ソードアート・オンライン ~悪魔の剣と光の剣士~ 作:桜花 如月
来夢目線
今は1月の後半、時刻は9時を過ぎた頃。
私、
「ん………もしもs──
『来夢!いきなりだけど新しいゲームやらない!?』
「ちょいまち……」
電話に出た瞬間に雫から物凄い誘いを受けた。
心を落ち着かせて話を聞くと今やってる
何故昨日言わないんだ、なんて言う気も無くそのまま話を聞いていると《アルヴヘイムオンライン》通称ALOというゲームらしい。
『ね!ずっと和風だったし美結ちゃんも誘ってやろ!』
「まぁいいけど……そのゲーム高いんじゃない」
『あ………』
「やっぱ何も考えずに買おうと計画してたのか……とりあえず私が買うから後で金は貰うよ」
『はーい……』
雫や美結には内緒でとあるゲームを始めた私はリアルマネーに換金出来る機能でいくらか金を入手した。
それを使って今回、3人分のALOを買うことになった。(後日、返してもらった)
別ゲームでアミュスフィアを使ってたため、そのままのノリでALOをアミュスフィアに入れて私はログインした。
プレイヤーネーム:ライム
種族:スプリガン
「……同じ場所に出るって聞いたんだけどな?」
スプリガンとしてログインした私は事前に聞いた《央都アルン》にログインするという情報を信じていた、けど実際はよくわからない場所に私はいる。
前にやってた《アスカ・エンパイア》とかいうゲームからコンバート、という形でログインしたからか?
とりあえず周りを見渡そうと思ったけど周りはよくわからない岩山に囲まれていて様子を伺えない。
というかチュートリアルとやらを聞いてその通りにやってるのに何故か空を飛べない。
(参ったな……どうするんだよこれ……)
唯一行けそうな通路と言うと目の前にある洞窟、どう考えても嫌な予感しかしないけど今行ける道はここだけだ。言ってしまえば詰んだ。
迷っていても仕方ない、そう思い、そのまま私は洞窟の中に進んで行った。
試練の巣窟
「せやぁ…!」
洞窟に入った私は初心者には確実に向いてない強さのモンスター達に囲まれていた。
アスカエンパイアで上げたレベルと実力がALOに引き継がれたのはいいけど、ここに湧くモンスター達は今の私より強いし動きも繊細……言ってしまえば遥かに上の存在だ。
なら戦うなという奴がいそうだから言っておこう、この洞窟、もといダンジョンはその1フロアのモンスターを倒さない限り次には進めない。
戻っても無駄だし進むしかない、という事だ。
「せやあぁぁ!」
ALOに最近導入されたと噂のソードスキルを放ち周りのモンスターを吹き飛ばした。
その一撃が何かの間違いでクリティカルヒットしたらしくモンスターはそのまま消滅した。
そしてさっき述べたようにこのフロアのモンスターを片付けたから先に進めるようになった。
試練の巣窟:F2
「いやぁぁ!?」
「はあぁぁぁ!」
次のフロアに行ってすぐに黒髪の多分同じスプリガンの女の子が下にいたモンスターと同類のモンスターに襲われていた。
攻撃が当たる寸前にモンスターと女の子の間に入ってモンスターの攻撃を弾いてそのまま後ろへ飛ばした。
「君は絶対……私が守る……!!」
「でも………」
女の子の話を聞いてる暇は無い、余裕も無い。
今私の中にあるもの、それは
私が現実世界でしっかりとした女の子として生きるようになったきっかけを作ってくれた
「わ、私も戦うよ、さすがにあれは1人じゃ無理だよ……」
吹き飛ばした時はわからなかったが今私の目の前にいるのは巨大なオークのようなモンスター、ファンタジーとは何かを問いたくなるようなごつい奴だ。
「かかってこい豚野郎!」
私は再び剣を構えた。
隣にいる子も同じように剣……短剣を構えて戦闘態勢を取った。
戦闘開始、そう思ったその時だった。
大きなモンスターの攻撃は既に私に命中して私はダンジョンの壁まで吹き飛ばされてしまった。
「がは……っ!?」
「お姉さん!大丈夫!?」
大丈夫、と言いたいけどかなりやばい状況、言ってしまえば立ち上がることさえ困難な程に辛い。
一気にダメージを受けてしまった私を心配してくれている女の人の後ろにモンスターが近づき、そのまま攻撃をしようとしている。
(こんな所で……誰一人救えないのは……嫌だ……!!)
「させるかあぁぁぁ!!」
私は右手に1気に力を込めてそのままモンスターの方に行き、モンスターに目がけて剣を振った。
OSS:ロスト・メモリー
「トドメだァァァ!!」
何連撃かもわからない攻撃をモンスターに食らわしてそのままモンスターを倒した。
「………やった……?」
「君、無理させちゃってごめんね……私はフィリア、トレジャーハンターをやってるスプリガン、君は?」
「……ライム、種族はスプリガン」
お互いに自己紹介をした後にわかったことがある。
フィリアは私が助けなくてもそこそこの実力者だということ、そしてこの洞窟はレプラコーンという種族の領域内にある高難易度エリアらしい。
さらに私が放ったソードスキルは《オリジナルソードスキル》という扱いを受けるらしい。
このあと結局フィリアと話をしながら央都アルンへと戻りシズク達と合流した。
「私はシズク!種族はシルフ!」
「わ、私はユミ、種族はウンディーネです」
「へぇ、この2人がライムの言ってたギルドのメンバー……そうだ、3人だけじゃ心許ないと思うし私もそのギルド、夕立の霧雨に入れてよ!」
「「「………え?」」」
こうして、なんの躊躇いもなくトレジャーハンター、フィリアが私たちのギルドへと加入した。
その日の夕方、ALOでパーティプレイを楽しんでいた私達はそのまま解散した。
その後私はフィリアのリアル、琴音さんに呼ばれて琴音の家に行くことになった。
「お、お邪魔します…?」
「いいよそんな、気を改めなくても……あ、お茶持ってくるね」
気を改めなくていい、と言ってくれた琴音さんもどこか照れてる様子が伺える気が……ま、いいか
「リアルでは初めまして、私のことは琴音って呼んでね」
「私は来夢、よろしく琴音……さん」
「さん付けとかいいよ、琴音で、私は来夢って呼ぶからさ」
「うん、わかった」
夜遅くなるまでの間、私と琴音はお互いのことを色々と話した。
琴音も実はSAO帰還者で私たちと同じように帰還者学校に通っていること、そしてALOはSAOから帰ってきてしばらくして始めたことなどなど……
逆に私も色々と話した。
守りたくても守れなかった者の話、SAOでの話、その他にも色々と話した。
結局この日は家から着替えを持ってきてそのまま琴音の家に泊まらせてもらうことになった。
それから暫くは私達は一緒に行動し、ALOで攻略やレベリングをするようになった。
そんな日々が続いたとある日、四月後半。
ALOで攻略を進める私たちの元にとある人がやってきた。
そしてこれが、春揮と最悪の再会を、そして、葉月さんと共にオリジンの攻略を始めるきっかけを作った出会いだった。
番外編の方が内容濃い
ALOを始めたきっかけを雑に書いて
フィリアさんがなぜ夕立の霧雨と知り合ったのか(ここまで見てない人にとってはネタバレ)を書きました。
次回はその続き的な話です。
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アスカ・エンパイア
小説、SAOのオルタナティブシリーズのひとつ
SAOオルタナティブ クローバーズリグレットの舞台(ユウキとスリーピングナイツのメンバーが遊んだらしい)