褒賞金を貰った次の日アルストはまだラチスの街にいた
『マスター、如何したんですか?この街にまだ用事が?』
「いや、ただずっと空の上と言うのも暇だからな、たまにはこうやって街で羽を伸ばしたいんだよ」
『それは良いですけど、伸ばし過ぎると【獣王】様にその羽叩き折られますよ?』
「ははは、・・・明日から真面目にするよ」
「兄ちゃん!」
「ん?」
アルストが声の下方向を見ると一人の少年がアルストに向かって走ってきていた
「クルスか、どうした?」
「あっちの広場にかぼちゃの〈マスター〉が来てるの、一緒に行こ!」
「良いけど」
「だって!一緒なら良いよね!」
「待ちなさい!すいませんこの子が」
後から来たクルスの母親によると
クルスと一緒に買い物をしていた
買い物をしていると今日広場でにある〈マスター〉がきていることをクルスが知る
クルスは行きたいと言うが母親はこれから用事があり一緒に行けない
昨日の今日でさすがに一人は心配と言うとクルスがアルストを見つけた
「そこで私が一緒で大丈夫だから行きたいと」
「うん!」
「すみません、ほらクルス駄目でしょ、〈マスター〉さんにも用事があるんだから」
「大丈夫ですよ、今日はこの街でのんびりする予定でしたので」
「ほら!お母さん良いって」
「すみません。クルス、〈マスター〉様の迷惑になるような事はしては駄目よ」
「分かってるって。行こ!早くしないといなくなっちゃう」
クルスはアルストの腕を引っ張りながら広場へと向かった
「結構人がいるな」
広場には大勢のティアンの子供達と何かをしている二人の〈マスター〉と彼らの〈エンブリオ〉と思われる者達が数人いた
「二人いるけどあの人たちが南瓜の〈マスター〉か?」
「ううん、あの人がかぼちゃの〈マスター〉だよ、あのおじいちゃんは知らない」
クルスは先ほどよりも強くアルストの腕を引っ張り二人の〈マスター〉へと近づいていく
「音楽か、それならそんなに引っ張らなくても聞こえて・・・ッ!」
二人が一定の距離まで近づくと、アルストの目の前に一羽の鳥が現れた
「わあ!」
いや、鳥だけではない、周りを見れば沢山の動物が音楽に合わせるように踊っている
「なるほど、幻術か」
アルストは自分の手をすり抜ける鳥を見てこの動物たちが【幻術師】の幻術という事が分かった
音楽が終わるとすごい拍手が起こりアンコールの嵐が起こった
「では次で今日は最後にしよう」
老人の〈マスター〉がそういうと皆不満を言わず静かになる。今日最後の演奏を楽しむためだろう
「・・・すごいな」
音楽にあまり興味が無いアルストだが、この演奏が簡単に出来る物ではないと分かった。
(もしかしたら、リアルでも音楽家なのかもしれないな)
演奏が終わると先ほど以上の拍手が起こり皆演奏の感想を言いながら広場から離れていく
「すごかったね!」
「ああ「すいません」ん?」
帰ろうかと歩いていると後ろから声を掛けられた、後ろを向くと先ほどまで老人の横で幻術を使っていた〈マスター〉がいた
「あ!かぼちゃの〈マスター〉」
クルスが大声で言うと周りにいた子供達も気づき集まってくる
「話をする空気ではなくなってしまいましたね。ジャック」
「お呼びで?」
(なるほど、これでかぼちゃの〈マスター〉か)
彼が呼ぶと直ぐに彼の〈エンブリオ〉が現れる
「この子達と遊んでて」
ジャックは頷くと子供達と離れた所で遊び始めた
「私に何の用で?」
「すみません、少しお話をしておきたい事がありまして。聞いていただけませんか?」
「私はあの子の母親からあの子を預かっているのであまり離れたくないのですが」
「それなら大丈夫です、ジャックが付いていますしここから離れません」
そう言うと彼は先ほどまで演奏をしていた場所に移動する、そこにはまだ老人もいた
「驚いた、まさかここで〝皇竜″のアルスト・コジャーソに会えるとはな」
老人はアルストを見ると驚いたように声をあげる
「ん?まってください、その〝皇竜”と言うのは」
「知らんのか?御主の通り名だ」
通り名。【獣王】の〝物理最強”【魔将軍】の〝矛盾数式”の様に戦争で活躍したアルストの通り名が決まったらしい
「でも、どういう意味だ?」
「たしか、皇王の竜だからでしたっけ?」
「・・・」
アルストと言うよりは【ヴィーヴィル】の二つ名だった。
「ま、まあその話は置いておいて。聞いていただきたい話があるのです」
「ああそう言えば、聞いてほしい事って?」
「まずは申し遅れて申し訳ありません、私はライトと申します。〈エンブリオ〉はあそこで子供達と遊んでいる【守護増火 ジャック・オー・ランタン】です」
「私は【奏楽王】ベルドルベル。〈エンブリオ〉はこやつらで名前はそれぞれストリングス、ホーン、クラヴィール、パーカッションだ」
ベルドルベルはケンタウロス、ケットシ―、ハーピー、コボルドを順に紹介する
「改めて私は【設計王】アルスト・コジャーソです。〈エンブリオ〉は私の肩にとまっている【機構炉心 ヘスティア】です」
アルストはそういって肩の鳥形のロボットからヘスティアを取り出して二人に見せる
「なるほど、動力炉型の〈エンブリオ〉なんですね、戦艦を動かしている謎が分かりました。それでは話をさせていただきます、超級職であるお二人に依頼を出したいのです」
「依頼?」
アルストとベルドルベルは顔を見合わせる。超級職であるという言葉から並みの〈マスター〉には依頼できない内容なのだろう
「実はこの街にある〈マスター〉が入り込んでいます、お二人にはその〈マスター〉を倒すのを手伝ってほしいのです」
「質問をいいか?」
「どうぞ」
「ますその〈マスター〉の名前は?そしてなぜ私たちなのだ?超級職とはいえ私たちは非戦闘系。普通に戦闘系の〈マスター〉に頼んだ方が早かったのではないか?」
「名はレフト、私の実の弟です。弟はレジェンダリアとカルディナで指名手配を受けています」
その言葉に二人は驚く。指名手配を受けていると言う事はただの〈マスター〉ではない
「なにをして指名手配を受けたのですか?」
「・・・ティアンの殺害です」
◇
ライトとレフトは双子だった
親でさえ簡単に見分けがつかないほどにそっくりで性格も似ていた
二人はゲーム好きで〈InfiniteDendroguram〉が発売されると人気で数ヶ月買うのが遅れたが二人とも同じ時期に始められた
キャラクタークリエイトが終わりライトはレジェンダリアを選んだ、するとレフトも何も話し合わずに似たキャラクターを作り同じ国を選んだ。しかしただ一つ、違う所があった、ライトは右目、レフトは左目を赤のオッドアイにしたのだ
その後二人は一緒にレジェンダリアで共に成長していった
しかし、二人が別々に行動を仕出すきっかけが起こった
モンスターがティアンを襲っている所を目撃したのだ
二人はモンスターを倒しティアンを救うが間に合わなかった者達もいた
ライトがもう少し早く着いていればと後悔する近くでレフトはティアンが死んでも何も感じなかった
この時、長年一緒に生活し好みや嫌いな物が一緒だった兄弟だが一つの違う物が見つかった
ライトは世界派でレフトは遊戯派だったのだ
◇
「あいつがティアンを殺害した時私はあいつに聞きました、なんでそんな事をしたんだと、そしたら『ティアンの方が同じモンスターより経験値が良いしレアなアイテムを持っているときがあるから』とあいつは言いました」
「私はあいつを倒すことにしました。あいつはティアン殺害がばれレジェンダリアで指名手配を受け倒されたら監獄に送られるので私は知り合いの戦闘職の〈マスター〉に頼んであいつを倒すことにしました、しかし倒せなかった。あいつの〈エンブリオ〉と超級職の前に私たちは倒されました」
「超級職か、面倒ですね」
「何系統の超級職なんだ?」
「・・・あいつの超級職は短剣スキル特化型超級職【
「「!!」」
「あいつは先代【牙神】を倒しその座を手に入れたようです」
【牙神】
先代【牙神】は【牙神】の座を狙っていたレフトに見つかりやられ、【牙神】の座を奪われた。もちろん【牙神】の居場所を教えたのは〈DIN〉
〈蜃気楼〉の【牙神】が【舞姫】にやられることが確定しているので使わせてもらうことにしました