ガールズ&パンツァー~地を駆ける歩兵達~   作:UNIMITES

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どうもUNIMITESです。
では本編をどうぞ。


第42話 剣舞(ブレイドダンス)

 包囲を突破した八校連合は次なる作戦に向けて、準備を進めている。

 そんな中、カチューシャの搭乗するT-34/85は砲撃を続けていた。

「おーい、今は逃げる時だよ。カチューシャ」

「呼び捨てにしないでよ!」

 ナカジマの言葉に、声を上げるカチューシャ。

「じゃあカッちゃん」

「何略してん!?」

「いいから逃げるぞよカッちゃん」

「逃げるなら貴方たちだけで逃げなさい!私はここで戦う!」

 レオポンチームやアリクイさんチームの言葉を無視するように、カチューシャは言葉を続ける。

「そう言うわけにいかないよー。カッちゃんたちがやられたらアルベルトくんたちも一緒にリタイアしちゃうんだから」

「確かにな。殲滅戦である以上、一方的とはいえ俺たち歩兵は戦車と一心同体も同然だからな」

 ヤガミとヒムロもナカジマたちに続いて通信する。

 この戦いは殲滅戦、戦車が走行不能となれば、その戦車を随伴していた歩兵全員がリタイアすることとなるのだ。

「それは……」

 カチューシャの脳裏にアルベルトたち歩兵の顔が浮かぶ。

「力むなよカッちゃん」

「戦うのはみんなで!だよ」

「ノンナさんたちやエレンさんたちは居なくなってしまったもも」

「私たちがいるぴよ」

「今は同じチームだにゃ!」

「チームメイトですよ。チームメイト!カチューシャさん」

 アリクイさんチームやアインも励ますように言葉を送る。

「「そうそう」」

 ナカジマとヤガミに続いてレオポンチームとタイガーさん分隊も頷く。

「大洗の後輩、この一戦にあり。各員、奮励努力せよ」

「そう思うなら少しは、突撃を自重してほしいものね」

「ははは……」

 英子の言葉に華蓮も苦笑いする。

 八九式が合流すると入れ替わる様にキャバリエも隊を離れる。

 

 

 そして、飲食店エリアではクルセイダーやルノーはパーシングを背に逃走していた。

 ローズヒップの通信で作戦を実行する。

「きましたわよ!」

「作戦通り頼むよ。狙撃隊は援護を」

 悠希も呟く。

「任せとけって」

「伊達に狙撃兵をやってはいないからな」

 ガノスタンと迅も返答する。

「オールコレクト、マスターアーム!オン!ファイア!」

 エルヴィンの号令で壁から砲弾が放たれた。

 その砲弾は目の前のパーシングの砲塔を撃ち抜き、走行不能にする。

「っ!」

 一瞬の出来事に敵戦車も動揺する。

「やるー……」

「アンツィオ直伝!マカロニ作戦ツヴァイ!大成功!」

 壁からⅢ突が現れたことで砲撃の正体を理解する。

 続けて敵ジープの転輪を狙撃銃の銃弾が撃ち抜いた。

「なに!?」

「狙撃か!?」

「今だ!」

 続けて建物の屋根からシャーロックとジル、景綱たち歩兵が敵歩兵目掛けて銃を発砲する。

 次々に放たれた銃弾は敵歩兵を屠っていった。

「長居は無用だよ」

「3人は屠ったし移動するぞ!」

「残った奴らは任せた!」

 3人も屋根を伝いに逃走する。

「いざ、参る」

「おうよ!」

 続けて飲食店の扉を開き、突撃隊が攻め込む。

 剣を振り下ろし悠希たちが敵歩兵を切り伏せる。

「流石ですねモルドレッド。兄にも負けていないんじゃないですか」

「当たり前だ。俺はアーサーより強いんだからよ!」

「二人ともまだ敵は残っていますよ!」

 そう言うと再び剣を揮うのだった。

 そして、砂漠フィールドを進んでいたカチューシャ、レオポンチーム、アリクイさんチームも砲撃を受けていた。

「ヒムロー。もう少し揺れないように気を配ってよ……」

「これでも最小限の動きをしているつもりだ。それが嫌ならお前が運転代われ」

「僕も運転は好きだけど、歩兵道みたいな無理なのはできないって」

 コンテンダーで狙撃していたヤガミが不満そうに呟く。

「僕も撃ちないなー」

 続くようにヤマケンもダネルを見つめていた。

「マスターアームオン!ファイア!」

 その掛け声で再びⅢ突の砲が火を噴いた。

 砲弾はパーシングを撃ち抜き敵戦車を走行不能にする。

「よし、次行ってみよう!」

 Ⅲ突も次の攻撃地点に移動する。

「囲まれますぜ。ジェロニモ!」

「どうします?ジェロニモ!」

「誰がジェロニモよ!建物の中突っ切っちゃって!セットみたいなものだから大丈夫!そっちに砲兵もいるんだから煙弾で敵の攻撃を封じなさいよ!」

「了解、ジェロニモ!」

「え、あ、はい!」

 カチューシャの指示で動きを変える。

 敵戦車のパーシングはアインとタイガーさんチームの前に現れる。

 ポルシェティーガーが建物に突撃する。

 その厚い装甲はセットの建物を簡単に粉砕して反対側に出た。

 同時にヤマケンがダネルの引き金を引いた。

 放たれた2発の煙弾は数メートル進んで白い煙を吐き出す。

「煙幕か!」

 その隙に反対側から円形を描くように走行していたポルシェティーガーの砲身が火を噴いた。

 パーシングを撃破する。

「くそ!」

「ヒムロ!」

「おう!」

 ヒムロがアクセルを踏み込むと、ジープは一気に加速する。

 煙幕を抜けヤガミとアインが銃の引き金を引いた。

 次々に放たれる銃弾は敵歩兵に命中している。

「よし」

「やった!ようやく2キル!」

 もう1両のパーシングも反撃するように砲撃するが、T-34/85が間に割り込むことで防御する。

 カチューシャの指示で瞬時に砲撃し、2輌目のパーシングを撃破した。

 三式中戦車も残り1輌の戦車に砲弾を叩き込み、撃破していた。

 

 

 子供エリアに進んでいた知波単と八九式。

 その機動力を活かして、敵戦車を翻弄していた。

「Sクイック行くよ!」

「敏捷作戦第6号ですね!準備完了であります!」

「よっしゃ決めてくださいよ!西さん!」

「期待していますぞ!」

 九七式中戦車と八九式が避けるように左右に分かれると壁の棚に隠れていた九七式中戦車が砲撃する。

 しかし、威力が足りず砲弾は装甲を貫通できず、そのまま弾かれた。

「しまった!」

 攻撃を防がれ、九七式中戦車は急ぎ移動を開始する。

「は!」

「ふん!」

 歩兵相手に戦闘していた信光、光貞たち重桜高校の生徒たち。

 2人はその黒い太刀で敵歩兵の切り伏せた。

「はぁはぁ……」

「どうした光貞。もうバテたか?」

「まだいけます……次が来たみたいですね」

 ようやく敵歩兵を屠ったかと思えば次の分隊が現れる。

「信光殿、光貞!ご無事ですか!?」

「勝正か。次の敵が来ている。行くぞ!」

「「はい!」」

「援護は任せてください!」

「この半蔵も援護します!」

「重桜だけに良い顔させない!オオワシ分隊も続くよ」

「「「おうよ!」」」

 オオワシ分隊も銃口を敵歩兵に向け、その引き金を引いた。

 パーシングは西の搭乗する九七式中戦車を追撃するが、割り込むようにアヒルの風船を被った九七式が現れる。

「構うな!前を狙え!」

 堪らず声を上げる。

 しかし、発砲音が響くとパーシング車内に衝撃が響き渡る。

 つぎの瞬間、パーシングから走行不能の白旗が上がっていた。

 風船によって砲塔全てが隠れていたために砲身が後方を向いていたことに気づけなかったのだ。

「すっげー!今の!今度大洗でもやってみようぜ」

「おい。漣!集中しろ」

「アヒル殿!次はどうしたら?」

「天井からのナックルサーブで!ダブルブロックからの近距離スパイク!」

「了解しました」

 螺旋階段を上り、二階から外に出た八九式と2輌の九七式。

 続くようにパーシングも外に出た。

 坂を下ると砲身の長い戦車は砲が下がる。

 そのため、戦車は砲塔を回転させ、砲身を横に向けることでそのダメージを軽減しようする。

 敵のパーシングもその通りに動く。

「今だ!ダブルブロック!」

 待っていましたと言わんばかりに八九式と九七式中戦車が挟み込むように横から突撃する。

 砲身を固められ、砲も撃てないパーシング。

 砲塔を回転させようとするが、八九式と九七式中戦車がそれを許さない。

 一方子供エリア内部。

「ぐあぁぁ!」

 信光は89式小銃で敵歩兵を屠り、ようやく一息ついた。

「逃がしませぬ!」

「う!」

 半蔵の投擲した小型ナイフが敵歩兵の背中に突き刺さると戦死判定のアラームが響いた。

「ふう。終わりましたね」

「と言っても、我々重桜も残存歩兵は我々だけとなってしまいました」

 太刀を杖の様にして片膝をついていた光貞の隣で勝正が周囲を見つめる、

 重桜の歩兵は信光、光貞、勝正、半蔵、そして蘭丸の5人だけであった。

「それでも僕たちはまだ生きてます!」

「そうそう、俺と漣も生きてます!」

「「後は任せるよ2人に任せるよ」」

 流石にダメージが蓄積したためオオワシ分隊の迅と淳は戦死判定を受けてしまった。

「生きているのならいい。死ぬまで生きて戦うのだ。それが我々歩兵なのだから!」

 信光は外へと続く螺旋階段を目指す。

 外では「根性!」と叫び、パーシングの砲身をブロックする八九式と九七式中戦車の姿があった。

 とどめを刺すように別の九七式が近づき、零距離で砲撃した。

 砲撃の結果、パーシングは黒い煙を上げ白旗も上がる。

「ナイスファイト!」

「あー駆動車は完全にタイヤをやられちゃったから、ここからは徒歩か……」

「徒歩でとほほって感じっすね」

「笑えませんよ蘭丸君」

 蘭丸のダジャレに軽くツッコむ光貞。

 重桜とオオワシ分隊は弾倉交換を終えるとその足で戦車を追いかける。

 

 

 Ⅳ号とヘッツァー、凛祢たち工兵砲兵分隊、カメさん分隊は迷宮エリアに進み、敵を翻弄していた。

 迷宮エリアは狭く、戦車1輌進むのがやっとの道幅だった。

 無論、砲塔の回転もすることは難しい。

 後からしっかりとくっついていれば狙われることはないだろう。

「え!?」

 パーシングは角を曲がった際に砲塔を回転させていたⅣ号に撃たれ、走行不能になった。

 走行不能となったことでルミに通信を送る。

「1輌走行不能にしたみたいだな」

「流石、西住妹だな」

 凛祢とビスマルクは黒煙の上がった方向に視線を向けていた。

 うまく曲がり道で砲塔を回転させ、敵戦車を撃ったようだ。

 戦況の劣勢を感じたからかGPS役のアンチョビたちから、新たにパーシングとチャーフィーが各1輌迷宮エリアに入ったと報告が入る。

「ねー兄貴ー、葛城さんー。俺たちもバンバン撃ち合いましょうよー」

「さっき撃っただろう」

「まだ足りないっすよ!俺工兵だから普段からあんまし撃てなくてストレス溜まってんすよ!」

「静かにしろって。ヘッツァーがここにいることバレるだろ」

 ヘッツァーの隣で警戒態勢を取っていた英治。

「まるでこちらを見通しているようだ……天性の勘なのか。ならば袋小路におびき寄せるか」

 違和感を感じ始めていたルミも策を講じる。

 それから十数分後、誘導されていたⅣ号が行き止まりに進む。

「よし、おい――」

 後を追うパーシングもその好機に気が緩んだのか、警戒を怠った。

 側面を撃たれ、その車体から白旗が上がる。

「やったー」

「流石だな杏会長」

「ここまでうまくいくと、テンション上がるな!」

 砲撃したヘッツァーに合わせて、凛祢たちとカメさんチームも移動を開始する。

「勘がいいってレベルじゃないぞ。これが島田亜凛の直感というやつなのか?……!あいつらが!」

 キューポラから顔を出して周囲を見渡すルミはジェットコースターのレールに停車していたCV33とアンツィオの3人を発見した。

 

 

 そして遊園地跡の外にいたセンチュリオンと天城史郎。

 愛里寿の手には先日みほに譲ってもらい購入したぼこの人形があった。

「お兄ちゃんたちは丸であんたね。どれだけボコボコにされても立ち向かってくる。決して強くはないのに立ち向かってくる」

「……」

 ボコに話しかけるその様子は、小さな子供そのものだった。

「まさか、高校生がここまでやるとは……」

「こざかしったらありゃしない!」

「どうする?」

「ここで隊長に泣きつくなんて!」

「自分たちの面子ばかり言っていたら!」

 アズミ、メグミ、ルミは言い争うように声を上げる。

「喧嘩するな」

「そう言う君は何人屠ったのかな?」

「なんだと?」

「止せよ、こんな時に」

 ジャックとラウもトゲのある言葉を投げかける。

 続くように悠我も通信を送る。

 そんな時だった。

 通信機から響く歌声。

 それが愛里寿のものであることは大学選抜チームの者であればすぐにわかった。

 その歌と共にセンチュリオン、随伴歩兵の天城史郎も歩き出す。

「ジャック、ラウ、悠我。遊びは終わりです。ここから先は本気で潰しに掛かりますよ」

「史郎のやつが自分で動くってことは、もう俺たちを頼るつもりはないってことか」

「まあ、ここまで期待を裏切った以上仕方ないですね」

「俺はやりたいようにするだけだ」

 史郎の一声でGフォースの3人もその目が変わる。

「隊長方が動きました。中隊前進!」

 アズミ達も愛里寿たちが動いたことで士気が上がったように前進する。

 

 

 T-28重戦車と交戦していたダージリンたちも狭い地形を使って動きを封じていた。

「この門はあの車体には狭すぎるでしょ」

 そんな中、火薬の発火音と共にT-28重戦車の外側履帯を切り離した。

「なに!?」

「脱いだ!?」

 T-28重戦車の車体は左右の履帯分細くなったことで狭いもんの通路を前進することに成功する。

 

 

 敵歩兵部隊を屠った悠希、ケンスロット、アーサーたちは次の作戦地点を目指していた。

「次の作戦地点まであとそれくらい?」

「あそこの角を曲がって数メートルだ」

「よし、これで――」

「っ!避けろ!」

 悠希の声で回避態勢を取る。

 後方から敵歩兵の放った銃弾が空を統べる。

 続けてこちらに接近してくる歩兵。

 その手には槍……いやランスの様に先が大型化された武器が握られている。

 武器は形状から見て、メイスだったのだ。

「……邪魔だ」

 その言葉と共にケンスロットを叩きつけた。

「ぐっ!」

 剣で防御態勢を取ったがその体は売店コーナーまで吹き飛び、戦死判定のアラームが響いた。

 売店の入り口にケンスロットの剣であるアロンダイトだけが落ちていた。

「ケンスロット!」

「……ここできたか、悠我!」

「その顔、やっぱ悠希か」

 悠我と悠希は互いの顔を確認し、異なる表情を浮かべた。

 笑みを浮かべる悠我、鋭い眼光で睨む悠希。

「悠希、アーサー何やっている!?はやく逃げろ!」

 屋根を移動していたワニさんチームの3人が敵歩兵に発砲する。

「こいつは、ここで仕留める!」

「こい!」

 悠希と悠我がそれぞれのソードメイスとメイスを振り下ろす。

 金属音のぶつかり合う音と共に2人の戦闘が始まる。

「シャーロック、援護だ。今は悠希を援護する!」

「わかったよ!」

 シャーロックも仕方ないと割り切ったのか後方の敵歩兵に向けて再び発砲する。

 悠希のソードメイスによる攻撃を悠我は見慣れているように捌き切っていた。

「くっ!」

 悠我が蹴りを入れるが、悠希も持ち前の反射神経で反応し防御する。

 再び悠希がソードメイスを叩きつけるが、その攻撃は再び防御された。

「戦闘の技量はあちらが上……今の速度では有効打を与えるのは難しいか」

「反射神経だけなら俺を上回るか」

「はぁぁ!」

 敵歩兵の射撃を潜り抜けアーサーがエクスカリバー・アルビオンを振るが、その切っ先はメイスによって防御される。

「邪魔だ!」

 エクスカリバー・アルビオンを押し上げるようにメイスを振り上げる。

 次の瞬間にはそのメイスはアーサーの横腹を捉えていた。

「がは!」

 体もろとも吹っ飛ばされ、エクスカリバー・アルビオンは地面に突き刺さった。

 まだ戦死判定のアラームこそ鳴ってはいないが限界が近いことは悠希、アーサーも分かった。

「アーサー!」

「くそ!戦闘技術は相手が上!」

「これは撤退するしか……」

 ワニさんチームが声を上げると敵歩兵の撃った銃弾が体を掠める。

 悠希が再び攻める。

「遅い!」

「くっ!」

 悠我の攻撃を後方に跳躍することによって紙一重で回避する悠希。

 着地と同時に視線を向けると悠我の手にブッシュマスターACRがあった。

 今から回避行動を取るのは難しい。

「それなら!」

 ソードメイスを投擲する。

 そして悠希自身の右方向に駆け出す。

 ブッシュマスターから次々に放たれる銃弾は悠希の駆けた地面を抉っていく。

 飛んできたソードメイスを回避してブッシュマスターを構える。

 悠希もH&K USPを引き抜く。

 続けて発砲するとブッシュマスターのスコープを撃ち抜いた。

「っ!」

 悠我も表情を歪めるが瞬時にブッシュマスターを投擲した。

 投擲したブッシュマスターを回避すると同時に地面に刺さるエクスカリバー・アルビオンの柄に手を付ける。

「悠我!?何を!」

「借りるよ」

 引き抜いたエクスカリバーアルビオンを手に、駆け出す。

 その速度は先ほどよりも早かった。

「なに!?」

「はぁぁ!」

 紙一重でメイスで防御するも悠希は追撃するように剣を振る。

 その刀身が悠我の背中を切り伏せた。

「……まだだ!」

 悠我も歯を食いしばり、メイスを揮った。

 エクスカリバー・アルビオンを前で構えることで防御する。

 しかし、その体は地面を滑り後方へと下がった。

「はぁはぁ……」

 お互いに肩で息をしていた。

 そんな中、悠希はしゃがみ込み、ケンスロットの剣であるアロンダイトを拾い上げた。

「やっぱ少し軽いな……」

 その言葉と共に再び攻撃を仕掛ける。

 悠希は今までの戦い方とは異なり、アーサーたちの様に剣術による戦い方になっていた。

「お前、いつの間にそんな戦い方を!」

「悠希の奴、俺たちの剣術をトレースしているのか?」

 戦闘を見つめるアーサーが思わず口走る。

 攻撃を受け流し、反撃するように敵の身体を切り伏せていたのだ。

 まだまだ剣術は未熟とはいえ、それでも有効であることはわかる。

「うん。二刀流(これ)なら殺し切れる」

「なぜだ!この俺が!」

 切っ先は確実に悠我の身体を捉え、ダメージを蓄積させてていく。

 ついに悠希の振り下ろした剣がメイスの柄を切り伏せた。

「は!」

「ぐっ!ううぉぉぉ!」

 悠我が反撃するように折れたメイスの柄を悠希の腹に突き刺した。

 しかし、痛みに耐え悠希がエクスカリバー・アルビオンとアロンダイトを振り下ろした。

 肩から上半身、そして下半身にかけて刀身が悠我を切り伏せる。

「あ、が……」

 悠我は膝から崩れ落ち倒れ込む。

 そして戦死判定のアラームがその場に響き渡る。

「やった……やったぞ悠希!」

「あ、疲れたな……」

 手から剣が滑り落ちると続くように悠希も倒れ込み、戦死判定のアラームが響いた。

「にしても、こっちも随分やられた」

 すでに悠希とケンスロット、シャーロックたち3人も敵歩兵との射撃戦で戦死判定を受けてしまっている。

「こちらアーサー。突撃第1部隊は僕以外全滅。といっても僕ももう動けない。悠希が頑張ってくれた。あとは任せるよ隊長」

「そうか。あとは任せろ」

「アーサーたちが全滅とはなかなか痛いな」

 英治の言葉に凛祢も頷いた。

 第1突撃部隊は全滅。

 それでも第2突撃部隊のモルドレッドたちがまだ残っている。

「落ち込んでいる暇はない。アーサーたちの繫いだチャンスは必ず生かして見せる」

 戦況的には戦車の数、分隊数からすでにこちらが有利な状況なのは確かだ。

 このまま有利を守って戦えば必ず勝てるはず。

 今の凛祢はこれから起きる敵の反撃を知る由もなかった。

 

 

 Ⅲ突は再びマカロニ作戦ツヴァイを決行していた。

 獲物である敵戦車が来るのを今か今かと待ちわびている。

「マスターアーム、オン!ファイ――」

「それはない……」

 アズミの言葉と共にパーシングが砲撃。

 砲弾ははりぼてもろともⅢ突を撃ち抜いた。

「なぜだ!?」

「完璧だったのに!」

 走行不能になったⅢ突車内でカバさんチームが声を上げていた。

「西裏門よりセンチュリオン、および敵歩兵3名が侵入!」

「了解しました」

「愛里寿と史郎たちか……」

 するとアンチョビたちの元にチャーフィーが接近していた。

 彼女たちの存在に気づき、ジェットコースターのレールを進んできたのだ。

「しまったバレたぞ!」

「気合入ってんな!」

「お、落ち着いて行け。ここから先は細いからついてこれない!おい、メッザルーナ早く助けにこい!」

「無茶言うな。すぐにそっちに行けるわけねーだろ」

 メッザルーナもため息交じりに返答する。

 CV33は逃走するためにレールを進む。

 続くようにチャーフィーもレール上を前進して追撃する。

「なんか知らんけど全力で逃げろ!」

「凄い気合入ってますね!」

「それから向き変えて応戦!」

「無理です……」

 CV33の車内でもアンチョビたちが声を上げていた。

 前方にしか攻撃手段である8㎜機銃が装備されていないCV33は固定砲塔と同じ。

 今の様な一本道での追いかけっこでは攻撃に移ることは実質不可能である。

 

 

 通信を聞いた知波単とアヒルさんチーム、重桜とオオワシ分隊はセンチュリオンの元に向かう。

「きたぞ戦車前進!」

「天城史郎!相手にとって不足なし!いくぞ!」

「「「了解!」」」

 戦車4輌に歩兵7名で突撃していく。

「応戦……」

 史郎の言葉で2人の歩兵は一斉にブッシュマスターの引き金を引いた。

 放たれる銃弾。

 しかしこの場は遮蔽物のない開けた草原。

 勝正、蘭丸、半蔵、漣は銃弾を受け戦死判定を受ける。

「撃てー!」

 西の一声で戦車の砲が火を噴く。

 しかし、センチュリオンはそれらを回避し上に車体を傾け、すでに攻撃態勢に入っていた。

 そして発砲。九七式中戦車を撃破。

「止まるな!肉薄すればまだ勝機は――」

「そんなものはありません」

 背中に背負うソードオフショットガンを引き抜く。

 そして発砲。

 放たれた散弾は距離を詰めていた辰巳と光貞に命中。即時に戦死判定を受ける。

「辰巳君!」

「光貞!くそ!」

 信光も太刀を振り下ろすが、史郎は最小限の動きで攻撃を回避する。

「手加減はしないです」

「っ!」

 右手のソードオフショットガンを発砲。

 信光も紙一重で散弾を回避したが、すでに左のソードオフショットガンの銃口はこちらに向けられていた。

 躊躇なく引き金を引くと散弾が信光を撃ち抜き、共に戦死判定のアラームが響く。

 再び突撃する西の九七式もセンチュリオンが砲塔を回転が速く、正確な射撃から撃破された。

「あいたー!」

「今だ!」

「はい!」

 八九式と九七式中戦車が左右を固める。

 しかし、全速後退され簡単に抜け出したセンチュリオン。続けて最後の九七式中戦車を撃ち抜き走行不能とする。

「な、なんなんだ。この人たちの強さ……」

「正確な射撃と動き、完成された連携ですな」

「こんな相手に本当に勝てるのかな……?」

 戦死した光貞たちが思わず呟く。

「超根性!」

「……」

 突撃する八九式の砲撃を回避したセンチュリオンはその正確な射撃で砲塔を撃ち抜いた。

 4輌すべてを撃破したセンチュリオン、7人を屠った歩兵3人は再び移動を開始する。

「この負けっぷりいつもの我々ですな!」

「敵ながらあっぱれ!」

「呑気に言わないで下さい!」

「こちら信光。知波単および八九式、その随伴歩兵は全滅した。あのセンチュリオンと天城史郎、相当強いぞ」

「了解。みんなはゆっくり休んでください」

 通信を終えた信光は倒れたまま空を見つめていた。

 

 

 T-28重戦車と交戦していたチームも次の作戦に移っていた。

「データによりますと、ウィークポイントはここです」

「優雅な勝ち方にはほど遠いですね」

「今回はみほさんを助けに来たのよ。私たちの勝利じゃない」

 揺れる車内でダージリンは紅茶を飲む。

 車体を傾けて橋の下に陣取っている。

「17ポンド砲さん準備はどう?」

「とっくにできてる。いくぞ」

「どうぞ」

 瞬時にファイアフライが砲撃。

 橋を破壊したことでT-28重戦車の腹が橋下のチャーチルに露呈する。

 チャーチルも発砲。

 砲撃を受けたT-28重戦車も数秒経ち異音と共にエンジン部が爆散。

 走行不能の白旗が上がる。

「成功ね。アッサムのデータ主義もたまにはいいものね」

「しかい、この後の生還率が……」

「みほさん、そして凛祢さん頑張って。戦いは最後の5分間にあるのよ」

 その言葉を残すとチャーチルはチャーフィーとパーシングに狙い撃ちされ走行不能になった。

「ちまちましているのは性に合わないわ。集まりましょうか」

「いつも通りの」

「バミューダアタック!」

「悠我を殺して、勢いに乗っているようだが侮ってもらっては困る。奴は我らGフォースの中でも最弱!」

「確かに成績的には悠我が下なんだけど……最弱ってことはないだろ」

「うるさい!ラウ。せっかく全力で戦う機会もらったんだ出し惜しみするな」

「わかってるよ。ここからは俺たちのターンだ」

 ジャックとラウもやる気満々に声を上げる。

 その言葉で再び動き出す3輌のパーシングと歩兵達たち。

 その車体には赤の四角、黄色のひし形、青の三角がそれぞれプリントされていた。

 

 

 行動不能車両 八校連合    九七式中戦車(新砲塔)、九七式中戦車、パンターG型、

                T-34/85、IS-2、KV-2

                BT-42

                Ⅲ号突撃砲、九七式中戦車(新砲塔)×2、

                九七式中戦車、八九式中戦車、

                チャーチル歩兵戦車

 

 

 

        大学選抜チーム M26パーシング×2 

                M26パーシング×3、カール自走臼砲

                M26パーシング×6

                M26パーシング×9、T-28重戦車

 

 

 

 

 残存車両数  八校連合    17輌 歩兵隊16分隊

 

 

 

        大学選抜チーム 8輌 歩兵隊8分隊




今回も読んで頂きありがとうございました。
本編もだいぶ終盤となり残り数話かと思います。
補足ですが悠我、悠希は兄弟です。
スクワッドジャム時点で悠希がGフォースの読み方を
ゴールドフォースと知っていたのもそれが理由です。
ではまた、次回のお話で。
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