ソードアート・オンライン ~悪魔の剣と光の剣士~ 作:桜花 如月
あの事件の直後。
キリトとアスナは血盟騎士団のギルドにてヒースクリフと話し合いをしていた。
「事情は了解した。団員たちには私から説明しよう」
「それと、私、ルシハくん、ハヅキさん、キリトくんの一時脱団を、申請します」
「ふむ、理由は?」
「今の血盟騎士団に疑問を感じました。あのような事が二度と起きないようになるまでは私たちは戻りません」
「了解した、だが、君たちはすぐに前線に戻ってくることになるだろう」
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それから数日、俺(ルシハ)はいつもなら先に起きるハヅキの寝顔を眺めながらも22層へ出かける準備をしていた。
「ふあ……あ、ルシハ…おはよぉ…」
「眠いなら寝てていいんだぞ?行くのは昼過ぎにしようと思ってたし」
「もうすぐ昼でしょ……」
「まぁ、そうなんだが」
ハヅキがまだ眠い目を擦りながら部屋から出てきた。
「にしてもこんな家よく買えたね?」
「……経験値だけじゃなくコルも獲得数が周りとは桁違いだからな、ハヅキとほぼ同じレベルなのは驚きだけど」
「私は色々あるからね…」
「そんなことよりそろそろ出かけるか、22層」
「うん」
いい家が買えたとは言え、財布が軽くなったのは隠せない事実、狩りをしないでしばらく過ごす約束をアスナとしたため、金の収入源がなくなった。辛い。
────
22層に着き、周りを見渡すと自然の中に大きな湖があった。
転移石から見える限り家がログハウス1軒と船乗りばぐらいか。
「早く行こ!」
「ちょっ!?」
とりあえず誰かいないかとログハウスの方に向かうと、聞き覚えのある声が……
「俺たちの関係ってこの世界だけなのかな?」
「……怒るよ?」
「……たとえここが仮想世界だとしても、私の気持ちは本物……
「おーい、お二人さん、いいムードだけどこんな所で何してんだ?」
と、声の主2人がイチャイチャしてる所に俺が入る。
「うわっ!?」
「な、なんだルシハくんか…」
「私もいるけど…」
「それで、二人ともこんな所で何してるんだ?」
「キリトに聞かれるならそっくりそのまま言葉を返すよ」
「……実は俺たち」
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「「結婚………!?」」
「やっぱり驚く?」
「そりゃ、いきなり結婚しましたなんて言われても、驚くしかないだろ?」
「アスナとキリトは仲良しだった、だけど結婚までするとは思わなかった」
「ちょっ、ハヅキさんまで!?」
「ま、まぁ、なんだし、これから湖の周りに行かないか?」
「いや、俺たちは俺たちで…お二人さんの邪魔はしたくないからな」
「あ、あぁ……」
その後、結局キリトたちも着いてきて、湖の周りを歩いたり途中でアスナ特性のパンを食べたりして、1日を満喫し、アスナ達とは別れた。
────
ルシハの家
「……ルシハ」
「どうしたんだ?」
「私たちはあんな関係じゃ、ないよね…?」
と、帰ってくるなりいきなりハヅキから衝撃の発言が。
「アスナ達と…か?まぁそりゃ…あの二人はいつも仲良しで二人でいるからな」
「私たちはあんな関係になれないのかな」
「……は?」
「…あんなふうに好きな人と一緒にいれるのかなって、『大切な人』と隣にいれるのかなって」
「……ハヅキ?」
「…私はさ、現実では誰の役にも立てず、むしろ迷惑ばっかりかけて、誰かが隣にいてくれる訳でもなくて、逆に人を遠ざけて、いつの間にかこの世界に逃げていて、誰とも関わらずにいたかった、なのに……
(……なんで泣きそうになってるんだよ)
「大好きな人を、守りたい人を見つけちゃったら!1人ではいられない!……アスナみたいに、キリトみたいに同じ場所で過ごす人が出来たから……」
「……何が言いたいのか全くわからん、けど、俺はハヅキのことは一生離さないって決めた。遠ざけようなんてしないよ」
「……私は、ルシハが…」
「…………」
「……大好きだから…」
「……あぁ…でも、まさか、『結婚して』なんて言う気じゃないだろうな?」
「……へ?」
「……言う気だったんだな」
「……ダメだよね…そりゃ、いきなりだし…」
「俺はどっちでもいい、いや、よろしくな、ハヅキ」
「……え?」
「だから、こちらこそよろしくって言ってるんだよ、雑な告白しといてお前が戸惑うなよ」
「……でも」
「現実のことなんか気にしないよ、そんなこと気にしてなんになるって話だろ」
「…うん、よろしく、ルシハ!」
……こうして、ハヅキの雑な告白と共に俺とハヅキはそういう関係になった。俗に言うリア充とやつだ。(結婚したけど)
そして次の日、22層に行くのはやめて、ハヅキの提案で指輪をドロップするモンスターを狩りに、アスナに止められてはいるけど。
そのモンスターは驚く程に弱く、簡単にレアな指輪を手に入れた。
とは言え、起きたのが昼過ぎのせいであっという間に夜になり眠り、次の日に。
と、何事もなく平和に過ごしているため、攻略など全く気にしてないが、またまた、アルゴはどこへ行ったのか……
────
そして次の日、俺とハヅキはキリトたちに呼ばれ、はじまりの街の転移門広場に向かった。
「結局そっちも結婚したのか」
「ハヅキの告白でな」
「……うるさい」
「それで、なんで俺らを呼んだんだ?それに、その子は?」
「……こいつはユイ、今、こいつのために来てもらったんだ」
話によると、俺らが指輪をとった昨日、キリト達が幽霊が出ると噂の森に行くと白い服を着た女の子、ユイが立っていて、そのあと気を失い、今朝、目を覚ましたらしく、話を聞いていると親か兄弟がいるかも、と、言うことで俺たちに探すのを手伝ってもらう。
「だが、ここは今確か、あのコーバッツとか言うやつの入ってた軍のメンバーがいるんじゃなかったか?」
「とりあえずそれには気をつけてまずは路地裏から行きましょ」
ということで、俺達4人で路地裏に入っていった。
「ルシハ、ここってプレイヤーどれぐらいいるの?」
「軍を含めて生き残りの3割がここにいるから2000ぐらいか」
SAO開始から2年が経ち、既に生き残りは6000人、かなり減ってしまったが……
「にしても人数が少ないよな」
「子供たちを返して!」
「「………!!」」
路地裏の奥に行くと、軍のメンバーらしき人間と女の人が争っていた。
軍の後ろには子供がいた。
「人聞きの悪いことを言わないでほしいな。これも《軍》の大切な任務でね」
「市民には納税の義務があるからな」
「させるかァ!!」
「誰だっ!?」
「お前ら、恐怖を味あわせてやるよ」
軍のメンバー全員がハヅキ、アスナ、キリト、そして俺の圏内戦闘でのソードスキルの恐怖を味わったらしく、渋々帰っていった。
「圏内戦闘は恐怖を埋め込む」
「あ、ありがとうございます!すみません」
軍に絡まれていた女性と子供は安心して帰っていった。
「みんなの……こころが…」
「ユイ?」
「みんなの心が……」
「なにか思い出したのか?」
「あたし、ここにはいなかった……1人でずっと、暗いところにいた……う、うあ……うああああ!!」
「ユイちゃん!?」
ユイと呼ばれる少女はいきなり叫びだし、そのままアスナの元に倒れ込んだ。
「なんだよ…今の……」
そうキリトが呟いた時にはユイの、表情はさらに暗くなっていた。
ユイちゃん……
そして唐突の告白。
まさかのタイミングよね。告白下手よね。
2組のリア充が完成したところで事態は過酷に。
次回。
ユイの秘密が……!?