第30話
「すいませーん、レムの実一つくださーい」
「はいよ!一つ50リルね」
決闘都市ギデオンの露店でレムの実を買い、上機嫌で歩いていくロボット、いやロボットの着ぐるみを着ているアルストはそのまま人気の少ない路地に入って行き、3人の仲間を見つける
「あら、私が最後ですか」
「あるすとおそい、もうはなしおわった」
「あ、そうですか、まあ私が居なくてもこの作戦は成功するでしょうしそもそも私は付いてきただけなので何もないなら〈超級〉同士の戦いを見て帰るだけなのですが」
「いやいや付いてきただけじゃないでしょ、作戦が成功したら君にはある人物をドライフまで送って貰いたいからねぇ」
「冗談ですよ、分かってますって。その位はしないといけませんからね」
「じゃあ君の出番の時は合図をするから、【ヴィーヴィル】の準備は出来てる?」
「さっきヘスティアを持って行ったので必要になる時には準備万端になっているはずです」
「じゃあ君は決闘は見ても良いけど作戦が始まるまでに闘技場から離れて【ヴィーヴィル】の所に向かってねぇ」
「はい、じゃあもう少し楽しんできますね」
アルストはそういって人が多い通りへと戻っていった
◇
□【聖騎士】レイ・スターリング
「えーと、こっちで良いのかな」
俺が冒険者ギルドで懸賞金を受け取り、ガチャを引こうとアレハンドロさんの店に向かっていると
「あれ?」
中央闘技場に隣接した広場で見覚えのあるシルエットが
『おおう、大人気クマー!気分は来日スタークマー!』
『あ、危ないメカ!気をつけてのぼるメカ』
・・・見覚えのないシルエットもあった
「・・・・何してんのさ、兄貴」
子ども達のアスレチックになりかけている二人のうち兄に声を掛けると
『む、俺をお兄様と呼ぶのは・・・おおレイじゃないかクマー!』
「クマニーサンも久しぶりなきがするのぅ」
そして、そのまま兄と少し話しをするが、まだ兄は子供に囲まれており、揉みくちゃのままである。しかも少しもう一人の着ぐるみの人の方に行き、着ぐるみの人が助けを求めているように見える
『はーい子供達―!クマさんとメカさんはそろそろいかねばならぬクマー!お別れにお菓子あげるクマー』
『メカさんはワッフルをあげるメカ』
子ども達はお菓子とワッフルを貰うと「くまさんめかさんありがとー」と言って順に去っていく
「王都でもやってたよな」
『フッ、この着ぐるみで動く時には必須クマ』
じゃあ脱げば・・・って脱げないんだった
「それより兄貴、この人って兄貴の知り合い?」
一緒に子供たちに囲まれていたし
『いや?初対面で名前すらしらないクマー』
『私はたまたま通りがかったらクマさんが子どもたちに囲まれていて着ぐるみを着ていた私もなぜか一緒に囲まれただけですよ・・・あ、メカ』
どうやら「メカ」は兄に合わせてやっていただけらしい
『そうクマか、巻き込んですまなかったクマ』
『いえいえ、いままでこんな事無かったので楽しかったメカ』
一応続けるんだ、それとも気に入った?
「おい、何か残ってるぞ」
『そうだなクマー』
見ると兄の頭頂部分にまだへばりついているものがあった。
ハリネズミとかヤマアラシをデフォルメしたような生き物が兄の頭部にへばりついていた。それを見てメカの人は動かなくなってしまったがそういう系の動物が苦手なんだろうか?
「すみません、うちのベヘモットがご迷惑をおかけしました」
ベヘモットが兄の頭から飛び降り、迎えに来た〈マスター〉の胸元に飛び込んだ
「それでは失礼します」
『あ、ちょっと待つクマ』
兄は彼女を呼び止め、アイテムボックスからお菓子を手渡す
『プレゼントクマー。二人で食べてクマー』
『つ、ついでにワッフルもあげるメカ、沢山あるから二人で仲良く食べてほしいメカ』
「・・・ありがとうございます」
『thx』
ベヘモットと〈マスター〉が居なくなると、メカの人は疲れたように座り込んだ
『緊張したメカ』
『小動物が苦手なんですか?』
おれがそう聞いてみると
『え?ああ!そうなんだメカ!前にちょっとあって小動物が少し苦手なんだメカ』
メカの人は立ち上がると驚いたように
『もうこんな時間メカ!急がないと間に合わないメカ!それじゃあ今日は楽しかったメカまた何処かでメカ~!』
そういうと走って何処かへ行ってしまった
「面白いやつだったのう」
『あいつとはまた何処かであう予感がするクマー』