ある男の飛竜戦艦   作:ゴロゴロ鼠

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第57話

□【魔装王】アルスト・コジャーソ

 

クラウディア姫から指示により会議に出ずヴィーヴィルの中で待機。合図が来たので向こうの三巨頭含め全員を相手にする位の気概だった、しかし会議場まで行ったら【獣王】からの『手を出すな、ブチ殺すぞ?』というサイン、意味が分からない。味方じゃなかったのか

手を出したら本当にブチ殺されそうだったのでその場に居なかったクラウディア姫に指示を仰ごうと探した。煌玉馬に乗って王国の王女と戦っていたので援護しようかと近づこうとしたら『ブチ殺(以下略)』じゃあ会議の場に居なかった【破壊王】の所に行こうとしたら『ブチ殺(投石)』が来た

 

・・・俺、ここにいる意味有るんですか?

 

「あ、ご主人様。遠くの方に人影が」

 

「また『ブチ殺』案件じゃないの?」

 

「皇国の人員はもういないので大丈夫か・・・ッ!」

 

「うげ」

 

急な回避行動、体は固定しているので椅子から投げ飛ばされることは無かったが変な声が出てしまう

 

「敵ですご主人様!」

 

ヴィーラはヴィーヴィルの頭を今攻撃してきた者へと向ける、そこに居たのは

 

「・・・成程、これは大物だ」

 

そこに居たのはメイド、勿論ただのメイドではない。背中から翼を生やし結界と《魔装》を展開しているヴィーヴィルにダメージを与えるとヴィーラが判断するほどの強さ

 

「【四大冥土】・・・それにあれは・・・【堕天騎士】か」

 

「他にも地上に多数の〈マスター〉が」

 

「王国側の増援か、成程。こいつらなら『ブチ殺』案件にならなそうだ。ヴィーラ」

 

「了解、《火竜撃咆》(インシニエイトフレイム)!」

 

ヴィーラの指示通りにヴィーヴィルは口を開く、そして喉の部分に仕込まれた特典武具【三砲玉 インレイト】から炎の噴流が出て敵を包み込む

 

「効果ありません」

 

「流石上位ランカーだな」

 

自前のスピード、耐性、アイテムなど色々な手段で被害を最小限にした彼女たち、そして《火竜撃咆》の射程外の地上にいた《マスター》達もスキルや〈エンブリオ〉で攻撃をしてくる

 

「ご主人様、《魔装》の効果で減退させた上でもかなりの威力の攻撃が結界に届いています」

 

「・・・《魔装》の効果を受けていない攻撃もいくつかあるな、能力は弱体化の無効化か?これだから未知の〈エンブリオ〉ってのは。MPの消費率は?」

 

「現在の消費率は8割、攻守ともにギリギリです」

 

「攻撃を減らせばかなりの強さを持つメイドと結界をすり抜けることが出来る闇属性魔法を使う【堕天騎士】が近づいてきて防御を薄くすれば結界が割られて地上の〈マスター〉達の集中砲火をもろに受けると」

 

(やはりランカー上位陣達との戦闘となるとMPの消費が高いな)

 

現在のヘスティアのMP最大生成量は12万、第六から一気に倍の生成量になった。しかし12万と言う膨大なMPでもヴィーヴィルの本当の実力を出すには至らない。

 

(ヴィーヴィルを空へと上げるための浮遊装置・アンキュローサが持つ魔杖計48本・ヴィーヴィルとアンキュローサを動かすための魔力変換機構・結界・《魔装》・《強給過多》、これらを最高の状態で使うにはヘスティアの必殺スキルを使うしかないが・・・)

 

ヘスティアの必殺スキルを使えばこの場の王国〈マスター〉達を倒すことが出来る、しかしヘスティアの必殺スキルはコストが高くそれ以降はヴィーヴィルを動かすことが出来なくなってしまう

「ご主人様、新手です」」

 

必殺スキルと使うべきか判断している時、新たなモンスターが出現、それは翡翠色の雲の様な姿をしたエレメンタル系のモンスターで雲の中央にある大きな眼球でこちらを見ている

 

「【四大冥土】の一体、ッ攻撃中止、《魔装》と結界にMP集中!」

 

エレメンタルは出てきて直ぐ、大雨と雷をヴィーヴィルに落とす

 

「ご主人様、この大雨により敵を見失いました」

 

「結界に気を付けろ、この状態では向こうもこちらに近づいてくるのは難しいはず。6倍消費の《火竜撃咆》であのエレメンタルを倒す。あれを囮にして攻撃中に突っ込んでくるなら雷霆防幕(サンダリングカタラクト)を展開、タンクの保存MPも使用して問題ない」

 

「了解」

 

ヴィーヴィルは頭を上に向けると先ほどと同じように口を開け攻撃準備に入る。バチバチと音を鳴らした後、炎は一気に上に向かいエレメンタルの一部に直撃

 

「―――――――!」

 

強化された《火竜撃咆》が効いたようでエレメンタルは雨を止めてしまう。

雨が止み視界が確保できたヴィーラはヴィーヴィウに取り付けられたカメラを使い索敵を行うが

 

「敵の姿なし、逃げた?」

 

(いや・・・)

 

この状況でそれは無い。地上に降りた、という選択も《火竜撃咆》を見た後ではそんな悪手を取ろうとは思わないだろう、地上ではなく、ヴィーヴィルの周りを隈なく見る事の出来るヴィーラが見つけられないとなると

 

「あのエレメンタルの裏だ!」

 

その瞬間、エレメンタルが消える。【傾国】のジュエルに戻ったのだろう。

エレメンタルが消えるとその奥には【堕天騎士】と一匹のドラゴン、それに先ほどまではいなかった一人の〈マスター〉がドラゴンの背に乗っていた

 

「ッ!急いでここから離れろ」

 

〈マスター〉が誰なのか分かった俺は急いでヴィーラに指示。それを即時に実行しヴィーヴィルの推進器に魔力が送り込まれその場から離れようとする、しかしそうはさせないとドラゴンがこちらに向かって攻撃を行いヴィーヴィルの動きを牽制する

 

「攻撃が強く動けません!」

 

「間に合わないか」

 

外を見てみるとドラゴンの背に乗っていた〈マスター〉、【大海賊】のチェルシーは自身の〈エンブリオ〉である斧を構えている

 

(あの時、〈超級激突〉の時ギデオンで見た彼女の〈エンブリオ〉の必殺スキルは厄介だ)

 

俺が警戒していると警戒しているとチェルシーの持つ斧が消える、ギデオンで見て必殺スキルの準備動作だった

 

(もうすぐ頭上から数万トンの液状黄金が落ちてくる!)

 

「ヘスティア!」

 

『《金牛大海嘯》ポセイドン!』

 

モニターから聞こえてくる必殺スキルを発動する言葉、その瞬間大質量の液状黄金がヴィーヴィルを飲み込んだ

 

 

「・・・やったかな?」

 

黄金を呼び出した本人であるチェルシーはいまだ黄金に呑まれたヴィーヴィルに動きが無いのを見て重さで落ちたのかと思う

 

(落ちたなら地上に居る〈マスター〉達も全力で攻撃できるんだけど)

 

「敵二つの力と無限の可能性の一端を極めし者。半身の至高なる力も解放されておらず」

 

「・・・彼女は何と?」

 

「相手は二つの超級職を持つ〈超級〉、必殺スキルも使っていないみたいだから気を付けてだって」

 

チェルシーは背に乗せてもらっているドラゴン、【傾国】キャサリン・金剛のテイムモンスター【四大冥土】の一匹であるルビエラにジュリエットの言葉を翻訳して伝える

 

(確かに〈超級〉がこんなあっさりやられるとは思えない)

 

〈超級〉とはデンドロにおいて全プレイヤーの内100人にも満たない人数しかいないトップ集団、彼らの持つ〈超級エンブリオ〉は他の同系統の者達の追随を許さない

 

(それに、なんか聞こえた気がしたんだよね)

 

チェルシーが聞いたのは船内の只の慌てた声か黄金に物が潰れる音だったのか、それとも・・・

 

『・・・ッ捕まって!』

 

ルビエラがその場を離れた瞬間、黄金の中からヴィーヴィルが飛び出してくる、ルビ家らがあの場を離れなければヴィーヴィルの突進を受けていただろう。

 

『焦った、ギデオンで貴方たちの戦いを見ていなかったら間に合わなかったかもしれない』

 

「・・・さっきよりも結界も《魔装》も強くなってる。必殺スキルかな?」

 

『ええ、さすが上位ランカーの皆様。警戒はしていたのですが〈超級〉になり少し慢心していたようですな。ここからは、全力でお相手させていただきます』

 

□地上・王国の〈マスター〉達

全力でやると言う宣言後、ヴィーヴィルは槍の様な物を地上の〈マスター〉達に向けて射出。しかしその場にいるのは全員がレベルカンストした上級者、簡単に槍を避けるか破壊して誰もダメージは受けていない

 

「これ位で俺たちがやられるかよ!」

 

ヴィーヴィルはその後もいくつもの槍を打ち込むが〈マスター〉達には全くダメージが通らない

 

「何度やっても聞かねえよ!」

 

一人の〈マスター〉がそう言い降ってくる槍の一つを破壊、すると

 

「ッ何だ!?槍を壊したらロボットが」

 

「中にアイテムボックスを仕込んでたんだ!動き出す前に壊せ!!」

 

〈マスター〉の一人がそう指示するがそれよりも早くロボットが動き出す

 

『起動、接続問題なし、敵勢力の殲滅を開始』

 

「クソッ!いつの間に皇国は無人兵器何て作れるようになったんだ!」

 

「こいつらカルチュラタンの〈遺跡〉に居たやつらに似てる。どっかで手に入れて再利用してるんだ!」

 

その〈マスター〉の考えは惜しかった。このロボットたちはアルストが皇国に持って帰った煌玉兵を解析し量産可能となった新たな煌玉兵。動物を取り込みMPの供給源とする〈遺跡〉の煌玉兵と違い【ポーン】と名付けられたそれらはヴィーヴィルから無線でMPを供給されヴィーヴィルの指令用端末に繋がれた【風信子之統率者(ジルコン・リーダー)】からの命令を受け動いていた。

 

「皆落ち着いて行動しろ!数もそこまで多くない囲まれない様に注意すれば問題ない」

 

その言葉は正しく量産可能になったのは最近、現在の攻撃手段も威力の低い魔力弾を討つことしか出来なく〈マスター〉を【ポーン】だけで倒すことは不可能と言っても良い。

なので今回の【ポーン】の役目は相手を倒すことではない

 

「これで最後!」

 

そう言って〈マスター〉は自身の〈エンブリオ〉である剣でポーンを破壊、周りを確認する

 

「もうロボットはいないか?」

 

「ああ、それは良いんだが。なんだこの光の霞、最初は視界の端に見えるぐらいだったのにどんどん濃くなってるぞ」

 

「このロボットが出てきた時位からこれも出てきたよな。特に状態異常なんかにもなっていないが、何かの状態異常になるガス化?」

 

「一応気を付けておけ、アイテムや〈エンブリオ〉で状態異常を防げる奴ら直ぐに・・・ッ!」

 

直ぐに使用しろ、と言おうとした〈マスター〉はいきなりの爆発により周りに居た〈マスター〉達も含めてデスペナルティとなった

 

「キャア!」

 

「新手か!生き残ってるやつらは集まって全方位の警戒をするんだ!」

 

「ああ!分か・・・」

 

「何だ!急に消えたぞ!?」

 

「これってもしかして・・・」

 

「何だ、何か知ってるのか!?」

 

「ええ、でも王国では起こる訳が・・・」

 

「何でも良いから教えてくれ!何だこれは」

 

「レジェンダリアでよく起こると言われている現象<アクシデントサークル>・・・ッ!」

 

「何で王国に<アクシデントサークル>が・・・」

 

チェルシーはルビエラの背から地上の状態を観察していた。ポセイドンの黄金からヴィーヴィルが抜け出た以上遠距離攻撃の少ないチェルシーはルビエラとジュリエットのサポートに徹するしかない

 

「半身の秘めたる力を顕現した」

 

「うん、多分必殺スキルだよね」

 

チェルシーはジュリエットに返事をしながらここかどうすれば良いのかを考える

 

(また黄金を・・・いや、ほとんどが下に落ちてる。これじゃああの戦艦を落とすことは出来ない。何か弱点は・・・)

 

「至高の力も万能にあらず、いかに美しき杯も中身は限られる」

 

「・・・なんと?」

 

「いくら〈超級エンブリオ〉の必殺スキルと言っても何でもできる訳じゃない、絶対に限界があるはず、だって」

 

(そう、いくら超級エンブリオと言っても限界がある。仮に生成MPの上限を大きく上昇させる必殺スキルだとしても下の状況、おそらく生成したMPを何らかの手段で周りに放出してるんだろうけど<アクシデントサークル>が発生するレベルまで放出してるのに戦艦の方も【魔装王】の奥義で多分最大まで強化されてる。必殺スキルでそんなに生成量が何倍にも上がる物なの?)

 

「・・・いや、前提が間違えてる?」

 

「どうしました?」

 

「もしかして、必殺スキルの効果って生成量の数倍化じゃない?」

 

「え?でも〈エンブリオ〉の特性からしても」

 

(普通の言葉になりましたね)

 

ジュリエット語を忘れるレベルでジュリエットが困惑する、特性から見ても必殺スキルの内容はMP生成関連。じゃあ必殺エンブリオの効果は何なのか

 

「MPの生成量が増えるってのはあってるはず、じゃないとあんな馬鹿気た消費量の説明がつかない。必殺スキルの効果は数倍なんてチャチな物じゃない、ヘスティアの必殺スキルはMPを無限に生成するんじゃないの?」

 

「・・・え?」

 

「・・・ッ!あり得ない」

 

ジュリエットは息をのみルビエラは反射的に否定した。チェルシーが言った事はそれだけ常識から離れた言葉だった

 

「うん、私も自分で行ってて半信半疑。そこのところどうなの?【魔装王】」

 

チェルシーは先ほどから黙ってこちらの話を聞いていたヴィーヴィル、それに乗っていたアルストに話しかける

 

『正解だ。一定時間のMP無限製造、まあ一定時間MP使い放題とでも考えてくれれば良い、同じようなものだからな。それがTYPE:ジェネレートアドバンス・ガーディアン【機構炉神 ヘスティア】の必殺スキルだ』

 

その言葉に三人はショックを受けるチェルシーは自分で考えていたこともありショックは軽い物ですんだ、しかしジュリエットとルビエラはあり得ない物を見るようにヴィーヴィルを、正確にはその中のアルストを見る。長くデンドロプレイしているからこそ。デンドロの世界に生を受け〈イレギュラー〉と呼ばれる存在である者を父に持つからこそ、ヘスティアという〈超級エンブリオ〉の異常性が理解できる

 

「そんなの、〈超級エンブリオ〉でも出力の範囲外のハズ・・・」

 

『まあ色々とコストはでかいですよ。でも必殺スキルを使わないとあなた達は倒せそうにないので。そろそろ再開しますか』

 

アルストがそう言うとヴィーヴィルは三人への攻撃を再開させる

 

「ッ!二人とも耐えて!こんな反則級の必殺スキルなら制限時間も短いはず、時間になれば私たちの勝ちだ!」

 

『まあその通りですけど、私も〈超級〉の端くれ・・・あなた達にヴィーヴィルの攻撃を耐えられますか?』

 




【機構炉神 ヘスティア】
第七形態に進化したヘスティア、名前が少し変わった。TYPEもジェネレートアドバンス・ガーディアンに変化。他の〈超級〉と比較しても強大な必殺スキルを有しておりこの必殺スキルを手に入れるため一部のスキルをリソースにしている

進化前にヴィーラと話したことにより自分の役目(動力炉)に重きを置くようになり操縦や融合した機械の強化などはヴィーラや【魔装王】のスキルに任せてMP生成特化に進化。一応ガーディアンなので意思の疎通は出来る。たぶんヴィーラと話さなかったらジェネレートアドバンスに進化してないしこんな必殺スキルにはならなかった。

・ジェネレートアドバンス
現状ヘスティアのみのオンリーワンカテゴリー。エネルギーの生成に特化したTYPE

・《炉神の加護》
ヘスティアの必殺スキル、発動中生成MP無限。融合している機械にのみ有効
発動に燃料(リソース)が必要。使用リソースに応じて発動時間比例。使用後に使用時間に比例したヘスティアの機能停止。

コスト・対象自身の融合した機械だけに限定・膨大なデメリット・第七への進化時に得たリソースを殆ど・一部スキルを消して得たリソース。


ちなみに必殺スキルの一秒あたりに使用するリソースは1200以上。効果を考えると当然だが【魔将軍】のスキルよりもコストが重い。取り合えずクラン内で出た廃棄物やフランクリンに頼んで大量生産したモンスターやら何でもかんでもリソースとして貯めている。
モンスターはリソースになる時断末魔を上げるので絶えず悲鳴が聞こえるヤバい部屋が完成した


・【ポーン】
煌玉兵を解析してできた兵器、ヴィーヴィルから無線でMPを供給され動く、ジルコンが指揮を執り動かしているがまだ完成したばかりで装備なども整っていないので弱い

・槍
<アクシデントサークル>を発生させた原因。元々は動力炉がある街から無線で他の町にMPを送り防衛力を高めるために考えられた装置だったが効果範囲が狭く範囲も広げられず、送れるMPの効率が悪い(100のMPを送って1のMPが届く)ため作ったは良いが一回も使われなかった。【ポーン】もこれによりMPが供給されている。
突き刺さるとヴィーヴィルからからMPが送られ周りにMPを垂れ流す


まあ一定時間だけとはいえ無限はやりすぎたかな?と思ったけどまあ良いか
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