ソードアート・オンライン ~悪魔の剣と光の剣士~ 作:桜花 如月
『このゲームをクリアするには1層から100層まで階層全てを制覇しなければならない。100層までたどり着けば
広場にいる人間の中には『どうせゲームのサプライズ的なやつだろ。』と、余裕を見せるやつ。
『そんなの嫌……』と、絶望に飲まれている人まで。
もう一度ログアウトボタンを確認すると、さっき見た時と同じく、ログアウトボタンは消滅している。
と、アイテムストレージを開くと見たことの無いアイテムが…
『アイテムストレージに私からプレゼントを入れておいた。それを使った者からこの街を出ることが出来る、せいぜい頑張りたまえ』
そう言い残し、茅場は消えていった。
ストレージからアイテムを出すと、それは『手鏡』だった。
手鏡を出し、鏡を覗くと広場中に光が発生し、しばらくすると…
「リアルの顔そっくりだな…」
「クライン、前のアバターより老けてるな」
「そーゆーおめぇも思ったより若ぇじゃねぇかルシハ」
と、クラインをいじっている間、キリトも顔は変わっていたが、けわしい顔のままずっと考え込んでいる様子だった。と、思ったら俺とクラインの手を引きどこかへ行こうとした。
その時、人混みの中にフードを被ったまま、こちらを見る少女の姿が見えた。
…が、キリトに無理やり引っ張られたせいで見失ってしまった。
────────
「いきなり走り出してすまん。」
俺とクラインが連れてこられたのは街の中でも人通りが1番少ない裏路地。
「……2人はこれからどうするんだ?」
「キリト、悪ぃな、俺ァリアルの親友を探さねぇと。あいつらもログインしてるはずだし、会う約束もしちまってるから
そう言いながらクラインは裏路地の出口の方に歩いていった。
と、思ったら立ち止まり俺らの方に振り向き……
「キリト、ルシハ!……おめぇら、案外可愛い顔してるじゃねぇか」
「「お前は老けてるな」」
と、俺達が言ったあと、クラインははじまりの街の広場に戻っていった。
────────
「…なぁ、お前はどう思う?」
「茅場晶彦が、『俺の憧れ』が、なんであんなことをしようと思ったのかはわからない。だけど俺はこのゲームをクリアしようと思う。」
そう、キリトは言った。
「……俺も信じられねぇよ、茅場が『人を騙す』なんてことをするなんて、でも今やれることはこのゲームで生き抜くことだ」
「…絶対生き残る、そしてこのゲームを」
「「クリアする」」
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キリトが先に草原に出たあと、俺は茅場の発言を思い出した。
『このゲームで死ぬ、それは現実での死を意味する。』
……許さねぇ。
俺は怒りとともに原子の草原へ向かった。
────────
原子の草原【エリア1】
既にいくらかプレイヤーの姿がチラホラしている。
そんな中、ポップしたモンスターを蹴散らしていた。
「くそ!くそっ!くそ…っ!!」
茅場という偉大な人間に、俺の上司となる人間にこのゲームを無駄にされた、その怒りをモンスターにぶつけていた。
『君に、このゲームの制作を手伝ってもらいたい。』
そう言われてあの会社の手伝いとして仮入社した。
既に茅場がしてきたことは俺も興味を示していたため、アーガスに入ることに抵抗はなかった。
アーガスに入り、茅場晶彦という大きな存在と関わることも多かった。
キリトと同じように『憧れ』を抱いていた。
……そんなの無駄だったんだ。
と、我に返ると周りは暗い空間になっていた。
「……『シークレットスペース』か」
特別な条件を果たしたプレイヤーだけが入れるはずの空間。
誰か1人、プレイヤーが入ると消えてしまう。簡単に言うと『早い者勝ち』の空間。
この空間は元々、SAOには入っていなかった。
もちろん、デスゲームになってから現れた訳では無い。
この空間は『俺が制作した』。
ルシハ、という名前にした理由もここで手に入る『特別』なアイテムに関係している。
「ここに出るモンスターは」
『グルゥアァァァ!!』
はじまりの街に飛ばされる寸前。俺達を襲おうとしたドラゴン。
それがシークレットスペースのボスモンスターとして設定してあるドラゴンだった。
…なぜ、それがあそこで出てきたのかは謎だけど。
「……『デス・ガイアアースドラゴン』!!」
あのとき出てきたタイミングでは体力ゲージは見れなかったが、相手の体力ゲージは……
『黒い赤』
「やるしかねぇ!!」
俺は剣を抜いた。
────────
デス・ガイアアースドラゴン
Lv:??
HP:10000
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「がはっ!?」
ソードスキル『スラント』、『ヴォーパルストライク』を放っても相手のHPはビクともせず、相手の攻撃はこっちに致命傷を与えた。
「生きてるだけでも奇跡…か」
致命傷を受け、既に立ち上がることさえ俺には無理だった。
元々、この空間には3回まで蘇生できるようになっていたはずだったが、今となればそんな設定も全て無駄になり、死んだらそこで終わり………
(せめて……ここで死ぬわけには…!!)
「死ぬわけには行かねぇよ!!」
その時、俺の体を光が包み込んだ。
そして、俺の脳裏にひとつのスキル名が浮かんできた。
『
(力が湧いてくる……?なんだ…このスキル……?)
ボーッとしてる俺に、ドラゴンがトドメをさそうとした。
ダメージになったのはドラゴンの方だ。
(……これなら勝てる…!!)
俺は剣を持つ右手に力を集中させ、最大のソードスキルを打った。
が、スラントとは違う技を無意識に放った。
ソードスキル:【???】
それがトドメになり、ドラゴンは消滅し、俺のストレージにアイテムが入った。
片手剣:【ゼデュース・ホーリー・ソード】
意味は『光を背かせる剣』
それを確認したあと、俺は気を失った。
残りHP:10
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目を覚ましたのははじまりの街の宿の中。
体力も回復していて、あの時の感覚は消えていた。
(……それに、まだこのスキルがなんなのかわかってないし)
「…やァ、目が覚めたカ?」
布団の横には女の子(?)が立っていた。
「……お前が助けてくれたのか?」
「いや、オレッちはお前を預かっただけダヨ。ボロボロのお前を助けたのはお前と同じぐらいの女の子ダ。」
「……そうか」
「ところデ、あんなになるまで何してたんダ?」
「……レベリングだよ」
「それだけしゃないだろ。おねーサンの目は欺けないぞ」
……なんだこいつ。
…これが俺と『情報屋』を繋げるきっかけになった。
バトル描写苦手なのは治らないのか。
スキル【???】と、【限界突破】が登場。
一体ルシハの身に何が……?
あ、オリジナルスキルです。(ソードスキルもね)
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今更ながらルシハ、制作側として何をしたかったのか。
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ステータス
ルシハ(lucifer)
Lv:??
武器:ゼデュース・ホーリー・ソード(オリジナル、1本だけの剣)
スキル:限界突破(発動条件不明)
ソードスキル:スラント、ヴォーパルストライク、(???)
↑
ルシハが戦闘した時は出します、あとステータス公表の時