ソードアート・オンライン ~悪魔の剣と光の剣士~   作:桜花 如月

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第46話 敗北【銃】

「春揮!春揮!」

 

いくら揺らしても春揮は起きる気配がない……血が付くのは覚悟して春揮の胸に耳を当てると、一応心臓は動いていた。

それだからって安心はできないため、とりあえず救急車を呼んだ、あと和人も(なんでだろ…?)

 

既に夜中になっているのに救急車はすぐに来て春揮は近くにある病院に、救急車の音を聞いてバイクで駆けつけた和人に事情は説明した。

 

「ごめん、焦っててこんな夜中に呼んじゃって…」

 

「いいよ、それより葉月は大丈夫だったんだな」

 

「うん、ALOではほとんどダメージ受けなくて……でも……」

 

「その、ソルって奴が何者なのかは俺も探してみるよ、葉月は明日から学校どうする?こんな状態だけど…」

 

「普通に行くよ、心配だけど……って、ひゃぁ!?」

 

俯いた私の頭をいきなり和人が撫でてきた。

 

「あ、ごめん、スグにやるノリでつい……元気出せよ、春揮はそう簡単に死にはしないだろ」

 

「うん……」

 

少しの間和人と話した後、既に日を越しているけど、春揮の部屋の血を拭いて1人、静かに眠った。

 

────

次の日、私は養成学校の食堂で1人、パンを食べていた。

 

「葉月?」

 

「元気無いですよ、どうかしたんですか?」

 

「ううん、別に……」

 

和人以外には春揮のことは伝えていない、だからどうして暗いのかなんて言えない……

友達もいつの間にか増えたけど、今は話す気にもなれず、1人でいようと思って学校の屋上に行くことにした。

 

(春揮…無事なんだよね……?)

 

「春揮が心配なのか?」

 

「あ、和人……いたんだ」

 

「あぁ、アスナが先生に呼ばれたから今日は昼メシ一人で食べてって言われて一人でいるには丁度いいここで食べて休憩中だ」

 

和人はそう言いながら近くのパイプに座った。

 

「春揮が心配なのはわかるよ、俺だって()()()()()だったし、でも……急ぎすぎて突っ走ると大変だからな」

 

「うん……そう、だよね…」

 

────

結局、その日の放課後、和人と一緒に春揮のいる病院に行って、お見舞いをしたけど、春揮はまだ目を覚ましていなかった。

 

それから1週間、春揮が目を覚ましたけど、身体のダメージはかなりあるらしく、リハビリも兼ねて退院までは時間がかかってしまうらしい。

目を覚ましてくれただけでも良かったし、リハビリすればなんとか復帰出来るって聞いてホッとした。

 

こんな事件が起きて3ヵ月近く経った真夏日。

春揮はリハビリを終えて退院をしたものの、まだ安静にしてないといけないということでしばらくVRは触らないと決めて、和人と一緒にどこかに行ってしまった、とは言えすぐ近くのビルの中なんだけど。

 

「葉月ー!早くしなさいよー!」

 

「だってこの水着大きいから……」

 

「シリカと同じやつでもよかったかしらね?」

 

「なんか負けた気がするから嫌だ」

 

「なら堂々としなさいよー!」

 

────

春揮目線

 

俺が病院に運ばれて意識を取り戻した日、葉月が泣き付いてきた、二度と無茶はしないと約束して3ヵ月近く経った真夏日、近くの市民プールから聞こえる女子達の声を耳にした。

俺と和人は市民プールではなく近くにあるビルの中である男に話をしていた。

 

「そんなことが、それにしても、如月くん。よく無事でいたね」

 

「まぁな、これでもギリギリだったけどな」

 

「まぁ、また何かあった時は連絡するよ」

 

「あぁ、わかった」

 

俺と和人が話をしていたのは仮想課の菊岡という男。

前に俺が葉月の居場所を、和人が明日奈の居場所を聞く時に世話になった男で、SAOのことを話すという条件を課せていたため、今日を使って話した。

 

「そういや、今日は女子を連れてどこに行くんだ?」

 

「葉月はお前といるだろ、俺たちはこれからユイのためにちょっとしたクエに行くためにスグの泳ぎの練習をしてるんだよ」

 

「なるほどな、まぁ、俺はまだVRを使わないからちょうど良かったかもな」

 

「まぁな」

 

────

あんな目にあってしまった以上、しばらくはVRを使わずに現実世界で色々して、と葉月が言ってきたから言われた通り俺はアーガスに行ってデスエリアの消去をしたりリハビリがてら学校に行ったりと色々していた。

とは言えまだ完治したとは言えないらしいから大人しくしている訳だが。

 

この3ヶ月のあいだに和人が空の使っていた機械が何なのかを調べてくれたが何もわからなかった。

 

────

それからさらに数ヶ月。

12月の始まり。

 

俺はやっとVRに復帰し、レベリングをキリト達として今は22層のログハウスにて、休んでいる。

 

「ラギったらレベル上がるの早すぎじゃない?」

 

「リズさんが遅いんじゃないですか?」

 

「それ有り得るな」

 

「そうよね、リズだもんね」

 

「アスナもキリトもシリカも酷いわよ!」

 

「それよりラギ、おめェ大変だったんだろ?ハヅキちゃんも、あんな思いしてよく帰ってくる気になったなぁ…」

 

と、クラインが俺とハヅキの肩を叩きながらそう言った。

 

「確かにそうだけど、このゲームを見捨てたら何かダメな気がしてさ、復帰したんだよ」

 

「わっけわかんねぇ……」

 

「パパ!ママ!そして皆さん、お疲れ様です」

 

今日はレベリングをしつつリズの鍛冶のためのアイテムをとるために狩りをしていた。

思ったより強敵で苦戦したが、数の暴力で勝利し、現在に至る。

 

そして、もうすぐ、()()()()()であんな事件が起こるなどとは誰も想像していなかった。

 

────

ガンゲイル・オンライン(通称GGO)

 

とある場所。

ニュース番組を見ている者達の中にフードを被った男がいた。

 

ニュースに出ている男が笑っている。

フードの男は映し出されたモニターに銃を向けた。

そして男は銃を撃った。

するとモニターに映った男はいきなり苦しみだし、倒れた。

そして銃を撃った男は銃を天井に向け低い声でこう叫んだ。

 

──俺と、この銃の名前は死銃(デスガン)だ。よく覚えておけ。

 

死銃と名乗る男の情報は瞬く間に広がり、現実でも騒がれるようになっていた。




話飛ばした。
無事でした。

エクストラエディションの内容入れないと言ったな。
あれは嘘だ。

一気に半年吹き飛んで12月のある日。
ALOに復帰したラギはレベリングと共にリズの素材集めを手伝うことに。


そしてそれから数日後。
別のVRゲームにて事件が起こる──


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