「・・・褒賞でここまで変わるか」
アルストが【ヴィーヴィル】に乗り戦場を空高くから見てみると王国と皇国の戦争に参加した〈マスター〉の数は明らかに皇国の方が多かった
『しかし、皇国の方が押されている所がありますね』
「当たり前だ、皇国側は褒賞につられてカンストすらしていない〈マスター〉も大勢参加している、王国側は人数こそ少ないもののほとんどがカンストした〈マスター〉、しかもほとんどが〈AETL連合〉士気も高いだろうな」
ここには【魔将軍】も居るはずだが少し離れた所で王国の騎士団と戦っていた、こちらまで手が届かなかったのだろう
『マスター、皇国側の〈マスター〉が押され始めています』
「そうか、じゃあそろそろ行くぞ、ヘスティア」
『イエス、マイマスター』
アルストは一呼吸置くとヘスティアに降下するように指示を出す
◇
「チッ!あいつらしぶといな!」
皇国の一人の〈マスター〉が舌打ちをする、自分達より数が少ない王国の〈マスター〉達に苦戦しているからだ
皇国側は褒賞目当てに一人で突っ走ってやられたりするが王国側は三人の王女とリリア―ナ四人のファンクラブで皆が『彼女たちを守る』という考えなので足の引っ張り合いなどは起きずチームワークを駆使して戦っておりこのままならば王国側の〈マスター〉達は勝てはせずとも負けもしなかっただろう
あれが来るまでは
「・・・何だ?」
最初にそれを聞いたのは皇国の〈マスター〉だった
「おい、今の聞いたか」
「聞いたって何を」
「いや、なんかドラゴンの声みたいな」
「こんな戦場にモンスターが近づく訳ないだろ「おい上見て見ろ!」なんだ・・・ッな!?」
皇国、王国の〈マスター〉達はほぼ同時に気が付いた、上空で自分たちを見下ろしている鉄の竜を
◇
「皆こっちを見てるな」
『当たり前です』
「じゃあ早速やるか、ヘスティア」
『イエス』
◇
〈マスター〉達は全員空に浮かぶ鉄の竜がモンスターではないと気付く、竜の体に生えている〈マジンギア〉に見覚えがあったからだ
「あれ〈マーシャルⅡ〉か?」
「てことは味方?でも誰だ?」
「〈叡智の三角〉のやつらか?・・・ッまさか!」
それは皇国では一回は聞いたことがある話、〈叡智の三角〉にいる一人の〈マスター〉が空を飛ぶ戦艦を作ると言っているという噂
「本当に作ったのか・・・」
突然の【ヴィーヴィル】の参戦により動きが止まった王国の〈マスター〉達だが直ぐに自分の〈エンブリオ〉で【ヴィーヴィル】に攻撃を開始する、しかしその攻撃は【ヴィーヴィル】に届く前にアンキュローサにより迎撃され届いても【ヴィーヴィル】の結界で【ヴィーヴィル】には攻撃が届かない
【ヴィーヴィル】は頭を王国の〈マスター〉達に向ける口を開けると口の奥が光り、炎の噴流が下の〈マスター〉達を飲み込んだ、10秒ほどで【ヴィーヴィル】は炎を吐くのを止め下を見ると王国の〈マスター〉は殆どがデスペナルティになっていた、残りは〈エンブリオ〉の能力やスキル等で生き残ったようだ
【ヴィーヴィル】は生き残った〈マスター〉達を【アンキュローサ】の攻撃でデスペナルティにしていくと〈マスター〉の人数が最初の四分の一程になったところで残りは先ほどから巻き込まれないように少し離れてこちらを見ていた皇国の〈マスター〉達に任せ自分は他の皇国側が負けそうな場所に行き王国の〈マスター〉達を倒していった
◇
【獣王】が【大賢者】を、【魔将軍】が【天騎士】を、そしてオーナーが国王を倒して戦争は一日で終わった、しかしそれだけでは終わらなかった
アルストが艦橋から下を見ていると横に居た【ブロードキャストアイ】が突然何かを映し始めた
『聞こえますか』
そこにはラインハルトが映っており何かあったのか周りが騒がしそうだった
「どうしましたか?」
『カルディナがドライフに向けて進攻を開始しました、あなたは一人でも多くの兵を、【魔将軍】は必ず【ヴィーヴィル】に乗せ戻ってきてください』
「分かりました、直ぐに戻ります」
そう言いアルストが【ヴィーヴィル】を降下させ始めるともう話を聞いているのか下に居た〈マスター〉とティアンが慌てる事無く【ヴィーヴィル】の周りから離れていく
「ふん!さっさとしろ」
そういうと【魔将軍】ローガン・ゴットハルトは着陸した【ヴィーヴィル】に乗り込んでいく、他の生き残った〈マスター〉達も出来る限り乗り込むと【ヴィーヴィ】は再び空に飛びドライフ皇国を目指し飛んだ