正門には黒森峰のティーガーⅠ、ティーガーⅡ。

 西裏門には知波単の九七式中戦車3輌とオオカミチームのキャバリエ。

 東通用門には聖グロリア―ナのチャーチル、マチルダ、クルセイダー。

 中央広場には整備中の戦車たちが待機している。

 CV33はその小さな車体で園内のアトラクションの1つ、ジェットコースターのレールへと登っていた。

 高所からならば偵察もより行いやすいためだ。

「敵は纏まって南正門に進撃中」

「重心突破ですかね」

「第一陣は南正門に移動してください。警戒を怠らないようにしてください」

「俺たちも行くぞ。メッザルーナ、チェーザレ、ビスマルク」

「ああ」

「任せてください!」

「おう!」

 砲兵工兵部隊の一つである凛祢の隊も移動を開始する。

「にしても、相手さん随分かっ飛ばしてますね」

「あえて土煙を立てるように見せて威圧感を出そうとしているんだろう」

「ハッタリかましているんすね。ウチのマカロニ作戦みたいだ」

「違うと思います」

 アンツィオのメンバーがそんなことを呟いていると戦車と歩兵が配置に着いた。

「「戦闘準備」」

 1人の言葉で戦場にはピリついた雰囲気が流れる。

 敵の砲撃は始まると同時にまほの一声が響き、攻撃を開始する。

「うーん。全然見えないぞ」

「いいなー。ウチもド派手に戦いたいなー」

「でも変ですね。雨が上がって間もないのにあんなに土煙……」

 カルパッチョは少し異変を感じたのかそんな事を口走る。

 戦場では砲撃戦が続いている。

 晴れていない土煙の奥からは単発で砲弾が放たれていた。

「「……」」

「なあ、なんか変じゃあねぇか?」

「何がっすか?」

「確かに。よく考えたらあんな長時間土煙あがり続けるか?」

「まさか……」

 身を隠して砲撃戦を見守っていた凛祢たちもその異変にようやく気づき始めた。

「隊長!あれは土煙じゃないぞ、陽動作戦だ!あれは煙幕だ!」

「兵法三十六計、声東撃西ですね」

「兵法?」

 上から偵察していたアンチョビたちの報告でみほと凛祢が通信機に手を当てる。

「西裏門の西さん、オオカミチーム。敵部隊が回り込もうとしています。サンダースの皆さんが応援に向かいます」

「不知火、翼、塁。俺たちも急いでそっちに向かうからできる限り耐えてくれ。英子も無理はするなよ」

「ったく。面倒だな。翼、塁ちゃん。敵はこっち来るみてーだから準備しとけ」

「「了解」」

「やるしかないわね」

 不知火もキャバリエから降りるとうつ伏せで銃を構える。

 同時に知波単の生徒たちが突撃だなんだと声を上げた。

 その様子にその場にいたオオカミチームの英子と華蓮がため息をつく。

「恐れながら申し上げます。いたずらに突撃して全滅しては、それこそ知波単の面目に関わるかと!」

 知波単の生徒の1人、福田が声を上げた。

 しかし、それを否定するように声を上げる知波単の生徒たち。

「まあ、待て。福田、何か策があるんだな」

「福田さん。僕は嬉しいですよ。ようやくわかってくれたんですね」

「我々の行動は無駄ではなかったのですな」

 蘭丸と半蔵も感動しているのかしみじみと福田の言葉を聞いていた。

 

 

 一方、東通用門では門を破壊する轟音と共に大学選抜チームが侵入していた。

「チャーフィーいざ尋常に勝負!」

「……!戻りなさい、ローズヒップ!」

 ダージリンの通信でクルセーダーはUターンして方向転換する。

 的確な指示の結果なんとか敵砲撃を回避した。

 そして、土煙の中から戦車が現れる。その車体は高さがなく横に大きな容姿をしていた。

「あれは……」

「また、面倒なのが出てきましたね」

 信光、光貞もその車体を見て、表情が固まる。

「T-28重戦車ですか」

「あまり相手をしたくないな」

「それでもやるしかないよ。敵はこっちを潰しに来てんだから」

 アーサーやケンスロット、悠希もため息交じりに呟き、剣を握る。

「私たちもトータスを持ってくればよかったわ」

「持ってませんけど」

「こちらドューチェ。これは完全にこっちが主力だぞ」

 ドューチェの通信で一斉に高校転換する八校連合。

「あーもう、重戦車ってヒートアックスでもなかなか止めらんないんで嫌いなんすよ!」

「言っても仕方ねーだろ」

「それより、どうする?カール相手の時は即興作戦でどうにかしたがよ」

「今、考えてるよ……」

 同じように東通用門へ向かう凛祢たち。

 またも初めて対峙する戦車だ。

 どうする……。

 敵はT-28重戦車を盾にするように狭い通路を一列で進む。

 八校連合も一斉攻撃するもののその装甲を突破することが難しい状況だった。

 数分ほどで大学選抜チームは、園内へと侵入に成功する。

「こちらメグミ中隊。東通用門突破。予定通りZ地点に向かいます」

「了解」

 メグミの通信に淡々と返答する愛里寿。

 

 

 南正門で戦闘を続けていたティーガーⅠとティーガーⅡ、T-34/85。

「4輌しかいないわね。私たちを引き付けておくだけみたい。どうする?」

「わかった、行こう。エリカ、頼む」

「はい!」

 まほの通信で表情を明るくするエリカ。

「行くぞ。アルベルト」

「ああ、そっちのお前らも……死ぬなよ」

「おうよ!よっしゃ俺たちもいい所見せるぜトシ!背中預けるからよ!」

「預かってもいいが、背中撃っても文句言うなよ」

「やったらぶっ飛ばす。いくぜー!」

 続くように聖羅の隊も動き出す。

 聖羅がパンツァーシュレックを構えると、衝撃波と共にロケット弾が放たれる。

 ロケット弾は正確に敵歩兵の搭乗する駆動車へと向かって行く。

「敵からの攻撃!」

「迎撃!」

 敵歩兵も一斉にロケット弾に向けてライフルを構え、放つ。

 その一瞬、敵の注意を引く中で八尋、俊也、アルベルトが攻め込む。

 次々に敵歩兵を屠っていった。

「よし、2人目!」

「八尋、少しは被弾しないように気を付けて動け。援護するのが大変になる」

「翼みてーなこと言ってんじゃねーよ。3人目屠ったぜ!」

 勢いに乗ったからか八尋たちも次々に歩兵を減らしていく。

 続いてティーガーⅡが動く。

 敵戦車の砲撃を受けるもその曲線を活かした走行で砲弾を受け流した。

 反撃するにように砲撃し、敵戦車パーシングを撃破する。

 ティーガーⅠも一気に距離を詰め零距離砲撃で敵戦車パーシングを1輌撃破した。

 敵戦車パーシングも砲をティーガーⅠに向ける。

 しかし、T-34/85が発砲する前に敵戦車パーシングに砲撃し走行不能にした。

 数的有利を失い、1輌となったチャーフィーは方向転換して逃走していった。

「よっしゃー!」

「さすが十傑2席と4席が一緒だと、安心感があるもんだな」

「当然だ。俺は葛城凛祢に勝利した男だからな」

 ガッツポーズで笑みを浮かべる八尋。

「お前の場合、漁夫の利って感じだっただろうが。まほ、この後はどうする?」

「ここはもういいだろう。チャーフィーを追うぞ」

「「了解」」

 その言葉で4人はキューベルワーゲンに乗り込み、移動を開始する。

 

 

 時を同じくして西裏門も突破されていた。

 そこには知波単の九七式中戦車、オオカミチームのキャバリエの姿はなく、戦車の無限軌道の音だけが響いている。

「敵影なし……対岸にも敵影なし」

 4輌のパーシング、ジープはそのまま前進を続ける。

 その時、一発の砲弾がパーシングを掠めた。

 続けて歩兵2人が狙撃されジープから対岸へと落下する。

 一斉に砲塔が砲撃のあった方向へと向かう。

「やば、逃げるぞ!」

「了解」

 不知火と翼もすぐに立ち上がり逃走する。

 その一瞬、注意を引いたことで対岸に身を隠していた九七式中戦車が動く。

 先頭を走行するパーシングと後方を進むパーシングの履帯をそれぞれ撃ち抜いた。

「よし、今だ!」

 西のその声で玉田の九七式中戦車とオオカミチームのキャバリエが砲撃する。

 それぞれ1輌の戦車を撃ち抜き走行不能にさせた。

「よし!」

「やった!」

「敵戦車は撃破しました。後退です!」

「ですが!まだ!」

「後退です!次に同じことを言わせないで!」

「りょ、了解……」

 英子の声で一斉に後退する。

「照月さん、こわい……」

「怒らせない方がいいわよ。本当に……」

「私、照月ちゃんと絶対喧嘩しない……」

 キャバリエ車内でも華蓮たちがそんなことを呟いていた。

「相手の狙いは火力で私たちを撹乱して各個撃破することです」

「バラバラになんてさせないわよ!」

「これだけ砲撃戦が激しいとヒートアックスを仕掛ける暇もないか……」

 壁に身を隠し、銃撃戦を行っていた凛祢も状況を整理していた。

 

 

 現在も園内に侵入せず、停車していたセンチュリオンに通信が届く。

「こちら南正門軍、北に向かって敗走中」

「西裏門軍、履帯修復完了!」

「敵は予想外にも重心防御による遊撃戦を仕掛けています!」

「ほう……遊撃戦ですか」

「作戦を変更する。分散がいやなら望みどおりにしてやろう」

「「了解」」

 愛里寿の指示に返事をする。

 

 

 砲撃戦が続く中、壁を破壊する轟音が響き渡る。

 T-28重戦車が壁を突破してきたのだ。

「マジかよ……後退するぞ」

「葛城さん早く乗ってください!」

「わかってる」

 SPA TM40に乗り込むと撤退するように全速前進する。

「ちょっとそっちじゃない!」

「気を付けて挟まれるわよ!」

「西の路地に逃げ込んで!正面ドームを逆時計回りに!」

「西ってどっち!?」

「わかんないー」

 各々の声が響き渡る。

「チェーザレ。一旦、みんなから離れろ」

「何言ってんすか!?」

「攻め方が少し変わった……何かある」

「チェーザレ。葛城の言う通りに動け」

「了解」

 その指示で凛祢たちは別の方向に進み、隊を離れる。

「こちら正門チームチャーフィーの動きに仕組まれた何かを感じる。通用門チームは注意せよ」

「こちら西裏門チーム。相手の車両がこちらを認識しているはずなのに全然攻撃がありません。まるで無視しているような」

「……どういうつもりだ?」

 まほや英子の通信で聖羅、凛祢も少しずつ異変を感じ始めていた。

「こちら最後尾。敵の攻撃は散発的……妙ね」

「ねぇ、これってさ、誘導されてない?」

「誘導?そんなわけ……」

 悠希の言葉でケンスロットも周囲を見渡す。

 続けてポルシェティーガーが敵パーシングを1輌撃破する。

 

 

 一方、その様子をスクリーンで見つめる八校連合のリタイアした者たち。

「すごーい。またパーシングを撃破したよ!」

「皆さん頑張ってるっすね!」

「頑張ればいいってもんじゃない」

 アキ、アンクの言葉を否定するかのようにミカが呟く。

「そうひねくれたような言い方するなよ、ミカ」

「見てください。状況はよろしくないみたいです」

「これって……」

 司の言葉でアキやミッコむ状況に気づいた。

 

 そして、Ⅳ号車内、パンター車内とアンチョビたちも現在の状況をようやく理解した。

「西住さん、葛城さん。通用門組がYO地点にて包囲されようとしています」

「わかりました。すぐに向かいます!南正門組、西裏門組、YO地点に向かってください。こちらも駆けつけます。小梅さんもついてきてください」

「了解です」

「わかった」

「包囲網が完成したらお終いだ。なんとしても阻止する!」

「そう言うことだったの?狙われなくてラッキーとか思ってたのに……」

「セレナ、急いで向かうわよ」

「ええ。ここで終わるわけにはいかないもの!」

「塁ちゃん。全速前進だぜ」

「了解です!」

 皆網正門組と西裏門組の戦車と歩兵も一斉にYO地点を目指す。

 一方、隊から離れたウサギさんチームのM3は迷いながらも移動を続けていた。

「葛城の予想当たっちまったな」

「当たってほしくなかった」

「でも、俺たちだけでも包囲に掴まらなかったのは不幸中の幸いだろ。俺たちで切り込めば救出も可能だろう?」

「そう、うまく事が運ぶとは思えないんだ」

 凛祢は表情を暗くする。

 今の自分たちだけでは、包囲を突破するのは難しいだろう。

 みほや聖羅、まほさんたちがいたとしても状況は好転しないかもしれない。

 それでもSPA TM40を走らせ、YO地点を目指す。

 

 

 ついにYO地点のステージ会場を囲むような包囲ができていた。

「ちょっと突撃するつもり!?」

「いけ!楔を打ち込め!」

「あーもう!セレナ、一旦停車!」

 その言葉でキャバリエは停車したものの、知波単の九七式中戦車は止まることなく敵に突撃する。

 そしてあっさり包囲の中に入り込み包囲される側の仲間入りした。

 ほぼ同時にまほたちとみほのⅣ号、小梅のパンターが合流する。続いてキャバリエも移動し合流する。

「包囲完了!」

「一方的過ぎて心苦しいわ」

「後は私たちに任せてください」

「終わったな」

「でも、包囲してる戦車は全部じゃない。まだその辺にいるぞ」

「それもすぐに走行不能なるだろ」

 アズミたちは勝ち誇ったように通信を送る。

 現状を見れば八校連の半数以上が完全に包囲された状態にある。

「なんかよくわかんないけど、先輩たちや亮くんたち囲まれちゃってない?」

「突撃して敵をやっつけよう!」

「梓!ウサギさんチーム!」

 その声でウサギさんチームは一斉に振り返る。

 一度隊を離れていた凛祢たち工兵砲兵分隊の姿があった。

「葛城先輩!」

「ウサギさんは包囲されてなかったのか?」

「は、はい。一応は……」

 流石に迷った結果、包囲されずに済んだとは言いづらいのか梓は目を泳がせる。

「まあ、いい。だが、状況はよくないな……」

 凛祢も視線を包囲されたYO地点に向ける。

「葛城先輩、どうにかできないですか!?」

「1輌と歩兵4人じゃ無理だよ」

「でも、助けないと……葛城先輩!」

「……何か、何かないか方法は……」

 ウサギさんチームの期待を背に受け、考え込む。

 ただ突撃しても砲撃、射撃で狙い撃ちされてお終いだ。

 あの包囲を突破するには――

 その時、凛祢の制服の袖が何者かに引っ張られた。

「なんだ?今考えてって……紗季?」

「ちょ、ちょっと紗季!蝶は後にしてって、葛城先輩が今考えて――」

「……観覧車」

 紗季は振り返り遊園地跡の観覧車を指した。

 観覧車……?

 ……っ!

 あれか。

「観覧車?何言ってんだ?」

 ビスマルクは唐突な観覧車という言葉に思わず首を傾げる。

「そうか……紗季、冴えてるぞ」

「そっか!観覧車と言えば!」

 凛祢が紗季の頭を撫でる。

 続いて、ウサギさんチームのようやく紗季の意図に気づき準備する。

 こんな作戦を実行するなんて自分らしくもないが、今はこの作戦にかけるしかない。

「ウサギさん、俺もこれを実行するのは初めてだ。十分に気を付けてな」

「はい。絶対にみなさんを助けましょう!」

 M3とSPA TM40が並び、観覧車に砲を向ける。

「三船作戦!行きます!」

 梓の言葉でM3の砲が火を噴いた。

 砲弾は観覧車の固定器具を撃ち抜き破壊する。

 同時に固定器具を失った観覧車は落下し窓ガラスの割れる音と共に坂を下り始めた。

「やった」

「紗季ちゃん天才!」

「本当に映画みたくなるんだな」

 正直、半信半疑だったが観覧車は予想通りの動きをした。

「あれ?」

「おいおいおい!何やってんだ、早く逃げろって!」

「退却ー!」

「インディージョーンズかよ!」

 思わずそんな声を上げ、凛祢たちとウサギさんチームも逃走する。

 観覧車はその重量で坂を滑り落ちていることで、徐々に速度を上げていく。

「馬鹿やろう!まっすぐに逃げてどうすんだ!右か左、どっちでもいいからハンドル切れ!」

「どっちすか!?」

「こっちだ!」

「桂里奈もハンドル切れ!潰されるぞ!」

 お互いにハンドルを切り、左右に分かれると観覧車はそのままYO地点を目指して落下していく。

 滑り落ちる振動と轟音で包囲していた大学選抜チームと包囲されていた八校連合も観覧車を視認する。

 危険だと判断し移動を始めた。

「なんだ?」

「なぜ、観覧車!?」

「ワオ!もしかしてラビットたち?やるじゃない」

「ちょっとまて、このままだと俺たち諸共潰されないか?」

「全員回避!」

 そんな声を上げ、全員が観覧車を避けるために動く。

「ここまで思い通りに動いてくれるとはな!次に遊園地来たら俺たちもやろうぜ」

「言ってる場合すか?死ぬかと思いました……」

 メッザルーナたちがそんな事を言っているとみほたちと合流する。

「凛祢さん?!あの観覧車って」

「ウサギさんチームの策さ。流石に俺もここまでうまくいくとは思ってなかったけどな」

 返答してYO地点を見つめる。

 クルセーダーが観覧車目掛けて砲撃したことで、観覧車は軌道を変える。

「あら、変ですわ!」

「変ですわじゃない!」

「余計なことするな!」

「逃げろー」

 杏たちも声を上げる。

「あれに潰されるのはマジにシャレにならんぞ!」

「ははは。いやーおもしれー!こうでなくっちゃな」

「笑っている場合じゃないでしょ。ガノスタン!」

 ケンロットやベディビエールも声を上げた。

 Uターンするようにもう一度YO地点を横切る。

 そしてナオミの搭乗するファイアフライの一撃で観覧車は押し出される様にYO地点を抜けた。

 その一瞬の隙を突いて、八校連合も包囲を突破する。

「この後はどうします?」

「敵がほぼ園内に侵入したのでプランFで戦います」

「敵戦車を減らしたことで、数的有利も取れた。砲兵と工兵も対戦車武装の残弾は少なってきたから……よし、ここからは俺たちも対歩兵戦闘に集中する」

「GPS役なら任せろ!」

「相手以上にこちらが分散するので見えない相手の把握を心がけてください!」

「「はい」」

 みほと凛祢の指示に全員が返事をする。

「お、観覧車のやつ力尽きそうだぞ」

「観覧車先輩お疲れ様です!」

「ばいばい観ちゃん」

「達者でな」

「ばいばーい」

 各々の激励を浴びて、観覧車は見えなくなった。

「……もう弾切れ間近か」

 凛祢は自身のブローニングハイパワーの残弾を確認して表情を曇らせる。

 激しい射撃戦を繰り返していたとはいえ、思った以上に弾の消費が激しかった。

 ブローニングハイパワーの残弾は今再装填したマガジン内の弾だけ。

「まずいな……」

 凛祢はそう呟きつつもみほたちの後を追う。

「結局さ、私たちにできることってなんだろ……」

「重戦車キラー!」

「違うと思う」

「もっと身の丈に合った戦い方をしようよ」

「たとえば?」

「はっ!あれって」

 梓はチャーフィーを発見する。

「敵が近いぞ!」

「例の奴発動だ!」

「お色直しでござる」

 Ⅲ突の中で準備を始めるカバさんチーム。

「ケン、お願いするわ」

「ベディも頼みましたわよ!」

「突撃第Ⅰ部隊、行くよ」

「了解です」

「はい!」

 悠希たちの突撃第Ⅰ部隊も戦闘準備を始めるのだった。

 

 

 

 行動不能車両 八校連合    九七式中戦車(新砲塔)、九七式中戦車、パンターG型、

                T-34/85、IS-2、KV-2

                BT-42

 

        大学選抜チーム M26パーシング×2 

                M26パーシング×3、カール自走臼砲

                M26パーシング×6

                

 

 

 

 残存車両数  八校連合    23輌 歩兵隊23分隊

 

        大学選抜チーム 18輌 歩兵隊18分隊




今回も読んで頂きありがとうございます。
今回は観覧車の回でした。
実際に見返してみるとこの時点で大洗は大幅に数的に勝っていたんですね。
では、また次回のお話で。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。