ある男の飛竜戦艦   作:ゴロゴロ鼠

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戦争後 爆弾を抱える街、ラチス
第19話


アルストさ~ん、また依頼が来てますよ」

 

「何のですか?〈マーシャルⅡ〉ですか?兵器ですか?」

 

「数人の〈マスター〉とティアンが【ヴィーヴィル】を作ってくれと」

 

「無理です」

 

戦争から三日後

 

カルディナ軍を追い返し皇国に戻ったアルスト、そこで待っていたのは数多くの歓声と数多くの依頼だった

 

「【ヴィーヴィル】は私専用の戦艦、ヘスティアがあって初めてまともに動く兵器、先々期文明の動力炉があるならまだしも他のティアンや〈マスター〉には使いこなせませんよ」

 

【地神】ならいけるかもしれませんが。そう言うとアルストは【ヴィーヴィル】の整備に戻ろうとして

 

「アルストさん、実はそれだけじゃないんですよ」

 

「何ですか、まだ依頼が?」

 

クランメンバーの話に足を止める

 

「【ヴィーヴィル】に乗せてほしいという依頼が主に貴族から何件か」

 

「・・・あー」

 

それは想定していた、戦争で活躍し皇王であり【機械王】であるラインハルトが製造を協力した戦艦だ、貴族たちだけでなく整備士、技師系統のジョブに就いている者には見てみたいと思う者は大勢いる。もちろん〈叡智の三角〉のクランメンバーからも見せてくれとお願いされている。中には土下座しながら見せてくれと言ったメンバーも何人かいる

 

「中に乗せたら色々危ないんですよね」

 

【ヴィーヴィル】は普段動かす時は常に特典武具【滅結界玉 エステンク】で結界を張っている。結界の外からの盗賊・強盗系統の攻撃を防ぐためだ、しかし中からなら簡単にスキルを使うことが出来る、アルストを倒し【ヴィーヴィル】を丸ごと盗もうとする者も居るかもしれない

 

「それは考えてみます、陛下とも相談しなければなりませんし」

 

そもそも【ヴィーヴィル】は半分皇国の所有する兵器と言う立ち位置である。国が何割かの資金提供と【機械王】の力を貸す代わりにラインハルトが指示を出したら言う事を聞かなければならない、もし守らなかったら【獣王】に【ヴィーヴィル】を破壊されることだろう

 

「し、失礼しますアルスト様はいらっしゃいますか?」

 

「どうしましたか?」

 

部屋に〈叡智の三角〉で働いているティアンの女性がアルストを訪ね部屋に入ってきた、そしてある人物の来訪を伝える

 

「皇王様の使者がお見えになっております」

 

 

「あなたに頼みがあります」

 

使者はラインハルトからの呼び出しを告げるとアルストを連れて城に戻った。アルストは直ぐにラインハルトの所に向かった、そこにはラインハルトと当然のように【獣王】がいた

 

「まず、戦争では見事でした、【ヴィーヴィル】のおかげで戦争の被害が最小限に止まりました」

 

「いえ、すべては陛下が【ヴィーヴィル】の製造に協力してくれたからこそ。それで、頼みとは?」

 

「暫くの間、【ヴィーヴィル】でドライフ国内を飛んでほしいのです」

 

「・・・他国への牽制ですね」

 

「そうです、戦争で活躍した戦艦が国内を飛んでいればカルディナはもちろん他の国々もうかつに手出しはできないでしょう」

 

わざわざアルター王国に圧勝した国に攻め込む者などいないだろうが念のためだろう

 

「分かりました。それと陛下に相談したい事が」

 

アルストは依頼の事をラインハルトに話した

 

「難しいですね」

 

「そうですか」

 

ラインハルトの返事にアルストは予想通りという風に言葉を返す

 

「しばらくは国内を飛んで欲しいですし飛んでいる間に乗せてもモンスターや他国の〈超級〉に攻撃されない保証はありません。そもそも艦内に人を入れるだけでも危険です、しっかりと身元の確認をし【契約書】を書いてもらわなければ乗せるのは危険です。ですのでその依頼は私が許可するまで受けないで下さい」

 

「はい」

 

 

数日後、アルストはラインハルトの依頼により【ヴィーヴィル】でドライフ内を飛んでいた

 

『・・・何にもありませんね』

 

「そうだな」

 

『たまにはもっと違う場所を飛んでみたいですね』

 

「たとえば?」

 

『カルディナなんてどうですか?景色がガラッと変わって良いかもしれませんよ』

 

「・・・無理じゃないかな」

 

少し前にカルディナの軍と戦ったばかりだ、【ヴィーヴィル】でカルディナ領内を飛んだりしたら大騒ぎになる。もしかしたら〈超級〉も出てくるかもしれない

 

『そうですよねー。・・・マスター、さっきから何を見ているのですか?』

 

「中を見ないでいいから外を警戒しろよ」

 

『してますよ』

 

アルストが近くのカメラに言うと直ぐに返事が返ってくる

 

『現に下も・・・マスター』

 

「ん?どうした」

 

ヘスティアはアルストの前に下の映像をアルストに見せる、そこには数人のティアンと一つの馬車が映っていた

 

「・・・【商人】、ではないな」

 

馬車には数人の子供が拘束された状態で乗っていた

 

『確認しました、やつらは近頃この付近で活動している盗賊団の様です、あのように子供をさらい何処かに売っているので懸賞金がかけられています。どうしますか?』

 

「どうしますかって、もしここで見逃して陛下に『賞金かけられている盗賊団見つけましたけど見逃しました』って言えるか?」

 

『言えません』

 

「ならやることは一つだな」

 

【ヴィーヴィル】は下の盗賊団に向かって下降を始めた

 

結果は戦闘も起こらずに終わった。【ヴィーヴィル】が戦争の時に活躍した話を知っていたらしく盗賊団はあっさり投降した

 

 

 

「どうするかなこいつら」

 

アルストは【ヴィーヴィル】から降りておとなしく拘束されている盗賊と子供たちを見る。子供の拘束はすでに外してあるが皆アルストに近寄らずに一塊になってこちらを見ている

 

「なあ君たち」

 

アルストが声を掛けると子供達はビクッとするが一人の男の子が前に出る

 

「な、何でしょうか」

 

「君たちってこの近くに住んでるの?」

 

「はい、近くのラチスという街です」

 

『この辺りで最大の街ですね』

 

いつもの鳥形ロボットに乗り換えたヘスティアがアルストの肩に乗り説明する

 

『あそこは〈厳冬山脈〉から近いので地竜から身を守る為に近くの村から人々が集まりラチスと言う城郭都市を作ったという話です』

 

「じゃあとりあえずこいつらをラチスへ届けるか。でも【ヴィーヴィル】だと色々めんどくさいし・・・あれ使うか」

 

そういってアルストは一つの【ケージ】を出す

 

 

「【ツェンドリンブル】は問題なく動くな」

 

アルストは新たな機体【ツェンドリンブル】に乗り子供達と盗賊を届けにラチスへと向かっていた。子供たちは一緒に作った荷馬車に乗せ盗賊団は縛ったまま【ツェンドリンブル】が宙ぶらりん状態のまま手で持って運んでいる

 

『マスター、見えてきました』

 

「あれか」

 

アルストの目の前には街を守る高い壁とその上から【ツェンドリンブル】に向けられている砲台・・・・・ん?

 

「そこの〈マジンギア〉止まれぇぇぇ!!」

 

声のした方向を向いてみるとラチスへと入る為の門から一体の〈マーシャルⅡ〉が出てきた

 

「その手に持っている者達、最近ラチスで誘拐事件を起こしていた盗賊たちだな」

 

「ああ、たまたまこいつらが子供達を何処かに運ぶのを見かけてな。こいつらと子供達を運んできた」

 

アルストがそういうと後ろの荷馬車から一人の男の子が〈マーシャルⅡ〉に向かって走っていく

 

「とうちゃん!」

 

「ッ!クルト!!」

 

クルトの父親は自分の子供の姿を確認すると〈マーシャルⅡ〉から飛び降りクルトを抱きしめる

 

「大丈夫だったか?けがは!?」

 

「あの」

 

「!失礼しました、私はこの子の父のエドと申します、私の息子を救っていただきありがとうございました!!」

 

「いえ、お気になさらず。それよりこいつらをどうにかしたいのですが」

 

アルストはいまだ【ツェンドリンブル】によって吊るされている盗賊団を差し出す

 

「盗賊団を捕まえてくださり感謝します。それでは街の中へどうぞ、こいつらの報奨金をお渡しします」

 

そしてアルストはラチスに入るとさらわれていた子供達を家に返し全員を家に送り届けるとエドとクルスの後についていき冒険者ギルドで盗賊団の報奨金を貰った

 

 

 

周りは霧に包まれていた

 

「あれ?思ったより入らないな」

 

その中で男はそう言うと周りに落ちている物を物色し始める

 

「よっ」

 

男がアイテムボックスを壊すと数個のアイテムが地面に落ち、地面の液体が跳ねる

 

「チッ、あんまり持ってないな」

 

男はリルだけ拾うと残りをその場所に捨てる

 

「さて、さっさとここを離れるか」

 

男がその場所から離れる、すると周りの霧がその男を中心に移動を始め霧は男と一緒にその場から無くなった

 

そして男がいなくなり数分後、そこに明かりを持った一人の〈マスター〉が現れた

 

「・・・やはりこの街にいたか、【■神(ザ・■■■■)】」

 

そういうとその〈マスター〉は【■神】に殺されたティアンの死体をアイテムボックスに入れ近くの警備隊の詰所まで持って行った

 

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