ソードアート・オンライン ~悪魔の剣と光の剣士~ 作:桜花 如月
アインクラッド第22層:ログハウス
ラギ目線
和人(キリト)に呼ばれた俺はキリト達のログハウスへと到着した。
ログハウスの中にはキャリバーを獲る時に集まったらしい7人とエギルが既に到着していた。
「待たせたみたいだな、それでキリト、話ってなんだ?」
「それよりお前、ハヅキはどうしたんだ?」
「あいつは実家に帰ったよ」
「「「1人で帰らせたの?(んですか!?)」」」
アスナとシリカとリズが言い方は違うものの俺に同じツッコミを入れてきた。
俺だって1人で帰らせたくて帰らせた訳でもないんだが……
「ま、あいつなら大丈夫だと思うよ、オーグマーは家に置いてったし何かあったらALOにログインするよう言ったから」
「それならいいが……」
さすがに俺も全く心配してないわけじゃない、向こうの葉月の実家の近くには空の家がある、あいつがこっちに引っ越してきてるなら一安心はできるがもし……と、考えると心配だ。
「んにしても昨日は疲れたなぁ……そうだろ?キリト」
「確かに、ARの使いにくさがわかったな」
「それはキリト君の運動不足でしょ、そう言えば昨日、ユナって子に───
「「ユナのライブ見たんですか!?」」
ユナの話を始めた途端にアスナの話に食いついたシリカとリーファを横目に俺は残ったメンバーに昨日の詳しい話をした。
オーディナル・スケールのボスが旧アインクラッドの階層ボスだということ、そして風林火山とキリアス、そして俺とハヅキを除いてはほぼ全員がそれをアインクラッドのボスだとは気づいていなかったこと。
「そんなことがあったなんて、私もバイトがなかったら参加できるんだけど……」
「俺は店があるからな…まぁ、俺はまともに参加出来ねぇな」
「私も移動手段があればねぇ……」
「そんな困ってるお嬢様方に我々風林火山が無償で送迎するぜ」
「それなら歩いていく方がマシね」
「そりゃねぇぜぇシノンさんよォ……」
シノンのクラインに対するちょっとしたイタズラを眺めながらキリトはユイと何かを話していた。
クラインがうるさくて聞こえなかったが流星群がどうとか言っていた。
と、何を話しているのか盗み聞きしようとしたらリーファが突然俺たちに質問を……
「そういえば皆さんはユナのライブのチケット持ってるんですよね!」
「いいよなぁ…SAO帰還者学校の生徒はよォ……ユナちゃんのチケット手に入るんだから」
「あ、それなら俺もオーグマー買った時の抽選でペアチケット当たったが」
「私も同じく」
「「ホント(です)か!?」」
帰還者学校に通う人はプレゼントされたオーグマーの中にチケットが入っていたが、別の学校に通うリーファ(直葉)と学校という概念から開放されたクラインはユナのファンだがチケットはオーグマー購入時の抽選か既に終了した通常の購入しかない。
俺も七色に解析してもらうために買ったものの当たりはしなかった。
抽選ですら当たらなかったリーファ達にはエギルとシノンは救世主的ななにかだろう。
「あ、でも私ライブの日は部活の合宿で参加出来ない………」
「よっしゃあ!チケット貰ったぜぇ!」
騒がしくなった2人を無視して俺はALO内ニュースを見ていた。
【ALO、次回イベント延期】
(やっぱりみんなARをやりまくってるのか……)
「ラギ、俺達はそろそろ帰るぞ?」
「あ、そうか……わかった」
何がしたかったのかわからないまま俺達はそれぞれログアウトした。
────
それから5日ほど
葉月が帰ってくるはずの日、連絡が全く無く、GPSだけが長野で動いている状況を見ていた。
俺は昨日、明日菜と風林火山がSAO第11層ボスへの参加をするという話を聞いていたが明日菜の言う限りでは風林火山はボス戦開始前に1人だけ連絡が取れなくて来るまではボス戦は明日菜だけに参加させる、ということになったが結局ボス戦にすらクラインは姿を見せずにそのまま風林火山のメンバー全員と連絡が取れなくなってしまったらしい。
風林火山も心配だが連絡が取れないのは葉月も同じ………
と、嫌な予感を感じていた俺の電話が鳴り、葉月かと思って電話に出ると電話をしてきたのは千秋だった。
千秋は慌てた様子で今自分のいる場所……長野からの電話ということを俺に伝えてさらに一言、衝撃の言葉を伝えた。
「お兄ちゃん!!葉月さんが………」
───交通事故に……
俺は直ぐに着替えて家を飛び出してバイクで長野へ向かった。
何したかったんだろ最初
あのハゲ、チケット持ってやがる……
話は飛んで数日後。
葉月の連絡を待っていた春揮は衝撃の事実を知る……