『腹が減った』
そこはラチスの地下深く、ソレは光が無い暗闇の中そう言った
『忌々しい檻も弱くなってきている』
ソレは嬉しそうにそう言うと長い年月で痩せた体を動かし檻に近づくと檻を噛み始めた、いままでならそんな事は出来なかったがレフト達のおかげで檻の力は弱まっており楽々と出来るようになっていた
『あれから何年たったか、いやそれよりもまずはここから出なければ』
そう言うとソレは、【食竜王 ドラグイーター】は檻を食らい始めた
ライト達は、いや、ラチス居る者達もこう思っている。昔ラチスと言う街が出来る時、ティアン達は近くの遺跡で動力炉を見つけ魔力式の大砲を壁に設置し身を守ったと、しかしそんな大砲など効かない地竜が生まれたら意味が無い、現に長い時でそんな地竜は数匹生まれている、それでもラチスがまだ残っているのはここら一帯の自分達の祖先を食い物にしていた食竜王への畏怖である
それではなぜ食竜王がこんな所で檻の中にいるのか、それは食竜王の油断からなる物だ。地竜すらも獲物にする己にとって地竜以下のティアンなど眼中になかった、しかしある超級職によってこの巨大な檻の中に囚われ長い年月を檻の中で過ごし食の竜王に恥じぬ巨大な体はやせ細り力も衰えていた
『肉を巨大な地竜の肉を!!』
まだ外で暮らしていた時食べていた地竜の味を思いだしながら外へと出るために堅い鉄に噛り付くが壊すのに時間がかかりそうだった。
長い月日何も食べておらず衰えていると言うのもあるがこの檻が特別製というのもあった
この檻は元々先々期文明のある生産職が作った物で最初は化身を閉じ込め、化身の力を吸出し、その力で化身を倒すために作られた檻だった。実際は一番可能性があった獣の化身にも勝てず一度も使うことなくお蔵入りになってしまっていたのだが
『時間を掛ければ出れそうだ』
動力炉が無い今、檻の中のモンスターをおとなしくさせるために送られていたMPはもうなく檻の強度でドラグイータ―をこの場に留めているだけでドラグイータ―が外に出るのも時間の問題だった
◇
「ライトさん、無事倒せたようですね」
「アルストさん。ええ、無事に」
周りを見渡すと建物の明かりがつき人々が窓からこちらを見ていた
「あんな騒ぎがありましたからね、皆起きたようですね」
暫くすると武装した人々がこちらに向かって来る
「アルストさん!これは一体」
「エドさん、実はこの街の動力炉を奪おうとしていた輩がいて」
「なんですって!あれが無いとこの街は」
「大丈夫です動力炉なら・・・」
「ここだ」
「ベルドルベルさん!」
声の方に振り向くと無傷のベルドルベルが一つのアイテムボックスを片手に歩いてきていた
「無傷とはさすがですね」
「あんな奴らにはやられんよ」
ベルドルベルは警備隊の人にアイテムボックスを渡す
「終わりましたね」
「ああ」
これで終わり、そんな空気が流れだした時
GUAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!
一体のモンスターの鳴き声が街中に響いた
「今のは!?」
「エドさん!」
「どうした!」
「街の外にモンスターの大群が、〈UBM〉もいるようです!!」
それは若い地竜達の群れ。地竜は今まで決してラチスには近づかなかった、親に食竜王の事を聞かされその恐ろしさを知っているし恐ろしい気配がするからだ。しかし食竜王が暴れていた時代から長い年月が経ち、若い地竜達にはそれを自分達を驚かすための作り話に聞こえたし街からもれる気配も自分たちのリーダー、逸話級〈UBM〉【岩竜王 ドラグロック】には負けると思っていた
今日、突然目障りな人間達を守っていた結界が消え、あの気配も無くなった。ドラグロック達はあんな目障りな街など簡単に潰せると気楽に考えていた
『ドラグロック様、人間共が私達に気付いたようです』
『かまうな、どうせ我々の脅威にはならん』
『・・・ん?』
ドラグロック達が笑う中、一匹の地竜があることに気付いた
『どうした?』
『いや、何かに見られたよう・・・』
その瞬間、話していた地竜が消えた
『な!?』
『おい、何処に隠れた、ふざけるのも・・・』
また消える、流石にこの異常事態に気付いたドラグロック達は周りを見渡す
『何だ、誰だ!』
周りは良く見えず、ただペチャペチャと音が聞こえる
『おい、この音』
『言うな』
全員、この音の正体には気付いているしかし誰もその音の正体を言わない、認めたくなかった
『う、うわああああああ!』
『バカ!戻ってこい』
恐怖に負けた一匹の地竜が逃げ出すしかし、それをごちそうを目の前にした食竜王が許すはずが無く
『うわ!やめろ、やめろおおおおおお!!』
また一匹、餌になった
『クソ!襲うのは中止だ、全員散り散りになって逃げろ!!』
それと同時に地竜達は逃げ出す
『・・・へえ、めんどくさい事を』
それからは早かった、遠慮しなくなったドラグイータ―は次々と地竜達を食べていく
『ハア、ハア、実在したのかよこんな化け物が』
最後に残ったドラグロックは傷だらけになりながらドラグイータ―を睨む
『だが、こんな所で食われてたまるかあああ!』
ドラグロックは竜王気を身にまといドラグイータ―に攻撃をするが攻撃を当てても直ぐに傷が再生してしまう
ドラグイータ―はドラグロックを掴むと口へと持っていく
『クソ!クソ!何故地竜を食らう!お前も地竜だろうが!!』
その言葉に今まで反応を示さなかったドラグイータ―は初めてドラグイーターを見ると
『昔、俺は餓死しかけていた時が有った、しかしその時には近くに食べれるものが無くあるのは地竜のみ、気づいたら周りの奴らを食い終わってたよ。その時思ったね』
『ああ、何でこんな美味い物が近くに有ったのに今まで食べなかったんだろうってね』
その瞬間、ドラグロックは理解した、こいつは地竜何かじゃないと、同族を食らい楽しそうにもっと早くに食べたかったと言う化け物が自分と同じ地竜ではない、有ってほしくないと
『〈UBM〉は一回食べたことはあるけど地竜の〈UBM〉は初めてだな、楽しみだなあ』
そう言うとドラグイータ―も竜王気をまといドラグロックの竜王気、そして名にもなっている堅い岩の様な体も煎餅を食べるように直ぐに食べ終えた
「・・・〈UBM〉を食いやがった」
一人の〈マスター〉がそう呟く、ドラグロック達を倒すために集まったメンバーは信じられないようにドラグイータ―を見る
そんな視線に気付いたのかドラグイータ―はそのまま何処かへと去って行った
(昔と比べて地形はあまり変わっていないな)
ドラグイータ―は昔寝床にしていた所に行くと長い年月で草木が生えているのも気にせず横になる
(久しぶりの豪華な食事だった)
極上の食べ物、〈UBM〉を食べドラグイータ―は満足だった、しかし
(足りない、食い足りない)
食べ物の質が良くても量が少なかった、長い年月でドラグイータ―はやせ細り十数匹の地竜を食べてもまだ腹が空いていた
(まずは腹ごしらえだ、この辺りも長い年月が経っているなら何か居るだろう、ある程度食ったら次はあの街だ)
ドラグイータ―は自分を長い間閉じ込め空腹を与えたラチスを恨んでいた
(あの街に住む者達だけじゃなくあの街もすべてこの腹に収めてやる)
【食竜王 ドラグイーター】
数百年も前にラチスの英雄、そして一人の超級職に封印された竜王、前に仲間を食べてその美味さを知ってから地竜をよく食べるようになり気付いたら〈UBM〉になっていた。地竜を殺すと食料がドロップするが地竜の方が美味しいと感じているため地竜を生きたまま食べる。
・ドラグイーターを閉じ込めていた檻
先々記文明の宝物獣の珠の様な物、作ったは良いが膨大なMPが必要だしそもそも化身を捕まえられず一度も使われずにお蔵入りになった。