「さて、カルディナの領土に入って数時間経ったがまだ着かないのか?」
「もう少しです、もう少ししたら目当ての遺跡が有るはずです」
「遺跡?先々期文明の兵器でも狙ってるのか?」
「いえ、今向かっている遺跡は・・・」
『下に砂上船を発見。客船の様で何者かに襲われている様子で船の一部が壊れ壊れた場所からカルディナ所属の〈超級〉マニゴルドを確認』
「マニゴルドか・・・めんどくさい相手だ。放っておこう」
「いえ待ってください。ヘスティア、彼が戦っている相手は」
『はい、以前戦ったことがある【器神】ラスカルの兵器です』
「ラスカルか、ますます相手にしたくない」
アルストは以前ラスカルに行った行動を思い出し関わりたくないとヘスティアに無視し進むように指示を出そうとすると
「待ってください。これから行く場所に彼らを連れて行きましょう、そうすれば成功率がぐっと上がります」
「いや、あいつらが素直についてくるとは思えないぞ?前回の事もあるし。何よりあらゆる攻撃を金に換えてその金で攻撃してくる奴をどうする」
「隙を見つけて介入するしかないですね」
「隙ね、とりあえずチャンスがあるまではこのまま上に隠れてるぞ。チャンスが無かったら諦めろ」
「了解」
□
【装甲操縦士】ユーゴー・レセップス
私は今余りの展開に頭が追い付いていなかった。
〈叡智の三角〉の皆が作った【インペリアル・グローリー】に乗っている敵と戦っていたら出現した紅白の機械竜、彼らは私を脅威とも思っていないようで二機は互いに全力で戦っていた。その場に
『上から失礼!ラスカルに用事があるからちょっと拉致らせてね!』
『ふざけるな!』
今度は空から急降下してきた黒の機械竜が紅白の機械竜を押さえつけている。ていうかあれ見たことあるんだけど
「アルストさん!?」
「あれ?ユーゴー!え、何でここに・・・あ!そっちには【インペリアル・グローリー】!!?」
「その声はアルスト・コジャーソだな、この機体の設計責任者であったお前ならば知っているな。内臓兵器使用時の音声照合をオフにする方法を教えろ!」
カーティスは恨みのこもった声でアルストにそういうが
『え、無いですけど』
「・・・なに?」
予想外の答えに一瞬反応が遅れてしまうカーティス
『音声照合はクランメンバーが『技名叫んだ方がカッコいいよな!』とかいう理由で搭載した物で機能をオフにする仕掛けなんて無いですよ。〈叡智の三角〉のメンバーは機能とか性能よりも様式美優先で物を作る事が多いので偶にそういう不便な所があるんですよね』
「では何らかの意趣返しやラインハルトの手が回っていたわけでもなく」
「完全にメンバーの趣味による影響ですね」
「ふ、ふざけるなぁぁ!!」
そういってカーティスはヴィーヴィルへと向かっていく。ていうかやっぱりあれオフにする機能ないのか。自分の命を預ける相棒が下手したら相手に利用される重大な欠点を抱えている理由が制作者の趣味など激怒して当然だ。少しだけ同情するが怒りで完全にこちらを忘れていたので仕掛けることにした
「ニアーラさん!」
□
【魔装王】アルスト・コジャーソ
「あらら、何も見えない」
「鳥型の機械が爆発したのを確認、爆発の衝撃で確認が取れませんがあの二人の兵器には効果は薄いはずです」
ヴィーラの言う通りこれは目くらましにしかならない、ユーゴーもそれを分かっているはずだが何をするつもりなのか
「《煉獄閃》!」
「新しいスキルか」
みればスキルによって生じたエネルギーブレードはラスカルとカーティスの乗る機体に傷を付けラスカルの方は分からないが【インペリアル・グローリー】コックピットまで刃が入り操縦者にダメージを与えているのは確実だった
「ご主人様!?」
聞こえてきたのはマキナの声、今の攻撃がラスカルに当たったようだ
ラスカルの乗る機体は強引にこちらの拘束を振りほどくと猛スピードで離脱していく
『申し訳ありません、逃がしてしまいました』
「ヴィーラ、本当に今から行く場所にラスカルたちの力が必要なんだな?」
「彼ら、というか設計者が居るのといないのでは成功確率が大きく違います」
「分かった。ユーゴー、久しぶりの再会だが俺はあいつを捕まえないといけない。またな」
「ええ、貴方も」
ユーゴーに手を振り俺たちは逃げるラスカル達を捕まえるために砂上船を離れた
□
「・・・ん、ここは」
『起きたか』
凍結が治りラスカルが最初に目に入ったのは最後までいたコックピットでは無くどこまでも続く砂漠。そして上からの声に舌打ちをする
「・・・俺をキルするつもりか?」
『まさか、それならお前が凍ってるときにするさ。俺が頼みたいのはそれだ』
ヴィーヴィルが器用に爪の一本を誓約書を持ったマキナに向ける
「どうぞ、ご主人様」
「・・・」
ラスカルはヴィーヴィル、その中にいるアルストを睨みつつマキナから誓約書を受け取り文章を確認する
『それの内容は互いに危害を加えずこれから行く〈遺跡〉に付いてきて少し手伝いをして欲しいって話しだ。ヴィーラが言うにはそこのマキナに頼みたいことがあるらしい』
「・・・良いだろう」
□
『意外です、彼が素直に受けるなんて。何を考えているんでしょう』
ヘスティアはヴィーヴィルのカメラからラスカルの乗る機体を見ながらアルストに聞いてみた
「まあ仕方ないってのもあるが多分興味があるんだろうな」
『興味、ですか?』
「皇国がもうすぐ王国と大事な会議があるってことは当然知ってるはず。そんな大事な時期に最近〈超級〉になった俺が危険を承知でカルディナにヴィーヴィルに乗ってきている。それほどまでの価値がある〈遺跡〉ならどんな〈遺跡〉なのか、誓約書の効果が切れたら奪ってしまおう。とでも思ってるんじゃないか?」
『成程、しかしそれはまずいのでは?』
「ご心配なく、今から行く遺跡にある物は再使用までにかかる時間が百年単位で必要なので奪われても問題ありません。そもそも私がいないと使えませんから。・・・あ、付きました」
「・・・砂漠しか見えないんだけど」
「何分重要な場所ですので。入り口を開けられるのは私かフラグマンだけでしょう。ロック解除」
ヴィーラが遺跡への入り口のロックを解除すると大きな地響きと共に砂に隠されていた扉が開く