ソードアート・オンライン ~悪魔の剣と光の剣士~ 作:桜花 如月
「もう遅いしここ病院なんだから少しぐらい静かにしなよ雫……それに、見つけタックルって何さ」
「あ、そっか……葉月ちゃんを見つけたからつい思いっきりタックルしちゃった」
私をベッドに押し倒したのは春揮がSAOで知り合った雫とその隣に
よく考えたら既に時間は9時を過ぎているのにこの2人は病院に来た。
「春揮がここに入院したって七色さんから連絡があって慌てて来夢に連絡してとりあえず2人で来たんだけど……って、葉月ちゃん?なんで抱きついてくるの…?」
「雫……来夢………春揮は…無事、だよ…」
私は気づいたら雫に抱きついて泣いていた。
雫と来夢も春揮のことが心配でこんな時間に来てくれた、そう思ったら直ぐに涙が出てきた。
「……まぁ、無事ならよかったよ」
「うん………」
しばらくして心を落ち着かせた私は雫達に春揮がどうしてこうなったかを説明した。
私が話してる間、2人は私を責めることは全くせず、私の話を聞いてくれた。
「そんな事があったのか……それで、ここの病院でメディキュボイドを使って春揮がALOにログインしてる、って事か……」
「それも数時間前に………」
2人は私が話したことで全部を知って暗くなりかけたその時、扉が開いて七色さんと琴音さんが入ってきた。
「あなた達少しぐらい静かにしなさいよ……廊下に聞こえてきたわよ」
「ま、まぁいいんじゃないかな?それより七色さんが教えてくれた《参加者》ってほぼ全員ここに集まったの?」
「そうね、《夕立の霧雨》と葉月さん、そして琴音、あとはお姉ちゃんとアルゴがあとから参加って形になるかな」
参加者、七色さんは私と雫と来夢を見てそう言った。
なんの事だろう、と思ったけど多分ALOで春揮が言ってた
「SA:O自体のβテスト開始日は明後日だから一応……最悪な感じの顔合わせになるけど私が招待したのはここにいる4人とさっき話したあとから参加の2人だけど……春揮くんも誰かを誘ったって聞いたのよね」
(そういえば千秋さんどうしてるんだろ……SAO第100層の時に見た気がするけど……)
「とりあえず私達は帰るね!……さ、行こ、来夢!!」
「あ、うん……それじゃあ、葉月さん、βテスト開始日にまた」
そう言って雫と来夢は病室の外へ出て行った。
それを見たあと七色さんは話すことがある、と言い残して私が使ったベッドでALOへログインして行った。
琴音さんは私より先に病室から出ていってそのまま帰って行った。
「春揮……戻ってくるのを待ってるよ……」
私は春揮の左手に《プレゼント》を付けてそのまま病院の人にお礼をして春揮のバッグを持って外へ出た。
外に出た私は病院の近くにある公園で来夢と雫、琴音さんが何かをしているのを見つけた。
木の影からこっそり見る感じになったけど多分来夢と雫が泣いてると思う……
(みんな同じ気持ち……なんだよね……)
私はそのまま見て見ぬふりをして自宅へと帰った。
来夢目線
(ダメだな私………絶対に泣かないって決めたのに……)
「来夢………辛いなら泣いていいよ…?」
「2人共、病院に来た時に凄い泣きそうだったのによく耐えたよ」
「雫……琴音……私さ、悔しいよ…いつも助けられてたのに、私は何も出来ずに……ただ黙って見てるしか出来なくて、結局こんな形で再会するし……やっと見つけた気を許せる仲間の1人を、失いかけてさ……
「………そう、だよね」
私は悔しかった、葉月さんが1番悔しいことはわかってる、だけど………
夕立の霧雨としてルシハと初めて出会ったあの時、最新層の実力を遥かに超えたルシハに追いつこうと無理したせいでシズク、そしてゴウを危ない目に遭わせ、結局私はルシハに助けてもらっただけ、その後もルシハには迷惑をかけ続けてしまった。
それをずっと悔やんでいた。
そして今も、私達は何も出来ずに………
「……ねぇ、来夢」
「………?」
「辛い時は泣いていいんだよ、……今回は守れなかったけどさ、次、《SA:O》を攻略する時に私たちで葉月ちゃんを守ってさ、春揮が安心してログインしてこれるような環境を作ろ!」
「………もちろん」
私は雫と琴音と決意を決め、そのままそれぞれの家へと帰っていった。
こんな出来事があった2日後。
私、桜花葉月は
「リンク……スタート!」
ついにソードアート・オリジン編本格始動!
少女達のそれぞれの思いを胸に新たなゲームへと……
次回はちょっとした番外編になります。
あと、オリジン編は時々休みをもらいます、気長に待っててくれるとありがたいです
と言っても少しは毎日投稿する予定です