「【ヴィーヴィル】のガレージを開ける!直ぐにMPを生成!!」
『了解!』
アルストは地上に出ると【ヴィーヴィル】が入ったガレージを開け中にヘスティアを放り投げる。ラスカルが持つと言う兵器を警戒しての事だ
「燃料を使って直ぐに飛べるようにする」
アルストは出てきたウィンドウを操作してヘスティアに今まで貯めてきたリソースの半分を使う。完全では無いが何とか飛ぶことができる程になる。何かが近づいてくる音が聞こえその方向を見ると竜の姿をした〈マジンギア〉がこちらに向かってきていた
「別の出口があったか」
只の無関係な人物ではないかと言う期待はしない。アルストはガレージの中に飛び込み【ヴィーヴィル】に乗り込む。それを確認するとヘスティアがまず結界を起動しその次に浮遊装置など【ヴィーヴィル】を動かすのに必要な装置にMPを注ぐ、ヘスティアはガレージ内が壊れるのも気にせず推進器にMPを注ぎガレージから飛び出す
『逃げますか?』
「相手に背中を見せるのは危ないな」
相手は兵器運用特化の超級職にDEX特化の煌玉人。まだ結界が薄い今なら簡単に【ヴィーヴィル】を落とすだろう
「攻撃は余裕があれば、今は回避優先、生成MP量が増えたら機動力と結界に振って」
『了解』
「あれが【ヴィーヴィル】か、戦争まで皇国で完全に隠されていたから見たことが無かったな」
「すごいですねー。本当に作ろうと思いますか、あんなに重い金属の塊を浮かそうだなんて」
「まああいつの〈エンブリオ〉が無いと無理だろうな」
「煌玉竜の動力炉とどっちが上なんでしょう?」
「あの〈エンブリオ〉だろう」
アルストの〈エンブリオ〉はMP生産特化と聞いた事があったラスカルはそう判断する。まだ第六形態らしいので仮に〈超級〉になればMPの生産量はさらに莫大になるだろう
「
「ラジャー!《ラッシュ・ミサイル》」
紅縞瑪瑙から十六発のミサイルが飛んでくるがヘスティアは冷静に対処する
『
【ヴィーヴィル】に取り付けられた【アンキュローサ】全機が手に持つ杖から一斉に電撃を放ち【ヴィーヴィル】に近づくミサイルは途中で爆発し勢いを大きく削られ結界の破壊には至らなかった
「ありゃ?」
「おい、俺が整備したときは徹甲弾頭のはずだったが?なんで徹甲焼夷弾頭になっている」
「えーと、殺傷力を上げるために交換したんですけど・・・」
「徹甲弾だったらあの邪魔な結界を破壊できたんじゃないのか?」
「・・・」
「帰ったらペナルティだな」
「そ、そんなー!」
「・・・結構上に行かれたな」
「そうですねーここからだとゴマ粒位の大きさに見えますね」
「巡航砲撃形態から超越狙撃形態に移行、超長距離狙撃銃砲を使う」
「お!とうとう使いますか、あんな竜もどき一発で落としてやりますよ」
「煌玉人が壊れる、浮遊装置を壊せ」
「アイアイサー」
勿論【ヴィーヴィル】を飛竜戦艦たらしめている浮遊装置は【ヴィーヴィル】内の最も攻撃が届かない所に隠されているが今まで数々の物を作ってきた
「発射~!」
放たれた砲弾は少しずれて【ヴィーヴィル】の左足を破壊する
「ちゃんと狙ったよな」
「はい。超本気でやりましたよ」
はるか上空にいる敵に当たったが二人は予想外と言うように話す
本来ならDEX特化型の煌玉人の攻撃を避けることなどほぼ不可能なのだ。相手の機体性能を考えて避けられないだろうとラスカルは予想していた。
「お前の演算を乱す、予測した何かが有るという事か」
「あ~・・・起きちゃいましたか」
◇
【紅縞瑪瑙】から攻撃が来る少し前アルストは【ヴィーヴィル】の中でヘスティアに指示を出していた
「とりあえず距離を取れ!最悪一発で破壊されるぞ」
『了解』
「何か見るからに危ない装備してるし。羨ましい、何処かにもう一体位煌玉人居ないかな」
アルストがモニターに映る紅縞瑪瑙を見ながらつぶやくと
『・・・ここにいます』
「まあ確かにいるんだけどね」
『マスター誰と話しているんですか?』
「え?今ここには俺以外ヘスティアしか・・・」
『・・・私がいます』
・・・・
「動くの?」
『・・・少しずつMP貰い何とか。MPください』
「あー悪いけど今はちょっと無理だ。戦闘中でな」
『・・・手伝います。接続の許可を』
「接続?手伝ってくれるなら良いけど」
それを聞くと煌玉人・・・仮に0号機は首から無数のコードを出しそれぞれがヴィーヴィルの至る所を這い機械の隙間へと入っていく
『!マスターMPを吸収されています!!』
『失礼、彼から吸収しただけでは最低限でしたので少し手荒になってしまいました。この戦艦には何の影響もございませんのでご安心ください。現在の状況も簡単に理解しております、下に居る妹からこの戦艦を守り逃げ切ればいいのですね』
「そうなんだけど・・・あれ?妹って分かるの?」
マキナが言ったことを考えると二人とも存在すら知らないのではとアルストは思ったが0号機は簡単に
『私が眠っている間も情報は遺跡に貯めこまれ私の中に保存していました、ですのであなたが〝化身〟の関係者である事も知っています』
「〝化身〟?いや俺は皇国のクラン〝叡智の三角〟の・・・」
『今話している場合ですか!?』
「ああそうだった。手伝うって何をしてくれるの」
「まずは・・・攻撃の回避です」
そういうとヴィーヴィルは急な体勢の変え方をする。すると直ぐに何かが当たった音がする
「何だ!?」
『被弾!左足が破壊されました。いま態勢を変えていなかったら重要機関が破壊されていたでしょう』
「そうか、左足を壊されたがそれくらいなら大丈夫だな、次も何とか避けてくれヘスティア」
『いえ、違います。【ヴィーヴィル】を動かしたのは彼女です』
「!!」
『緊急事態でしたのでお許しください』
「そう言えば『攻撃来ます!!』」
アルストが質問しようとした時、下からまたミサイルが飛んでくる。雷霆防幕で防御するが数が多く何発か結界に嫌な音を出していた
「あいつら本気出してきたな」
『私に火器管制の権限をください』
「え?あいつらどうにかできる?」
『もちろん』
「じゃあおっけー。ヘスティア」
『了解』
ヘスティアは攻撃が少し途切れたタイミングで【アンキュローサ】の操作を止める、すると0号機は直ぐに【アンキュローサ】の操作権を手に入れ紅縞瑪瑙に向けて攻撃を開始する
◇
「わあ!撃ち返してきましたよ!!」
「回避」
「イエッサー!」
マキナは言葉とは裏腹に一切のミスが無く【紅縞瑪瑙】を操縦して攻撃をかわす、しかし
「・・・おい、掠ってるぞ」
「ん~、8なんて言いましたけど厄介ですね。こちらの動きを学習しているような」
「何?」
厄介な、とラスカルは思ったがそれとは別に十分だと思った
「コジャーソに連絡できるか?」
『ちょっと待ってくださいね・・・できました!どうぞ話してください』
【紅縞瑪瑙】にスピーカーの一つから何やら驚いた声が聞こえる。【紅縞瑪瑙】と【ヴィーヴィル】通信を繋げたと分かったラスカルはそのまま喋る
「アルスト・コジャーソ、少し話がしたい。戦いは一旦止めよう」
◇
0号機から突然通信が来たと言われ驚いていると【ヴィーヴィル】からラスカルの声が聞こえた
『アルスト・コジャーソ、少し話がしたい。戦いは一旦止めよう』
先ほどまでと180°の行動に驚きヘスティアと0号機の二人もどうするのかアルストの指示を待つと
「・・・分かった、話とは?」
『一つ提案だ』
「何?」
『〈IF〉に入らないか?』