ソードアート・オンライン ~悪魔の剣と光の剣士~ 作:桜花 如月
「お前はなんで
「はい、それがどうかしたんですか?」
「……それじゃあ、ひとつ聞くが、お前の周りにSAOを遊んでいたプレイヤーはいるか?」
「……覚えてないです」
ユミは俺の質問に首を横に振りわからないと否定した。
なんで記憶障害が起こったのかも判明させないと俺の考えは正解か間違いかもわからない。
もし、ユミの周り、言ってしまえば家族とか知り合いがSAOをプレイしていたとすれば可能性は低いが俺の推測で合ってるはずだが……
「ユミ、お前は《ナーヴギア》を知ってるか?」
「どこかで聞いたことがある程度──
と、ユミはナーヴギアに関して話そうとして言葉を詰まらせた。
そして……
「少し思い出しました……私にはお兄ちゃんがいて、お兄ちゃんがそれを使ってて……」
ユミの話をまとめるとこうだ。
SAOβテスト開始時からユミの兄がナーヴギアを使ってVRを遊んでいた。
そしてSAOの正式サービスが始まり今から1ヶ月ほど前、1層攻略から時間が浅かった頃に兄のナーヴギアの電源が落ちて……と、今ユミが思い出したのはここまで、これだけだとどうしてユミがSAOに入ったのかはわからない。
だが、ユミが戦闘時、何をしたかを覚えてない原因が一つだけわかる。
ユミは
もちろん兄のデータは消えているため普通ならログインすると初期垢を作ることになる、それ以前に茅場晶彦が話した限りでは外部からのログインは不可能のはずだ…が、ここに問題がある。
話は逸れるが俺がアーガスでナーヴギアに内蔵するシステムの開発を2人のバカップル上司と共に作っていた。
その時にバカップル2人が『何かしら起きた時ように緊急時にログインできるシステム作ろうぜ』と馬鹿みたいなことを言い出してそれを採用、普通ならそのシステムは《緊急時》に使われるはずのシステムだが、何かの間違いでそのシステムが今回、ユミがログインしてしまった理由の一つだ。
ログインしてきただけでも問題だが、もう1つは《別人みたいになる》という事だ。
これも言ってしまえば簡単なこと、《兄のアバター》がナーヴギア自体に保存され、それを上書きする形でユミのアバターが制作、そしてログインした。
その時に上書きされた《兄のアバター》がこれまた何かの間違いでユミのアバターに《人格》として現れる。
その証拠にユミのアイテムストレージには《コウキ》というプレイヤーのストレージ名になっている。
(というかユミのステータス全く見なかったけど高かったような気が………)
「あ、あの……その、お兄ちゃんの人格とかなんとかってどういうことなんですか……?」
「あ、あぁ……それに関しては後で説明するよ」
アバターの上書きに関してもまたまたバカップル上司が作り出した謎システムだ……が、制作時は《前のアバターの人格》が新規アバターに移るなんてことはなかったはず……いや、稀にアバターに異変は起きてたか……
2つ以上のアバターがナーヴギアに入ることを《多重アバター》と呼んでいたけど開発終了前には既にその名前は聞かなくなった、というより忘れ去られていた。
(ユミは戦闘時に《コウキ》というプレイヤーもとい兄の性格が表に出る……か)
「とりあえずお前が戦闘時に色々と起こる原因は何となくわかったし、そろそろ行くか」
「その前にひとついいですか……?ルシハさんはなんでそこまでしてくれるんですか?」
「なんで……か、困ってる人を助けたいってのが本音だけど俺はアーガスの仮社員として、開発に携わったからさ、そういうシステム関係は気になってな……絶対にお前がこの世界に来た原因を探す、そして早くアインクラッドに戻ってお前らをこのゲームから解放する」
「………ありがとう」
「……ん?驚かないのか?」
「うん、なんとなくだけどわかってたから」
「もしかしてだけど、ライムが女の子ってこともわかってた?」
「うん」
「……ま、そこは気にしなくていいか…さてと、とりあえずはあの洞窟を目指すか」
この後、俺の方から色々と説明しながら俺達は近くに見えた洞窟の中に入っていった。
なんだこれ
さてと、オリジナル用語多重アバターが登場しました、はい、なんですかそれ
ちなみにバカップル上司は本編で何度か出てるアレとは違います、ただのバカップルです。
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ユミ
Lv.??(文字化けにより隠れた)
アイテム:槍、回復結晶などなど(全てコウキのもの)
スキル:無限の幻影茨(詳細不明)
特徴:オッドアイ、記憶障害