ソードアート・オンライン ~悪魔の剣と光の剣士~   作:桜花 如月

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第183話 決意

アインクラッド未完成路:第一層

ライム目線

 

転移してアインクラッド内に入った私達は先に進もうとしたところでアルゴに呼び止められた。

 

「ライム、シズク、待テ!」

 

「え……?」

 

立ち止まった瞬間、目の前の地面が突然崩れてそのまま落下して行った。

 

「あ、危なかった……ありがとうアルゴ」

 

「寸前に気がついてよかったナ、先に急ぐのはわかるケド、周りは見ないと危ないゾ……ルー坊の言ってた通り未完成だから所々崩れやすい、気をつけて行くゾ」

 

「うん、わかった……みんな、行くよ!」

 

アルゴの警告を聞いて危機感を持った私とライムは体制を整えて再び先に進むことにした。

 

 

未完成路第一層 中盤

 

「シズク、下がれ!」

 

「うん、わかった……!」

 

順調に先に進んだ私達は道をほぼ全て塞いでいたゴーレムのようなNMモンスターと戦闘を始めた。

動き自体は体が大きいから遅いけど、体を回転させて腕を振り回し、360度全体を攻撃してくるため、なかなかに戦いにくい。

そしてゴーレムにしっかりとしたダメージが入るのは足と体の間にある宝石のような部分だけらしい。

 

「このまま防御だけでやりすごせるような相手じゃない、レインはバフを続けて、他のみんなでタイミングを見て一気に行く!」

 

「了解!」

 

全員で陣形を取ってシズクと私でゴーレムの攻撃を防ぎ、残りの3人で一斉にゴーレムの弱点の宝石を攻撃した。

だけど、ゴーレムの体力はほとんど減らなかった。

 

「くっ……シズク、下がっ──」

 

3人が攻撃を終えて後ろに下がったその瞬間、ゴーレムは今までより早く腕を回し、攻撃をしてきた。

私はギリギリで防いだけど、シズクに注意を向けている間にガードの隙をつかれてガードが間に合わなかったシズクと共に後ろに弾き飛ばされた。

 

「大丈夫かお前ら!」

 

吹き飛ばされ、壁にぶつかる、そう思ったところで誰かに受け止められ、そのままアルゴ達の元に運ばれた。

私を抱えたのは後から行くと言ったハルキ、シズクを抱えたのはそれについて行ったハヅキだった。

 

「他のメンバーと連携を取れ、俺はお前らに()を作る、あとは任せる」

 

ハルキはそう言うと右手に持った剣を構え、()()()()を放ち、そのままゴーレムに連撃を与えた。

 

「行け、『俺を守る』と覚悟を決めたお前らの力を見せろ!」

 

ハルキ:絶技SS《???》

 

ハルキのSSによって動きが止まったゴーレムに私達のソードスキルを一斉に決めた。

 

ライム:片手剣SS:デッドリー・シンズ

シズク:冥界剣SS:ディープ・オブ・アビス

プレミア:細剣SS:デルタ・アタック

フィリア:深界の暗殺剣SS:フィニッシュ・ディス・ネクロイド

アルゴ:曲刀SS:レギオン・デストロイヤー

 

「約束したんだ……だからこそもっと……っ!」

 

「私たちで決める……!行くよ、《夕立の霧雨》!」

 

夕立の霧雨連携奥義:ホロウ・フラグメント

 

「行っけぇぇ!」

 

10連撃を遥かに超える私、シズク、フィリアの連携攻撃で体力の残っていたNMモンスターは体力が全損し、そのまま消滅した。

 

「やった……けど…」

 

「まだ第一層、これより上はさっきのやつより遥かに強さが増してるはずだ、俺とハヅキは()()()()()()()あえて助け舟は出さない、レインもバフをメインで使うから5人で戦ってくれ」

 

「ルー坊、オレっち達がもし、ピンチになったら?」

 

「打つ手が無くならない限りはNM相手には手を出さない、このゲームのモンスターは《倒せない》相手じゃないんだ───お前ら!後ろに下がれ!」

 

上の階層を見ながら冷静に話していたハルキは急に剣を構え、そのまま私たちに下がるように指示を出してきた、その時だった───

 

上から急にドラゴンのようなモンスターと蛇のようなモンスターが崩れた岩や木片などとともに降ってきた。

 

「まさかこんな早く更なる崩壊が起こるとは……お前ら、この2体は本来、上にある残り2層に配置されてるNMモンスター、ドラゴンが最上層を守る守護者みたいな役割を持つ……さっきの約束は撤回だ、お前らは蛇の方を頼む、俺とハヅキとアルゴはこのドラゴンを倒す」

 

更なる崩壊、そう呟いたハルキは私たちに指示を出し、そのままハヅキとアルゴと一緒にドラゴンを引連れてどこかに向かっていった。

 

「上の層からって……ほんとに私たちで倒せ──」

 

「シズク、約束したでしょ、ハルキが戻って来るまでに私たちで強くなるって、ハヅキや他のみんなを守るって……だからこそハルキやハヅキがいなくても私たちでやるよ!レイン、バフが終わったら……」

 

「もちろん、私も攻撃に参加するよ、プレミアちゃんもいるからね」

 

「はい、私たちの力を合わせれば勝てます」

 

私達は再び剣を構え、目の前のモンスターとの戦闘を開始した。

 

 

 

その頃、最上層守護NMモンスターを連れて先に進んで行ったハルキ達は……

 

「ルー坊、無茶するなってどの口が言ってるんダ!?」

 

「悪いがそんなこと言ってる場合じゃねぇよ!アイツらにこれを任せる訳には行かないだろ!」

 

「絶対に勝つ……!!」

 

ドラゴン型のモンスターの猛攻に耐えながら文句を言うアルゴを抑えつつハルキとハヅキはソードスキルを放っていた。

 

ハルキ:片手剣SS:ノヴァ・アセンション

ハヅキ:無限の幻影茨SS:ライン・ストライカー

 

招待組の中ではステータスの高いハヅキとハルキの攻撃は、ゲージを少し削る程のダメージを与えることしか出来なかった。

 

「想像以上に強いな……ハヅキ、アルゴ、攻撃を防いでくれ!」

 

「今にも限界を迎えるゾ!なにかするなら早くやるんダ!」

 

「ハルキ……早く……っ!」

 

本来、体が耐えるかの心配をして使いたくなかったが、ここまで相手が強いとなるとそんなことを言ってる場合じゃない、ならやるしか……

 

「システムコール!オブジェクトID:《K》、神霊刀イザナミをジェネレート!」

 

俺はそう叫んだ、そうすると俺の右手にとある1本の剣が握られていた。

 

「これで一気に決める!」

 

 

 

 

 

 

それから数分後──

夕立の霧雨率いる招待組は……

 

「はあぁぁ!」

 

「行っけぇぇ!」

 

蛇型モンスターの猛攻を耐え凌ぎ、自分たちの連携技、そしてレインの秘奥義を使い、着実にダメージを与えていた。

 

「ライム、上から……」

 

「まだ何か……って、何あれ…?」

 

フィリアに呼び止められ、言われた通り上を見ると上から()()()のようなものに包まれた瓦礫がいくつか落下してきた。

そしてその瓦礫の1部が蛇型モンスターの上に落ち、その衝撃で蛇型モンスターがいる場所が崩れ、そのまま蛇型モンスターは落下して行った。

 

「上ってことはハルキ君達かな……?」

 

「とりあえず、上に行ってみよう」

 

こうして偶然(?)NMモンスターを倒した私達はハルキたちを追いかけるために上の層に向かった。

 

 

アインクラッド未完成路第二層

ライム目線

 

「はぁ……はぁ……」

 

次の層に着いた私たちの視界に入ってきたのは黒い炎に包まれた瓦礫の山、そして炎は壁や床、ましてやハルキ自身の右半身を包んでいた。

 

「……さすがに、無理があったか」

 

「ハルキ、何をしたの!?」

 

膝をついて倒れているハルキの元にシズクが走り寄ると炎は消え、ハルキが支えにしていた剣は見覚えのある剣に姿を戻した。

 

「いや、ちょっとした《秘奥義》だよ……この世界で使えるかは賭けだったけどな」

 

「無茶するなって行ったんだけどナ、ルー坊がそれを聞くわけないダロ……何が起きたのかはオレっち達からは言わない」

 

その全ての現象を目の前で見たらしいアルゴは少し辛そうな表情でそう言うと立ち上がって回復ポーションをハヅキとハルキに渡していた。

 

 

「現実にも影響が出るかもしれないからな……使えても残り1回、何か起きたとき用の秘奥義として残しとく」

 

回復ポーションを飲み切ったハルキは立ち上がりそう言うと剣をしまい、いきなり私とシズクの頭を撫でてきた。

 

「ひゃ?いきなり何するのさ……?」

 

「まだ迷惑かけるからな、その前に謝っとく……さぁ、上の層には雑魚しかいない、このまま一気に最上層に行くぞ」

 

ハルキは「気を取り直して」みたいな感じで私たちに先に進む指示を出した。

私達は装備を整えて再び先に進み始めた。

 

 

 

そして───

ハルキの言う通り何事もなく最上層まで到着した。

 

「この先にティアがいるんですね」

 

「プレミア、お前は戦闘には参加するな、ティアと話し合う、それがお前のやることだ」

 

「分かりました、ティアに思いを届けます」

 

「……よし、みんな、どんなことが起きるかはわからないが、ティアと決着をつける」

 

プレミアと何かを話したハルキは私たちの方を向いて指揮を取り、合図をした。

 

「行くぞ、招待組!」

 

そしてハルキは合図とともに最上層にある転移石に触れた。




崩れかけのエリアで戦うって中々の恐怖だよね、高層ビルの透明な床が割れるみたいな感じ、ほら怖い

ついに次回、ティアとの再会……だが、ことはそう上手くは運ばない様子

果たしてハルキ達はティアの気持ちを変えることが出来るのだろうか?

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