ソードアート・オンライン ~悪魔の剣と光の剣士~   作:桜花 如月

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第184話 希望

アインクラッド未完成最上層

エリア:??

 

「……何故あなた達、ここに来たんですか」

 

「あなたを止めに来たんです、ティア」

 

「私を止めに?ハッ、今更何を言いに来たのか……少しだけなら聞いてあげます」

 

転移した先、謎のエリア内にいたティアの質問に対して返答したのはプレミアだった。

そしてそのプレミアの返答に対して挑発的な発言を少しした後、ティアはプレミアの説得を聞く気になった。

 

 

「あなたが思っているほど、人間はひどいものでは無いです、私の後ろにいる彼らのような──」

 

「だからなんだと言うのですか、私に関わった人はジェネシスのような優しさは持っていなかった、それだけの事です」

 

「それは1部だけです!そのような人達は──」

 

「あなたと話しても無駄です、後ろにいる人達だっていつ私たちを裏切るかなんてわからない……消してしまえばいいんです」

 

プレミアの説得を全く受け入れず、そのままティアは何かを始めようとした。

俺はそれにいち早く勘づいてプレミアを後ろに下がらせた。

 

「もし、私に勝てば少しは人間を信じることにします」

 

「プレミア、下がれ!」

 

プレミアが下がった瞬間、ティアの姿が変化し、それにより衝撃波が発生した。

 

(姿が変わっただけでこの勢い……これはまずいな……)

 

俺はプレミアをアルゴに任せ、アルゴとプレミア以外の招待組で一気に攻撃を仕掛けた……が

変化したティア……《プレイオリジンミディアム》の周りに6つの宝石のようなものがバリアを貼り、本体であるティアに攻撃ができない。

 

「お前ら、下がってろ……こんな石ごときに使いたくはないが」

 

「ハルキ、また───」

 

「システムコール!神霊刀イザナミをジェネレート!」

 

俺は未完成路第二層で使った手法を使い、再び剣を召喚した。

そして俺はそれを1度、床に刺した。

 

「リリース・リコレクション!」

 

俺はアンダーワールドで使った技、《記憶解放術》がこの世界でも使えると少し前に知ったため、それを実践した。

だが、アンダーワールドの時とは違い、何故かこの世界では範囲が広すぎて体にも影響が大きく出てしまう。

だからこそあまり使いたくないが俺だけならともかく、後ろには仲間がいる、割るべきバリアを破壊したらあとはこいつらに………

 

「一気に決める……!!」

 

記憶解放術:絶技SS:マザーズ・ロザリオ

 

「はあぁぁ!」

 

俺はこの世界での何度目かの絶技《マザーズ・ロザリオ》を放った。

1部の宝石はそれで壊れたが、まだいくつか残っている。

 

「お前ら、あとは任せた────穿て、迦具土神!」

 

残っている石に剣を刺し、そう叫んだ直後、石は黒炎に包まれ、そのまま消滅した。

それと同時にバリアが消滅し、ティアを守るものは無くなった。

 

そして俺はその場に倒れ込んでしまった。

 

 

「……やるよみんな!アルゴはハルキをお願い」

 

「りょーかい、無茶するなってどの口が言ってるんダ、ってさっきも言ったカ」

 

「………悪い」

 

アルゴに何度目かの注意を受けたのを一言で返し、招待組の勝負を眺めた。

 

 

ハヅキ目線

 

「ティア……私たちの気持ちを……!」

 

「受取れぇ!」

 

私とシズク、そしてライム、フィリア、レインの5人の連撃はほとんど無効化され、ダメージにはならなかった。

 

「うそ……どうすれば……」

 

『何をしても私には攻撃は届かない、ここであなた達は何も出来ずに消えていく』

 

「「そんなことさせない(ねぇ)!」」

 

姿が変わってから初めて言葉を発したティアに対しての否定を私とハルキが同時に放った。

 

「ティア、お前はわからないだろうが……これが仲間の力だ───!」

 

ハルキはティアに対してそう言うと同時に立ち上がり、剣を私たちの方に向けて構えると私たちに大量のバフ効果が掛かった。

 

ハルキ:ユニークスキル:限界突破(リミットブレイク)

バフ効果:攻撃、体力、移動速度、攻撃速度大幅上昇

 

「行け、お前ら、俺たちの力を見せるぞ!」

 

ハルキは構えた剣をティアに向けて投げて一気に接近した。

 

「俺から話がある、ティア……少しは人間を許してくれ」

 

『何故そんなことをしなければならないのですか、私をこんな目に遭わせたのはあなた達人間です』

 

「あぁ、そうだな、お前らNPCに酷いことをしたのは俺たち人間だ、だがお前は何故ジェネシスには従ったんだ?」

 

『………っ!』

 

 

 

ハルキ目線

 

俺の発言でティアは反発をやめ、少し同様をみせた。

昨日、ジェネシスと戦った後、現実に戻りハヅキにジェネシスとティアはどんな関係だったかを少し聞いた。

神殿でティアが話した通りジェネシスだけはティアを認めてくれたと言っていた、だが何故ティアはジェネシスに俺たちと同じように()()を持たなかったのか……

 

「お前は、本当は人間を信用しているんじゃないのか?」

 

『うるさい……!何度も言ったはず、私を、ジェネシスを認めなかったあなた達が悪い──!』

 

「それがお前の答えか……喰らえ!」

 

俺は後ろに下がり合図をした。

合図とともに後ろにいた俺以外の招待組全員が一斉に各武器種のいちばん弱いSSを放った。

 

「俺達はお前を馬鹿にしない、お前達NPCを認めている……もし、お前が認められないならそれでもいい、それでも──」

 

俺は武器をしまい、姿を元に戻した(というか戻った)ティアの近くに行って言葉を続けた。

 

「この世界はお前達を傷つけるために作られたものでは無い、お前らは俺らとおなじ()()()()()()()()()なんだよ、忌み嫌ったり傷つけたりはしな───」

 

「あなたに何がわかると言うの!?」

 

ティアは俺の言葉を遮り、手に持った細剣で俺を突き刺してきた。

俺は一気に体力が減ったがその場から下がるという決断は無かった。

 

「……!?なぜ、抵抗をしな──」

 

「慣れてるからな、こういうのは……お前がだけ俺を傷つけてもお前の受けた傷は治らない……そうだろ?」

 

「……これが、あなたの出会った人間ですか、もう1人の私」

 

ティアは俺に刺した細剣を抜いてそれをしまった後、プレミアの方を向いて質問を投げかけた。

その言葉には怒りや恨みのような感情は無いように受け取れた。

 

「はい、そしてこれが私の()()です」

 

「……あなた達を許した訳では無いです、ですがこの世界を消すのは辞めます」

 

「おい、どこ行くんだ?」

 

「私はいつまでもこの世界を見守り続ける、そしてもし、私たちのようなNPCを傷つける人がいた時はまた、あなた達の前に現れる」

 

ティアはそう言うとどこかに消えてしまった。

それと同時に俺は一気に力が抜けてその場に立ち尽くしていた。

 

「これで良かった……のか?」

 

「ハルキ……!!」

 

「みんな……お疲れ様」

 

その場にたっていた俺にハヅキとシズクが急に抱き着いてきた、それに続いて何故かプレミアも俺に抱きついてきた。

ライムやアルゴはどこか呆れた顔で俺を見ているが、その顔からは安心した表情も読み取れる。

 

「さぁ、街に帰ろう」

 

「その前にちょっと行きたいところあるからそこに行こ!みんな着いてきて!」

 

激闘を制し、街に帰ろうと提案を出したところでシズクが提案を出してきた。

そしてそれに賛成した俺達はリューストリア大草原のエリアから少し外れた場所にある湖のようなところに到着した。

 

「せっかくみんな揃ったんだから、記念写真、撮ろ?」

 

戦闘用の装備から私服に近い装備に変更したシズクは俺に向けて明るい笑顔を見せながらそう言った。

俺達も装備を街用に変更し、湖をバックに写真を撮った。

 

「ハルキ、言いたいことがあります」

 

写真を撮った後、それぞれ街に戻ろうとしたところで俺はプレミアに呼び止められて一言、こう言われた。

 

「ティアの事、ありがとうございます……また、これからもよろしく、です」

 

「あぁ、こちらこそありがとう、プレミア」

 

プレミアの感謝に答えた後、先に行ったハヅキたちに追いついて街に戻った俺達はその後、それぞれ用事があるということでそのまま個々にログアウトした。

 

(そういえば夕立の霧雨が何か言いたそうだったけど……また後でいいか)

 

昨日、無理に呼び出した時にシズクが「明日話したいことが!」と言ってたのをシズクがログアウトした後に思い出した俺は明日また詳しい話を聞こう、と考えてそのままログアウトした。

 

 

 

現実世界:病院

春揮目線

 

「まぁ……本当はもう少しリハビリに専念してもらいたいけど、どうせあなたのことだから聞かないでしょ?だからいいわ、彼女さんの元に帰ってあげなさい」

 

現実に戻った直後、俺は看護師さんに呼ばれ、診断室で退院の宣告を受けた。

こうして俺は晴れて(?)退院することが出来た。

 

 

 

そして退院した俺は自宅に戻った。

扉を開け、中に入ると何も変わらない、というか前より少し綺麗になった気がする室内でさっきまで激闘を繰り広げたとは思えないほど気の抜けた姿の葉月が立っていた。

 

「おかえり、春揮」

 

「……あぁ、ただいま、葉月」

 

葉月は俺の姿を確認すると直ぐに俺の元に走ってきてそのまま抱き着いてきた。

俺は思ったより強く抱きしめてきた葉月の頭を撫でた。

 

「これで、一件落着……約束しただろ?」

 

「あ、そっか……えへへ、改めると恥ずかしいね」

 

「……葉月、改めて言わせてくれ」

 

俺は(いろんな意味で)一回り小さい葉月の左手を両手で握り、葉月の顔を改めて見て言葉を放った。

 

 

「結婚しよう」

 

「………はい」

 

こうして俺達は仮想世界の仮結婚から2年の月日を経て、改めて結ばれた。

そして、数日後、早めの挙式をした。

 

 

 

 

(NPCと人間、加速していく仮想世界、まだまだ進歩する、そして新たな戦いが生まれる……だけど俺には仲間がいる、失う訳には行かない大切な存在が)

 

「春揮、みんなで写真撮るよー!」

 

「あぁ、今行くよ」

 

ウェディングドレス姿の小動物、もとい葉月に呼ばれた俺はアルゴとレインを除く招待組のみんなに囲まれて写真を撮った。

 

 

「春揮、葉月ちゃん!おめでとう!」

 

「みんな、ありがとう……これからもよろしくな」

 

 

 

 

 

SAOというVRMMORPGから始まった俺たちの戦い、それは様々な出会いを引き起こした。

それがどんなに辛くても俺達は乗り越えてきた。

そして、それはこれから先も変わらず続いていく。

数年後、数十年後もずっと、俺たちの関係は変わらない───




ティア戦って殴ってたら終わった感じがするから内容覚えてない……

と、言うことで雑ですがSAO悪剣、一応完結、ということになりました。
本来、オリジン開始前に式を挙げようと計画をしていた所、SAO時代に葉月を騙し、ラフコフに勧誘した男に春揮が襲われてしまい、さらにベータ版テスト中に事件発生
こ事が落ち着いたところでやっとゴールイン


こんな終わり方ですが
最後まで応援してくださった方、長きに渡りありがとうございます。
また、これからもよろしくお願いします
少し時間を開けてになりますが
キャラの制作秘話、その他色々をまとめて投稿します

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