ガールズ&パンツァー~地を駆ける歩兵達~ 作:UNIMITES
今作もようやく最終話となりました。
では本編をどうぞ。
大学選抜チームの歩兵全てがリタイアし、八校連合も凛祢以外の歩兵全てがリタイアした。
みほたちのⅣ号、ティーガーⅠは今も大学選抜チームの戦車たちと交戦を続けている。
ただ一人残った歩兵である凛祢は彼女たちが戦う戦場、中央広場を目指す。
「う……」
再び刺すような頭痛が走り、膝を付く。
唇を噛み締め、痛みに耐える。
なんとか立ち上がり、再び歩き始めた。
「間に合ってくれ……」
頬を流れる血液を拭い、地面を踏みしめる。
中央広場に辿りついたⅣ号、ティーガーⅠ、そして中央に陣取ったセンチュリオンがそれぞれ発砲。
砲弾が空を舞い、広場の壁を打ち砕く。
行進間射撃を続けたⅣ号、ティーガーⅠがトンネルをくぐる。
センチュリオンが車体を回転させ、砲塔をトンネルの出口に向ける。そして発砲。
「……」
直前にブレーキを掛けたことで紙一重で砲弾を回避する。
続けてティーガーⅠが発砲するが、装甲に阻まれ走行不能とはならなかった。
アズミ、メグミの搭乗するパーシングがセットを破壊してⅣ号たちに接近していく。
キューポラから身を乗り出していたみほ、まほはお互いにアイコンタクトで合図する。
広場を一周し、ティーガーⅠがトンネルをくぐる。
Ⅳ号はトンネルの外、斜面を少々強引に進む。
接近するセンチュリオンにあえて肉薄することで砲撃を回避する。
そのままトンネル出口に車体を移動させた。
ティーガーⅠが出口で急ブレーキをかけることでパーシング1輌をも出口で引き留める。
車体が傾き始めたⅣ号の照準器はパーシングを中央に捉えた。
みほが華の肩に触れる。
「発砲」
「……!」
アズミもこちらの意図に気づくもすでにⅣ号の砲は火を噴いていた。
彼女の搭乗するパーシングは白旗を上げ、走行不能となる。
続けてセンチュリオンが発砲するがシュルツェンを引き剥がすだけにとどまった。
ティーガーⅠの後方を残ったメグミのパーシングが追いかける。
「あれを狙え」
まほの指示で砲が振り子式に揺れる船をアトラクションを砲撃する。
船は彼女の想定通り、大きく前方に揺れた。
その隙にティーガーⅠが走り抜ける。
瞬時に振り子の様に船が後方に向かう。
向かってきたパーシングと激突し、その車体が後方へと吹き飛び壁に激突。
「砲撃!」
その隙を突いたティーガーⅠに砲撃され、メグミの搭乗するパーシングも白旗が上がり走行不能となった。
ほぼ同タイミングで凛祢も中砲広場入り口にたどり着く。
「よかった、まだみほとまほさんは撃破されていないようだな……」
肩で息をして、周囲を見つめる。
すでに2輌のパーシングが走行不能となったことで残りの戦車は愛里寿の搭乗するセンチュリオンのみである事が目視確認できた。
観客席、戦死判定を受けた歩兵、走行不能となった戦車搭乗者たちは皆同じ映像を見つめている。
「「……」」
トンネルの頂上に陣取るセンチュリオン、トンネルの斜面を左右から挟むようにⅣ号、ティーガーⅠが停車する。
凛祢は入り口付近で身を隠し、様子を窺う。
今出て行っても何もできない事はわかっている。
今は無駄に動き回れるほど自分の体にも余裕がない。
ただただ左手のヒートアックスを握る。
センチュリオンがトンネルを大回りして降りて行く。
「「発砲」」
ティーガーⅠとセンチュリオンの火を噴く。
砲弾は遥か彼方へと飛んで行く。
続けてⅣ号も発砲するが、愛里寿が直感的に指示を出しているセンチュリオンは砲撃を回避する。
再び砲撃戦が始まり、再び轟音が響き渡った。
シュルツェンが次々に抉られ装甲が薄くなるⅣ号。
重戦車であるティーガーⅠは砲撃に耐えているもののそれも長くは持たないだろう。
「……」
愛里寿がハンドシグナルを送り、砲弾がアトラクションをも破壊する。
ロケット型のアトラクションを砲撃し、さらに次なるアトラクションを破壊した。
破片がこちらにも飛んでくる。
「いっ!」
身を低くして紙一重、破片を回避した。
後方の壁には破片が突き刺さっている。被弾すれば確実に戦死していただろう。
「愛里寿、思ったより見境ないんだな……ん?」
視線の先では破片によって動き始めた熊のアトラクションを発見する。
頭痛も少し収まりはじめ、凛祢も動く。
何も言わずセンチュリオンを見つめる。
ヒートアックスは一つ、チャンスは一度きり。
Ⅳ号、ティーガーⅠは再び行進間射撃を始めた。シュルツェンが破壊され、通常装甲のみが残る。
大周り進んだこちらを読んでいた愛里寿が突撃する。
車体がぶつかり合い衝撃が車内に響く。
「ここまで接近できれば……」
動いていた熊のアトラクションに身を隠し匍匐前進していた凛祢も駆け出した。
それでも砲撃戦を続ける3輌。
メリーゴーランドを無理やりくぐったセンチュリオン。
車体が激突し、みほの後方を取った愛里寿。
みほ、まほも声が出なかった。
その時だった。
熊のアトラクションがセンチュリオンの前を横断し、全員の動きが止まる。
「は!」
「……!」
その一瞬を狙う歩兵、凛祢。
「お兄、ちゃん?!」
「凛祢さん?!どうして!」
「……」
駆け出した凛祢は全力でセンチュリオンに肉薄した。
右手に握るヒートアックスを車体後方に接着させる。
「前進!」
「後退!」
みほと愛里寿の声でそれぞれの車体が動く。
「ぐっ!」
センチュリオンが全速後退したことで凛祢の右手は車体にぶつかり衝撃が襲う。
奥歯を噛み締め踏みとどまる。
センチュリオンの砲はこちらを捉える。
左手に握るリモコンのスイッチに指を乗せた。
発砲音と起爆音が同時に響き渡る。
砲弾は凛祢の足元の地面を抉り、後方へと吹っ飛ぶ。
背中から地面に倒れ込む。
センチュリオンも爆発音と共に黒煙を上げる。
響き渡る戦死判定のアラーム、続くように車体から白旗が上がる。
センチュリオンが走行不能になったことを告げた。
「センチュリオン走行不能!葛城凛祢の戦死判定を確認!」
「残存車両、残存歩兵確認中!」
戦車道連盟、歩兵道連盟のヘリが次々に状況確認を進めて行く。
「目視確認、終了。大学選抜チーム残存車両、残存歩兵0!大洗連合残存車両2、残存歩兵0!」
「大洗連合の勝利!」
敦子、蝶野の結果報告で観客席では大きな歓声が上げる。
次々に喜びの声を上げる。
八校連合所属の生徒たちも例外でなはく、喜び笑みを浮かべた。
「わーははは!」
「やった、やったよ!サンティちゃん!」
「はい!流石凛祢くんたちです!」
連盟会長と孫市、サンティも思わず立ち上がって喜んでいた。
「「はぁ」」
「よかったわね……凛祢」
家元の西住しほ、島田千代は安心したのか深くため息をつく。
朱音も安心して胸を撫でおろす。
「これで廃校はなくなった!」
「だな……おっと」
英治は膝から崩れ落ちる。
「英治?!大丈夫?」
「悪い、力が抜けちまった」
「気を付けてよ!」
杏に支えられなんとか立ち上がる。
「凛祢さん!」
「葛城くん!大丈夫!?」
Ⅳ号を下りたみほたちが駆け寄る。
倒れていた凛祢の上半身を起こす。
「う……いっつー」
体中に激痛が走っていた。
砲撃を受け、とっさに受け身も取ったがやはり全身に痛みは走っていた。
「どうして!どうしてあんな無茶を!」
みほはこちらを見つめ、声を上げる。
「約束したから」
「……え!?」
「みほを守るって約束したから……」
凛祢も改めて彼女を見つめる。
「もう、凛祢さんは無茶しすぎです!でも守ってくれてありがとうございます」
「すまないな」
すると後方からティーガーⅠから降りてきたまほが現れる。
「葛城凛祢」
「西住、まほさん……」
「妹を、みほを守り続けてくれてありがとう」
「当然のことですよ。俺は歩兵道をやってるんですから彼女たちを守るのは当然です」
「そう、だな。それでも君の頑張りには感謝している。改めて、ありがとう」
まほは深々と頭を下げると再びティーガーⅠに戻って行った。
数分ほどしてⅣ号、ティーガーⅠ、凛祢や聖羅を乗せたジープが八校連合の陣地に帰還する。
陣地にはすでに大洗連合や黒森峰、その他の学園の生徒たちの姿があった。
「ふう、凛祢……久々にあれやるか」
ジープを下りると聖羅は右手を挙げる。
「……これやるの3年ぶりだな」
「「俺たちの勝利に!」」
お互いにハイタッチを交わし、笑みを浮かべた。
昔試合に勝つたび何気なくやっていた行為だが、今はただ嬉しく感じたのだ。
大洗連合の元に戻ると一番に駆けつけたのは杏、そしてカメさんカニさんのメンバーだった。
「西住ちゃん、葛城くん!」
杏が2人に抱き着く。
2人も支えるように背中に手を回す。
「勝った、勝ったぞ!」
「夢じゃないんだよな!なあ!?」
続くように声を上げる。
「隊長お疲れ様でした」
「西住隊長お疲れさまでした!」
まほを迎えるようにエリカ、小梅が敬礼する。
「お兄ちゃんやったじゃん!」
「ああ、悠希、龍司。お前らもよくやった」
「うん」「別に」
聖羅も仲間に出迎えられていた。
「みほさん、葛城さんおめでとう」
「おめでとう」
「いい試合だった」
駆けつけてくれた他校の仲間たちの言葉に凛祢やみほも感謝の言葉で返答する。
この試合に参加してくれた仲間たちには感謝してもしきれなかった
すると1人の少女が熊のアトラクションに乗って現れる。
見覚えのある顔に凛祢は思わず、その名を口にした。
「愛里寿……」
「……私からの勲章よ」
愛里寿がポケットを探り、手渡したのはボコの人形であった。
「ありがとう、大切にするね」
受け取ったみほも優しく微笑んでいた。
「次からはわだかまりのない試合をさせていただきたいですね」
「まったく」
「同意見です」
千代の言葉にまほ、朱音が深々と頷いている。
「戦車道と歩兵道には本当に、人生に大切な事が詰まっているね!」
「だろう……」
ミカも微笑みカンテレを弾いていた。
八校連合VS大学選抜チームの戦いは八校連合……いや大洗連合の勝利という形で幕を閉じた。
短期転校によってこの戦いに参加してくれた仲間たちは、その任務を全うし自分たちの学園艦へと帰還していく。
サンダースとアルバートのみんな。
聖グロと聖ブリのみんな。
プラウダとファークトのみんな。
知波単と重桜のみんな。
アンツィオとアルディーニのみんな。
継続と冬樹のみんな。
黒森峰連合のみんな。
そして……
「凛祢さん。私たちも戻りましょう」
まほたちとの別れの挨拶を終え、みほは手を差し伸べる。
「……」
「凛祢さん?」
「……ごめん。みほ、俺は一緒にはいけない」
「ど、どうして!」
凛祢は言葉と共に背を向ける。
「俺ももう戻らなくちゃならない。島田家に」
最初から分かっていたことだった。
あくまで自分が大洗の仲間たちといられたのは、試合のため。
試合が終われば、もうここにはいられなかった。
そう駆けつけた仲間たちと同じように。
「葛城くん!」
「葛城!」
視線を向けると大洗連合のみんなの姿があった。
「葛城くんも居なくちゃ駄目なんだよ!約束したんだよ!みんなで学園艦に帰るって!」
「そうだ、お前も俺たちの仲間だろ!」
「杏会長、英治会長……」
2人の言葉は嬉しかった。
自分だってできるのであれば、みんなと、みほと学園艦に帰りたい。
だが、それは叶わない願いであると最初から分かっていたこと。
「葛城先輩!」
「葛城!」
「「「凛祢!」」」
「凛祢殿!」
「さよならは悲しい言葉じゃないです。また、会えますよ。きっとまた」
凛祢は作り笑顔を見せる。
「凛祢さん!本当にまた会えますか?」
みほは凛祢の手を握る。
「うん。きっと……」
最後の言葉のを口にしてみほと唇を重ねる。
短い間であったがお互いを感じるには十分だった。
「じゃあ、俺は行きます。みんなと共に戦場を駆けることができて、本当によかった。
俺をもう一度戦わせてくれてありがとう。さよなら」
そう言い残し凛祢はその場を後にする。
これで、よかったんだ。
大洗連合の、みほの居場所は守れた。
そう葛城凛祢の戦いはこれで終わるのだ。
そして朱音、千代の元に戻っていった。
「凛祢……」
「みんなとの別れは済ませた」
「そう……じゃあ、行きましょ」
凛祢はもう一度だけ振り向く。
すでに大洗連合のみんなは見えない。
それでも体が自然とそちらを向いていた。
「さよなら、大洗連合。そして西住みほ」
その時一筋の雫が頬を伝っていた。
それが自分自身の涙である事はすぐに理解できた。
鞠菜が亡くなった時、以来だ。
涙を流したのは。
涙が止まらなかった。
丸で押し殺していた感情が溢れているようだ。
「凛祢……」
「……大丈夫だ。目にゴミが入っただけだから」
凛祢は袖で覆い隠すようにしていたが、溢れる涙は止まることはなかった。
それから月日は流れ……
2か月後。
大学選抜チームとの戦いに勝利したことで、大洗学園艦は完全復活した。
復活に伴い、校舎は男女一体となったことで大きなものに変わったものの、他に変わった点はない。
今まで通りの大洗学園艦であった。
「……はぁ」
西住みほは教室の席でため息をついていた。
「なあ、みほさん。またため息ついてるぞ」
「そりゃあ、凛祢との別れは相当辛かったんだろう」
「ああ、学園始まって1週間登校してなかったしな。あの時も一頻り泣いてたしな」
同じクラスであった八尋、翼も席からそんな様子を見つめていた。
「俺たち、あいつのことなんも知らなかったんだな」
「凛祢自身があまり自分の事を話すほうじゃなかったからな。でも、これで友達だったのかと思うと少し、な」
2人も真剣な表情を浮かべる。
2年という短い付き合いだったとはいえ、友の事を知らな過ぎたことに複雑な心境だった。
「みぽりん大丈夫?」
「……え?う、うん。大丈夫だよ」
「でも、またため息をついてましたよ」
心配そうに沙織と華が声を掛ける。
「やっぱり凛祢くんとの別れがつらかった?」
「えっと……はい。せっかく仲良くなれたのに」
「「……」」
2人も思わず視線を合わせる。
こればっかりは、2人もどうにもできない事であったためだ。
どうしたものかと考え込む。
通学路を進む1人の青年。
「1度解体されかけた割には全然変わってないんだな。コンビニの位置まで一緒だし」
周囲を見渡し、建物の位置を再確認する。
ふと視線を腕時計に落とす。
「やべ、時間に余裕ないんだった。遅刻は厳禁だしな」
少し急ぎ大洗学園前に到着する。
「大洗学園……男子と女子がついてないってことは本当に統合されたんだな」
そう言うと学園内に侵入する。
生徒会室では杏や英治たち生徒会メンバーの姿があった。
「会長、本日我が校に転校する者がいると言うのは本当ですか?」
「うん、そうだよ。言ってなかったけ?英治ー」
「また、報告してなかったのか。転校生の書類だ」
「どれどれ」
「私にも見せてください」
「私も!」
宗司が書類を受け取り、桃や柚子も隣から目を通す。
「会長、これ本当ですか!?」
「にわかには信じがたいですよ!だって彼は!」
「このタイミングで嘘をついてどうすんだよ……本当だ」
その言葉に再び、桃と雄二が視線を書類に落とす。
「じゃあ、これで」
「本当に……」
「みんな……みんなが学園艦に揃ったね」
「だな……」
杏は会長席で窓の外を見つめた。
英治も同じように空を見つめる。
本土の地では島田邸にてお茶会が開かれていた。
「島田千代さん。今回の試合の件、そして凛祢の件感謝しています」
「お気になさらないでください。それに私にとってもあの子は、朱音さん元にいるべきだと思ったんです。
私があの子を孤児院に入れたのは島田の子としてではなく普通の子供として生きてほしかったからなんです」
ティーカップを置いて千代は優しく微笑む。
「彼を、葛城凛祢として養子に出すとは、私たちも驚きました」
「本当だよー。あたしはてっきりこのまま凛祢くんが島田亜凛として生きて行くことになるんじゃないかと思ってたし」
紅茶をお代わりを注いだサンティ、孫市もそんな言葉を漏らす。
「戦車道と歩兵道のイメージダウンもだいぶ回復できたみたいです」
「養子縁組と大洗学園への転校には連盟でも誰も反論しなかったようだからな」
蝶野亜美、照月敦子も頷く。
凛祢は養子として、葛城朱音に引き取られる形となった。そして本日から大洗学園に転校することとなる。
それが自分たち大人たちが彼にできる最大限のことだった。
「それにしても凛祢としほさんの娘さんの将来が楽しみですね」
「ぶっ!けほ、けほ。な、なにを急に!」
千代の言葉にしほはむせ返る。
「凛祢とみほさんはお付き合いされているそうじゃないですか。将来結婚したらお2人は家族になるんですよ」
「みほが凛祢くんとお付き合いしてる?!初耳です!朱音さん!」
「いや、私も初耳です!それ、どこからの情報ですか?!」
しほと同様に朱音も声を上げる。
「彼女から」
千代が視線を向けた先には継続高校の制服に身を包むミカの姿があった。
天城史郎やサンティたちと共にレジャーシートの上で紅茶を飲んでいる。
「彼女が……」
「あのミカさんとのご関係は?」
彼女がいることに疑問がなかったわけではない。
朱音だけでなくしほや敦子も耳を傾ける。
「史郎の妹なんですよ。彼女は」
「「え?」」
「凛祢や愛里寿にとっても親戚みたいなものです」
「うそ……」
再びミカに視線を向ける。
確かに言われてみれば愛里寿とミカの姿がどことなく似ているところがある。
しかし、まさか親戚関係だとは知らなかった。
「世間て、案外狭いのね」
「そうね」
しほと朱音も思わずため息をついた。
ホームルームのチャイムが鳴り響き普通Ⅰ科A組の生徒たちは次々に席に着く。
同時に担任の女教師が教室に侵入する。
「みなさん、おはようございます。突然ですが今日からこのクラスに転校生が来ます!」
その言葉で教室内がざわつく。
「転校生?この時期に?」
「珍しいよな」
「どんな人だろう、もしかしてすっごいイケメンだったりして!」
「いったいどんな方なんでしょう?」
八尋や翼、沙織たちも思わず声を上げる。
「……」
そんな中でもみほは沈黙を貫いていた。
「じゃあ入って下さーい!」
その言葉で扉を開け放つ。
教室内に侵入して見慣れた顔を発見した。
「な!お前!」
「……!」
「あらあら」
「みぽりん!あれ!」
「……え?」
5人は見覚えのある顔に思わず立ち上がる。
「凛祢……さん」
「転校生の葛城、凛祢です。よろしく」
「じゃあ、葛城くんの席は――」
担任の言葉を遮る様に声を上げたのは八尋だった。
「凛祢!」
同時にみほたちも、こちらに駆け寄って来る。
「お前、戻るなら連絡くらいしろよ!」
「本当だよ!」
「心配していたんですよ」
「凛祢さん……」
「……約束しただろ。また会えるって」
「はい!」
みほも涙を流していたが微笑んでいた。
「君たちー、ホームルームを進めてもいいかなー?」
「い!」
「す、すいません!」
担任の女教師は笑っていたものの、怒っていることは容易に分かった。
5人は焦ったように席に戻る。
「葛城くんの席は西住さんの隣だから」
「はい……」
凛祢も席に着く。
そしてお互いの顔を確認して笑みを浮かべていた。
ホームルームを終えると、放送開始のアナウンスが響く。
「非常呼集、非常呼集。戦車道と歩兵道を履修している生徒はガレージ前に集合してください。続けて転校生の葛城凛祢くん!同様にガレージ前に来て下さい!」
「今のって生徒会?」
「いこっかみぽりん、葛城くん」
「はい」
「うん」
そして凛祢たちはガレージに向かう。
ガレージにはすでにアヒルさんチーム、オオワシ分隊、カバさんチーム、ワニさん分隊、ウサギさんチーム、ヤマネコ分隊、
カメさんチーム、カニさん分隊、オオカミチーム、カモさんチーム、シラサギ分隊、レオポンチーム、タイガーさん分隊、アリクイさんチームが揃っていた。
「「凛祢殿!」」
「「……遅かったな」」
「塁たちも元気そうだな」
塁に優花里、俊也と麻子を確認するとあんこうチームとヤブイヌ分隊も揃う。
「ついに……みんなが、誰一人欠けずこの学園艦に揃うことができました!」
柚子も嬉しそうに声を上げる。
「正式に転校したので、心配はいりませんよ」
「凛祢さん。これからはずっと一緒ですよね……?」
「もう、どこにも行かない。それにここは俺とみほの居場所だから!」
「葛城くん、おかえり」
「はい」
杏も笑みを浮かべた。
「よーし、大洗連合は全員揃ったことだし午後の試合がんばるよー!」
「試合?」
「午後から聖グロと聖ブリのみなさんと試合があるんです」
「そうか。ケンスロットたちと」
みほから説明を受け戦友を思い出す。
決着もまだついていなかった相手だ。
「葛城くんはすでに選択科目を歩兵道履修する形で進めているけど大丈夫ですか」
「問題ないです。最初から歩兵道一択ですから」
「じゃあ西住ちゃん、葛城くん。いつもの掛け声よろしく!」
「パンツァーフォー!」
「オーバードライブ!」
その声で全員が掛け声を上げた。
凛祢もみほもみんなが笑っていた。
鞠菜、俺は自分のために戦い、自分の居場所を見つけたよ。
そして守りたいと思える女を見つけた。
それが彼女だ。見守っていてくれるよな鞠菜……。
ただただ心の中でそう呟いていた。
空には今日も青空が広がっている。
本土決戦の戦いは今でもよく思い出す。
一つの目標に向かって、仲間たちと立ち上がったあの日、あの試合。
嵐のように戦場を駆け抜けた瞬間が、今はただ懐かしく感じる。
そして、今でも俺たちは戦場を走り続けている。
仲間と……彼女と共に笑いながら……。
第3部 劇場版編 END
どうもUNIMITESです。
ガールズ&パンツァー~地を駆ける歩兵達~を最後まで読んで頂きありがとうございます。
投稿を始めて約3年が経ち、ようやく完結することができました。
お気に入り登録者が50人を超えていたのも嬉しかったです。(登録者の方々本当にありがとうございます)
私の練ったプロット上ではここまでで地を駆ける歩兵達の物語は完結です。
現在映画にて続いているガールズ&パンツァー最終章の内容は想定上ないです。(もしかしたらこれから作るかも)
処女作というのもあり、まだまだ足りない部分もあったかもしれませんが、ここまで読んで頂いた方々、本当にありがとうございます。
本作はオリジナルキャラも数多く登場しましたが、みなさんはどう思ったでしょうか。
作者としては本作のオリジナルであるオオカミチームの5人、主人公凛祢の師匠周防鞠菜は特にお気に入りです。
実はキャバリエ搭乗者は苗字が秋月型駆逐艦の名前になっています。(照月英子、秋月セレナ、涼月華蓮、初月風香)
衛宮不知火の名前も駆逐艦不知火から取ってます。
そして本作の覇王流(照月流)格闘術の技は航空機の名が元ネタになってます。(烈風や流星、震電等々)
周防鞠菜は葛城凛祢という男を作った人物として描きました。
私自身この作品を完結できたことを嬉しく思っています。
次もハーメルンかカクヨムで新作を書こうと思っています。
プロットは2つほどあるので。
次回作からはTwitterで活動報告なんかもやってみようと思っているのでよかったらフォローしてみてください。
TwitterもUNIMITES-ユニミテス-でやってます。
感想、意見などがあれば書いていただけると嬉しいです。
では、また次回作で。